ソードアート・オンライン ~反則の剣士~   作:にょぞ

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これからはこれくらいのペースで更新していくことになると思います……すいません……

それと、今回の話はだいぶ説明を省いたところがあります。小説を読んでる方は分かると思いますが、そうでない方はホントにすみません……
いつもより少しだけ長いので許してください……

それでは19話です。どうぞ


夢の続きは聖なる夜で

 

 

 デスゲームが始まってからすでに一年が経った。

季節は冬。世間はクリスマスと騒いでいる時期だ。もちろんそれはこの世界も例外ではなく、去年この世界で迎えたクリスマスは大ギルド主催のクリスマスパーティーが開かれたりもした。俺はその時別の村にいたので参加していないが。しかしまぁ、今年のクリスマスはある噂のせいで少しクリスマスとは思えないような空気を醸し出している人もいる。もっとも、そんな人は高レベルプレイヤーの一握りだけだが。

 

『クリスマス限定クエスト』

 

それがこの空気の原因だ。

何でもクリスマス当日の午前零時にどこかのでっかい(もみ)の木の元に《背教者ニコラス》というフラグMobが現れて、そいつがなんと《蘇生アイテム》をドロップするらしい。

 俺はというとサチとの約束があるんでキリトを探していたんだがこれは簡単に終わった。クリスマスクエストに向けて必死にレベリングをしているようだ。俺が46層にある今最も経験値効率の良い場所であるアリの巣に言った時に見かけた。あそこは囲まれると如何に高レベルプレイヤーだとしてもあっという間にHPを削り切られてしまう。なので、ソロである俺は安全第一で行動するた短時間ではめあまり大量には狩れないのでレベルの上がりようはあまり芳しくはない。もっとも、パーティーを組んでいるプレイヤーと比べたら経験値取得量は多いだろうが。

ちなみに今の俺のレベルは56。最前線が49層であるから安全マージンも取れていない。クラインから誰にも言うなよとしつこく言われた末に聞いたキリトのレベルは69だそうだ。クラインがキリトにレベルを聞いてからすでに四日が経っていることから、70台に入っていても不思議ではない。あんな高レベルなのに四日でレベルを上げられるほどにがむしゃらにレベリングをしてるんだとか。

なぜ俺のレベルがこんなにも低いかというと、今日のため―――――という訳ではないが、まぁ今日に間に合わせるために色々と特訓をしてきたわけなのだが、ギリギリで何とか使えるようにはなったが如何せんレベルが低すぎる。という訳で俺もここ一週間必死にレベリングをしたのだがここまでしか上がらなかったのだ。上げないよりはマシだろう。

 はぁ、と白い息を吐き出す。ポーチの中にはサチから渡された録音結晶が入っている。剣はメンテナンスしてきたし、回復アイテムも大量に持ってきた。他にも色々あるが準備は万端だ。

最近買ったコートの襟を立てて空を見る。ちらりと頭上のオレンジ色のカーソルが目に入った。雪が降っているため月が見えないのは残念だが、今日くらいは我慢しよう。何て言ったってクリスマスだからな。

 現在時刻は午後11時58分。青く光る樅の木の下で人を待っている。あぁ、なんてロマンチックな響きだろう。尤も、これから行われるのはそんな物とはかけ離れたものだろうが。

不意に、エリア転送の目印となる白い石から空中に波紋が広がった。ここにプレイヤーが来たのだろう。

 

「……待ってたよ」

 

声をかける。すると黒いコートを着た少年は驚いたように口を開いた。

 

「なんで……ここに……?」

 

現れたのは言うまでもないが、キリトである。来てくれた、というより来なかったら困る。その時は免罪クエストを速攻でクリアして録音結晶を届けるつもりだったが杞憂に終わってよかった。

 

「おいおい……この場所に目を付けておいたのがよもやお前だけってわけじゃなかろうに」

 

肩をすくめる。大方キリトは一人でボスを倒せば確実に蘇生アイテムが手に入ると踏んだんだろうな。当てが外れて残念。

 

「さて……」

 

剣を抜く。たったそれだけの動作で俺の神経は幾重にも研ぎ澄まされる。リンリンリン、とどこかでベルの鳴る音がする。ちょうど0時になった知らせだろう。

次に聞こえたのは落下音。何か大きなものが上から空気を裂きながら近づいて来る音だ。そして最後に衝撃。俺のすぐ後ろに着地したらしい。ギチギチギチとひどく耳障りな、クリスマスには似つかない音がする。

剣を頭上で円を描くようにして振るう。するとちょうど頭の上で金属がぶつかる音がし、特大性の金属斧が俺のすぐ横に積もっていた雪を舞い上げる。

 

「アイテムはドロップした人のもの………でいいよな?」

 

ボスの方も小手調べだったらしく、あまり重さは感じられなかった。レベルの関係で手も足も出ないなんてことにならなくてよかった。

 

「いいわけ……ないだろッ!」

 

キリトが剣を抜きながら走ってくる。

聖なる夜は三つ巴の乱闘へとその姿を変えていく。

 

そもそも、こんなデスゲームに聖なる物なんてあるのだろうか

 

 

 

 

   *  *  *

 

 

 

 

まずはキリトに向かって走り出した。さすがボスに背中を見せたままでいるほど馬鹿ではない。

キリトと剣を打ち合う。思えばキリトと剣を交えるのはこれが初めてだ。いつかデュエルしようなんて約束を交わしたが、これはそんなものではないのでノーカンだ。

鍔迫り合いとなったのは一瞬で、すぐさま横に跳び引く。さっきまでいた場所はニコラスの振り下ろした斧によって白く覆われている。

雪の煙から次いで来た鉄の塊を剣で弾く

一息置いてからニコラスがのけ反る。どうやらキリトが後ろからソードスキルを当てたようだ。

その隙を逃さずに、俺もすかさず剣を振るう。HPの減りようから見るに、あまり時間はかからずに終わりそうだ。

ニコラスはターゲットを俺からキリトに変えたらしく、ひり向きざまに斧を振るう。俺は屈んで回避し、キリトは斬り上げでパリィする。

背中を向けている俺はもちろん、弾かれた斧を瞬時に戻す方法などあるはずもなくキリトにもがら空きの体をさらしてしまう。そこに俺は《カーネージ・アライアンス》を、キリトは《スター・Q・プロミネンス》を発動させる。共に六連撃。

回転切りの動きをするニコラスの《ワール・ウィンド》を、キリトは後ろに跳び、俺は《ソニックリープ》を使って上に跳ぶことで回避する。そして俺はニコラスを切り裂きながら上昇し、そのままニコラスを飛び越えてキリトに切りかかる。

互いに剣を打ち合う。響く金属音と走る火花。二度、三度と剣を打ち合うたびに俺は一歩ずつ後ろに下がっていく。当然キリトはそれを追いかけようと前へ足を進める。

四度目になる打ち合いの瞬間に軸足となっている右足を畳み、体を逸らすことで体の高さは半分ほどになりキリトの剣が俺に届く前にニコラスの薙ぎ払いがキリトを吹き飛ばす。

巨大な斧が顔面スレスレを通るとすぐさま雪に手を着いて前傾姿勢のまま斧を追いかけるように左に回り込む。

脇腹あたりに剣を刺してそれを担ぐようにしてから剣を思いっきり振り下ろす。跳びかかってきたキリトとまたしても打ち合う。回復結晶でも使ったのか、キリトのHPは満タンだ。

一旦離れた俺たちの間にニコラスの斧が振り下ろされる。雪が舞い上がり、前方向が見えなくなった瞬間にまたもニコラスの後ろへと回り込む。

無防備となっている背中に《バーチカル・スクエア》を入れる。ニコラスは俺の方に体を向けてから《ランバー・ジャック》を繰り出す。前にいる相手を一度斬りつけた後に二回回りながら斧を振り回すソードスキルだ。

左から来る一撃目はソードスキルの硬直により完全に躱すことは出来なかったが掠る程度に抑えられた。続く二撃目は雪の上を転がることで回避し、三撃目が来る前にちょうど後ろを向いているニコラスの右足に《ホリゾンタル》を当てて足払いをする。

ニコラスはソードスキルの強制終了と転倒(タンブル)により、通常よりもかなり長い硬直時間(ディレイタイム)が科せられる。

キリトの三連重ソードスキル《サベージ・フルクラム》と俺の八連ソードスキル《ハウリング・オクターブ》が同時にヒットする。八連という大技なため、硬直(ディレイ)も長いが、ニコラスは雪の上に転がっているため心配する必要はないと思っていた。

硬直から解放されたキリトが剣を振りかぶりながら倒れているニコラスを飛び越えて来た。剣が振り下ろされる瞬間に硬直が解け、体術スキル《弦月》で何とか剣を弾くも着地の瞬間にタックルをくらう。

後ろにノックバックした俺を、キリトは追わずに立ち上がったニコラスと剣を交えている。

剣戟の隙間に入りキリトに向かって大きく振りかぶり、それに合わせて剣を掲げるキリトのがら空きとなっている腹におかえしと言わんばかりにローキックを決める。

跳ねながら転がっていくキリトを横目に振りかぶった剣はニコラスをとらえる。それから二、三度ニコラスの攻撃を躱しながら剣を振るっていると起き上がったキリトがこちらに走ってくる。

それを確認した俺は斧を斬り上げてパリィし、ニコラスの横を走って通り抜ける。キリトはニコラスを挟んで俺と並走してくる。ニコラスにはすれ違いざまに一撃斬りつけるだけなのを見るに、どうやらこちらから先に片づけるつもりらしい。

雪の上を滑りながら足を止めるとキリトがこちらに向かってくる。ニコラスは俺に狙いを定めて斧を振り上げている。キリトの掬い上げるような一撃とニコラスの特大の振り下ろしを体を捻って一回転しながら全力の横なぎ(ホリゾンタル)で同時に弾く。

その生まれた隙に、ニコラスに片手剣六連撃上位ソードスキル≪ファントム・レイブ≫を当てる。これは一撃一撃が重く、片手剣とは思えないような威力を出せるが、その分硬直が長い。そしてその隙を逃さない程度にはキリトは冷静だった。

キリトが発動した《ホリゾンタル・スクエア》は前の三発はニコラスに当て、最後の一撃は俺に当たった。

地面を転がり吹き飛ばされる勢いを殺さずに起き上がる。そのまま巨大な樅の木に向かって走り出す。途中で回復結晶を割りながらニコラスが追いかけてきているのを音で確認する。

トップスピードのまま樅の木の幹に足を掛ける。そのまま上へと登っていく。水平方向への勢いが消えそうになった瞬間に幹を蹴って空中に身を躍らせる。ニコラスの残りHPは四本の内の最後の一本の四分の三程度。

俺は空中で姿勢を整えて《レイジスパイク》を発動させる。俺の剣の切先はニコラスのギョロッと出ている右目に突き刺さる。ニコラスは声にならない悲鳴を上げる。当然大ダメージ。

そして俺は剣を突き刺したまま右手を後ろに引き絞り、左手を前に出す。ニコラスの頭がすぐ横にある状態だ。わずかに見える刀身が血の色に染まる。次の瞬間にはジェットエンジンの様な音を響かせながらニコラスの体が後ろへ倒れはじまる。片手剣重単発突進型ソードスキル《ヴォーパル・ストライク》。

ニコラスの背中が雪に着く前に腕を伸ばして体を立てる。突き刺さった剣は抜かないまま、またもソードスキルを発動させる。眼球から胸元まで縦に一直線に赤いダメージエフェクトが残る。片手剣単発ソードスキル《バーチカル》。

振り下ろした剣の勢いに逆らわずそのまま空中で一回転して雪の上に足を付けるとガラスが砕ける音を大量にまき散らしながら《背教者ニコラス》はこの世界から消え去った。

 

 

 

  *  *  *

 

 

 

キリトは剣を左手に、俺は逆手に持ち替えて右手の人差し指と中指をそろえて同時に振る。

それから数秒後、キリトは何も言わずにウインドウを閉じ、俺は《環魂の聖晶石》なるアイテムをオブジェクト化させる。

軽く二回叩き、ポップアップメ二ューからヘルプ欄を選択した。そこにはアイテムのお説明が載っている。そして―――――

 

 

―――――対象プレイヤーが死亡してからその効果光が完全に消滅するまでの間(およそ十秒)ならば、対象プレイヤーを蘇生させることができます。

 

 

ウインドウを閉じ、キリトを見る。いまだ願いを諦めていないようだ。こちらを睨みつける眼が物語っている。

 

「どうやらこれが蘇生アイテムらしい」

 

左手に持った《環魂の聖晶石》を見せつける。キリトは静かに剣を持ち直した。こちらは剣を持ち直したが、腕に力は入っていない。

 

「欲しかったら剣で奪い取れ。もとよりここは、そういう世界だろ」

 

剣を体の中心に合わせて構える。

これを渡してもいいんだが、少し頭を冷やしてからにしてほしい。なに、これも録音結晶を渡すのに必要なことだ。依頼からはずれてはいないだろう。というよりこのまま放って置くとサチに合わせる顔がない。だからまぁ、キリトには少し痛い目を見てもらおう。

 

雪を蹴った瞬間は、同時だった。

 

 

 

 




補足です。
小説よりニコラス弱くね?と思った方。申し訳ありません。長期戦を書く技術が作者にはないものでどうしても戦いは短くなってしまうのです……申し訳ありません……

あと聞きたいのですが、戦いの時って息遣いとか掛け声とかって入れた方がいいのでしょうか?できたら意見ください。もし入れた方がいいって声があったにも関わらす入ってなかったら、それは作者の技量不足が原因なのでスルーしてください。すみません。

なんか今回は誤ってばかりですね。すみません。


誤字脱字があったら報告していただけると幸いです。

質問等があったら気軽に言ってください。

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