ソードアート・オンライン ~反則の剣士~   作:にょぞ

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初のクエスト

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………俺……だなぁ……」

 

茅場明彦によるチュートリアルが終わってから、一目散にダッシュしてここ≪ホルンカ≫の町に辿り着いた。

そして、持っていた素材アイテをすべて売り、茶革のハーフコートを買った。

それを装備し、壁に設置されている姿見をちらりと見て、思わず漏れてしまった。

そして、あるクエストを受けに行こうとしたとき、

 

「はぁ、はぁ、はぁ、……っつ、だぁ!」

 

肩で息をする音が聞こえた。

俺は、思わず振り返り、カーソルを見る。

カーソルはプレイヤーのものを示していた。

俺がここに到着した時はMPCしかいなっかたので、もうプレイヤーが来たのかと驚いてしまった。

余談だが、仮想世界に呼吸は必要ないのだが、走った後などはどうしても呼吸が乱れてしまう。

 

「なぁ…はぁ…君、ベータテスターでしょ」

 

声をかけたプレイヤーはまだ少年だった。

俺も人のことは言えないが目の前の少年は俺より年下だろう。

黒い髪に黒い瞳、どこにでもいるような少年だった。

というよりも…

声をかけられてしまった。

どうしよう……

もともと俺はコミュニケーションがあまり得意ではない。

先ほどまでパーティを組んでた男はフランクで良い性格だったのであまり困らなかったのだが……

俺はこの場面を切り抜けられるのだろうか?

まだクエストを受けていないのに、もう難関に差し掛かっている。

 

「ねぇ、聞いてる?」

 

相手がもう一度聞いてくる。

やばい、早く何か言わないと…

 

「あ、あぁ。聞いてるぞ」

 

そんなセリフが出た。

 

「で、もう一回聞くけど、君ベータテスターだよね?」

 

どうやら呼吸はもう整ったらしい。

 

「あ、あぁ。そうだ」

 

そのプレイヤーは俺と同じくらいの年齢の少年だった。

装備は初期装備のまま。腰には≪スモールソード≫を付けている。

 

「なら、少しレクチャーを頼みたいんだけど…」

 

一日に二度レクチャーを頼まれることは珍しいと思う。

 

そういえば、アイツはちゃんと仲間と合流できたんだろうか?

デスゲーム開始とともに見捨ててきたアイツは……

いや、今は考えるのはやめよう

それにしてもレクチャーかぁ…

デスゲームとなった今、初心者にレクチャーするということは、命を預かることに等しい。

仲間を置いてきた俺にそんなことができるのだろうか…

 

「あぁ、構わないが、俺がこれから受けるクエストと同時でいいか?」

 

大丈夫だろう。

俺が今からやろうとしているクエストはかなりレアな片手剣が手に入るクエストだ。

討伐系のクエストなので経験値もそれなりにおいしい。

たとえ、見方が初心者でも二人もいれば大丈夫だろう。

もともと俺一人でやろうとしていたし、いざというときは俺がサポートに入ればいい。

もっとも、あちらがいやだと言ったら、その時はあきらめてもらおう。

 

「うん、構わないよ。」

 

どうやら杞憂だったらしい。

 

「じゃあ、さっそくクエストを受けに行こう。説明は移動しながらにしよう。」

 

「わっかた」

 

どうせ、このクエストが終わったら解散するんだ。

気楽に行こう

 

 

 

  *  *  *

 

 

 

俺たちが受けたクエストの概要は至ってシンプルだ。

ただ、敵を倒せばいい

標的は≪リトルネペント≫

全長1メートル半の自走捕食植物だ。

その中でも≪花つき≫が低確率で出現するらしい。

その≪花つき≫からドロップするアイデム≪リトルネペントの胚珠≫を届ければクエストクリアだ。

なんでも、ある家の娘が風邪を治すのにこの胚珠が必要らしい。

いくらNPCでも風邪を引き続けているのは辛いだろうから、早めにクエストを終わらせたい。

そんなことを考えながら、俺たちは小道を歩いていた。

 

「にしても、≪始まりの町≫からずっと俺を追いかけていたんだろ?よくおいていかれなかったな」

 

と、隣に歩いている俺の今の暫定的パートナー(パーティーは組んでいない)が話しかけてきた。

 

「いや、最後のほうは完全に見失ってたよ。近く村があったから入ったらそこに居たんだよ」

 

「そうか」

 

この男とは仲良くやっていけそうな気がする。

あくまで「気がする」だけだが

 

「そういえば、まだ自己紹介をしてなっかたな。」

 

そういえばそうだ

すっかり忘れてた

 

「そうだな」

 

さて、どちらから行くか…

 

「あぁ…、俺の名前はキリト。よろしくな」

 

向こうのほうからしてくれた。

 

「俺はマキ。とりあえずよろしく。」

 

そういえば、この世界で自分のを言うのは初めてだな

 

そんなことしてと、キリトが突然立ち止まった。

 

「どうしたの?」

 

「あそこにいる」

 

まじか、見えん…

 

「俺は索敵スキルをとってるから反応距離がふえてるんだよ」

 

なるほど…

俺もあとでも取ろうかな…

 

小道から逸れ、大きな古木を回り込むと、そいつの姿が眼に入った。

 

「…………ハズレ」

 

キリトが小さくつぶやいた。

 

「でも、戦うんだろ?」

 

≪リトルネペント≫は例え≪花つき≫ではなくても倒し続ければ≪花つき≫の出現率が上がる。

しかし、ここで気を付けないといけないことがある。

それは≪実付き≫だ。

その実を割ってしまうと、広範囲からネペントを呼び寄せる煙をまき散らす。

二人でどうにかできる数じゃないらしい。

しかも俺は初心者だ。足はひっぱりたくない。

 

「あぁ」

 

キリトが短く答えると同時に、背中から剣を抜いた。

 

≪リトルネペント≫がこちらに気づき、二本のツルを威嚇するように高々とあげた。

 

「そこでまってろ。手本を見せてやる。」

 

そういって≪リトルネペント≫へと切りかかっていった。

 

 

 

  *  *  *

 

 

 

それからの十五分で合計二十体は『リトルネペント』を倒した。

 

二人ということもあり、思っていたよりたくさん狩ることができた。

 

「マキは筋がいいな。ほんとにニュービーか?」

 

もう何体目になるか分からない≪リトルネペント≫を葬った後に、キリトが訪ねてきた。

 

「ホントにニュービーだよ」

 

肩をすくめながら答える。

確かに、今の自分はそれなりに戦えると自負している。

が、ベータテスターのキリトと比べたらまだまだだろう。

 

 

そうしている内に、一体の≪リトルネペント≫がリポップした。

 

「よし、じゃぁ今度は俺一人でやろう」

 

俺が提案するとキリトは「わかった」とだけ言って、一歩下がった。

 

俺は逆に一歩踏み出し、≪スモールソード≫を構える。

どうやら向こうも気づいたらしく、こちらに向かって歩いてくる。

その前に、俺は≪リトルネペント≫に向かって走り出す。

≪リトルネペント≫はツルを振りかぶる。

そして、≪リトルネペント≫のツルによる攻撃を、屈みながら相手の左側に回ることで回避する。

それと同時にソードスキルを発動させる。

 

 

片手剣用単発ソードスキル≪ホリゾンタル≫

 

 

俺の剣は花と茎の間のクリティカルゾーンにはいり、一撃で≪リトルネペント≫のHPを三分の一まで削る。

そして、≪リトルネペント≫が大きくのけぞる。

そして腐敗液を吐き出してくる。

俺はまた、左側にステップして回避する。

と同時に剣を振り下ろす。

それでも敵のHPを削り切れなかったので、手首を返して切り上げる。

その攻撃でHPをゼロにできたらしく、≪リトルネペント≫がポリゴンとなって四散する。

直後に軽やかなファンファーレが鳴り響いた。

どうやらレベルアップしたようだ。これでやっとレベル2になった。

キリトが「おめでとう」と言ってきたので「ありがとう」と返そうとした時、

パンパンという乾いた音が背後からした。

 

キリトはとっさに後ろに構え、俺も振り返る。

と、そこには一人のプレーヤーがいた。

防具は軽量な革の鎧と円形盾、武器は≪スモールソード≫を装備している。

そして、ぽかんとした表情で立っている。

 

キリトが小さく息を吐きながら手を下すと、少年はぎこちない笑みを浮かべ、一度頭を下げた。

 

「……ご、ごめん、脅かして、最初に声を掛けるべきだった」

 

「…………いや、俺こそ……過剰に反応してごめん」

 

「れ、レベルアップ、おめでとう。ずいぶん早いね」

 

む、今のは俺に言っているのか…

 

「いや、そんなことはないよ」

 

現にキリトはすでにレベル2になっている。

 

「それを言うなら、そっちもずいぶん早いな。誰かがこの森に来るまで、あと二、三時間かかるとおもっていた」

 

キリトが言う。

 

「あはは、僕も一番乗りだと思っていたよ。ここは、道がわかりにくいから」

 

どうやら彼もベータテスターらしい

 

「君たちもやっているんだろう、≪森の秘薬≫クエ」

 

俺たちは二人そろって頷く。

 

「あれは、片手剣使いの必須クエだからね。報酬の≪アニールブレード≫を貰っとけば、三層の迷宮区まで使える。」

 

「………見た目はイマイチでけどな、あれ」

 

そうなんだ。知らなっかった。かっこ悪かったら使うのやめようかな…

 

そのあとに少年は続けた。

 

「せっかくだから、クエ、協力してやらない?」

 

「え……でも、一人用のクエだったと思うけど」

 

どうやらキリトには予想外の言葉だったらしい。

 

「そうなんだけどさ、『花つき』は、ノーマルのを狩れば狩るほど出現率が上がるだろ。人数は多いほうがいいよ。だから君たちも二人でやってるんだろ」

 

確かにそうだ

というか、俺たち二人でいる時点でそういわれることぐらい分かるだろ

 

そして、キリトがしばらく躊躇っていると、少年は慌てた様に首を振った。

 

「いや、別にパーティーは組まなくていいよ。ここで先にやってたのは君たちなんだから、最初の二つのキーアイテムはもちろん譲る。確率ブーストがかかったまま狩りを続ければ、きっとすぐに三体目も出るだろうから、そこまで付き合って貰えれば……」

 

キリトがこちらを見てくる。

 

……俺に聞くなよ……俺だって知らない人と話すのは得意じゃないんだよ……

 

「……俺は別にいいよ」

 

そう答えると、

 

「そうか……じゃあ、悪いけど、それで……」

 

キリトの承諾に、少年は一度笑うと、歩み寄ってキリトに右手を差し出した。

 

「よかった、じゃあ、しばらく宜しく。僕はコぺル」

 

「……よろしく。俺はキリト」

 

すると少年コぺルは首を傾げ、

 

「……キリト……あれ、どっかで…………」

 

「人違いだよ。で、こっちがマキ」

 

よかった……これで自己紹介のタイミングを逃すことはないな

 

「えぇと、マキです。よろしく頼むよ」

 

「あ、あぁ、よろしく」

 

「さぁ、他のプレイヤーが来る前にがんがん狩ろうぜ」

 

キリトが言ったので、俺も続く。

 

「うん、そうだね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






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