最近寒くて指が動きません……
昨日なんて朝起きたら雪が積もってて驚きました。
皆さんの地域では雪は積もりましたか?
作者の住んでいるところは毎年一回は雪が積もります。
それでは27話です。どうぞ
いつものように攻略し、ホームとしている宿屋に帰っている途中だった。
こんなゲームに囚われていなかったら夏休み真っ只中な八月。ゲームの中と言えど、四季再現しているアインクラッドはそれなりに暑かった。尤も、汗が出ないだけマシではあるが。
茅場もこんなところまで再現しなくてもいいのに、とか考えながら歩いていると、不意にインスタントメールが届いた。
そこには、明後日の午前三時に66層フィールド外周に一人で来いと書いてあった。ご丁寧に、差出人の名前であろうPohの文字も添えて。
翌日、攻略組の中でも精鋭たちがある宿屋の部屋に集められていた。もちろん、そこには俺もいる。血盟騎士団団長のヒースクリフはいないが。
俺は昨日のメールの件があるため内心冷や汗をかいていたが、要件は俺の危惧していたものではなかった。
「急に集まってもらってすまない。さっそく本題に入ろうと思う」
聖生連合の制服を着た一人の男性プレイヤーが切り出した。
「その前に、これから話すことは絶対に他言無用にしてもらう。これを誓えないものはここから出て行ってくれ」
そう言われても出ていく人は一人もいない。当たり前だ。こんな壮大な前置きをしておいて、どんな話かも聞かずに出ていく人はいないだろう。
そのプレイヤーは誰も動かないことを確認し一つ頷いてから聞き取りやすいようにゆっくりと、部屋の外に漏れないように静かに、しかしここにいる全員に聞こえる大きさで言った。
「先日、《
部屋の中でどよめきが起きた。俺も驚いた。心臓が飛び出るんじゃないかと思ったくらいには。
隠し事と当たらずとも遠からずと言うのは本当に心臓に悪い。狙っているのだろうか。
さすがに狙っているというのは冗談だとしてもこのタイミングの良さには何か悪意を感じる。というかこれ、絶対にPohにバレてんじゃん。
「討伐にはここにいるメンバーで明日の午前三時に行う」
まさかのドンピシャ。これはもう確定ですね。
例えば、今ここで俺がPohからコンタクトがあったと話せばどうなるだろうか。
この中にラフコフのスパイがいるのは確実。それはこのタイミングの良さや時間の一致から見て間違いない。この集まりを開いた聖生連合の誰かだろう。
ここで話すことのメリットとして、Pohは確実に捕まえることができることだろう。さすがにアイツでもこの人数には勝てまい。
デメリットは残りのラフコフのメンバーに逃げられる可能性が高くなることか。そうすればまたアジトを見つけ出さなければならなくなること。
「もちろん、辞退してもらっても構わない。他言無用と言うのはそのままだが」
そう言ってそのプレイヤーは周りを見回した。その目に手を上げた一人のプレイヤーを捉えた。
「悪い、その日はどうしても外せない用事があって参加できない」
俺だった。
別に恐れをなしたとかそういった理由では断じてない。ただ、俺一人でPohを何とかすればいいだけの話。討伐の方は俺以外のメンバーでも問題ないだろう。
その後、だいぶ無理な言い訳をしたせいで怪しまれてしまったが結果オーライと言うやつで。
そしてさらに翌日。さらに日付が変わって午前三時。俺は言われたとおりに一人で66層のフィールド外周に来ていた。
ここからなら星がよく見える。いつも夜に上を見上げても次の層が見えるだけだがここはちゃんと星が瞬いている。月は方角的に見えない。
「よぉ、ちゃんと一人で来るって信じてたぜぇ」
暗がりから足音を鳴らしながら近づいてくるPoh。口元は三日月のように歪んでいる。
いやな信頼だ、と口の中でひとりごちる。
「それで?何の用?」
十分な警戒をしながら口を開く。それでも剣を抜かないのはPohも《
「なに、大したことじゃねぇよ……おめぇ、《
……馬鹿じゃないの?
「……馬鹿じゃないの?」
思ったことをそのまま口にした。だいたい同じギルドに入るほど仲良くないだろ、俺ら。
「そーかい……残念だ。いうあ本当に残念に思ってるんだぜぇ」
Pohは言葉通りの表情でこちらに近づきながら《
「……なら、ここで死んじゃぁくれねぇか?」
* * *
「オイ!テメェ今何て言いやがった!!」
「クライン、落ち着けって」
聖生連合のアジトの一室。昨日ラフコフ討伐の最後のミーティングが行われれた場所だ。《
そこではクラインが聖生連合の一人に掴みかかっていた。キリトが必死にそれをなだめるも、効果は薄いようだ。
「何度でも言おう。マキはラフコフのメンバーである可能性がある」
しかし、クラインと対峙している聖生連合のプレイヤーは淡々と言う。
このままでは埒が明かないと思ったアスナは三人から少し離れたところから声を掛けた。
「詳しく説明していただけないでしょうか?」
そのたった一言でこの場の雰囲気がつかみ合いから話し合いへと変わった。これが血盟騎士団副団長のカリスマか。
クラインが手を離し、掴まれていた聖生連合のプレイヤーは襟を正してから重い口を開いた。
「今朝、聖生連合の一人が殺害されているのが判明した」
一瞬どよめきが走る。クラインは何か言いたげな様子だが腕を組んで黙っている。
「我々はこれを《
昨夜の《
「殺害されたプレイヤーは《
つまり、このプレイヤーはこう言いたいのだ。報復によって殺された、と。
「現場にはこれが落ちていた」
聖生連合のプレイヤーは腕を上げると、また別のプレイヤーが出てきて剣を渡した。
それにいち早く反応したのはアスナだった。あの剣は鍛冶屋の友人リズベットが作った一級品。血盟騎士団のギルド倉庫から拝借したインゴットで作ったマキの剣。《クレッセントソード》ではないか。
「この剣はマキが所持していた物。このような高性能の剣が二つあるとは考えにくい」
現場証拠は十分。マキが《
「だけどよぉ…そんだけで決めつけるのは早計じゃねぇか?」
ここで声を上げたのはクラインだ。どうやら余程マキが《
「例えば……マキの野郎がラフコフに武器を奪われたってんだったら説明もつくじゃねぇか」
それに異をとなえるのはやはり聖生連合。
「仮にレッドプレイヤーに武器を奪われたとしても、その時点で殺されているだろう。《生命の碑》で確認をしたがマキはまだ生きている」
クラインはそこで押し黙った。反論が思いつかなかったのではなく、しても水掛け論になると悟ったからだ。それならばこれからどうするかを話し合った方が百倍マシだ。
「では、これからはマキ君の捜索を優先させるということで良いのかな」
ヒースクリフがこれからの方針を出した。攻略組にラフコフは置いておけない、と。
「ああ、血盟騎士団も協力してくれるとありがたい」
「無論、協力しよう。攻略組の問題は早急な解決を望む故」
この瞬間、アインクラッド全土でマキの捜索が開始された。
キリトは無表情に自分の右手を見つめ、アスナは考え込むように指を口元に当て、クラインは納得いかないという顔をして腕を組み、ヒースクリフは誰も気づかない様に静かな微笑みを浮かべた。
タイトル詐欺とか言わないでください……
オリジナルの話になりますが、どうかお付き合いいただけたら嬉しいです。
最後に、これからの更新はかなり遅れるかもしれません。
と言うのも、この話を全て書き終えてから投稿しようかと考えているからです。
よって、一ヶ月以上更新が途切れるかもしれませんが、気長に待っていただけると幸いです。