ソードアート・オンライン ~反則の剣士~   作:にょぞ

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デスゲームの意味

 

俺は今、2体の≪リトルネペント≫を相手にしている。

キリトとコぺルはそれぞれ別に狩っている。

もともと即席ので、しかもパーティーを組んでいないんで、今はこのくらいの距離感が妥当だと思う。

少なくとも『今は』だが、

 

考え事をしている内に、一体の≪リトルネペント≫がこちらにツルをたたきつけてきた。

俺はそれを左にステップすることで回避するがもう一体の方にぶつかってしまった。

 

くそ、空間把握ができていない!

 

すぐさま、横に斬りながらバックステップをとる。

同時に、相手からのツル攻撃をくらってしまう。

向こうのHPが残り三分の一程度になり、こちらは残り五分の一程度になる。

そして、地面に足を付けたらすぐさまソードスキルを発動させる。

 

 

片手剣用突進型単発ソードスキル≪ソニック・リープ≫

 

 

このソードスキルは文字通り、突進するため少し離れたところにいる相手にも届く。

俺はそれで右側にいる≪リトルネペント≫を斬る。

クリティカル判定は出なかったが相手のHPを四分の一にする。

そして俺の体は少しの硬直が発生する。

それを好機と見たのか、目の前にいる≪リトルネペント≫が大きくのけぞる。

府廃液を吐く前のモーションだ。

そして硬直が終わると同時に、振り向きざまに剣を振るう。

後ろでガラスが割れるような爆散音が聞こえる前に、二体目の『リトルネペント』に剣を突き立てる。

どうやらこちらはツル攻撃をしようとしていたらしく、ツルを上に掲げて不自然な格好で止まっている。

直後、目の前で≪リトルネペント≫が爆散した。

 

「ふぅ…」

 

かれこれ一時間は狩り続けてがいるのだが………

 

「………でないね……」

 

少し離れたところにいるコぺルが、キリトに話しかけている。

 

 

「もしかするとβの時と確率が変わってるのかもなぁ……」

 

「そういうのってよくあることなの?」

 

俺は歩きながらキリトに問いかける。

 

「あぁ、レアのドロップレートが下方修正されるのはMMOだと珍しくないからな」

 

「へぇ、そうなんだぁ」

 

関心関心。俺はスタンドアローン型のゲームが主だったからなぁ…

 

「どうする?一度村に……」

 

コぺルが言葉を切ったのは、十メートル先あたりにモンスターがPOPしたからだ。

しかも、いままで俺たちが狙っていた≪花つき≫が。

 

キリトとコぺルが同時に走り出す。早いなぁ

続けて走り出そうとするが、キリトが静止をかける。

コぺルがなぜ!?というような顔をするが、キリトが≪花つき≫の奥を指さす。

暗くてよく見えないが、数秒後にそれは姿を現した。

頭の上に丸いボールを付けている≪実付き≫だった。

 

「……どうする………」

 

キリトが言う。

 

「…………行こう。僕が≪実付き≫のタゲを取るから、キリトとマキで≪花つき≫を倒してくれ。」

 

コぺルはこちらの返事を待たずして、駈け出してしまった。

 

「………………わかった」

 

キリトが答えて、俺たちも≪花つき≫に向かって駈け出す。

コぺルの方を向いている≪花つき≫をキリトが切り刻む。

俺も遅れないようにと思い切りかかっているとものの十秒程度でHOをイエローに変えることができた。

俺がたたきつけてくるツルを上にパリィし、バックステップをとるとキリトが前に出てきてソードスキルを発動させる。

 

 

片手剣単発ソードスキル≪ホリゾンタル≫

 

 

≪花つき≫がポリゴンの欠片となって四散すると、ほのかに光る拳大の球が転がり出た。

 

キリトはそれをベルトポーチに入れながら言った。

 

「悪い、待たせたな!」

 

どうやらちゃんと、お目当てのアイテムだったらしい。

 

そしてコぺルの元に走ろうとし、数歩走ったところで止まった。

 

「キリト?」

 

俺はキリトに問いかける。

 

だが、キリトが答えるより前にその理由が分かってしまった。

コぺルだ。

彼がこちらを見ているからだ。

疑うような、哀れむような、そんな眼で

 

「ごめん。キリト、マキ」

 

そう言いソードスキルを発動させる。

 

 

片手剣単発ソードスキル≪バーチカル≫

 

 

≪ホリゾンタル≫が水平切りなのに対し、 ≪バーチカル≫は垂直切りだ。

つまり、剣は実を真っ二つにする軌道を描くのだ。

 

「いや……だめだろ、それ……」

 

同感だ。

 

直後、甲高い破裂音を鳴らしながら異臭のする煙をまき散らすのと同時に≪実付き≫が爆散していく。

 

「どうして………………」

 

口を出たのはそんな言葉だった。

 

煙を回避しながら藪の中に入っていくコぺルはもう一度言った。

 

「ごめん…」

 

なにが起きているのか理解できない。

しかし、キリトはそうでないのか、静かにつぶやく。

 

「無駄だよ……」

 

なにが無駄なんだよ。説明しろよ。

 

そしてコぺルのプレイヤーカーソルが消えると、またしてもつぶやく。

 

「そうか……」

 

なにが、そうか、だよ。勝手に納得してんじゃねぇ。

 

「……コぺル。知らなかったんだな、お前」

 

いい加減にしろ。

そう口に出そうとしたが、またしてもキリトの声が耳に届いた。

 

「たぶん≪隠密≫スキルを取るのは初めてなんだろ。あれは便利なスキルだけど、でも、万能じゃないんだ。視覚以外の感覚を持ってるモンスターには、効果が薄いんだよ。たとえば、リトルネペントみたいに」

 

それを聞いて、俺は驚愕した。

そして俺はこう考えた。

「このままではコぺルが死んでしまう」と

もともと俺はただの中学生なのだ。

助けられる人がいたら助けなさいと、先生に教わらなかっただろうか

よって俺はこの瞬間、駈け出していた。

 

「コぺル!!」

 

静止の声は、聞こえなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

走り出したはいいいが、≪リトルネペント≫が邪魔でうまく進めない。

 

「くそ!じゃまだ!!」

 

走りながらソードスキルを起動させる。

 

片手剣単発ソードスキル≪ホリゾンタル≫

 

クリティカルほ発生させ、一撃で葬る。

 

「コぺル!!」

 

やっとコぺルが見えた。

 

だがしかし、もうすでに十体以上の≪リトルネペント≫に囲まれている。

 

「うあああああああああああああああああ!!!」

 

コぺルが絶叫を上げる。

 

「コぺル!!コぺル!!!」

 

俺はコぺルに向かって手を伸ばす。

 

だがそれが届く前に、コぺルはポリゴンの欠片となって四散する。

 

「コぺル……」

 

目の前にあるのは、大量の≪リトルネペント≫と落ちたバックラーと≪スモールソード≫だけ。

 

≪リトルネペント≫の大群が一斉にこちらを向く。

 

「あぁ………」

 

コぺルが死んだ。

このゲームで死ねば、現実世界でも死ぬ。

死とは、こんなに軽いものだったのだろうか。

 

≪リトルネペント≫がこちらに近づいてくる。

 

「ああああああああああああああああ!!!」

 

気が付けば、≪リトルネペント≫に向かって駈け出していた。

 

その叫びはコぺルの死の怒りからか、自らの死の恐怖からかはわからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

敵の数は十から二十。こちらは一人。

 

絶望的だ。

それでも戦う。

死にたいわけではない。

すぐにでも逃げ出したい。

それでも、俺は戦うことを選択する。

 

コぺルを見捨てたキリトが戦っている間は。

 

「せぁぁぁあああああ!!」

 

 

片手剣単発ソードスキル≪ホリゾンタル≫

 

 

近くの二体にクリティカルヒットし、爆散させる。

右側に振った右手の手首をかえして剣を掲げる。

 

 

片手剣単発ソードスキル≪スラント≫

 

 

三体の≪リトルネペント≫を倒したところで軽く後ろに距離をとる。

すると目の前に横から伸びたツルが叩きつけられる。

同時に≪ホリゾンタル≫を発動させる。

横にいた敵を倒したら、剣の勢いを利用して左に跳ぶ。

だが、着地に失敗して転んでしまう。

それでも俺はがむしゃらに剣を振り続けた。

 

 

 

 

それからのことはよく覚えていない。

ただ剣をがむしゃらに振っていたことと、途中で剣が砕け散ったのてコぺルの剣を握ったこと、

死にたくないと強く願ったことだけは覚えてる。

一歩間違えれば、コぺルと同じ末路をたどることになる。

 

 

気が付いたときは、静かな森の中だった。

足元には≪リトルネペントの胚珠≫が落ちている。

どうやら途中で≪花つき≫を倒したらしい。

拾い上げてポーチにしまう。

するとキリトがこちらに歩いてくる。

キリトは落ちているバックラーを木に立てかけ、そこに≪リトルネペントの胚珠≫を置く。

俺は、そこに持っている剣を突き立てる。

 

「………お疲れ。お前のだ。コぺル」

 

それが誰に向けた言葉なのかすぐに理解できた。

 

「おつかれ」

 

俺も口に出す。

俺たちは何も言わず、村まで歩き出す。

 

キリトも思うことがあるのだるし、俺もしゃべりたくはなかった。

 

 

 

 

  *  *  *

 

 

 

「どうする?」

 

村についてすぐに、キリトが言った。

それがどういう意味を含んでいるか察した俺は

 

「……いや…もういい。今日はありがとう」

 

と言った。

 

「……そうか」

 

俺は宿屋に向かって歩き出した。

途中、振り返ってみるとまだキリトがこちらを見ていた。

 

「……じゃぁ…また今度………」

 

口を出たのはそんな言葉。

 

「………あぁ、…またな」

 

それを気に、俺たちは背中を向けて歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宿をとってベットにダイブ。

そのまま目を閉じた。

瞼の裏に映っているのは、つい先ほどのできごと。

死にたくない。

そんな感情が今になってようやく溢れ出してきた。

本来ならば戦いの途中で思い、硬直し、死んでいたはずなのに。

 

 

 

これからどうしよう

 

 

 

デスゲームが始まって、ようやく考える時間ができた。

ならば、今後の方針を決めるべきだ。

今後の方針

それは≪死なないこと≫だ。

死にたくない。

それが俺の行動原理だからだ。

では死なないためにはどうするか。

自分を強化していくしかないだろう。

このゲームで最も恐ろしいのはエネミーではなくてプレイヤーだと身をもって体験した。

エネミーが恐ろしいのならば町から出なけえばいい。

だが、それがプレイヤーだと話は変わってくる。

プレイヤーは町の中でも襲ってくる。

だから、自身を強化する。

 

 

 

 

 

 

当面の目標はアインクラッド最強と言ったところか。

 

 

 

 

 

 

 





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