ソードアート・オンライン ~反則の剣士~   作:にょぞ

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こんにちは


夜と言ってもだいぶ昼間です。
すいません…サブタイトルが思いつかなくて…

では、どうぞ


攻略前夜

 

 

 

 

 

しばらく歩いていると軽装備の小柄な女性プレイヤーに出会った。

 

「よっ、マー君」

 

『マー君』と俺を呼ぶのは一人しかいない。

普段は会いたくないのだが、いまはちょうど聞きたいことがあったのだ。

 

「久しぶりだな。アルゴ」

 

彼女は≪鼠のアルゴ≫と呼ばれるアインクラッド屈指の情報屋だ。

 

「マー君は攻略会議には行かなかったのカ?」

 

「いや、行ったよ。途中で抜けてきた」

 

「大丈夫なのカ、それ」

 

「まぁ平気だろ、パーティーは組みおわってるし」

 

「へぇ、マー君は誰とパーティー組んだんダ?」

 

「……誰でもいいだろ」

 

危ない危ない、うっかりしゃべっちゃうとこだったぜ

 

「いいじゃないカ、教えろヨ」

 

「だったら金払え」

 

「ムぅ、そにセリフは卑怯だゾ」

 

うん、俺もそう思う

 

「そんなことよりさぁ、明日の集合時間って知ってるか?」

 

「金払エ」

 

むぅ、機嫌をそこねてしまったらしい…

 

「なぁ、教えてくれよ。そうだ、あめちゃんあげるよ」

 

「子供扱いするナ!だいたい、途中で抜けてきたマー君が悪イ!」

 

「はっはー、まぁそんな怒んなって」

 

そんなに感情的になるなよ。仕事はもっとクールにやらないと

 

「じゃあ俺のパーティーメンバーのホームの場所を教えてくれよ」

 

「マー君のパーティーメンバー知らないからヤダ」

 

ヤダって……そこはムリだろ………

 

「そう怒んなって。かわいい顔が台無しだぞ」

 

アルゴの頭を思いっきりなでる。

 

「ナ、ナニをする!」

 

「えーいいじゃんこんくらい」

 

「牢屋にぶち込むゾ!」

 

アルゴは俺から距離を取り、フシァーと威嚇した。

猫みたいだな。鼠なのに。

 

「じゃぁ、こうしよう。俺がパーティーメンバーを教えるから、アルゴはそいつのホームまで案内してくれ」

 

つまり、情報料を情報で払うということだ。

 

「……オレっちが知らなかったラ?」

 

「そん時は、明日の集合時間だけ教えてくれ」

 

アルゴは少し考えるようにして、

 

「わかっタ。それでいいヨ」

 

どうやら取引成立したようだ。

 

「それで、マー君のパーティーメンバーは誰なんダ?」

 

まぁそうくるよな。というか聞かなきゃ案内のしようがないもんな。

 

「あぁ、キリトだよ」

 

「へぇ…キー坊カ」

 

「知り合い?」

 

「あぁ、昔からのナ…」

 

「ふぅん」

 

昔から。

それがデスゲーム開始時からなのか、もっと前からのか、

そんなことは、どうでもいい

 

 

 

  *  *  *

 

 

アルゴが『少し用事があるから待っててくれ』というのでその辺で適当に時間を潰した。

しばらくしてアルゴが戻ってきたので出発。

 

「ナぁ、マー君の名前って≪マキ≫って言うんだロ」

 

「そうだけど、なんで?」

 

「いや、女みたいな名前だなァって」

 

「マキが男の名前で何が悪い!!」

 

「いやぁゴメンゴメン。そういうつもりじゃないゾ。ただそう思っただけダ」

 

「まったく…」

 

いや、俺もできれば名前変えたいんだけどね……

雑談しながらアルゴと歩いてしばらくすると、二階建てのNPC民家についた。

 

「なぁ、ここって宿屋じゃないよな」

 

「あぁ、そうだヨ」

 

「じゃ、なんで?」

 

「宿屋以外にも泊まれるとこってのはいろいろあるんだヨ」

 

「へぇ」

 

知らなかった。

俺が今住んでるところは一泊50コルの宿屋だ。

正直、あれで50コルはぼったくりだと思う。

ちなみに『コル』というのはこの世界でのお金の単位だ。

 

「普通の宿屋だとぼったくりだからナ」

 

「こういうとこは豪華なのか?」

 

「まぁ基本は豪華だナ。ここは一泊80コルだけど二部屋あってミルク飲み放題らしいヨ」

 

「へぇ、そうなんだ…」

 

関心してえいるとアルゴが手を差し出してきた。

 

「なに?」

 

「200コル」

 

「おい」

 

こいつ、金を払わせる気か

 

「なんだヨ、オレっちから宿の情報買ったじゃないカ」

 

「買ったんじゃなくて、お前がぺらぺらとしゃべってただけだろ」

 

「オレっちは聞かれたから答えただけだヨ」

 

「こいつ……」

 

なんて奴だ…

 

「ほら、早く払えヨ。じゃないとマ-君の情報を言いふらしちゃうゾ~」

 

にやにやしながらそう言った。

 

「おい情報屋。そんなんでいいのかよ」

 

「それを決めるのはオレっちだヨ」

 

アルゴが手をひらひらさせてくる。

早くしろ、という意味だろう。

 

「はぁ……わかったよ…」

 

俺はコイン二枚をオブジェクト化してアルゴの手の上に置く。

 

「にしし、まいど」

 

「覚えておけよ、情報屋」

 

「さぁ、さっそくキー坊の所に上がり込むゾ」

 

ずいぶんと機嫌がよさそうですね、情報屋さん。

アルゴに一歩遅れるようにしてNPC民家に上がり2階に行く。

扉に向かってアルゴが変なリズムで叩いた。

少しすると、キリトが扉から出てきた。

 

「珍しいな、あんたがわざわざ部屋まで来るなんて」

 

「まあナ。クライアントが、どうしても今日中に返事を聞いてこいっていうもんだからサ」

 

どうやら、キリトとアルゴの依頼主が何か取引をしているらしい。

するとキリトはこちらに気づき、驚いたような顔をした。

 

「マキも一緒か。どうしたんだ?」

 

「いやぁ、明日の集合時間を聞きそびれちゃって…」

 

「あぁ…そういえばそうだったな」

 

アルゴが平然と部屋の中のソファに腰掛けるので、俺もそれに次いで部屋に入る。

 

「おじゃましま……って何ここ!?ホントに80コル!?」

 

まず広い。そして景色がいい。どうやら風呂場もあるようだ。

 

「ってか、風呂もあるのかよ!」

 

驚いた。俺はいままで風呂なんて一回も入ったことがないのだ。

もちろん、ゲームの中だよ。

 

「なぁ、ちょっと入ってもいい?」

 

キリトに尋ねる。

 

「だ、ダメダメ!いいからお前も座れよ!」

 

キリトに腕を引っ張られてソファに座らせられる。

 

「ちぇ、けちくさ…ちょっとぐらいいいのに…」

 

「ま、また今度な!」

 

何かキリトの奴、何か慌ててないか?

さては風呂場になんかあるな…

これは帰るまでに一度は風呂場に入っておかないとな

するとキリトは部屋の隅のワゴン前に移動し、ミルクを注ぎはじめた。

その間にアルゴとアイコンタクト。

 

『風呂場に入るぞ』

 

どうやら伝わったらしく、アルゴは頷いてくる。

そしてキリトがローテーブルにミルクを置くとアルゴが言った。

 

「キー坊いしては気が利くナ。眠り毒入りカ?」

 

「…ありゃプレイヤーには原理的に無効だろ。だいたい、圏内で眠らせたところで何もできないし」

 

アルゴが牛乳を飲み干す。もちろん俺も

 

「なかなかうまいな、これ…ビンづめでもして売ったらどうだ?」

 

「残念ながら外に持ち出すと五分で耐久値全損なんだなぁ…。じかも消滅じゃなくてゲキマズな液体になるという……」

 

「ほー、そりゃ知らなかっタ。タダより怖いものはないナー」

 

それからキリトとアルゴは攻略本や、アニールブレードがどうたらこうたらという話をしてた。

 

俺は明日の集合時間を聞き出し、帰宅の路に着こうと、扉の前へ移動した。

 

「それじゃぁキリト、また明日」

 

「あぁ……」

 

部屋から出る。

そして、扉を閉めると同時にひかえめにノックし、耳をくっつける。

部屋の中でアルゴが風呂場を貸してほしいと言い、扉を開ける音がした直後、

 

すさまじい悲鳴が聞こえ、全力でその場から撤退した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






ちなみに、アルゴが情報を言ってから金をもらったのは後にも先にもこの一回だけです。
決してこのような手で儲けているのではありません。



何か指摘や質問等があったら気軽に言ってください。

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