ソードアート・オンライン ~反則の剣士~   作:にょぞ

6 / 27
第一層ボス攻略

 

 

 

 

 

翌日。

俺たちは今、迷宮区に向かっている。

 

さっきまではトールバーナの広場にいたのだが、全員がそろったのでディアベルの挨拶し、出発した。

その前にキバオウがキリトになにか話していたのだが、内容は聞こえなかった。

道中、アスナとキリトが雑談していたが俺が加わることはなかった。

いや、話に入れなかったんじゃないよ?ただ邪魔するのも悪いかなーと思っただけなんだからな!

そんなこんなで第一層迷宮区ボス部屋までたどりついた。

 

「俺から言うことはひとつ。みんな、勝とうぜ」

 

ディアベルが言うと他のプレイヤーは声をあげて応えた。

まぁ、俺は声出してないけど…

そして、ディアベルは目の前の大きな扉に手を掛けた。

 

 

  *  *  *

 

 

俺たちが担当するのは取り巻きの≪ルインコボルト・センチネル≫だ。

センチネル担当のE隊の取りこぼし担当、つまりはほとんど仕事がないことになる。

はずだった。

 

「スイッチ!」

 

少し離れたところでキリトが叫ぶと、すぐさまアスナがソードスキルを発動させる。

 

 

細剣単発ソードスキル≪リニアー≫

 

 

なんてことのないただの突きだ。

細剣ソードスキルの中でも最も基本的な技である。

ただ、アスナの放つ≪リニアー≫は普通の人が使うそれとは格が違う。

突き出した細剣はセンチネルの首元へと吸い込まれる。

どこまでも速く、正確な一撃。

俺もいつか、あんな一撃が使えるようになりたいと、そう思った。

 

「あんたも手伝いなさいよ」

 

きっちりセンチネルをポリゴンの欠片にしてからアスナがこちらに呟いた。

 

「いや、だったやろうとしたらすでに二人が相手してるから…」

 

「じゃぁほら…あそこ」

 

アスナが指した先にはこちらに向かってくるセンチネルがいた。

 

「はいはい、わかりましたよ」

 

そう言って俺はかけ出す。

センチネルは俺に向かってメイスを振り上げる。

それを見たをれは急ブレーキをかける。

すると目の前にメイスが振り下ろされる。

隙ができたセンチネルにすかさずソードスキルをお見舞いする。

 

 

片手剣単発ソードスキル≪ホリゾンタル≫

 

 

そして硬直が終わると同時に叫ぶ。

 

「スイッチ!」

 

後ろに跳ぶと、アスナが前に出てリニアーを発動させる。

センチネルがポリゴン片になったのを見届けてから振り返ると、そこにはキリトがいた。

 

「GJ」

 

「そっちこそ」

 

そんなやり取りをしてから、俺たちは残りのセンチネルを討伐すべく、かけ出した。

 

 

 

  *  *  *

 

 

 

順調だった。

ディアベル達がボスである≪イルファンク・ザ・コボルトロード≫のHPをレッドゲージまで追い詰めるまでは。

 

攻略本によると≪イルファンク・ザ・コボルトロード≫はHPが赤になると、持っている斧と片手盾を捨てて曲刀であるタルワールに持ちかえるらしい。

情報どうり≪イルファンク・ザ・コボルトロード≫は手に持ってる武器を投げ捨て、腰に差さってる武器を掴み取る。

そして

 

「みんな下がれ!俺が出る!」

 

ディアベルがそう言い、前にでた。

ここでふと、違和感。

それが何に対するものだったかは分からない。

なぜなら思考する前にキリトが叫んだからだ。

 

「だ……だめだ、下がれ!!全力で後ろに跳べーーーッ!!」

 

剣に光を纏わせたディアベルは、同じく≪イルファンク・ザ・コボルトロード≫の光を纏った剣に切り上げられて宙を舞う。

それだけでは終わらずに、空中でディアベルにソードスキルを当てる。

後方に吹き飛んだディアベルにキリトがポーション片手に駆け寄る。

そして、いくつかの言葉を交わした後、ディアベルはポリゴンの欠片となった。

 

 

 

うああああああ、という叫び声、あるいは悲鳴がボス部屋を満たした。

俺はそんな中でも冷静を保っていられた。

リーダが死んで混乱しているのだろう。

――─別に目の前で人が死ぬのは初めてじゃない。

見たこののない技に驚いているのだろう。

─――未知のスキルと戦うのはいつものことだ。

第一層攻略は失敗したと、誰もが思っているだろう。

─――勝てない戦いに勝たなければ、ゲームはクリアできない。

死にたくないと、考えているのだろう。

─――死にそうな場面なんて、いくらでもあった。

 

でも、だから、ここで戦わない理由には、ならない。

 

俺は剣を握りしめ、≪イルファンク・ザ・コボルトロード≫に向かって駈け出した。

向こうもこちらに気づいたのか、剣を腰に当ててソードスキルを発動させる。

さっきと同じ技だ。

俺は下から来る剣をスライディングで避け、≪イルファンク・ザ・コボルトロード≫の股を通り抜けると同時に足に斬撃を入れる。

後ろを取ると、跳ねるように振り向きすかさずソードスキルを発動させる。

 

 

片手剣突進型単発ソードスキル≪ソニック・リープ≫

 

 

攻撃を受けた≪イルファンク・ザ・コボルトロード≫は振り向きざまに切りかかってくる。

俺は硬直が解けると同時に体を全力で横にひねることで回避する。

突進型ソードスキルで距離を詰めたこともあって攻撃は当たらずに済んだ。

そしてすかさず剣を振るう。

そして≪イルファンク・ザ・コボルトロード≫は俺を真正面に見据え、ソードスキルを発動させる。

どんなスキルかは未知数。

それでも、やるしかない。

相手の初期動作を見切り、どんな起動で来るかを予測し、同じ軌道のソードスキルで相殺させる。

もちろん、すべてが成功するわけではない。予想した軌道とまったく違う所から来る斬撃もあった。

そういう時は無理やり転んだりして避ける。

 

そして、十何回目ぐらいでとうとう俺は攻撃をくらってしまった。

運悪く、そのソードスキルはディアベルに放ったコンボ攻撃の最初の切り上げだった。

 

体が宙を舞う。

その時、ふと視界に映った。

まだ諦めずに、こちらに走ってくるキリトとアスナの姿が。

 

あぁ、まだいたのか…

ボスを倒そうって思う馬鹿が……

 

だったら、俺もここで退場するわけにはいかない。

空中で無理やり体勢を整え、こちらに向かって剣を振り下ろそうとしている≪イルファンク・ザ・コボルトロード≫にソードスキルを発動させる。

 

 

片手剣単発ソードスキル≪バーチカル≫

 

 

当然、不安定な空中でソードスキルの相殺なんてしたら体勢が崩れる。

だが、それでいい。

あとはあの二人に任せればいい。

 

「届けぇッ!!」

 

同じく空中で体勢を崩している≪イルファンク・ザ・コボルトロード≫にキリトがソードスキルを当てる。

 

 

片手剣突進型単発ソードスキル≪ソニック・リープ≫

 

 

ソードスキルをもろにくらい、地面に落ちた≪イルファンク・ザ・コボルトロード≫にアスナが追撃をかける。

 

 

細剣単発ソードスキル≪リニアー≫

 

 

アスナの渾身のソードスキルが≪イルファンク・ザ・コボルトロード≫の右脇腹に打ち込まれた。

ボスがノックバックしている間にキリトが着地し、ソードスキルを起動させる。

青い光芒を纏ったキリトの剣が≪イルファンク・ザ・コボルトロード≫の右肩口から腹まで切り裂いた。

HPゲージ……残り一ドット。

獣人が、にやりと嗤った気がした。それに対し、キリトも獰猛な笑みを返すと、素早く手首を返した。

 

「お……おおおおおおッ!!」

 

跳ね上げられたキリトの剣は、Vの字を描くように≪イルファンク・ザ・コボルトロード≫の左肩口から抜けた。

 

 

片手剣二連撃ソードスキル≪バーチカル・アーク≫

 

 

そして、細く高く吠えたボスの姿に無数のヒビが入る。

その巨躯を無数のガラス片に変えることで、アインクラッド第一層ボス攻略は幕を下ろした。

 

 

 

 

 

 

 






何か指摘や質問等があったら気軽に言ってください。

感想、待ってます!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。