ソードアート・オンライン ~反則の剣士~   作:にょぞ

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今回は少し短いです。

では、どうぞ


ベータテスター

 

 

 

 

 

部屋の奥の方にいるキリトとアスナの元へと歩いていく。

 

「お疲れさん」

 

「あぁ……」

 

「ん?どした?」

 

「いや……」

 

キリトは大きく息を吸ってから、

 

「お疲れ」

 

と言った。

 

「アスナもお疲れさん」

 

「えぇ、お疲れ」

 

そして、じっくりとアスナの姿を見る。

 

どうやら戦っている途中でフーデッドケープは外れてしまったらしく、彼女の素顔を隠すものは何もない。

男女比が偏っているこのゲームだからかもしれないが、本当に存在するのかというほどに美しかった。

 

するとこちらに向かってくる大な人影があった。

 

「コングラチュレーション、この勝利はあんたらのものだ」

 

………発音いいな

 

エギルはニッと口を釣り上げて太い笑みを浮かべた。

みんなボス攻略が終わり、歓声をあげている。

 

まぁ、いままでずっと気を張り詰めていたんだ。今くらいはしゃいだって誰も文句は言わないだろう。

 

そう思っていた矢先、

 

「なんでだよ!!」

 

という叫び声が聞こえた。

 

「なんで、ディアベルさんを見殺しにしたんだ!!」

 

ディアベルのパーティーメンバーだったシミター使いだった。

 

「見殺し……?」

 

「そうだろ!!だって……だってアンタは、ボスの使う技知ってたじゃないか!!アンタが最初からあの情報を伝えていれば、ディアベルさんは死なずに済んだんだ!!」

 

ざわざわと、疑いが広まる。

レイドメンバーの中に色々な声がささやかれる。

そしてその中に、

 

「なぁ、アイツもボスの技知ってなかったか?」

 

俺を指さしながら言ったセリフが耳に入った。

そして俺が何かを言う前に、キバオウのパーティーメンバーパーティーメンバーの一人が前に出てきて言った。

 

「オレ……オレ知ってる!!こいつら、元ベータテスターだ!!だから、ボスの攻撃パターンとか、旨いクエとか場所とか、全部知ってるんだ!!知ってて隠してるんだ!!」

 

さてどうしよう。

ここで「オレはベーターじゃない」と言えば疑いが深くなることは間違いないだろう。

もし俺がベーターじゃないことを証明したとしても、キリト一人が糾弾されるだけだろう。

一応、解決策はあるんだが……

 

「おい、お前……」「あなたね……」

 

そうこう考えている内にエギルとアスナが口を開く。

さして、それをキリトが微妙な手の動きで制する。

そして、一歩前に出て、ふてぶてしい顔を作った。

 

あぁ、考えることは同じってことか……

 

「元ベータテスター、だって?……俺をあんな素人連中と一緒にしないでもらいたいな」

 

「な……なんだと……?」

 

「いいか、よく思い出せよ。SAOのクローズドベータテストはとんでもない倍率の抽選だったんだぜ。受かった千人のうち、本物のMMOゲーマーが何人いたと思う。ほとんどはレベリングのやりかたも知らない素人だったよ。今のアンタらのほうがまだマシだ

―――――――でも、俺はあんな奴らとは違う。俺はベータテスト中に、他の誰も到達できなった層までのぼった。ボスの刀スキルを知ってたのは、ずっと上のそうで刀を使うMobと散々戦ったからだ。他にも色々知ってるぜ、アルゴなんか問題にならないくらいにな」

 

「…………なんだよ、それ……そんなの……ベータテスターどころじゃねぇじぇんか……もうチートだろ、チーターだろそんなの!」

 

先ほどの男の言葉をはじめ、周囲からも声があがる。

 

「そうだ!チーターだ!」

 

「ベータのチーターで、ビーターだ!」

 

「……≪ビーター≫、いい呼び名だなそれ」

 

にやりと笑い、周囲をぐるっと見まわしてからはっきりとした声で告げた。

 

「そうだ、俺は≪ビーター≫だ。これからは元テスター如きと一緒にしないでくれ」

 

キリトはシステムウインドウを開き指を走らせた。

すると、キリトの身を漆黒のコートが覆った。

 

「二層の転移門は、俺がアクティベートしといてやる。この上の出口から主街区までフィールドを歩くから、ついてくるなら初見のMobに覚悟しとけよ」

 

キリトは第二層に続いているであろう扉を開けて上へと上がって行った。

 

「……………」

 

誰も何も言わない。

当たり前だろう。

俺は何も言わずに開いている扉を通り抜け、螺旋状になっている会談へと足を踏み出した。

 

 

 

  *  *  *

 

 

 

階段を昇りはじめて少ししたら、アスナが後ろから追いかけてきた。

俺は何も言わずに階段を昇り続ける。

 

「ねぇ……」

 

声を掛けられたので振り返る。

 

「なに…」

 

「あなたも…あの人に付いて行くつもり?」

 

あの人って……名前覚えてないのかよ………

 

「いや……」

 

前を向いて歩き出す。

 

「俺はここでパーティーを抜けるよ。あいつを追いかけてるのは言いたいことがあるからってだけだ」

 

アスナは俺の横に並び、歩き始めた。

 

「そう……」

 

それからはお互い無言だった。

そうしている内に、光が差し込んできた。

 

扉を出ると青い空が見えた。

 

「…………来るな、って言ったのに」

 

アスナは少し不満そうな声で言った。

 

「言ってないわ。死ぬ覚悟があるなら来い、って言ったのよ」

 

「……そうだっけ、ゴメン」

 

一息つくと、アスナは話し始めた。

 

「エギルさんと、キバオウさんから伝言がある」

 

「へぇ……何て?」

 

「エギルさんは、『二層のボス攻略も一緒にやろう』って。キバオウさんは……『今日は助けてもろたけど、ジブンのことはやっぱり認められん。わいは、わいのやり方でクリアを目指す』だって」

 

…アスナの関西弁、下手すぎるだろ……

 

「…そうか」

 

「それと……これは、わたしからの伝言」

 

「は……はい?」

 

知ってるかアスナ、本人が直接伝える言葉は伝言って言わないんだぜ

 

「あなた、戦闘中にわたしの名前読んだでしょ」

 

そんなことあったか?

 

「ご、ごめん、呼び捨てにして……それとも、読み方が違った?」

 

あったんだ……

 

「読み方……?------っていうか、わたし、みんなに名前教えてないし、あなた達のも教わってないでしょう?どこで知ったのよ」

 

はぁ……

 

「はぁ!?」

 

おっと、リアクションが全然違いますねぇ

 

「視線の左上に書いてあるだろ……」

 

思わずつぶやいてしまった。

 

「え?…えっと……」

 

……いや、顔ごと動かしたら読めるわけないじゃん…

 

「はぁ……じゃあキリト。先に俺からの伝言」

 

いいか、伝言ってのは本人が直接言ったっていいんだ

 

「さっきのことは…まぁ、感謝してる。だから、今度デュエルしよう」

 

「……は?」

 

まぁその反応が当たり前だろう。

 

「約束する。俺は強くなる。キリトに負けないくらいに強くなる。だからその時は……思いっきりデュエルしよう」

 

「なるほど……わかった、約束だ」

 

するとキリトは笑顔で応えた。

 

「こりゃ、俺もうかうかしてられないな。マキに追い抜かれないように頑張らくっちゃな」

 

「はは……まったくだ」

 

しばしの沈黙。

 

「それじゃあ……俺はそろそろ行くよ」

 

「あぁ……またな…」

 

「またね……マキ君」

 

お、名前読めたか

 

「うん……」

 

俺は一歩二歩と後ろに下がった。

 

「それじゃぁ…またね」

 

俺は振り返り、歩き出す。

空中で指を振り、そのまま躍らせる。

そして、いままで俺の視界の左上にあった三本のHPバーの数を、一本に減らした。

 

 

 

 

 






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