サブタイトルが思いつかない……
それでは8話です。
どうぞ
デスゲームが始まってからもうすぐ5ヶ月が経とうとしていた。
現在の最前線は28層。
今はアインクラッドに住むプレイヤーは大きく三つに分けられる。
まず、第一層の≪始まりの街≫でゲームクリアを願い続けるプレイヤーたち。
ここに属するプレイヤーが大半だ。
次に、すでに攻略されているマップで必要以上に安全マージンを取り、純粋にこのゲームを楽しむ≪中層プレイヤー≫
そして、ゲームクリアを掲げてアインクラッド攻略に勤しむ≪攻略組≫
俺はこのデスゲームが始まった時から攻略組として日々戦っている。
今日も習慣となってしまっているゲーム攻略のために朝から最前線である28層迷宮区へと向かった。
この層はすでにフィールド攻略は終っていて、残すは迷宮区のみとなっていた。
というわけで、俺は迷宮区のある方へと足を進めた。
「久しぶりだナ、マー君」
足を進めた。
「ちょ、ちょっと待てヨ!」
なんで朝っぱらからコイツと話さなきゃならんのじゃ……
と、言うわけにもいかず、しぶしぶながら振り返る。
「なんだよ…アルゴ…」
「ワァオ、なんだかテンション低いナ……どうしたんダ?」
「誰のせいだ、誰の…」
「少なくとも、オイラのせいじゃないのは確かだナ」
「はぁ……勝手に言ってろ…」
まったく……絶対わざとだろ…・
「というか、今日はマー君にいい話を持ってきたのにそんな態度でいいのかナァ?」
にやりと笑うアルゴ。
「いや…だってお前の言ういい話って絶対面倒事だろ……」
「イヤイヤ、今回は違うゾ」
「今回は……ねぇ…」
まぁ、アルゴにはそこそこ世話になってるからなぁ……
「…仕方ない……話だけでも聞いてやる」
「なんで上から目線なんでヨ……」
いや、下手に出たら金取るだろおまえ…
「まぁイイ……実はナ…レア武器が手に入るかもしれないクエストがあるって話を聞いたんだヨ」
「あぁ…もう分かった……もう説明しなくていい…」
「なんだヨ…まだ全然説明してないじゃないカ」
「どーせそのクエストを受けて結果を報告しろって言うんだろ」
「さすがだナ、その通りだヨ……どうダ?頼まれてくれるカ?」
「いや、俺攻略で忙しいから……」
「デモ、マー君の片手剣じゃそろそろキツくなって来たんじゃないのカ?」
痛いところを突かれた…
「ホラホラ、ボス戦前に武器を新調した方がいいんじゃないカ?」
うぜぇ……
確かに、俺が今使ってるのは21層で手に入れた剣だ。
25層ボス戦を経験して、新しいのにしようと思っていたのだが機会がなくてそのまま来てしまった。
だから、新しい剣が手に入るのは願ったり叶ったりだ。
「…………クエスト情報は?」
「オ!受けてくれるカ!」
「まぁ、レア武器が手に入るんだったらやってもいいかな……」
「そうこなくっちゃナ!」
はぁ……コイツと話すと疲れる……
「で……そのクエストはどこで受けられるんだよ…」
「アァ…11層で受けられるゾ」
「11層……ずいぶんと低いな…」
「なんでも隠しダンジョンのボスを倒してこいって話だそうダ」
「ふぅん……隠しボスねぇ…」
「どうしタ?」
「いや……そのボスって強いの?」
「アァ、それがだナ……」
「ん?なんだよ」
「なんでも戦う相手によって強さが変化するらしいゾ」
「へぇ…具体的には?」
「パーティー全員のレベルの平均プラス10クラスになるらしいゾ」
「それはなかなか厄介だな…」
「ダロ……頼んどいてなんだガ…勝てるのカ?」
全員のレベルの平均プラス10……
つまり、俺がソロで言った場合レベル49か……
「まぁ、何とかなんだろ……」
「そうカ」
まぁ、こうして心配はしてくれるが本心ではクリアできると思ってるんだろうな…
じゃなきゃこんな依頼してこないからな。
「それじゃ、さっそく今日から取り掛かるとしますか」
予定変更。攻略は休みだな。
「クエストについての詳細を頼む」
* * *
俺を包んでいた青い光が消えると目の前には英国風の街並みが並んでいた。
アインクラッド第11層主街区≪タフト≫
モンスターはあまり強くなく、採取できるものが豊富な層だ。
そのせいか、街の中には酒場が多く見られる。
中層プレイヤーが狩りの打ち上げを行うときにしばし訪れることがある。
さて、さっそくクエストを受けに行きますかな……
そう思って歩き出すと
「あれ……マキじゃないか」
プレイヤーに話しかけられた。
そこにいたのは5人のプレイヤーたちだった。
俺はこいつらを知っている。
俺の数少ないフレンドだ。
というか、アルゴ以外でフレンド登録してるのはこいつらくらいだ。
「お前らか……」
「どうしたんだ?こんな下層に」
「いや……ちょっとクエストを受けに来たんだ」
「へぇ…そうなんだ」
彼らはギルド≪月夜の黒猫団≫だ。
この5人で全員という小規模ギルドだ。
なんでもリアルでは同じパソコン部だとかなんだか……
今俺と話してるのはリーダーのケイタ。
「お前らはこれから狩りか?」
「おうよ!今日はがっぽり稼いでくる予定だぜ!」
彼はシーフのササマル。
「まぁ、あまり無茶はするなよ」
「わかってるって!」
それならいいけど……
俺はこのギルドが心配なのである。
メンバー同士はとても信頼しあってる。
だが、戦闘となるとひどく不安定なのだ。
原因は前衛が安定していないことだろう。
前に出て戦えるメンバーがメイスと片手盾のケイタと短剣のササマルだけなのだ。
ケイタのHPが減ってもスイッチして壁となる人がいなのが問題だ。
彼らと俺が出会ったのは一ヶ月と少し前で、武器の強化素材を取りに下層に下りて来た時に、モンスターに苦戦している彼らを助けた。
そのあとにケイタからギルドに入ってくれとお願いされたが、俺が攻略組だと言って断った。
それからはフレンド登録だけして、どうしても必要な時だけヘルプとしてパーティーに入るようにしている。
「ねぇマキ」
彼女は≪月夜の黒猫団≫唯一の女性プレイヤー、サチだ。
「なに?サチ」
「あのさ………今日も一人で行くの?」
「あぁ、そのつもりだよ」
「その……もしよかったら……私たちと一緒にいかない?」
「…………」
きっとサチは怖いのだろう。
街の外に出ることが。戦うことが。
だから、レベルの高い俺を頼ろうとする。
確かに俺がいれば前線は安定するだろう。
だがそれに慣れてしまったら、待っているのは死だ。
レベルの低い彼女は俺のような余裕は持ち合わせていないのだろう。
「……ごめん…今回のクエストは急いでるから……」
「……そっか…」
うつむくサチ。
「なんだよ、俺らじゃ頼りにならないっていうのかよ」
「ううん、そんなことはないんだけど……」
「ま、マキと俺らじゃラベル差があるから仕方ないよな」
「そうそう」
そうやって笑いあう4人組。
「それじゃ……俺もう行くから…」
「あぁ、引き留めて悪かったな」
俺はクエストを受注地点へと向かう。
俺は本来、彼らと会うべきじゃなかったのだろう。
いや、出会ったとしてもそれから交流を続けるべきではないのだろう。
彼らにとって攻略組は雲の上の存在のほうがいいのだろう。
その方が彼らにとって幸せでいられるだろう。
でも、それでもこうやって親しくしている俺にも問題はあるのだろう。
もっと冷たく接するべきだと心では思っている。
一方で、彼らと過ごす時間を心地よく思っている自分もいる。
思えばデスゲームが始まってからあんなに気兼ねなく接することができるのは≪月夜の黒猫団≫だけだろう。
キリトはプレイヤーから≪ビーター≫と呼ばれているせいで進んで誰かと話をしようとしない。
アスナは最近できたギルド≪血盟騎士団≫の副リーダーとして忙しい。
アルゴは仕事上話す必要があるときだけだ。
他には………うわ…俺の知り合いすくねぇ……
ちなみに俺とフレンド登録しているのは≪月夜の黒猫団≫のケイタ、サチ、ササマル、ダッガー、テツオ、それとアルゴだけだ。
これもすくねぇな……
いや、考え方を変えるんだ
知り合いの7割5分がフレンドなんだ。
これはあってすぐにフレンドになれるってことだな。
やべぇ……俺のコミュ力たけぇ
しばらく歩いているとクエストNPCである老人の前にたどり着いた。
頭の上にはクエスチョンマークが点滅している。
「何かお困りですか?」
俺はクエスト起動によく使われる言葉を口にした。
「おぉ……旅の者よ…聞いてくれ…」
その老人の話を要約すると、悪魔に乗っ取られてしまった息子を開放してほしいとのことだ。
そん息子はこの層のどこかにいるらしいのだが、普通に探していては見つからないらしい。
なんでも、その悪魔を呼び出すためには第9層にいるモンスターのドロップ品である≪邪悪な灯≫が必要らしい。
しかも隠しダンジョンの最深部じゃなきゃ出てこないらしい。
……一回下に下りなきゃならないのかよ…めんどくさ……しかも場所指定…ていうかレアドロップ品って……
俺はとりあえずクエストを受注してアルゴ宛のメッセージを作る。
『≪邪悪な灯≫を落とすモンスターとドロップ確率は?』
返信はすぐに来た。
『落とすモンスターは≪ダーク・ゾンビ≫ダ。確率は2%。一日中狩ってれば落とすんじゃないカ』
……ふざけやがってあの鼠
まぁ、こんなところでどうこう言っても仕方がない。
俺はため息一つついた後、転移門へと足を進めた。
何か指摘や質問等があったら気軽に言ってください。
感想、待ってます!