運命の檻   作:我輩は猫ではない

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第一章「日常編」
最初の出会いは綺麗しかなかった


 

 淡白い桜が舞散るこの季節。私はは鏡の前でキュッとネクタイを占めら白色のブレザーを羽織った。くるりと身だしなみを確認する。…よし、大丈夫。

 

 私、高宮律は今日から"また"中学一年生になる。また、と言うのはどうやら私には前世の記憶と言うものがあるらしく、前世の時の中学一年生の入学式では寝坊して大遅刻をした挙句身だしなみもボロボロで、他人からくすくすと笑われるという嫌すぎる記憶があるので今日はしっかりと早起きをして、こうやって身だしなみを厳重に確認している。

 

 しっかりとチェックが終わった私は側にあった写真を手にする。そこに映ってたのは、小さい頃の私と母と父、弟。幸せそうに笑顔で笑っている私達。

 私の両親は私が小さい頃から喧嘩の耐えない両親だった。毎日繰り返される怒声、泣き声。そんな毎日を私は弟と部屋の隅っこにいながら暮らしていた。そんなある日、対に両親は離婚をした。弟は母に連れていかれ、私は父と共に現在暮らしている。父は仕事人間で、しかも私の事はどうでも良さそうにしているため家へ帰って来るのは毎月12日のみである。なぜ12日だけなのか不思議なのだが、まぁいてもいなくても今更変わらないので気にせず私もほぼ一人暮らしライフを満喫しながら暮らしている。

 

 12日だけ帰ってくるということは、今日の入学式も父は来ない。別にいいけど。寂しくない…と言ったら少し嘘になるが、前世の年齢と合わせれば私はもう三十過ぎの年齢なので寂しさはそこまでない。

 

 この写真はそんな家族が喧嘩をせず、公園で一日楽しく過ごした貴重な写真だ。あの時は楽しかったなぁ…と思いながら私は手を合わせた。死んではないが、挨拶としていつも手を合わせている。別に怒っているわけではない。断じて怒っているわけではない

 

 時計を確認するあ、電車の時間に間に合わなくなる。やばし…。玄関で靴を履き鞄を手に持った

 

「行ってきます」

 

 玄関を出て行くと、駅まで急いで走っていく。もう遅刻は嫌だから。

 

 私、高宮が今日から通う中学校は私立白桜中学校という中々の名門校だ。私立って素晴らしいと思う。

 

 何故なら高校受験をしなくても確実に進学できるから。高校受験の辛さは、前世で経験済み。だったらもう勉強が簡単な小学生から勉強をして入った方がマシである。ついでに言うと大学もついている。やったぜ自分、これからあんまり勉強しなくていい。

 

 そんな事を思っていたら電車ついた。丁度席が空いた。ラッキー

 

 そういえば、前世といえば驚いた事が一つある。それは…

 

 《次は~、黒曜、黒曜駅に止まります》

 

 ナイスタイミングと言わんばかりに電車のアナウンスが流れた。アナウンス聞いて気がついた事だがどうやらここはリボーンの世界…らしい。

 

 黒曜という駅、さらにその先にある並盛という駅、噂だが並盛に近づいた不良がぼこぼこにされ病院送りにされた件。これだけ聞くと確信できた。やっぱりリボーンだと。

 まぁ、最初はもしかしてキャラと遭遇できるかも?とか微妙な期待はしたが、キャラがいるのは並盛という町だ。私の住む町とだいぶ離れている。並盛に行くとしても、遠くてめんどくさいから嫌だ。

 

 そんなわけでキャラとの遭遇は諦めて、いつも通りの平和な人生を歩んで行こうと思う

 

 

 .

 

 .

 

 私は今、白桜中学校の校門前に立っている

 

 名前通りに校門には沢山の数え切れないくらいの白い桜が咲き誇っていた。相変わらず、前世と同じで綺麗なものは大好きだ。見ていて幸せな気持ちになる。記念に一枚の写真を撮っておいた。写真は画面いっぱいに淡い白い桜吹雪が舞っていた。ケータイをしまい、ずっと見ていたいという気持ちをぐっと押し込んで私は校門をくぐり抜けた。

 

 校門をくぐり抜けてからもずっと上を向き桜に魅入っていた。すると、目の前から衝撃が走った。

 

「ふぐっ…!」

 

 前を向くと目の前には私より高い男の子の背中があり、これを見て自分は男の子にぶつかったと理解した。慌てて頭を下げた

 

「ご、す、すみません…前を見ていなくっ…て…」

 

 顔を少し上げ、私は男の子を見て思わす言葉を失った。そのぶつかった少年は美しい人だった。綺麗な藍色の髪。長い睫毛。陶器のように色白い肌。

 

 人形のように美しい少年の周りに淡い桜が舞っていた。絵になるようなその姿に思わず魅入ってしまった。

 少年の美しい藍色の髪が風に揺れている。同じ藍色の髪でもここまで違うなんて。

 綺麗。美しい。ずっと見ていたい。そんな私の衝撃が抑えられなかった

 

 気がついたら私はケータイを出し写真を撮っていた。フラッシュ音に驚いたのか少し目を開けてたがどうでもいい。急いで取れた写真を見ると、本物には少し劣るがそれでも充分満足できる写真だった。

 

 満足感に浸っていたが、しばらく経って気がついた。いきなりぶつかったやつにしばらくじっと見られ、写真を取られるって…少年から見たら、私って充分変態じゃないのかと。

 

 その真実に気がつきいた瞬間私の頭の中ではサァっと血の気が引き、すぐさま少年に頭を下げた

 

「す、すみませんでした。私、綺麗なものを見るとついて写真を撮ってしまう癖があるっていうか。いや、別に変態じゃありません。だからと言ってあなたが綺麗じゃないって訳じゃないんですけど…えっと、つまり…」

 

 あかん、頭がこんがらがってきた。関西弁になるほど私の頭は混乱していた。とりあえず、この少年から離れよう。ただでさえ変態と思われてそうなのに、ずっとこの場にいて更に変態って思われたら私の中学人生が終わる。

 

「ほ、本当にすみませんでした…じゃあ、これで…」

 

 私はすぐにその場を離れようと少年に背を向けた。が、手首をガシッと掴まれてしまった。

 

 えぇー…なになに、これ以上ここにいたくないんだけど。もしかしてこの変態って罵られた挙句先生に突き出されて、親呼ばれて怒られて入学式もまともに受けられず登校して、変態ってクラスで噂になって変な目で見られて…あぁ、やばい。もうこれ以上なにも考えたくない

 

「…えっと、あの…」

 

「………」

 

 ごめんなさい。ぶつかって写真撮ったのは謝るから手を離して下さいお願いします。でも写真は消さない

 

「でっ…」

 

 しばらくして、少年が口を開けぼそりと呟いた。もう罵倒でも変態でもなんでもこい。

 

 しかし、次の言葉は私の予想とは大きく違っていた

 

「なんでっ…なんでここに『私』がいるんだよっ…!」

 

 少年の悲痛な叫び声が私の中に響いた。よく見ると瞳から美しい藍色の涙が流れている。

 

「…は?」

 

 流石の私も、この時は意味がわからないと言う声をあげた。桜がふわっと舞い上がる。

 

 これが私、高宮律と蒼夜凪(ソウヤナギ)との出会いだった

 

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