翠星のアイドル   作:神谷佑都

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1話

 遥か遠い未来。

 何度目かになる産業革命を経て、世界は機械文明を起こす。

 それは人類が長い間夢見た、ロボットの創造に成功したことを示す。

 知能を持った人造人間は人類に次ぐほどに、役割を担い数を増した。

 発達した科学力は、環境問題を筆頭に、その他にも挙げられる問題は解決されていった。世は繁栄時代となる。

 

 だがそれも一時的なものであった。

 

 契機は些細なもの。

 人類と人造人間の小さな衝突が徐々に拡大し、人類は人造人間を迫害することを下した。

 意思を持った人造人間も、権利を求め対抗する。人類に対して戦う意思を見せた。

 その戦いは世界に広がることとなる。

 両者譲らず、激しさを増し、世界は一気に衰退の時代を迎える。

 共に力を無くした人類と人造人間は、一時、休戦を締結することにした。

 

 

「というのが、表の歴史ね」

「はぁ……」

 

 俺は隣で得意気に話続ける先輩に適当な相槌を打つ。正直どうでもいい。

 

「ここからが驚きよ。私の調べでは英雄がいたって話。人間なのか、人造人間なのかは分かんないけど、その英雄が戦争を終わらしたようなのよね」

 

 俺はそんな隠し歴史に何の興味もなく、ただただ聞いている振りをするだけだ。

 

「ちょっと聞いてる?」

 

 あまりにも適当に合わせ過ぎたのか、いぶかしげに問われる。聞いてないと答えるわけにもいかない。とはいえ、聞いてますよと答えて、意見を聞かれたくもない。

 

「何ですか? 全然聞こえてないッス」

「もぅ……じゃあ後でいい」

 

 ドドドドッとうるさいエンジン音を巧みに利用することにした。文明が発達したとはいえ、この有り様じゃな。と思う。目の前を広がっているのは発達した大都会、なんてものじゃなく瓦礫の山が広がっていた。

 

 俺は繋ぎ合わせただけのようなバイクに股がり、隣に仕事の上司であるエレナ・マクリーヌを乗せて蛇行している。蛇行でもしないと瓦礫が邪魔で走れないから難儀な話だ。特に此処は戦いの跡地だったとかで酷いものだ。

 

「バチ君、バチ君。ここらへんよ」

「うっす」

 

 指示があったのでバイクを止める。

 

「ってちゃんと聞こえてんじゃないの?」

 

 むっ、鋭い。

 

「ヒュ~……ヒュ~……」

「いやいや、誤魔化してるつもりか知らないけど、吹けてないから。この件はまた後でじっくりお灸を据えることにするわ」

 

 ぅ、また減給か。そろそろ転職考えたほうがいいかもな。

 エレナさんはどういう仕組みなのかよく分からないが、発信機みたいなものを手に携えていた。その他の荷物は全部俺が持つことになる。これが俺の仕事である。 つまりは助手なんて大層な名前がついた雑用である。

 長い水色の髪をなびかせながら、エレナさんは眼鏡を光らせる。

 

「うふふふ……。来たわよバチ君。こんなに反応を示したのは初めてよ」

 

 お、おぉう……。少し歩いていると、爽やかで知的なイメージが一変し、何やら薄気味悪く笑い始める。荷物を持って後に続いた俺には、這おる白衣しか見えないが危険な香りがする。

 

 探しているのは隠された財宝ではなく(エレナさんにとっては財宝かもしれない)、戦争が勃発される前まで発達していた文明だ。

 

「あれ? あれ? また~?」

「マジッスか?」

 

 そしてその成果はまだない。ガラクタばっかりだと言える。なんせその探知機がいい加減すぎる。これで何度目だ。

 

「バチ君探すのよ。ここらへんなのは間違いないんだから」

「何言ってんすか。こんなそこら中瓦礫の山から何を見付けろって……」

「うぅ……」

「えっ……?」

 

 あまりの理不尽さに不満を訴える。振り向いたエレナさんは瞳に涙を浮かべていた。

 

「だって、だって、次には成果出さないと、私の援助金出なくなるんだよ? 私の生活が~……うわ~ん」

「だ~~。分かりました分かりました。やりますやりますから」

 

 仕方ないがやるしかない。当分仕事は変えられそうにないな。というか、援助金を生活費に使うのはどうなんだ。まぁ、そこから給料をもらってる側の俺が言うべきじゃないかもしれないが。

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