「エレナさ~ん。見付かんないっすよ。ガラクタばっか」
「お願い何か見つけて。何か」
何かって何だよ。出てくるときは、今度こそ高度な機械文明の結晶が見付かるとか唱ってたのに。いやそりゃあんまり信じてなかったけどさ。
「おい!」
「え?」
ガラガラと探し続けていると、瓦礫の山に立っている人影から声がした。逆光で少し姿が見えない。少し移動してみて驚く。何とレーザー銃をつきつけられていた。
「何してんだお前ら」
「さ、探し物を……」
撃たれたら死ぬぞ。銃をつきつけられては、自然と手を上げるしかない。
「バチ君、バチ君。何か見つけたぁ~?」
エレナさん空気を読んでくれ。何を呑気に近付いてきてんだ。
「女ぁ!」
「何よ? 今忙しいんだか……ら……え~!?」
やっと第三者に気付いたエレナさんはすぐさま身を屈めている。
「ここら一帯はな。俺らの縄張りなんだよ。勝手に荒らされるわけにはいかねぇな」
それを聞いて俺はエレナさんに小声で尋ねる。
「ちょっとエレナさん。許可取ってたんじゃないんですか?」
「いやだって……まさかこんなところに所有者がいるなんて思わないじゃない」
「何しゃべってんだ!」
「うわぁ! すいませんすいません」
何が刺激になって怒らすか分からないな。おとなしく従うしかない。名前やら身分やら問われた俺たちは心身共に疲れた。
「いいか。今回だけは見逃してやる。言っていいぞ」
どうやら無事に帰してくれるそうだ。九死に一生を得た思いだ。とっととずらかるに限る。が、何事もなく無事に終わろうとしたところエレナさんはまさかな行動に出る。
「あの……もうちょっと居てもいいですか」
何言ってんだこの人は……。
「……あぁ?」
「エレナさんエレナさん帰りますよ」
「だってバチ君、このまま帰ったんじゃ援助金が~」
ええい泣くなこんな時に。こっちが泣きたいくらいだ。見ろ。仏様も鬼になってしまっている。仏の顔も一度までだ。ん?……何か違うぞ。
「あ~、まぁそんなにいたいなら仕方ない。居てもいいが捕虜としてだ」
おもむろに銃口を向けられる。一気に絶対絶命だ。あ~、やっば仕事変えとけばよかった。そんなことをグルグルと考えていた。その時、ビービーとサイレンのような音が鳴り響いた。今度は何なんだ。
「な、何だ。お前ら何をした」
レーザー銃という強い武器を手にしている奴も、いきなりのことに驚いている様子だ。しかしそんなことを訊かれても俺にだって分からない。
「あ、バチ君バチ君」
と、何故かエレナさんは一人嬉しそうにはしゃぐ。
「見てみてこれ。ついにやったのよ私達」
と、探知機の液晶を見せられる。どうやらこの音は探知機から発せられているようだ。しかしうるさい。
「すいません。全然分かりません」
そして何ではしゃいでいらっしゃるのか全く分からないな。液晶画面を見ても何を表しているのか見当もつかない。
「何言ってるのよ。高度な機械文明の結晶が見付かったのよ」
「ちょうどこの下みたい。ほら掘り起こして」
えぇ~。これを?
また無茶をおっしゃる。
「おい! 無視するな! 何をしたと聞いている!」
「うるさい! やっと見つけたんだから! 貴方も手伝って!?」
凄い剣幕だ。銃を持った男もたじたじだ。
「バチ君まだ!?」
と思ったら今度は俺に向けられる。そんなすぐには無理に決まってるでしょうが。まだ数個しか退けてない。
「てっとり早くこれでいきましょ」
エレナさんが取り出したのは超小型の爆弾だ。持ち運びに便利である。が、その破壊力は最高級。何でそんなもん持ってたんだ。
「時間は五秒後にセットして」
ぴっぴっとタイマーをセットする電子音が聞こえた。
「ちょっ……」
「いくぞ~」
止める間もなくエレナさんは投げる。どうやらセットは完了したらしい。五秒なんて逃げる暇ないじゃないか。
エレナさんは全然気付いた様子は全くなく、立ち止まって鼓膜を抑える程度だ。
「何してんすか。逃げますよ」
「え?」
「あんたも早く逃げろ!」
「う、うわっ!」
銃を持った男にも呼び掛けると、逃げる様子が少し伺えた。しかし、あまり構ってる暇なんかない。五秒なんてかなり短い。既にもう閃光が光るのが背中ごしに分かる。今何秒目なのか分からないが、一秒でも早く遠くへ行かないと。
「くそっ!」