本当に死ぬかと思った。いやこんなところで死ぬわけにもいかないのだが。
「きゅ~~」
当の本人は気絶している始末だ。一応蒲(かば)ったつもりだが特に怪我もないようで安心した。そして俺も五体満足で無事であった。
爆風で飛ばされただけだったのは奇跡的に思える。爆発の中心は山だった瓦礫を全て吹き飛ばし地面が見える。といっても、此処も地は機械で出来ているようだったが。
荷物なんか持っている暇はなかったから全て塵に消えていた。探知機も消えた。本当に後先を考えてほしいなこの人には。
と、背中に背負ったエレナさんを恨めしく思う。
ちょうど爆発の中心あたりまで来てみた。特に何の変哲もないように思える。そもそもまた探知機の故障じゃないだろうか。キョロキョロと見回してみても、目立つものはない。
と、俺たちの反対側になるように人が倒れているのが見えた。
エレナさんを一回下ろして近付く。さっきの銃を持った男だ。
「うぅ……」
何とか生きているようだ。擦り傷などあるが、致命傷もないし、出血多量に陥ることもないだろう。俺は遠慮なくレーザー銃を頂戴した。またつきつけられては敵わない。
再び俺がエレナさんの元へ戻って彼女を背負ようとしたところ、エレナさんは目を覚ました。
「あ、気がつきました?」
「あ、バチ君おはよう」
「……~~」
笑うしかない。いつでもこの人はおとぼけさんだった。寝ぼすけでもある。
とりあえず事情を説明したところ、記憶が読みがえったようでテンションアゲアゲだった。
「確かにここで鳴ったんだけどなぁ」
「もう諦めませんか?」
「何言ってんの?せっかく高度な機械文明の結晶が見付かりそうなのに」
そう言ってウンウンと唸ったり、よく分からない行動をとる。多分何か起こらない試しているんだろう。そう思いたい。
「バチ君、やっぱあれかな? 開けゴマ~ってやつ」
「ははは……んな古典的な。それに今言ったのに何も起きてないですよ。どうせならオリジナルで開けネギ~とかどうです?」
どうすればいいのか分からない。どうしようもなく俺たちはそんな笑い話を繰り返した。その時だ。
「……!?」
地震がきた。凄い揺れと地鳴りで立っていることは出来ない。どさっと尻餅をついてしまう。いや地震じゃない。地に穴が開き始めたのだ。
「バチ君これ…」
揺れが収まると開いた穴を覗いてみた。それは地下へと続く入り口だった。まさか開けネギ~で開いたというのか。んなアホな。
「エレナさんどうします?」
「バチ君何やってんの? 置いてくわよ」
「はやっ……」
その行動力は素晴らしい。だけどもう少し考えてから行動してくれ。
中に入ってみると、通路が続いていた。薄暗いため、灯りを点した。ポケットにも入る小型の電灯だ。壊れてなくてよかった。
エレナさんは太陽の光が届かなくなると、俺の手をしっかりと繋いで後ろからついてくる。
「怖いんですか?」
「だ、だ、だ、だれれれがこ、こわ、こわい、も、もんかし、かし、ら……」
「はいはい。分かりました」
進める道は、降りる階段が殆んどだ。一本の道だから迷うことはない。しかし随分と不気味だ。ふと、財宝を探すトレジャーハンターにでもなった気分だ。番人がいたり、罠があったらどうしようなんて考えてしまう。
武器になるのは頂戴したレーザー銃一丁しかないぞ。
だけどそんな心配は杞憂に終わってくれたようだ。
やっと狭い階段が終わったと思うと、かなり広い場所に出る。何処まで降りたのか分からない。見上げれば天井は随分と遠い。
この広い場所は、緑の光が舞っていた。蛍か何かなのかと思ったがそうじゃない。本当にただ光が舞っているのだ。いったいどういう原理なのか。分かるのは、この光のおかげで小型電灯に頼る必要がなくなったことと、ただこの光が奥から来ていることだけだ。
「バチ君行くよ」
明るくなっているのが分かると、エレナさんは勇(いさみ)よく前進する。まだ何があるのか分からないのにその意気込みは期待に溢れていた。
「あれ? 何もない?」
先に行かせるわけにはいかないので俺も急いで進むと、確かに行き止まりだ。段差を一段登り、また一段登って近付いても、ヘンテコな台座やもう今では何か分からない絡まったようなオブジェがあるだけだった。
叩いてみたり、何かないか探ったりしてみたが何もない。エレナさんの怒りが露(あらわ)になろうとした頃、俺が気付いた。
「え、エレナさん! 上、上を見て!」
「……えっ!?」
絡まったようなオブジェの少し上。よく目を凝らして見ないと分からないが、人の顔があった。いやよく見ると体もある。オブジェに絡まっていて締め付けられているように見えないこともない。
だけど、その顔は整った顔立ちで目を瞑っていた。苦死んででいる様子は全くなかった。