異次元からの贈り物   作:橘花

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ミッドウェー海域突入す

-サンド島-

 

「なあ、本当にジャップは攻めて来るのかよ?」

 

「無駄口叩いてないでさっさと準備しろ。早急に航空機を上げれるようにしておかなきゃいけないんだ。」

 

整備兵等は殆ど理由を聞かされずに、ただ航空機をいつでも出撃できるようにしておけとだけ命じられている。そこへ

 

「おい、ジャップの機動部隊が航空機を出撃させたそうだ。」

 

「よーし、出撃だ。」

 

米パイロット等は足早に自分の乗機へと飛び乗り、エンジンを掛ける。

 

 

-南雲機動部隊航空隊-

 

「こちら隊長機。各機へ、ミッドウェー諸島が見えてきた。既に迎撃機が昇っているから気をつけろ。」

 

史実と同じく、友永丈市大尉指揮する第一攻撃隊がミッドウェー諸島へ到達する。

 

「こちら、烈風制空隊。敵機の迎撃に向う。」

 

新型艦上戦闘機烈風は進路を敵機に向けて飛行し、迎撃態勢をとる。

 

 

「撃て撃て!ジャップの飛行機を撃墜しろ。」

 

ミッドウェー諸島にある対空陣地から無数の弾幕を張る。

 

「滑走路視認。しかし、敵航空機の姿は確認できず。」

 

爆弾を投下した彗星艦上爆撃機は敵機が一機も地上に居ない事に不審がる。

 

 

 

-ヴォルケンクラッツァー2 艦橋-

 

「やはり史実どおりに敵航空機は居なかったか。」

 

「敵は何処に居るんですか?」

 

「恐らくは南雲さんの機動部隊を目指しているだろう。」

 

「それじゃあ、伝えなくていいんですか?」

 

「構わない。あちらは史実では殆ど損害を被っていない。それよりも、問題は米国の機動部隊だ。」

 

「私の水上電探にはまだ反応がありませんよ。」

 

「偵察機を出したいが、あいにく無人機だから役に立たないし。」

 

特別戦隊はミッドウェー北方の890キロ地点に待機している。

 

「史実どおりに居るとしたら、ミッドウェーの東北に機動部隊が居るはずだが。」

 

「賭けで出してみる?。」

 

「そうだな。伝令兵!!」

 

斉藤は伝令兵を呼ぶ。

 

「ハボクックに連絡。第一次攻撃隊は雷装にて出撃。」

 

「了解。」

 

伝令兵は足早に艦橋を出て通信室に向った。

 

「!!。」

 

その時、ヴォルケ2は肩をピクッと動かした。

 

「どうした?」

 

「わ、私の対空電探に反応。味方の機動部隊に向っているわ。」

 

「やはり、敵機動部隊は居たのか。」

 

斉藤は伝声管を使って、

 

「敵、味方機動部隊に向けて飛行中。発光信号にてムスペルへイムに迎撃機を上げさせろ!!。」

 

「ミッドウェーの航空機はいいの?」

 

「たかだか120機の航空機では南雲さんの機動部隊を仕留められんよ。それよりも問題は。」

 

 

-赤城 艦橋-

 

「敵機動部隊は何処にも居ません。」

 

「長官、ミッドウェー基地を再攻撃すべきです。」

 

第一次攻撃隊は史実どおりに攻撃不十分。その為、これまた史実どおりに艦橋では再攻撃か雷装待機かで揉めている。

 

「よし、待機中の全機を爆装転換し、再攻撃する。」

 

航空機は一旦格納庫に戻され、装備している魚雷を一個一個取り外し、爆弾へと変えなくてはならない。それは、史実どおりの悲劇を呼ぶ可能性が非常に高かった。

 

 

 

-ヴォルケンクラッツァー2 艦橋-

 

「恐らくは、今頃兵装転換をしているころだろう。」

 

「何で教えないの?」

 

「あの人は見つけても居ない物を信じる人じゃあないからね。」

 

斉藤は時計を見る。

 

「そろそろ敵機動部隊に攻撃を仕掛ける頃だとは思うけど。」

 

 

-ヨークタウン-

 

「提督、敵が接近して来ています。」

 

「何!?何時の間に発見されたんだ?」

 

「分かりません。対空見張り員の話では全く敵の偵察機を発見していなかったとの事です。」

 

「直ぐに飛ばせる迎撃機は?」

 

「第二次攻撃隊の戦闘機32機しかありません。」

 

「敵の兵力は?」

 

「およそ、350機。」

 

「3、350機!?そんな数の航空機にたった32機で挑むのか?」

 

350機と言う多大な航空戦力の中にたった32機で挑むなど論外である。

 

「しかし、どうも妙なのです。敵機動部隊はミッドウェーを攻撃して帰還している最中だと言うのに350機の航空機を敵は出撃させているのです。」

 

「では、別の機動部隊が居ると?」

 

「しかも、並みの機動部隊ではない機動部隊です。」

 

そんな時、ヨークタウンの艦橋からでも視認出来るほどの黒い点が無数に現れる。

 

「もはや、戦闘機は間に合わないな。」

 

各艦は自艦の艦長の指示で対空射撃と回避運動を始める。だが、血の通っていない無人機がそんなものに恐怖するなどありえず、グングン高度を下げて雷撃進路に入る。急降下爆撃機も敵空母の頭上目指して一直線に飛行する。

 

「敵、右舷より接近!対空射撃始め!!。」

 

ヨークタウンの5インチ砲と25ミリ機銃が放たれ、海面に水柱を作る。その水柱に天山が突っ込み、撃墜された。

 

「よくやった。」

 

しかし、喜んだのも束の間だった。撃墜された天山の後方から現れた別の天山が魚雷を投下する。

 

「取り舵一杯!!。」

 

ヨークタウンは急いで取り舵を切り、船体を左旋回させる。

 

「いいわよ。そのまま避けて。」

 

飛行甲板の端っこに居るヨークタウンの艦魂「ヨークタウン」は接近する魚雷を避けれると感じた。しかし、

 

「後方より8本の魚雷。避け切れません。」

 

ハッと、ヨークタウンは後方を見る。すると、明らかに潜水艦から放たれたと分かる大型魚雷が接近してきた。

 

「な、何て事!!合衆国の無敵輪形陣に敵潜が侵入するなんて。」

 

その魚雷は酸素魚雷。よく目を凝らさないと魚雷本体の確認は難しい。その魚雷はヨークタウンの旋回しきった左舷に4本命中する。

 

「きゃあああ!。」

 

ヨークタウンの左腹から血が噴き出す。続いて、上空に待機している急降下爆撃機6機が爆弾を相次いで投下、艦橋に5発、飛行甲板に1発命中しスプルーアンス中将は戦死する。ヨークタウン自身も大火災が発生し、直進を続ける。

 

 

-ホーネット-

 

「ヨークタウン大火災で大破。司令官も戦死。」

 

艦橋にそう報告が飛び込んでくる。

 

「ね、姉様が。」

 

ホーネットの艦魂「ホーネット」は顔が真っ青になる。慌てて窓の外を見ると、そこには黒煙を吐きながら直進するヨークタウンがあった。

 

「敵機接近!!。」

 

ヨークタウンを仕留めた雷撃隊は次にホーネットへと向う。

 

「撃て撃て、絶対に撃ち落せ。」

 

ホーネットの機銃と対空砲をフル稼働させて迎撃を行うが、天山12機が各方位から魚雷を投下する。

 

「艦長、各方位から魚雷が迫っていて避けれません!。」

 

「面舵だ。面舵に切れ!!。」

 

ホーネットは右旋回を始める。しかし、少し遅かった。魚雷は右舷に3本、左舷に2本、艦首1本、艦尾に2本を受けてスクリューを破損。浸水も始まった。

 

 

 

-ヴォルケンクラッツァー2 艦橋-

 

「敵は仕留めたようだな。」

 

戻ってきた第一次攻撃隊を見て斉藤は言う。伝令兵が入ってきて

 

「戦果報告。敵空母2隻沈没、1隻飛行甲板使用不能。戦艦には被害なし。駆逐艦は8隻沈没との事。」

 

「戦艦には被害なし?」

 

「はい。雷撃機と爆撃機は空母と駆逐艦を狙ったようです。」

 

「損害は?」

 

「戦闘機2機、雷撃機10機、爆撃機7機です。」

 

「分かった。」

 

横にヴォルケ2が来て

 

「ねえ、味方の機動部隊に向った爆撃隊は?」

 

 

-赤城-

 

「転換完了。これより、第二次攻撃隊出撃します。」

 

各空母から出撃しようとする航空機を見るため、対空警戒が疎かになってしまった。その一瞬を突き

 

「敵機来襲!!。」

 

発艦時の敵機来襲。高空より侵入した急降下爆撃機「ドーントレス」は急降下を始める。烈風が会敵して迎撃を行ったが、何機か逃してしまった。その逃した機がこうして現れたのだ。

 

「回避!!。」

 

慌てて各空母は回避運動を執る。その為、戦闘機1~2機しか発艦出来ておらず、その戦闘機は迎撃の為に高度を取る。

 

 

「ジャップめ、これでも喰らえ。」

 

まず、先頭の編隊が赤城に向けて爆弾を投下する。続き、別の編隊が加賀、翔鶴、蒼龍に投下する。

 

赤城は艦橋に4発、甲板に並べられている航空機群に3発、甲板を貫通して格納庫で5発が爆発。格納庫に置かれている魚雷等に引火し、大爆発を起こして沈む。源田実中佐・淵田美津夫中佐を除く参謀・司令長官・艦長は戦死。

 

加賀は飛行甲板に2発、格納庫に2発で大破、炎上する。

 

翔鶴は飛行甲板に3発で中破。

 

蒼龍は飛行甲板に1発で小破。

 

これは、帝國海軍初めての大損害である。しかし、史実と違って空母1隻の損害で終わったのは不幸中の幸いであった。

 

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