赤城が沈んだ頃、特別戦隊では
「艦隊を分ける。」
斉藤は戦力分散と言う愚を犯してまでも敵の殲滅を決断した。
ムスペルへイムは敗走する米機動部隊の追撃。ハボクックは主力部隊のミッドウェー砲撃の支援。残った三隻は米戦艦に横から殴り込みを掛ける命令を下した。
「斉藤さん、いよいよ私の出番ですね。」
「ああ、君には期待している。」
「任せてください。」
ヴォルケンクラッツァー級二隻とハリマは艦隊を組んで米戦艦へと向った。その頃、米戦艦部隊では
「敵を殲滅する。」
キンメル自身も日本艦隊撃滅を決断し、真っ直ぐ特別戦隊の三隻の方向へと進んだ。両艦隊はその後30分程度航行し、特別戦隊が先に射程圏内に収めた。
「撃て!。」
ヴォルケ二隻から先発して砲撃を開始する。砲弾はインディアナの右舷とサウスダコタの後方に着弾する。
「命中弾無しか。」
斉藤は双眼鏡を覗いて言った。
「波動砲を撃てば一発なのに。」
「そんな物を使ったら一発で倒しちまうだろう。それじゃあ面白くない。」
斉藤は笑みを見せる。
「次弾発射。」
今度はハリマも合わせて再び砲撃する。ハリマの主砲弾の1発がマサチューセッツの前甲板に命中した。
「被害を知らせろ。」
「前甲板に命中1.戦死8名を出すも戦闘に支障なし。」
「しかし、砲弾で開いた破口は異様に大きく、我々の使用している砲弾より明らかに大きいそうです。」
約51センチの主砲弾を前甲板に命中し、マサチューセッツの乗組員は恐怖心に駆られる。
「うろたえるな。高々1発の命中で恐怖していてどうする?我が偉大なる合衆国の建造技術はたった1発の主砲弾命中で沈むような船など造らん!。」
マサチューセッツの艦長は乗組員等にそう言うが
「撃て。」
再び発射された主砲弾の内、ヴォルケンクラッツァーの主砲弾がインディアナに命中して轟沈する。
-サウスダコタ 艦橋-
「インディアナ轟沈。たった一撃で沈みました。」
「分かっている。しかし、あの艦隊は何だ?艦が、あまりにも大きすぎる。」
キンメルは目の前の特別戦隊所属艦艇を見て言う。実際、この時代では考えられない技術で運用されている特別戦隊相手に挑んで勝てると思うほうがおかしい。
「だが、此方も射程に捉えている。発射!!。」
残った二隻から一斉に主砲弾が放たれた。
-ヴォルケンクラッツァー2 艦橋-
「敵、発砲!。」
見張りの声に斉藤は双眼鏡で敵艦隊を見る。そして、暫くすると周囲に水柱が発生した。
「対空電探に感あり!大型機です。」
「何だと!!。」
突然の敵機来襲。
「ハワイ方面より爆撃機60機接近!。」
「馬鹿な、真珠湾の航空基地は壊滅させているはず。飛行場など再建されていないはずだ。」
実は、ヒッカム飛行場の滑走路だけをアメリカが優先的に修復し何とか使用できる状態まで回復させていた。
「全門を持って航空機を殲滅する。砲門開け!。」
特別戦隊は米戦艦を無視して敵爆撃隊に全砲門を向ける。
「対空ミサイル発射準備よし。」
戦闘CICからの報告を受け
「撃て。」
特別戦隊から多弾頭ミサイルが放たれた。目標へと飛翔すると、寸前で6~14へと別れて34機を一瞬で撃墜した。
「目標撃墜。続き、第二波発射用意よし。」
「ムスペルへイムから入電。敵機動部隊撃沈。アメリカに残る空母無し。」
次々と戦闘報告が届く。
「爆撃機を殲滅する。」
米戦艦から砲撃は続いているが、命中弾があるかと思えば全弾が重力場で弾かれる。特別戦隊は再びミサイルを発射し、残っている爆撃機を撃墜した。
「残るは米戦艦。」
「どうやって倒すの?」
「お待ちかねの波動砲だ。」
その瞬間、ヴォルケ2は笑顔になった。やっと自分の主砲が放たれるのだから当然だ。
「機関供給変更、全エネルギーを波動砲へと集中。制動板展開。」
波動砲の砲身から青い光が現れる。続き、制動板が展開される。
「エネルギー充填50・・・・60・・・・70・・・・80・・・・」
エネルギーが充填されていき
「100%。発射準備完了。」
流石は原子力機関。充填速度は速かった。
「機関供給変更、速度最大。撃て!!。」
スクリューが回転を始めた同時に波動砲が放たれた。それは、二隻の米戦艦を貫いたかと思うと、二隻は大爆発を起こして消えた。沈んだのではなく消えた。
「す、凄い。」
-山本主力部隊旗艦 秋島-
「山本さん、あれがミッドウェー諸島ですか?」
秋島の艦魂「秋島」見えてきたミッドウェー諸島を指差して言う。
「そうだよ。あれが、我々の砲撃する島だ。」
艦隊はミッドウェーを取り囲むように布陣し、
「全艦発射。」
主力部隊の艦艇は全艦全門を持って島に砲弾を撃ち込む。その中でも一際凄まじい砲撃を続けるのが秋島であった。秋島は51cm主砲を3連装60基も備えている。前後合わせて6基、片舷で27基もの主砲座が存在し、サンド島とイースタン島間に入って両島を砲撃している。
「凄まじいな。」
参謀長の宇垣少将が声を漏らす。実際、こんな砲撃など夢とも思える光景だった。
「連射装置や冷却装置、自動装填装置のお陰で、1分間になんと4発の連射が可能という戦艦の、しかも51cm砲では考えられない連射速度を誇っているんだ。夢にも思いたくなるよ。」
山本も合意する。
「着弾観測を行っている零観からはもはや目を瞑りたくなる様な光景だと報告してきていますが。」
10隻の戦艦の砲撃だけでも島の形が変わってしまうような砲撃にも拘らず、重巡洋艦や軽巡洋艦などの艦からも砲撃を受け、ミッドウェーの守備隊は次々とやられていき、飛行場ももはや消滅したと思えばいいほどの状態になっている。
「航空機です。恐らくは特別戦隊のものでしょう。」
ハボクックを出撃した無人攻撃隊はミッドウェーの爆撃を開始する。しかし、既に主力部隊の砲撃は最終段階に入っているため、目標物は殆ど残っていなかった。
山本は時計を見て
「作戦終了の時間だ。本時刻を持って我が連合艦隊はミッドウェー作戦成功を宣言する。各艦隊は本海域より撤退を開始せよ。」
山本は主力部隊を率いてトラック諸島を目指す。特別戦隊は南雲機動部隊改め山口機動部隊と合流し、内地へと目指して撤退した。