-黎明島-
日米開戦前に出現した島は天皇陛下の名の下で黎明島と呼称された。そして、ここでは1日に2万台の車両と3.5万機の航空生産を現在行われている。
「あれが、黎明島か。」
特別戦隊のミッドウェー攻略部隊は山口機動部隊を引き連れて黎明島の泊地へ入港した。
「山口機動部隊はここで修理されるんですか?」
斉藤の横に立つヴォルケ2が聞いてくる。
「ああ、と言ってもこのドックじゃあ一瞬で修理されるしな。直ぐにまた出撃できるようになる。」
その頃、アメリカのホワイトハウスでは
「キング作戦部長、これはどういう事かな?私にこの報告書を読んで怒れと言っているのか?」
ようやく作戦入りした合衆国最後の機動部隊と新鋭戦艦を全て失うという大敗をした海軍作戦部長を見てルーズベルトは険しい顔をする。
「いえ大統領閣下。報告では、敵には我々の想像を絶する艦が存在していたようでして、全ての責任が海軍と言うわけでは。」
「見苦しい言い訳はやめたまえ。現に負けたのだ。合衆国の、偉大なる艦隊が全滅したのだ。」
「はい。全くその通りです。」
キングは俯く。
「国民は開戦劈頭の大損害に加え、今回の敗北で一気に厭戦気分に走っておる。このままでは私も君も将来が危ないのだぞ。」
「はい。」
「いいか、これは命令だ。今建造中のエセックス級航空母艦とインディペンデンス級空母各八隻ずつを43年の8月までに戦闘可能にしろ!。そして、ミッドウェー級の建造計画を早めて44年の1月までに二隻を戦闘可能にしろ。」
「い、幾らなんでも無茶です大統領閣下。」
「武装や装甲を計画より減らしても構わん。とにかく戦闘可能にするんだ。分かったな?」
「はい。分かりました。」
無茶苦茶な命令だった。日本のようなチート的なドックがあるならまだしも、いくら世界一の工業力を持つアメリカでもそれはかなり不可能に近かった。
この日の翌日からアメリカの造船会社は尻に火がつく勢いで生産に取り掛かったのは別の話である。
-黎明島-
「これが、鹵獲した艦か。」
斉藤は島の横に係留されているプリンス・オブ・ウェールズとレパルスを見る。二艦とも、改装されていて雰囲気は違うが、姿形は間違いなくそうであった。そこに、光が二つ現れて
「ねえ、貴方って私達が見えているんでしょう?」
斉藤の後ろに髪が長く、長身青眼の少女と同じく髪が長いが、低身で琥珀眼の少女が居る。
「そうだけど。よく分かったね。」
「雰囲気かな、司令とよく似てたし。」
「司令って、フィリップス大将の事?」
「ええ、そうよ。」
「彼は?」
「さあ?私達は鹵獲されてここに運ばれたから知らないわ。」
そこへ、斉藤の許に一人の青年将校が来て
「斉藤中将、お話があります。」
「分かった、直ぐに行く。」
斉藤は一旦司令部へと向った。
-司令部 面会室-
「それで、話と言うのは?」
「貴方は何者ですか?軍令部の記録の読みましたが、貴方の記録は何処にも載っていない。おまけにその若さで中将です。一体、何者なんですか?」
「君は、見たところ軍令部の人間のようだな。なら、伊藤さんに聞いた方が早いのでは?」
「伊藤中将はそう簡単に口を割るお方ではありません。」
「少なくとも、山本長官の密命で動いていると言っておこう。話はこれだけかね?」
「ええ、そうです。」
「君、名前は?」
「寺沢(てらさわ)正文(まさふみ)中佐です。」
そう言って部屋を出て行った。そこで、暫く居ると部屋がノックされ
「どうぞ。」
入ってきたのはヴォルケンクラッツァ-2の艦隊勤務員である亀井(かめい)大広(おおひろ)少佐だった。
「何か、用かね?」
「長官、私に何かできる事ありませんか?」
「いきなりだな。」
「私は、ミッドウェー作戦で何もする事が出来ませんでした。なので、お国の為に何かする事はありませんか?」
「なら、丁度良いものがある。」
斉藤は封筒を取り出し、亀井に渡した。
「これは?」
「日本の重要人物からの命令書だ。私が、山本長官から預かっている。ただし、山本長官の背後に居る人物が書いたものだ。」
亀井は封筒の中身を見る。
「本気で遣れと仰いますか?」
「嫌ならいい。無理に遣らせるつもりは無いしな。」
「いえ、御国の為なら、喜んでお引き受けします。」
「分かった。健闘を祈る。」
斉藤は敬礼をする。亀井も答礼で返した。
-ヴォルケンクラッツァー2 長官室-
「それで、次はどこを攻めるの?」
ここでは、斉藤とヴォルケ姉妹。ハボクックとハリマで作戦会議を行っていた。
「とりあえず、インドを攻めることになる。陸軍はビルマの首都ラングーンを押さえている。そこで、一気にインドへと攻め込む事になる。」
「日本軍って、そんなに強かったの?」
ハボクックが聞いてくる
「ああ、練度では世界一だ。兵器の質もそれなりに高いしな。」
「それでも、足りなくない?」
「いや。心強い味方が居る。」
史実よりも早くシンガポールに自由インド仮政府を設立したスバス・チャンドラ・ボース。この人が居ればインド戦線は安泰だと斉藤は考えている。
「直にラングーンに本拠地を移す。それを狙って彼と会い、協力を要請する。」
「そんな事していいの?」
「彼はインド独立を狙っている。彼の力無しにインド制圧は有り得ない。東條も、それぐらいは分かっているよ。」
そこに、ヴォルケ2の体が一瞬震えた。
「どうしたんですお姉様?」
「だ、誰かが私の艦内に。そして、こっちに向っている。」
「誰かって?」
「初めての人よ。」
その時、長官室の扉が開き、入ってきたのは
「はぁーい。」
ウェールズとレパルスであった。しかも、何時に無く上機嫌である。
「どうしたの?」
「工員達の話を盗み聞きしたんだけど、私達の装備って最新鋭装備なんだって?」
「ま、まあそうなるな。(ミサイルなんてこの時代じゃあ独逸が研究中な位だよ。)」
ウェールズとレパルス双方にミサイルや電探主砲、高速酸素魚雷や連発式対空砲など、時代を超えた兵器を搭載している。
「試作品の連発式対空砲は気に入ってくれた?」
「勿論。あんな連射できる対空砲は初めてだよ。」
連発式対空砲、レーダーと光学照準機と連動しており、VT信管砲弾である。しかし、驚くべきものは脅威の連射性能にあった。回転式弾倉を利用した自動装填装置によって1分間に50発という対空砲としては異常な連射力を持っていた。
「でも、初期だからね。故障は多分多いと思う。」
「それでも十分だよ。」
ウェールズとレパルスは上機嫌であった。
「それで、何しに来たの?」
ヴォルケ2は聞く
「私達も、その、言いにくいんだけど。」
「早く言いなさい。沈めてほしいんなら望みを叶えてあげるわ。」
「私達も、日本海軍に入れてください!。」
「はい?」
斉藤は驚いた。まさか、向こうから祖国を裏切る行為をしてくるとは。
「でも、君の事をチャーチル卿はとても気に入っているんだよ。彼が世界最強の不沈戦艦と言ったんだから。」
「うん。それでも、こんな凄い装備を提供してくれた日本海軍の為に働きたいの。」
「無茶苦茶だな。それで、戦後はどうするんだ?」
「貴方達の意見次第ね。返還するか、貰うか。」
「できれば、返還で。」
「そう。」
と、言うわけでプリンス・オブ・ウェールズとレパルスはイギリス海軍を離反し日本海軍在籍となった。