-ヴォルケンクラッツァー2 艦橋-
「ハボクックから入電。『我、攻撃隊の準備完了。いつでも発進可能。』」
伝令兵が艦橋に居る斉藤に伝えに来た。
「分かった。」
まず、山口機動部隊から偵察機が発艦して敵の居場所を突き止める。突き止め次第、特別戦隊が全力を持って新東洋艦隊を撃滅する計画だった。
-新東洋艦隊 旗艦 インドミタブル-
史実では旗艦は戦艦「ヴォースパイト」であったが、史実同様に工事を切り上げての出撃の為に新東洋艦隊司令長官のジェームス・ソマヴィルは日本の空母機動部隊の力と、自国のタラント空襲の成功例を取って空母を艦隊の旗艦にしていた。
「あえて私を旗艦にするなんて。」
艦魂「インドミタブル」はソマヴィル中将の采配に賛成していた。空母の艦魂は基本的には戦艦と仲が悪い。同じ大型艦なのに空母と戦艦との扱いの差を見てあまり良い感情を持って居る者は少なかった。
「提督、日本の機動部隊を基地飛行艇が発見しました。」
史実では艦隊主力である戦艦と正規空母はアッズ環礁に退避させていたが、敢えてソマヴィル中将は決戦を挑むことにした。
「位置は?」
「発見の報告後に撃墜されたようでして、あまり正確ではありませんがここから東600kmです。」
「分かった。攻撃隊を出撃させろ!」
命令を受け、第一次攻撃隊64機(戦闘機28機、雷撃機36機)が飛び立った。
-ヴォルケンクラッツァー2 艦橋-
「電探に感あり、敵機およそ60機接近!!」
「了解。迎撃を上げろ。」
特別戦隊は烈風30機、山口機動部隊は烈風40機を迎撃に向わせた。
烈風制空隊は艦隊からの無線による航空管制で敵機に接敵し、両者の間で空中戦が発生する。
「ジャップの戦闘機は化け物か?」
烈風の圧倒的な空戦性能と速度、武装に圧倒されながらも護衛機は戦うが、2重3重で待ち構える防空網に雷撃機は次々撃墜される。
「やはり、烈風一一型は今の敵機では無敵だな。」
その様子を斉藤は見ながらマリアナ沖で日本機が次々撃墜されていく光景が頭に浮かぶ。あの時、烈風があったらまた戦局は少しはマシに成っていたかもしれない。そう、斉藤は感じていた。
「斉藤さん、私の電探が別方位からの敵機を探知しました。」
ヴォルケ2がやって来て言う。
「基地航空隊か。機数は?」
「80機。」
「ほぼ全てを投入したか。」
斉藤は少し考え
「VLS開放。全艦目標、接近中の敵航空隊。」
斉藤は艦隊無線で全艦に指示を出す。
「発射!」
VLSから勢い良くミサイルが放たれ、接近中の敵機に向う。半数が一瞬にして撃墜された。
「敵、直も接近中。」
「半分を失ったのに何故引かない?」
半分を失ったら兵力差は分かるはず。斉藤は半数を撃墜して撤退を促すつもりだったが、これで台無しになった。
「57mmバルカン砲の用意を。」
各艦艇にはドックにて57mmバルカン砲を増設されている。それで、敵機を撃墜する。
「電探連動良し。敵機捕捉。」
全艦のバルカン砲が敵機に向けられる。
「撃ち方始め!!。」
命令と同時に空を埋め尽くさんばかりの無数の弾幕が張られる。敵機はその弾幕の中に飛び込み、無残な姿に変わっていった。
「撃ち方やめ。」
バルカン砲は回転をやめ、冷却を始める。
「敵機は全滅だな。」
「はい。」
そこへ、伝令兵が入ってきて
「偵察機から機動部隊発見。」
それを聞き、斉藤は目つきを変える
「全機出撃!。敵艦隊をこのインド洋に沈めろ。」
ハボクックとムスペルへイムから合計800機が飛び立った。殆どが急降下爆撃機で戦闘機は100機程度しか居ない。それは、もはや敵機動部隊に航空機が残っていない事を知っての攻撃であった。それは、攻撃前の秘密の攻撃隊が戦果を齎したからである。
-数分前の機動部隊-
「攻撃隊の約半数が遣られただと!?」
ソマヴィル中将は怒り心頭に言う。
「敵機接近!双発の機体が数機の護衛機と共に向って来ています!!」
「な、何だと!!」
ソマヴィルは外を見る。すると、双発機と数機の二式戦闘機(五式戦闘機だが、採用時期の問題で本機が二式戦闘機)
「敵さん、ビックリしていますねきっと。なんてったって、双発の攻撃機が爆弾抱えずに向ってくるんだから。」
双発機のパイロット「永瀬大尉」は目の前の2隻の正規空母に目をやる。
「我が帝國の新発想対艦攻撃機「双陣」の力。見せてやる。」
発射ボタンを押す。先端に備えられている機銃が火を噴く。機銃と言っても100ミリ砲なので厳密には機銃ではない。史実の三式弾をヒントに斉藤が考案した特殊対艦攻撃機「双陣」。三式弾に衝撃信管に換え、空母の格納庫の装甲を破った後に内部で爆発。敵の格納庫内にある航空機や武装などを破壊するために考え出された機体である。
「きゃあああ」
砲弾は目的の格納庫内で爆発し、中にて武装装備中だった機体が爆発する。スプリンクラーが直ぐに作動するため、艦自体には大したダメージは無いが、空母は搭載機が無ければ一番弱い艦種でもある。その搭載機が全滅したのだ。
インドミタブルが真っ先に遣られ、腹の辺りから血がにじみ出る。前述の通りダメージは大したことが無いので出血は少ないが、それ以上の心のダメージを受ける事になった。
「くっ、日本軍め。こんな小細工を。」
流石はイギリス空母。タフさだけは列強随一なだけはあり、火災は格納庫内だけで済んだ。しかし、黒煙は外に漏れており、この黒煙が日本軍機を呼び寄せる事となった。