目の前に白い空間が広がっていた。
「こっ、ここはどこだ?」
そこに立つ青年。周りは白い壁が見え始め。
「一体どうしたんだ?」
青年はただ周りを見て不安になる。そこで目の前が暗くなり目が覚めた。
-連合艦隊旗艦 戦艦 長門 艦内営倉-
「ここは?牢屋?」
ドアは鉄製であり、いかにも破れないようになっている。
(俺、何かやったのかな?)
青年は疑問に思うが
「お目覚めですか?」
突然女性の声がして、青年は振り向いた。
「あなたは私が見えるんですか?」
「え?君は一体?」
「私は現連合艦隊旗艦戦艦『長門』の艦魂『長門』です。」
その少女は18歳くらいの如何にも日本人女性を思わせる体格である。髪は後ろで一つに纏めており、とても長い。目は黒色で特に変な点は無い。
「艦魂て、何?」
「艦魂とはその艦に宿る魂の事です。特定の人間にしか見る事もできず、触る事や声も聞く事ができません。」
(じゃあ、俺はその特定の人間なのか?)
そこへ牢屋の扉が開いた為、青年は扉の方を見る。
「目が覚めたようだな。すまないね、長門も確り見ていてくれたんだね。」
「はい。山本閣下。」
(山本?どこかで聞いた名だな。)
青年はそう考えていると。山本と呼ばれている人物は
「君。名前は?」
「斉藤(さいとう)次郎(じろう)です。」
「斉藤君。すこし来てくれないか?長門も」
「はあ。分かりました。」
そう言って山本を先頭に斉藤、長門の順に長官室に案内された。
-戦艦 長門 艦橋部長官室-
「さて、自己紹介が遅れたね。私は山本五十六。現在は連合艦隊司令長官をしている。」
(やっぱり、この人はあの山本長官だったのか。)
「まずは、何故この島にいたのかね?そして、この島は何なのかね?」
「この島の事は知りません。私は東京から大阪に向かう新幹線に乗っていたら、突然列車ごと白い空間に入りまして、気づいたらここに。」
「なるほど。新幹線とは列車と解釈して宜しいかね?」
「はい。ところで、今は昭和何年ですか?」
「昭和16年9月6日だが。それが何か?」
「9月6日!!」
斉藤は突然大声を出した為、近くにいた長門と山本は耳を抑える。
「なっ、何なのかね?」
「すみません。しかし不味い事になりました。この年の12月8日、日本海軍は米太平洋艦隊の母港である真珠湾を攻撃し、日本とアメリカは戦争に突入しました。」
「なっ!」
「ほっ、本当かね?」
長門と山本は驚く。
「結果は長官の予想通り。始めは勝ち続けますが、最後は日本本土一面が焼け野原に変わります。」
それを聞いて長門と山本は愕然とする。
「そっ、そんな。艦は?艦はどうなるの?」
「君を除いて戦艦は全滅。君は戦後に水爆実験で沈没。空母は軽空母が数隻残るだけ。他も、殆どの艦艇が失われる。」
長門はビキニ環礁で行われた水爆実験で生涯を終える事を聞き、ショックを受ける。
「どおせなら、艦隊決戦でみんなと一緒に沈みたかった。」
「残念だけど、もう艦隊決戦は起こらない。あっても、戦艦が本格的に撃ち合う艦隊決戦は少ない。」
「では、みんなは何故沈んだのですか?」
「航空機にやられた。そこに居る山本閣下ならお分かりでしょう。」
「確かに、今後も進化し続ける航空機ではそれも可能だと思うが。」
「これからは航空機の時代になってくる。今の戦艦では対応できない。早急に戦艦に対空火器を充実させる必要があります。」
「しかし、今の航空機の真価を分からない軍令部や艦政局の連中を説得するなど無理だ。」
「そこで、私も説得できるようお手伝いします。」
「では、協力してくれるのかね?」
「はい。」
「君の居た時代がもし変わってしまってもかね?」
「私の居る時代の日本は腐っています。戦後、GHQの戦後政策。今の日本人が魅せられている偽りの平和。この時代の神である陛下は戦後では象徴。何も出来ない軍隊の代わり。無能な国会議員で汚職多数。なによりも国民は愛国心が無く、国際協調心が無く他人任せ。おまけに貴方方の時代の軍人は嫌われ者。他にも多すぎて限が在りませんが、私の時代の日本に何の未練もありません。」
長門も山本もこの話を聞き、
「では、戦争で死んでいった者は?」
「報われていません。貴方も昭和18年4月18日にブーゲンビル島上空で戦死します。」
自分の死ぬ日付を聞き、ショックを受けると斉藤は思ったが
「それは構わない。軍人は死ぬことが仕事だからな。ただ、君の話を聞く限りでは死んで逝ったものは何の恩給も無く、嫌われ者。それでは意味が無い。別に報われたいからという訳ではないが、それは守るべき国ではないな。」
以外にもショックは受けなかった。その上、斉藤の言っている事を信じてくれた。
「あのー、私は?」
「すまない、長門。少し席を外してくれないか?」
「はい。では私は戦艦の艦魂を連れてきます。」
そう言って突然光に包まれ、長門は消えた。
「え?長門は?」
「瞬間移動だよ。ところで斉藤君。」
「はい?。」
次に聞かされた事は意外な言葉だった。