-黎明島-
「それで、終戦の準備は整ったの?」
「ああ。寺沢からも説得に成功したと連絡があった。」
「斉藤さんは石原さんを説得できたんですか?」
「一応な。」
ヴォルケンクラッツァー2の会議室にてヴォルケ姉妹と斉藤は話をしていた。
「じゃあさあ、私の電探に掴まった航空機をどうするか考えましょう。」
「え?」
「私の電探にも反応しています。列島沿いに帝都目指して飛行してきますが。」
「な!?なんだって!!?」
油断していた。まさか、こんな状況で敵が接近してくるなんて。そこへ
「敵爆撃機、本土へ侵入。真っ直ぐ帝都目指して飛行している模様。」
斉藤の許に伝令兵が駆け込んできた。
「厚木航空隊は?」
「出撃命令が下り、震電と羽島、それに天弓(てんきゅう)(キ94Ⅱ試作高高度戦闘機)が迎撃に上りました。」
「確か横須賀に伊勢と日向が居たな?」
「はい。」
「伊勢と日向に対空戦闘を命じろ。VT信管の威力を見せてやれ。」
「りょ、了解しました。」
伝令兵は急いで通信室に向かった。斉藤はヴォルケ姉妹を見て
「しかし、敵は一体何処に着陸する気なんだ?」
北海道と言う事はダッチハーバーから飛び立ったと考えられるが、着陸場所は思いあたなかった。
「もしや!!」
-B-29 隊長機-
「いいか。我々に着陸するところは無い。我々の任務は敗北が続くアメリカ国民達に我々の勇気ある行動を見せて一気に厭戦気分を吹き飛ばすことが目的だ。全員、心してかかれ。」
「了解。」
ようやく航空機は安定した生産が出来るようになり、急造した20機のB-29は帝都爆撃を目指して捨て身の飛行を続けていた。
「パイロットの殆どは元囚人やならず者と呼ばれていた人たちですからね、死ぬのが怖くないんでしょう。」
副操縦士は編隊を率いるマクウェル中佐に言う。
「だろうな。しかし、この作戦が成功すれば我々は死んだ英雄になれるんだ。」
だが、
「電探に感。迎撃多数!!」
「馬鹿な。もう発見されただと!!。」
外を見ると、震電6機と天弓2機が接近してきた。
「散開!!各自で目標に向かって飛行せよ。」
B-29は慌てて散開した。
「機長、敵機が2機追ってきます!。」
迎撃機も2機ずつに分かれて追った。
「悪く思わんでくれよ。帝都を守るのが我々厚木航空隊の仕事なのだから。」
震電のパイロットはそう言って機銃を発射する。30ミリ機銃はB-29の装甲をやすやすと貫通し、炎上しながら落下して行った。
「隊長、生き残ったのは確認できるだけで12機です。」
電探に移っている味方機を数えて報告する。
「とにかくこのまま飛行するしかない。ぐずぐずしていると、また迎撃が来ないとも限らん。」
「そのようですね。敵機2機接近、極めて巨大です。」
「どれくらいだ?」
「本機の倍以上に。」
「そんな機体がどうして?」
「敵機確認。」
羽島2機が飛行するB-29を電探に捉えて言う。
「主砲発射準備。」
主砲が敵機に向けられ、機長は操縦桿を固定した。
「撃て!!」
2機から主砲が放たれる。その主砲は2機のB-29に命中し、残骸が落下して行く。
「隊長、機影2機消滅。撃墜されました。」
「そ、そんな馬鹿な。まだ射程内に入っていないのに。」
「それが、撃墜される前の無線に発砲炎が見えたと一瞬報告してきました。」
「発砲炎だと!?」
「はい。」
「連中は、飛行機に主砲を積んでいるのか?」
「ええ、報告ではロスアラモス研究所を襲った敵機の中に主砲らしき物が備えられていたと言う報告書を見た覚えがあります。」
「敵機見えました。」
操縦士が目の前に見え始めた羽島を指差して言う。
「で、でかい。」
見る者を圧倒する巨人機だった。そして、再び主砲が放たれる。
「2番機に命中、落下して行きます。」
右を見ると、2番機は主翼が吹き飛び、回転しながら落下して行った。
「か、回避。急げ!!全速力で回避するんだ。」
旋回しようとしたその時、周囲で物凄い爆発が起こる
「ど、どうしたんだ!?」
「分かりません。ただ、砲撃を受けたという事しか分かりません。」
「化け物は目の前に居るんだぞ。どこから攻撃が?」
しかし、再び砲撃が襲う。
「し、下です。」
-伊勢-
「爆撃機なんかに帝都を遣らせるかよ。」
伊勢の艦魂「伊勢」は甲板に出て帝都を目指している爆撃機を睨み付ける。すると、その睨み付けていた爆撃機に対空用主砲弾の花火弾が直撃して破壊する。
「第3弾、斉射!!」
軍刀を抜き、刃を爆撃機の3機編隊に向ける。すると、その3機編隊も花火弾の直撃を喰らい、撃墜する。
「機長、残ったのは我々だけです。」
20機の内、隊長機だけを残して全滅した。
「き、機長。敵の主砲がこちらを向いています。」
「くっそ。」
マクウェルは急いで上部機銃座に付き、
「遣らせるか!!我々の任務を完遂するんだ。絶対にお前達に落とされて堪るか!!!。」
羽島に向かって機銃を撃ち続ける。しかし、羽島の防弾装備を貫けず、逆に主砲の直撃を喰らって撃墜された。
-ヴォルケンクラッツァー2 会議室-
「敵機全機撃墜成功しました。」
「分かった。ご苦労。」
もし、敵が帝都を爆撃してここまで到達していたら、主砲を撃ちまくってやろうと待機していたが、とりあえず帝都を守りきることが出来た。
「戻るぞ。入念に整備をして、決戦に備えなければいけないからな。」
ヴォルケンクラッツァー2は反転し、黎明島の母港へと帰還した。
-ワシントンD.C ホワイトハウス-
「それで、作戦は失敗で出撃した爆撃機全機が未帰還だと?。」
「はい。大統領閣下。」
ジョージ・マーシャル陸軍大将は作戦の失敗を受けて大統領の呼び出しを喰らっていた。
「君は本土爆撃は有効だと話していなかったか?」
「はい。全くもって申し訳ありません。」
「私の支持率はもはや地に落ちた。恐らく、時期に私は解任されることだろう。」
「しかし、海軍と陸軍で8月10日に実行する計画のマリアナ諸島占領計画がうまくいけばまだ策はあります。」
「確かにそうだ。しかし、もしそれが失敗したら君も私も明日は無いと思って過ごさなければならんぞ。」
そこへ
「だ、大統領閣下!!大変です。サンディエゴ海軍基地にエセックス級航空母艦8隻とアイオワ級戦艦6隻が突然出現しました!!」
「な!?、一体どういうことだ?」
「分かりませんが、これはチャンスです。この艦隊も作戦投入すべきです。」
「まあ、よい。誰の仕業かは知らんが、ありがたく使わせて貰うとしよう。」