-黎明島 ドック-
「思えば、この島から全てが始まったんだよな。」
斉藤は一人、黎明島のドックに来ていた。時間は既に0時を回っており辺りは暗い。
「そして、そこに隠れているんだろう。私をこの過去に呼び寄せた神『ヨグ=ソトース』」
すると、ドックの隅から黄色いモジャモジャが現れる。
「まさか、我に気づいているとは。」
「まさか、お前が存在しているとはなあ。確か、クトゥルフ神話の架空の神性のはずだが。」
「それは、人間の勝手に考えたことであり我は全ての時間軸、空間軸に存在する。」
「それで、何時になったら私を戻す気なんだ?最初はああ言ったが、向こうに残してきた家族の事は心配でね。」
「永久に戻す気など無いと言ったらどうする?」
「お前をこの場で息の根を止める」
「さっきも言った筈だぞ。我は全ての時間軸、空間軸の中に存在すると。故に、我は不死身なり。」
「便利な体だな。」
「まあそう怒るな。この大戦が終わった貴様の望んだ戦後世界だ。大戦が終わったら元の世界に戻してやる。」
「その言葉、確かに信じていいんだな?」
「我は知識を象徴する神でもある。その知識の象徴する神が嘘を言ってどうする?」
「確かに。」
「安心しろ。貴様が長くこの世界にいられたら不都合な点もあるのだ。それと、米国に過去や未来に戻って艦艇を与えておいたぞ。」
「な!?ちょっと待て!!」
しかし、ヨグ=ソトースは先ほどまで居た場所から消えてしまった。
「くそ!!」
「斉藤さん?」
突然、ヴォルケがドックに入ってきた。
「わ!!なんだヴォルケか。どうしたんだ?」
「なんと言うか、斉藤さんが姉さまから降りて、ここに来ていたので後を付けたんです。そしたら」
「なんだ。見ていたのか。」
「私達をこの世界に呼び寄せたのも、あの・・・」
「ヨグ=ソトースの事か?。」
「はい。でも、私はこの世界の方が幾分好きです。向こうでは戦うことしか頭に無い政府高官や同僚ばかりでしたが、こちらの世界では国民の事も考えた政治をきちんと行っている政治家ばかりですから。できれば、一生を此方の世界で終えたいです。」
「君がそう希望するなら、山本長官に取り計らうよ。」
「それに、他の超兵器の皆さんも口では言いませんが此方の世界を皆気に入っております。」
「そうか。」
斉藤はヴォルケから目を逸らす。
(自分の元居た世界はどうなのだろうか?)
斉藤はそう考えてしまう。
「艦隊、出航!!」
特別戦隊は連合艦隊司令部のあるパラオ目指して全速力で出航するのであった。