-マーシャル諸島-
「急げ!!グズグズしていると敵が攻めてくるぞ。」
マーシャル諸島駐留の日本陸海軍は少しずつ撤退を始めて行く。ただ、海軍が輸送船を用意できなかったため、特別戦隊のデュアルクレイターが撤退する兵の収容を行っていた。
「斉藤中将、兵の収容を完了しました。」
「分かった。言われたとおりに無人機と故障機を並べておいたな?」
「はい。現地の飛行場に飛べない故障機と無人機を並べておきました。」
撤退の際に故障機と攻撃用の無人機を飛行場に置いた。それは敵の目を誤魔化すためのと時間稼ぎをするためだ。
「斉藤さん、敵潜らしき反応を捉えました。」
「なに?」
デュアルクレイターの艦魂「デュアルクレイター」が斉藤に報告する。
「ロ号ヘリを飛ばせ。」
命令を受け、軽巡洋艦「大淀」からロ号ヘリ2機が60kg爆雷2つを搭載して飛び立った。
「敵潜水艦発見!!。爆雷投下。」
2機のロ号ヘリから爆雷が投下され、水柱が上る。
「敵潜の反応健在!!」
ロ号ヘリでは仕留め切れず、駆逐艦「子日」と「初春」が敵潜の反応を頼りに近づき、爆雷を投下する。
-シーポーチャー-
「爆雷接近!!」
潜行深度ギリギリで待機しているシーポーチャーの周りに爆雷の爆発音が響く。
「艦長、魚雷発射管室浸水しました。これ以上の潜行は危険です。浮上して降伏を。」
「くそ。仕方が無い。」
艦長はこの場にいる全員を見渡し
「緊急浮上!!浮上しだい降伏旗を掲げる。」
シーポーチャーは浮上し、降伏旗を掲げて降伏した。
-デュアルクレイター-
「敵潜は降伏しました。」
「了解、拿捕せよ。」
駆逐艦は潜水艦の乗組員を収容し、潜水艦は曳航してトラック基地へと戻った。
-トラック諸島-
現在、トラック諸島は拿捕した潜水艦とハリボテの輸送艦が停泊している。
「ここに潜水艦を収容せよ。」
斉藤は駆逐艦に指示を出し、自身はデュアルクレイターの艦橋へ戻った。
「斉藤さん、どうしてここに敵の潜水艦やハリボテの輸送艦を置いておくのですか?」
「もう直ぐここを空襲されるからな。ここに偽の艦艇を残しておいて、敵の犠牲になってもらうんだよ。」
「なーんだ。その為にわざわざ私をここに置いていくのか。」
「!!、誰だ!?」
突然聞きなれない声を聞き、斉藤は驚く。
「初めまして。私はシーポーチャーの艦魂『シーポーチャー』。私をこんな所に置いていくし、他の撃沈されたと思っていた仲間はここにいるし。一体何を考えているのかと思いきやそういう魂胆なのね。」
「そうだ。少し冷酷かもしれないが、これも戦争なんでね。」
「ま、確かにそう言えばなんぼよ。」
「物分りは良いな。」
「当然よ。こっちも兵器。使い捨て覚悟で戦う兵器よ。」
「ふーん。希望するなら内地に戻し、改装してやってもいいが、何せ旧式艦だ。使い方によってはあっと驚く運用方法があるかも知れないが、今は思いつかないしな。」
「別に、祖国に対して攻撃なんてしたくないわ。」
「だが、プリンス・オブ・ウェールズとレパルスは仲間になったぞ。」
「ふーん。」
そう言ってシーポーチャーは消える。
「何がしたかったんだ?」
「分かりませんが、その祖国の攻撃に沈められる気持ちはどうなんでしょうね?」
「さあな。」
-パラオ 連合艦隊泊地-
「長官、斉藤中将からマーシャル諸島撤退完了と報告がありました。」
「そうか。斉藤君もうまくやっているそうだな。」
「それと、これは軍令部からなのですが、イタリアが連合軍に取り入ったと報告がありました。」
山本はそれを聞いて、前に斉藤が言っていたことを思い出す。
(そうか。亀井君がうまくやったのか。)
「あの、長官?。」
「いや、何でもない。ありがとう。」
伝令兵は敬礼をして長官室から出て行く。
-ニューギニア諸島-
「辻参謀、内地からの撤退命令が着ました。」
「うむ、しかしポートモレスビー攻略が出来ずに撤退とは無念だ。」
陸軍の辻政信は残念がってポートモレスビーの方角を見る。
「撤退の輸送船が到着しました。急ぎましょう。」
「ああ。」
そう言って輸送船へ乗艦する。
「今回は撤退するが、絶対にマリアナでは撤退しないからな。」
辻はニューギニア諸島撤退後、マリアナ諸島サイパン守備隊の参謀になる予定であり、マリアナ諸島へと輸送船は最大速力で向かった。
-東京-
「米内大将、もうじき連合軍が反攻作戦を開始するでしょう。そして、その最終地であるマリアナ諸島にて決戦を挑み、その終焉で東條内閣を倒し、貴方が海軍大臣へと就任する準備は整いました。」
米内の自宅に訪れている寺沢は米内に報告する。
「分かっておる。その後、ロンメル元帥の講和会議に全権代表として赴き、講和条約調印という山本の計画通りにするのだろう。」
「はい。正確には山本長官にこれをお話した斉藤という海軍中将の計画です。」
「分かっている。」
「では、私はまだやらなければいけない事があるので、これで失礼します。」
そう言って寺沢は米内の自宅から出て、外に待たせている車に乗って軍令部へと戻った。