-ラバウル沖-
「暇だなー。」
ラバウル沖で敵情偵察を行っているドレッドノートと僚艦の伊号潜水艦2隻の艦魂は退屈そうに旗艦のドレッドノートの会議室に集まっていた。
「敵が反攻を開始したっていうから偵察に来たけど、ここには敵が現れないね。」
既に5日間も海底鎮座をしており、乗組員の間でも疲れが出始めている。そこへ
「私の電探に敵の航空隊を捉えたわ。」
ドレッドノートの艦魂は僚艦の艦魂に伝える。
「やれやれ、5日目でようやくか。」
そう言ってそれぞれの艦へと戻り、接近する敵艦隊を迎え撃つ準備を整える。
-ラバウル-
「目標を発見!!」
アメリカ・イギリスの連合航空隊はラバウルに向かって殺到する。ラバウルに配備した無人の烈風が迎撃に昇り、空中戦が発生した。
「喰らえ!!」
イギリスは烈風との本格的な航空戦は初めてで、スピット・ファイアの性能は少しばかり烈風に勝っているが、旋回性能では圧倒的に劣っている。
「ぎゃああ!!」
しかし、アメリカのヘルキャットや爆撃機は違う。性能差が激しく、烈風に翻弄されては撃墜されていった。
「畜生、あのサッチウェーブが全く利かないじゃないか。」
ヘルキャットは逃げるだけで精一杯で、とても史実にて大活躍した性能は一切発揮できていなかった。
「航空機で落とすのは無理だ。」
爆撃機の一機が母艦に打電をし、至急作戦の練り直しが必要とされた。
-ラバウル攻撃部隊 旗艦エセックス-
「司令、ラバウルは非常に強固な守りで、航空部隊での陥落は不可能です。」
「分かっておる。しかし、此方には島を砲撃するための戦艦は少ないのだ。何とか、航空機だけでラバウルを落としたい。」
司令のミッチャー中将は部下にこう言ったその時
「敵機来襲!!」
艦隊にサイレンが鳴り響く。
「機数は?」
「約20機。いずれも大型」
ミッチャーは艦橋から外を見た。すると、巨大な6発機が艦隊に向かってくるのを見つけた。
「敵艦隊視認。爆撃隊は爆弾投下用意。砲撃隊は主砲発射用意」
爆撃機は爆弾倉を開き、空中戦艦は下部主砲を敵艦隊に向ける。
「航空隊は直ちに出撃!!迎撃しろ。」
残った航空機で富嶽と羽島を撃墜しようとするが、近づいたところで羽島と富嶽の対空機銃は接近する航空機に容赦なく放たる。
「敵に近づけん。」
「目標、輸送船団!!」
富嶽と羽島の狙いは空母などの戦闘艦艇ではなく、鈍足で装甲のひ弱な輸送船であった。
「砲撃開始!!」
羽島が一斉に砲撃を開始し、輸送船が炎上する。それを見た爆撃機は
「よくやった。熱追尾式爆弾投下!!」
富嶽には熱を探知して目標が移動しても有翼制御装置を使って誘導し、敵を攻撃する新型爆弾を搭載していたのだ。羽島はその熱を発生させるための補助的な機体に過ぎないのだ。
「目標に命中!!炎上しながら沈んでいきます。」
戦果を見届け、富嶽と羽島は内地の横須賀航空基地へ向かって飛行を開始した。
-エセックス-
「輸送船の半分を失いました。」
艦橋は突然の襲撃で殆ど打つ手が無く、その上で輸送船の半分を損失したのだ。
「日本の新兵器、よく見せて貰ったわ。」
艦魂のエセックスは燃えながら沈み始めている輸送船を見ながら言った。エセックスは爆弾が誘導されているのに気づき、日本の技術の高さを改めて思い知ったのだ。
結局、残った兵力のみで上陸を開始しようとしたが
「魚雷発射!!」
待機していたドレッドノート以下潜水艦が待ってましたとばかりに雷撃を開始した。結局、輸送船は全滅してしまい、泳いで上陸した部隊は島に待機していた97式中戦車(無人)に次々とやられてしまい、ラバウル占領は失敗したのだ。
-トラック諸島-
その後、マーシャル諸島を空襲した部隊とラバウルを空襲した部隊が合流し、トラック諸島へと攻撃隊を向かわせた。トラック諸島は占領が目的ではなく、日本の泊地としての機能損失を狙う作戦であるため、砲撃の必要は全く無かったのだ。
「トラック諸島視認。湾内に艦艇多数!!」
殆どは鹵獲した潜水艦なのだが、それを斉藤の指示を受けてハリボテで覆い、あたかも戦闘艦艇の様に見せかけたのだ。
「今度は敵機も少ないな。」
ラバウルには烈風が20機のみ配備され、敵の空襲成功をあたかも願っているような配備状況であった。
「喰らえ!!」
急降下を開始したヘルダイバーは軽巡洋艦の様にハリボテで覆われたマッケレルであった。
「やめて!!味方よ!!。」
マッケレルの艦魂は必死に叫んだが、艦魂の見えないパイロット(実際見えていても風防によって声が遮断されるから聞こえないのだが)は構わず爆弾を投下した。
「きゃああ!」
爆弾は船体の中央を貫通し、内部にて爆発。マッケレルは沈没していった。
「正面に烈風4機。」
スピット・ファイアは倍の8機で挑み、撃墜に成功する。しかし、ヘルキャットは1対1で戦って遣られるし、1対2でも撃墜されることがあったのだ。
結局、空襲には成功したが、ヘルキャットは28機も損失し、スピット・ファイアも12機が損失したのだ。烈風は全滅したが、航空戦の損害比を見れば連合軍の惨敗という形となった。艦艇も22隻中10隻が沈んだが、鹵獲艦の為に日本側の損害は全く無しということであった。
-千葉県 捕虜収容所-
「ハルゼー提督をお連れしました。」
「ご苦労。」
斉藤は衛兵にお礼を言い、ハルゼーを正面の椅子に座らせた。
「ハルゼー中将、初めまして。私は日本海軍中将の斉藤次郎です。」
斉藤はまずハルゼーに自己紹介をする。しかし、ハルゼーは斉藤をじー、と見つめるだけであった。
「お気持ちはお察しいたします。キルジャップ、キルジャップと言い続けていた貴方がそのジャップに捕まったのですから。」
「そうではない。お前は、アドミラル・トーゴーに似ている。」
「はぁ?」
意外な一言に斉藤は驚く。
(確か、ハルゼーは東郷の事をあまりよく思っていなかったと思ったが。)
「まあ、それはさておき、史実では2番目に神風(特攻ではなく、元寇の時の神風)を2回も受けた人だと言うが、ここではあり得ませんね。」
「史実?何を言っているんだ?」
「いえ、此方の話です。本題に入ると、もうじきこの大戦は終結します。そして、戦後のアメリカの幕引きを貴方にもお願いしようと思ってここに来ました。」
「終結?どういう事だ?」
斉藤は手元にある資料をハルゼーに見せた。
「こ、これは!!」
「貴方の国、アメリカを含むこの大戦参加国の主要国が講和を行い、本大戦終結。その後の戦後世界の物です。」
ハルゼーは資料を一枚一枚捲って目を通す。
「このような世界になると?」
「はい。むしろ、そうなるべきなのです。」
「欧州・アメリカ連合とアジア・中東共栄圏の対立。その終結と代理戦争。テロの増加と国内動乱。なぜこんなにもこの後の事を書ける?」
「それは言えませんが、恐らくはそうなる事かと。」
「そして、アメリカで発生した同時多発テロとイラク侵攻。ロンドン同時爆破テロ。第2の世界恐慌。世界軍事バランスの変化。」
「それが、恐らくは現実に起こると予想されます。」
「こんな世界に、戦後なるのか?」
「はい。そうならない為にも我々はやっているのですが、恐らく、止めることは不可能かと。」
「では、一体どうすれば?」
「出来る限り早期の講和。これしか、考えられません。そして、世界政府の建設と他民族統一国家の建国。これしかありません。」