異次元からの贈り物   作:橘花

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中国戦線講和計画

-重慶-

 

「大元帥、共産党が日本との講和後に我々国民党政府に対して宣戦布告をしました。」

 

「やはり共産党は裏切ったか。」

 

蒋介石は溜め息を付いて言う。元々、蒋介石自身は抗日民族統一戦線などの当てにしていなかった。確かに共産党も日本軍を攻撃してはいたが、あくまでもゲリラ戦であり、実質戦っているのは国民党であった。

 

「日本軍は本当に強いです。信じられない兵器を保有し、我々中国軍を各戦線にて易々と撃破して此方に進軍している聞きます。」

 

「分かっている。全く、連合軍からの支援を受けられない状態で日本と共産党の二つを相手にしないといけないとは。」

 

蒋介石は再び溜め息を付く。援蒋ルートは日本がインド等の占領で遮断され、おまけに大陸の日本軍はここ重慶を包囲する布陣で動いている。

 

「援蒋ルートは日本軍が包囲したお蔭で破壊する事が出来なかった。そのルートを逆に利用されたら我々に打つ手は無い。」

 

もし、援蒋ルートを使ってインド方面から日本軍が押し寄せれば、国民党に逃げ場は無い。国民党には現在まともな武器や装備が無く、士気も非常に低かった。そんな状態で勢いに乗る軍勢に立ち向かえば結果など見え見えであった。

 

「どうするべきか。」

 

蒋介石は悩んだ。自分の判断で国民党の命運は決まる。判断ミスが戦線の崩壊を呼び、国民党の勢力圏は地に堕ちてしまう事だって考えられた。

 

 

 

-日本軍 中国方面総司令部-

 

「石原中将、重慶の包囲を完了しました。援蒋ルートを北上している部隊も配置に付いたとの報告を受けました。」

 

石原は地図を見つめながら

 

「分かった。海軍の爆撃部隊がもうじき空爆を開始する。その後は富嶽が残ったものを完全に破壊し、我々が占領する。全員準備を整えさせろ。」

 

 

 

-重慶-

 

「空襲警報発令!!」

 

重慶市街は人で溢れかえり、パニックに陥っている。そこへ上空にはアメリカ義勇軍航空隊『フライング・タイガース』が姿を現した。史実では戦局の好転で解散されているが、未だに好転しないことから部隊は残存していた。

 

「日本の爆撃機を視認。大きいぞ。」

 

海軍の連山20機が十数機の護衛機と共に姿を現す。P-40は機体を旋回させて爆撃機に向かう。日本軍の護衛機も迎撃に気づき

 

「戦闘機接近!!全機、散開して撃墜せよ。」

 

神速は直ちに増槽を捨てて、P-40へと向かった。

 

 

「喰らえ!!」

 

多少の練度で勝るフライング・タイガースの方が先に急降下で操縦席目掛けて機銃を放った。しかし、機銃弾は風防に全弾はじかれ、効果は一切無かった。

 

「ばかな!!」

 

実は、神速には幾つかの秘密があった。その一つは、被弾確立の高い翼には二重装甲と呼ばれる物を採用している。それは、外装甲と内装甲との間に特殊なゴムを入れているのだ。それによって被弾に非常に強く、胴体にも重要区画はこの二重装甲で覆われている。それに、風防も30ミリですら耐える事が可能な特殊防弾ガラスを使っているため、傷一つ付かないのだ。ただ、ここまでやると重量が半端じゃない。その為に4000馬力と言うエンジンを積んでいるのだ。

 

「無駄だ。そんな13ミリ程度の豆鉄砲じゃあこの戦闘機は落とせんよ。」

 

神速のパイロットは機体を宙返りさせ、敵機の後ろにつき、機関砲を発射して撃墜した。

 

 

「集合!!」

 

隊長は無線で護衛機の集合を掛けた。一般に日本の無線機は雑音が酷くて役に立たないと言われているが、一説によると内地の部隊は問題なく使用できたと言う。調べてみると、南方の最前線では無線が使えなく、内地では使用できていたと言うことになった。これは、本来日本の無線機は当然日本国内での使用に適した仕様になっている。そんな物が雨が多く、湿気も凄い南方戦線にしかも部品の供給も少ない所にあったら一瞬で使用できなくなることは分かる筈である。だから、部品の供給を常に断たないよう、各基地に技師も置き、簡単な故障なら修理し、使用できなければ直ぐに交換用の部品を送るようにしておいたのだ。

 

「敵機半数の撃墜を確認。残りは退却しました。」

 

「分かった。全機、帰還する。」

 

爆撃を終え、爆撃機とその護衛機は帰還の任に就いた。その数分後、富嶽が重慶の残ったものを完全に破壊し尽くし、重慶は完全に廃墟となってしまった。

 

 

 

「突撃!!」

 

廃墟になった重慶に戦車や歩兵やらがなだれ込む。殆どが瓦礫の為に身を隠すところは多い。しかし、戦車などの装甲兵器を持たない国民党は戦線が崩壊。5日間の市街戦後、国民党は降伏した。

 

 

「5日間も占領に掛かるとは予想外だ。」

 

「はい。ですが、この戦闘で我々の兵器の弱点を露呈することができました。この戦訓をマリアナの決戦で生かせれば良いでしょう。」

 

「そうだな。」

 

石原は地図をしまい、総司令部から外に出る。

 

(斉藤、中国は片付いたぞ。後は、欧州とマリアナだ。お前さんの計画に乗ったのだ。成功させてくれよ。)

 

石原はそんな事を思うのであった。

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