-デュアルクレイター-
「敵潜水艦発見。」
ソナー室からの報告を聞き、艦長は哨戒中のロ号ヘリを向かわせる。
「敵潜の反応を確認。爆雷投下!!」
ロ号ヘリが30kgの爆雷4つを投下する。爆雷は敵潜水艦の真横で爆発し、船体に穴が開いて沈んだ。
「撃沈を確認。」
「ふう、一体何隻潜水艦が居るやら。」
甲板にて水柱を見たデュアルクレイターは溜め息を付く。各艦隊の累計潜水艦撃沈数は現在8隻。それでも、所々で敵潜水艦の反応がある。
-ドレッドノート-
「敵潜水艦発見。」
マリアナ周辺には30隻近くの潜水艦が居るとの報告もあり、日本も潜水艦を使っての潜水艦狩りを開始している。そして、哨戒中のドレッドノートが発見したのだ。
「前方魚雷発射管装填。」
全部の魚雷発射管2連装8基全てに対潜魚雷を装填する。
「発射!!」
全弾が放たれ、敵潜を追尾して撃沈した。
「一方的も面白いわね。」
撃沈を確認したドレッドノートは、再び哨戒の任務に戻った。
-大鳳-
「それで、敵潜水艦は撃沈したのだな?」
小沢機動部隊旗艦の装甲空母『大鳳』は、山口機動部隊とは別の地点を航行しており、最も敵艦隊に近づいている艦隊なのだ。
「はい、本艦隊の総撃沈数は既に5隻。これは、マリアナ諸島に居る艦隊の中で最高の撃沈数です。」
「しかし、敵が何隻の潜水艦を投入しているのか正確な数字は分からないのだな?」
「はい。秋島からは30隻との報告はありましたが、正確な数字は。」
「分かった。周辺の警戒を怠るなよ。いくら装甲空母だからといって、油断すれば一撃で沈められるぞ。」
小沢は海戦前に斉藤に会い、そこで大鳳の意外な問題点を言っていた。それは、密閉した格納庫が仇となった沈没原因の例えだった。実際に斉藤は大鳳の撃沈原因が分かっているが、あまりこの手の案件を知る人を増やしたくない為、例え話で注意を呼びかけたのだ。
-小沢機動部隊 北3km-
「敵の推進音を探知。」
海底鎮座していたシーウルフは、無音排水でゆっくりと浮上する。
「潜望鏡上げ!!」
シーウルフは深度10mで潜望鏡を上げ、推進音の聞こえる方角を見る。
「よし、俺達はついてるぞ。敵の機動部隊だ。」
潜望鏡と目がリンクしているシーウルフも敵の機動部隊を見据える。
「ようやく捉えたわ。ここで、あの真ん中の大型空母を沈めてやる。」
シーウルフは中央を航行する大鳳を睨む。
「頂くぞ、魚雷発射用意!!」
魚雷を装填する為に発射管を排水する。その排水音を探知した付近哨戒中の伊15が待ってましたとばかりに音響魚雷を放った。
「こ、後方より魚雷接近!!」
「な!?一体何故、そんな所に!!」
魚雷は後方の魚雷発射管室に命中し、魚雷に誘爆を起こして沈没した。
-伊15-
「潜水艦撃沈。」
「敵かどうか分からんかったからな。見張ってて正解だったぜ。」
かなり前から探知していたが、敵か味方か分からなかった為、ずっと見張っていたのだ。そして、機動部隊が接近したのを知った潜水艦が魚雷発射体勢に入ったのを見て撃沈した。
「旧型の潜水艦だから敵味方識別装置を積んでいなかったんだが、まさか、意外な所で必要になるとはな。」
-大鳳-
「左舷より水柱確認。」
「どういう事だ?」
「お、恐らくは潜水艦が沈んだでしょう。」
それを裏付けるように、先程の伊15が浮上した。
「味方の潜水艦です。あれが沈めたんでしょう。」
飛行甲板では浮上した伊15に手を振る兵が見受けられる。
「では、この空母を狙っていた潜水艦を沈めたんだな?」
「はい。」
「感謝すると発光信号を送れ。」
その様子を見ていた艦魂の大鳳も、
「ありがとう伊15号。潜水艦も、戦果を伸ばしていっているのね。」
水柱を見ていた大鳳は、伊15号に感謝の言葉を述べる。
-ヴォルケンクラッツァー2-
「敵潜水艦の殲滅率は?」
「はい、概ね90%かと。」
「そうか。」
各艦隊の戦果を累計し、予想侵入潜水艦数との計算から90%の殲滅したと言う結果になった。
「まあ、そんなに潜水艦は侵入していないだろうし、そろそろ決着を着けるか?」
「それなのですが、旗艦より今夜まで敵潜水艦の殲滅を行い、明日に決着を着ければ良いとの連絡が入りました。」
「旗艦から?」
「はい。何でも、明日の夜明けと同時に内地から重爆隊が飛び立ち、それと同時に機動部隊や基地航空隊、それに我々連合艦隊全兵力を持って一斉殲滅を行うそうです。」
「そうか。では、明日には盛大な航空戦と艦隊決戦が見られるわけか。」
「大和を含む戦艦部隊も補給を済ませて本海域へと到着しております。明日が楽しみでしょう。」
斉藤は、艦橋の窓から航行する特別戦隊水上艦部隊を見る。これだけの超兵器が一度に作戦に投入した例は一度も無い。敵は震え上がるだろうと斉藤は考えていた。
「上陸した連合軍兵はどうすると言っている?」
-サイパン島-
「敵は上陸した海岸線に退避しております。ここは、夜明けを持って一斉に突撃し、殲滅すべきかと。」
「海に近づけば、敵艦隊からの砲撃を浴びます。水際作戦など、持っての他です。」
サイパンでは辻と栗林が言い合う。辻は水際にて敵を殲滅し、一気に降伏へと追い込む作戦を立てる。しかし、栗林は水際作戦は敵艦隊からの砲撃を受け、損害も大きいから反対している。日本陸軍の敵上陸作戦対処方法は基本的には水際での敵殲滅が主流であり、成功例もある。しかし、損害が大きくなるというのも正しいのだ。
「難しい問題ですね。」
海軍陸戦隊指揮官を命じられ、マリアナ諸島防衛部隊の参謀『神重徳』大佐はこの言い争いの場にて唯一落ち着きを持っている者だった。
「まあまあ皆さん。ここは、急げば回れ作戦を行おうではありませんか。」
その言葉に全員が驚く。
「そ、それは前例の無い貴方が考えた奇策ですよ。このような国運左右しかねない決戦にそのような策を投じるなどご免です。」
辻は反対するが、栗林は。
「いや、それは案外成功するかもしれないな。」
「しかし、司令。このような国運を賭けた決戦に、そんな前例の無い作戦は。」
「だからこそやるのだ。兵力差は歴然。質では勝っていても、数では我々はどうしても劣る。勝つには、それしか無い。」
「物量など、我が必勝信念の大和魂の前には屈するものですよ。」
「精神で物量を巻き返せるほど、近代戦は甘くない。確かに気持ちは大事と言う事も分かりますが、それだけでは勝てないのだよ。」
辻は引き下がる。栗林の言葉はあまりにも正論を言っているからだ。
「分かりました。しかし、もし敗北しても私は知りませんからね。」
神はニコっと笑う。
「ご心配なく。もし失敗したら、我々は全員戦死しますので。」