-アメリカ特殊偵察型潜航艇-
アメリカはただ潜水艦の犠牲に何も対策を考えていない訳ではなかった。そこで、非武装の小型潜航艇を使って敵の艦隊を捜索していたのだ。
「敵に間違いないな。」
そこに、攻撃隊を出撃させたばかりの小沢機動部隊を捉えた。
「機動部隊に打電『敵艦隊発見、空母5隻を含む機動部隊』と」
「了解」
潜航艇は急いで打電をし、その場から離れた。
-エセックス-
「提督、遂に敵艦隊を捉えました。いよいよ反撃できますね。」
機動部隊は小沢機動部隊発見の知らせを聞いて航空隊を発艦させ、全速力でサイパンを目指していた。
「これで、先程までの借りを返せるって訳か。」
キンケイドは艦橋の窓から小沢機動部隊に向けて飛行を開始している航空隊を見て言う。艦魂のエセックスも
「私を攻撃した忌々しい機動部隊に一矢報いれるのね。」
と、言った。そこへ、電探室から報告が届けられた。
「し、司令。敵の航空隊です!!それも、数え切れない数です!!。」
「な、何だと!!」
急いで制空隊を上げるが、3000機(内、戦闘機800機)を越す航空隊に高々300機程度の戦闘機に何が出来るのだろうか。
「敵反応確認。」
隊長である笹井は迎撃に来る戦闘機を捉えた。
「増槽を捨てて迎撃する!!」
笹井中隊を先頭に、戦闘機400機が上昇した。
「見えた。」
急降下してくる敵戦闘機を見つけ、搭載しているロケット弾を放った。
「じゃ、ジャップ!!」
ロケット弾を受けた戦闘機は主翼が吹っ飛び、回転しながら落下していく。他の機体も何機はロケット弾に遣られ、次に格闘戦へと移行した。
「神速に格闘戦を挑む勇気だけは褒めてやる。」
ヘルキャットと神速では格闘戦の性能差も違っていた。それに、練度でもかなり違う。連合軍側はようやく飛行時間300時間を越えたパイロットが大半を占めているが、日本側の多くは1000時間を軽く越している。
「助けてくれ!!」
ヘルキャットは初心者でも扱いやすいが、それは神速も同じ。なら、性能差が物を言うのだ。
「ぎゃああ!!」
30ミリ機関砲はヘルキャットの胴体や風防を貫通し、撃墜する。まるで、史実のマリアナの七面鳥撃ちが逆転したような光景であった。いくら優れた機体でも、パイロットの飛行時間差は余りにも大きいのであった。
-エセックス-
「迎撃隊は壊滅しました。敵の攻撃隊は尚も向かっています。」
「こちらの攻撃隊は?」
「甘かったようです。敵の迎撃に会い、救援を求めております。」
もはや、連合軍にとって恐怖以外の何物でもない。航空隊は次々と壊滅し、上陸した部隊は全滅。打つ手は無く、ただ損害が増え続けるだけだった。
「このまま戦っても埒が明きません。幸い、艦艇の損害は軽微ですので撤退しましょう。」
「いや、もう遅い。見たまえ、あの航空隊を。」
キンケイドは艦橋から見える航空機群を指差す。空を埋め尽くさんばかりの大量の航空機が向かってくる光景は想像できるのだろうか。
「もはや、逃げ道は無い。どうせなら、一機でも多く撃墜しようではないか。」
「分かりました。対空戦闘!!」
艦隊の対空兵装は一斉に接近する航空隊に向けられる。既に、VT信管が効果を成さない事は分かっている。だから、通常信管を使うことにした。
「撃ち方始め!!」
一斉に艦隊の対空兵装が放たれ、向かってくる航空隊の周りに爆発が起こる。
「な、なんて対空砲火だ。」
対空砲が弓の様に飛んできて、航空隊の周りで爆発する。機銃も次々と飛んできて、操縦桿を倒せば被弾するのでは無いかって位飛んでくる。
「各機、注意せよ。」
雷撃隊は低空に侵入し、水平爆撃隊と急降下爆撃隊、ロケット弾装備戦闘機は高空に侵入する。
「隊長、3番機が遣られました。」
振り向くと、対空砲の直撃を喰らって落下していく彗星が見える。
「構わん。爆撃を開始する。」
彗星は急降下に入り、戦艦『ルイジアナ』目掛けて爆弾を投下する。
「目標に命中。火災を確認しました。」
上甲板では火災が発生し、煙で対空砲が撃てなくなっている。そこを狙って雷撃隊が追い討ちを仕掛けた。
「投下!!」
麗華が1t酸素魚雷を3本投下し、上昇する。魚雷は2本命中し、その後に追い討ちを仕掛けた別の編隊から1本を喰らって沈み始める。
-エセックス-
「ルイジアナ沈没。」
沈み始めたルイジアナを見てエセックスは
「戦艦が、あんなに早く沈むなんて。」
戦艦はタフな物であり、魚雷数本で致命傷にはなるが沈むことは少ないのだ。
「戦艦部隊は壊滅です。至急、体勢を立て直さなくては不味いです。」
「分かっている。しかし、この状況でどうしろと言うのだ!?」
駆逐艦はロケット弾装備の戦闘機が魚雷発射管を狙って攻撃し、魚雷の誘爆を引き起こして次々と沈んでいく。巡洋艦も同様の攻撃に減らされていっている。
「補助艦はもう少ないのですよ。撤退しなければ潜水艦の狙い撃ちです。」
駆逐艦と巡洋艦は最初の3分の1まで減り、作戦遂行は困難になった。
「戦艦『ミズーリ』、大火災により総員退艦。」
-ミズーリ-
「まだ、私は戦えるのに。」
ミズーリは火災を起こしてはいるが、戦闘能力を損失したわけでない。しかし、火災の勢いは止まらず、船体を炎が包み込んでいく。
「こんな、最後を迎えることになるなんて。」
次の瞬間、第一主砲弾薬庫の弾薬に誘爆。続いてその誘爆が別の弾薬庫の誘爆を引き起こし、ミズーリは沈没した。
-ヴォルケンクラッツァー2-
「もうじき敵を捕捉できる。」
敵艦隊発見の海域目指して特別戦隊は最後の決戦を挑もうとしていた。
「もう少しで終戦ですね。」
「ああ、この決戦が終わったら終戦だ。」
「今までの準備。報われると良いね。」
「寺沢も、亀井もしっかりと遣ってくれたんだ。後は私だけ。」
そこへ、伝令が来て
「高須長官の戦艦部隊はイギリス艦隊と輸送船団を攻撃。壊滅的打撃を与えられたとの報告が入りました。」
「早いな。」
「それはそうですよ。向こうは46cm砲を持っていないのですから。こちらが一方的に発射して壊滅させたそうですよ。」
「砲術長の角田中将が能力を発揮したそうですよ。」
「やはり、彼を戦艦部隊の砲術長に任命して正解だったな。」
角田(かくた)覚治(かくじ)は砲術の専門家として知られており、彼を抜擢したのは斉藤であった。彼の人柄を高く評価したのも抜擢の理由であり、彼なら部下とも上手くやってくれるだろうと考えたからであった。