異次元からの贈り物   作:橘花

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最終決戦兵器 前編

-ヴォルケンクラッツァー2-

 

「敵の艦隊はサイパンを目指しているようです。」

 

レーダーに捉えた米艦隊はサイパンを目指しているのだと予測され、斉藤は海図を見て

 

「いや、連中は我々をサイパンに向かうのだと見せかけ、実はテニアン島の沖に向かっているのだろう。そこなら、サイパンやテニアンにも航空攻撃を行えるし、我々だって発見しやすくなる。」

 

地図を見て、サイパンとテニアンの丁度中間地点を指差し

 

「恐らくは、ここへ行くのだろう。」

 

そこへ、

 

「艦隊は進路を変更しました。サイパンとテニアンの中間を突っ切る形です。」

 

伝声管から伝えられた報告から、少なくとも斉藤の読みが当たっている事を示した。

 

「斉藤さんって、どうしてこんなに敵の先が読めるんですか?」

 

ヴォルケ2が隣で聞いてきて

 

「戦後育ちだからかな。アメリカとの密接な関わりを持つ海自に所属していたんだ。いやでも、連中の戦術を教わったからな。」

 

 

 

-エセックス-

 

「マーシャル諸島に停泊して例の兵器がマリアナ海域に到達したと報告してきました。」

 

キンケイドは、それを聞いて

 

「ニミッツめ、総指揮官がわざわざこの海域に来るとは。」

 

「あの艦を見せられたときに、この世の物とは思えないおぞましいオーラって言うんですかね?そんな物を感じました。」

 

「君もかね?、私もそう感じたよ。なんと言うか、禍々しい巨大戦艦。よく、あんな物を合衆国が建造できたと思うよ。」

 

「噂では、別の世界から来たって言ってますよ。SFみたいな話ですが、そう思わないとあの戦艦の説明が出来ないんですよ。」

 

 

 

-ルフトシュピーゲルング-

 

「キンケイドは予定よりも遅れている様だし、私が前線へ出向くことになるとはな。」

 

合衆国の最終兵器、ルフトシュピーゲルングはヴォルケ達の世界からヨグ=ソトースが呼び寄せた超兵器で、太平洋艦隊の旗艦である超戦艦であった。

 

「キンケイドは必要ないと言うが、マリアナが落とせなければ不味いのでな。独断で来させて貰ったよ。」

 

既に波動砲の発射準備に入り、制動板も展開を終えている。目標は、戦艦部隊の霧島だった。

 

「発射!!」

 

青白いエネルギー砲弾が放たれ、真っ直ぐに霧島へ向かって飛んでいった。

 

 

-ヴォルケンクラッツァー2-

 

「こ、この感じは!?」

 

突然、嫌な予感に襲われる。そして、それを裏付けるように戦艦部隊の霧島が消滅した。

 

「!!、一体何があった!?」

 

斉藤は突然の爆発に驚く。敵の主砲は射程外だから当たる筈がない。なら、一体何が起こったのか疑問に思う。そこへ、

 

「さ、斉藤さん。今すぐにこの海域から離脱してください。」

 

袖口を掴んでヴォルケ2が言ってきた。

 

「ど、どうして?」

 

斉藤はこんな弱気なヴォルケ2を見るのは初めてで、少しおかしいと思う。

 

「あ、あれは間違いありません。あの攻撃。我がヴィルキア帝国本国艦隊旗艦になるべく建造されていた私たち超兵器の総大将。ルフトシュピーゲルングです。」

 

「な、なんだって!?」

 

突然、電探室から報告が届けられた。

 

「て、敵の艦隊の後方に、巨大な、とてつもなく巨大な戦艦の艦影を捉えました。」

 

続き、通信室から。

 

「て、敵からの電文です。『我、合衆国最終決戦兵器。艦名はタイタン。貴艦隊に通達する、本海域より無条件で撤退されたし。受け入れられる場合、先ほどの戦艦を沈めたように、連続発射にて貴艦隊を殲滅する。』以上です。」

 

「タイタンか。洒落た名を合衆国は付けるではないか。」

 

タイタン。日本ではティタンやティターンと表記されるが、英語発音ではタイタンという。ギリシア神話やローマ神話に登場する巨人の名である。巨人艦という意味ではピッタリの名称だろう。

 

「斉藤さん、あの艦の言うとおりに撤退してください。戦えば、犠牲は増えます。」

 

ヴォルケ2が隣で言う。

 

「いや、それは許されん。講和のためにもこの決戦で必ず勝利せねばならない。それが、私を信じ、私をこの艦隊の司令長官に任命された山本長官と、危険を冒し、欧州へ渡って影で支えてくれた亀井。そして、内地にて終戦工作を担っている寺沢。彼等のためにも、この決戦で必ず勝利せねばいけないのだ。」

 

斉藤は考え、ヴォルケ2に聞く。

 

「なあ、波動砲って撃つ前にエネルギー充填が必要だろう?」

 

「え?ええ、そうよ。」

 

「なら、そのエネルギー充填中にその砲身を攻撃されたらどうなると思う?」

 

「そりゃあ、!!。まさか!?」

 

「そう、そのまさかだよ。賭けでもあるけど。」

 

斉藤は通信室に繋がる伝声管を掴み

 

「ドレッドノートとノーチラスに、至急敵を挟撃できる位置につけと命じろ。」

 

伝声管から了解の声が聞こえ、斉藤はヴォルケ2に向き直り

 

「決戦は我々の勝ちだ。」

 

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