異次元からの贈り物   作:橘花

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昭和動乱

-黎明島-

 

「それで、決起の用意を整えたのだな?」

 

斉藤は、黎明島で寺沢と合流し、状況を聞いていた。

 

「はい、既に説得に応じた者は決起の為に部隊を集結させております。明日、決起が開始される予定です。」

 

「そうか。終戦工作、ご苦労だった。」

 

「いえ、まだ成功していないので何とも言えません。」

 

 

 

-米内邸-

 

「近衛さん、明日に決起が始まり、東條英機を拘束して主戦派を一掃した後に我々講和内閣が政界入りを行って連合軍との講和。これが、全て一人の日本人によって計画されたのです。」

 

「わかっております、米内さん。ドイツでも着々と計画が進んでいるそうですね。」

 

「はい。彼の部下が欧州に渡って密かにヒトラー暗殺を企てています。本当は、イタリアが降伏した時に我々も降伏し、連合軍の仲間入りしてドイツと戦うべきだったのですが、それはあの時の国情から不可能であったのは確かです。」

 

イタリアが降伏したとき、日本はまだ連戦連勝だったために降伏など一切出なかった。それに、降伏したのにイタリアの実情は連合軍の傀儡となって戦っている様なもの。とても、日本が受け入れられる筈が無い。

 

「マリアナでの決戦でも計画とは違いましたが輸送船団を壊滅させたのは確かです。連合軍は、この敗北と大勢の犠牲者から厭戦気分も出ていますので、講話は成功すると思います。」

 

「後は、ソ連とドイツだけです。もうじき、戦争は終わるのですよ。」

 

「近衛さん。その為にも明日の決起、失敗は許されませんよ。」

 

「分かっています。」

 

 

 

次の日、

 

「突撃!!」

 

帝都を陸海軍の車団が疾走した。陸軍の目的は主戦派の排除と軍令部の機能停止、東條を含む政治家達の拘束だった。

 

海軍は警察署と陸海軍省の制圧、帝都の治安維持が主目的であった。

 

「行け行け!!」

 

海軍兵は警察署に雪崩れ込み、署内にて銃撃戦が勃発した。

 

 

「突撃!!」

 

陸軍も、軍令部内へと突入。そして、

 

「長官、国家扇動罪にて逮捕します。」

 

主戦派の一派を拘束。抵抗する場合は射殺を行った。

 

「貴様ら、こんな事をして許されると思っているのか!?」

 

「この国が戦火で崩落していくのと比べたら、よっぽどマシです。」

 

寺沢の説得を受けた兵の意志は固かった。

 

「この国は不滅だ。皇国の敗北は後世永久にありえないのだ!!。」

 

「その様な戯言に付き合っている暇はありません。」

 

 

-首相官邸-

 

ここにも陸軍兵が雪崩れ込み、中に居た東條を拘束することが出来た。憲兵は入ってくる兵らに発砲するが、数に押されて結局は全滅したのだ。

 

「首相、あなたを国家扇動罪で逮捕します。」

 

日米戦争の戦端を開いた東條はこれによって拘束された。拳銃で自殺しようとするが、入ってきた兵らに止められ、潔く降伏したのだ。

 

「これで、計画は完了しました。」

 

決起のリーダーである浜崎大佐に、将校が報告する。

 

「うむ、これでいいのですね?近衛さん。」

 

「はい、ありがとうございました。」

 

そう言い、近衛はマイクを取る

 

 

『国民の皆さん。今日は、重大な発表があります。この国の戦端を開いた東條内閣は倒れました。付きましては私、近衛文麿が第4次近衛内閣を組織する事をここに表明します。』

 

近衛は間を置き

 

『そして、長年言論の自由を弾劾し続けた政治体制の撤廃。これによる記者達の取材活動の妨害を行わないことを宣言いたします。』

 

 

国内は熱狂した。これまで、言論を抑えられていた国民は各地で集会を開き、近衛内閣を支持するかしないかを競った。新聞社は通常発行とは別に号外として近衛内閣の組織を表明する内容を発信し続けたのだ。

 

これに、国会は二つの派に分かれた。近衛文麿を、国賊とする派か、英雄とする派か。だが、英雄視する者が国会内でも多く、国民のほぼ全てが近衛文麿を英雄視したのだ。これには、玄洋社の言論誘導の効果も合わさっていた。

 

 

-国会-

 

「ここに、第四次近衛内閣を結閣する事を承認します。」

 

結局、裕仁天皇陛下の仲裁で近衛内閣の結閣を承認。連合国との講和計画が進められていった。

 

 

 

-黎明島-

 

「決起は成功したな。」

 

黎明島に停泊しているヴォルケンクラッツァー2の艦橋で報告を聞いた斉藤は、自室へと戻った。そこには

 

「決起が成功したんだって。」

 

特別戦隊の艦魂が集結していた。

 

「これで、私たちの戦争は終わったんですね?」

 

ヴォルケが言うが

 

「いや、まだソ連とドイツが終わっていない。まあ、直ぐに終わるのだが。」

 

「ソ連海軍って強いの?」

 

播磨は戦いたくてうずうずしているようだが、

 

「いや、そんなに戦力としては高くないし、ウラジオストクを塞げば役に立たなくなるよ。」

 

それを聞いて残念がった。

 

「まあ、そう残念がるな。」

 

そう言って一枚の紙を見せる。

 

「「これは?」」

 

全員がその紙を見に来るのだ。

 

「ウラジオストクの攻撃計画だ。ヴォルケ姉妹と播磨が参加する作戦だよ。他にも、小沢機動部隊から隼鷹と飛鷹に護衛の駆逐艦が参加する。後は、接近しての攻撃に巡洋艦6隻と駆逐艦4隻の艦隊が艦砲射撃を行う予定だ。」

 

「これに平行して。」

 

ヴォルケ2が言う。

 

「ああ、富嶽によるソ連の猛爆だ。だが、その前にドイツで革命が起こる。」

 

「では、富嶽の着陸地点は?」

 

ハボクックが言う。

 

「残念ながら、降りられる場所は無い。ニミッツとハルゼーを乗せるから、運がよければイギリスに降りられるが。」

 

「見殺しにするとも考えられますか?」

 

「ああ。」

 

その場が静まり返ってしまった。

 

「まあ、何とかするように全力を注ぐよ。12月3日。この日、ドイツは変わる。」

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