山本は長門に戻ると急いで呉航空基地に向かった。そこで零式輸送機に乗り、一路帝都へと向かった。
「長官。そこまで急いで如何するおつもりで?」
「良いから急いでくれ。一刻も早く陛下にお伝えしなくては。」
それを聞いたパイロットはスロットルを全開にして全速力で帝都へと向かう。そして、飛行場にて車に乗り換えた山本は皇居へと向かった。
-帝都 皇居-
「山本さん。そんなにも急いで何の用ですか?」
出迎えたのは木戸幸一内大臣である。
「木戸さん。陛下はいらっしゃいますか?」
「ええ、居りますが。そんなにも急いで何用ですか?」
「一刻も早く陛下に伝えなければなりません。お会いさせてください。」
「少しお待ちを。」
そう言って木戸は皇居の竹の間に入っていった。暫くして木戸が出てきて
「20分だけならお会いできるそうです。」
木戸が山本を入れると、自分は外に出る。
-皇居 竹の間-
本来の竹の間で日本人が入れるのは政府関係者位だが、今回は特別に山本を招きいれた。
「陛下。緊急事態が発生しました。」
「うむ、聞いておる。あの島の事だね?」
「はい。あの島は我々が想像していた以上に危険なものです。あれを開戦派の連中に見せたら恐らく」
「朕もそれには危険を感じておる。しかし、陸軍はもはや開戦へと動き出しておる。その流れを朕が止めれば、皇居内の者全員が暗殺されかねない。」
「勝利。もはや日本はそれしか残されておりません。確かに列強国はアジア全域に植民地を持っており、中国を市場化しようとする陰謀があります。我々は、そんなアジアを列強からの開放。それだけを考えて戦います。」
「それで、もし開戦すればいつまで勝ち続けられますか?」
「よくて半年。ですが、あの島を使えばいつまでも勝ち続ける事は可能です。」
「どうか、日本を戦禍から救ってくれる事を祈りたい。」
「私も全力を尽くしたいですが、私は常に暗殺の危険のある身です。陛下のお役には立てないかと。」
「山本さん。平和を願う気持ちは貴方も持っていると思っています。貴方は開戦に反対し続けてくれました。朕は感謝しております。」
「陛下。」
「先程も言ったように、朕達はもはや開戦は避けられない立場にいます。アジア開放。それだけを目標にして下さい。決して戦争は侵略するものではありません。」
「分かっております。」
そこへドアが開いて
「山本さん。そろそろ」
木戸が中に入ってきた。
「すみません。では陛下、私はこれで」
そう言って山本は今上天皇に一礼をして出て行った。