-ヴォルケンクラッツァー2-
「大本営より入電。『貴艦隊の奮戦に期待す。なお、在ソ大使館より日ソ中立条約破棄は10分後。』」
通信兵が大本営からの命令を伝えた。
「10分とは早いな。大陸の準備は?」
「準備完了です。いつでも攻め込めます。」
「爆撃隊もか?」
「はい。」
まだ、日ソ中立条約は有効内で、先の富嶽によるソ連爆撃はドイツ空軍の許可を貰い、ルフトバッフェのマークを施して行われた。陸軍は中立条約破棄と同時にソ連領内へと攻め込む予定だった。ソ連の極東軍備は非常に甘く、優秀な人員は全員が対独反抗作戦に投入されてしまっている。
「ウラジオストクの防衛力も非常に脆いです。航空兵力なんか練習生レベルです。」
「練習生か。こちらは可能な限り精鋭部隊で来ているのだな?。」
「はい、小沢機動部隊と山口機動部隊から選り優りの人材ばかりです。」
「分かった。では、内地へ打電だ。『我、敗北の可能性薄し。全兵力をもって敵を壊滅せんとす。』」
そう言い、会議室へと向かった。
「作戦は順調だ。陸海軍の合同任務は気持ちがいいよ。」
会議室にはヴォルケ姉妹と播磨がいた。
「それにしても、ここまで旨くいくとはね。てっきり、気づかれるんじゃないかとひやひやしてたよ。」
「同感。」
「同感です。」
ヴォルケ2の言葉にヴォルケと播磨は同意する。
「ははは。まあ、そう簡単に読まれても面白くない。それに、今回は心置きなく主砲を撃てるんだ。」
「敵航空部隊はどうするの?」
「心配ない。兵力火力共に我が方優勢。艦艇に関しては少数の水雷艇や砲艦があるくらい。陸上砲座や要塞砲はあるけど、大したことはない。」
「十分。」
「撃滅可能だな。」
「砲撃開始!!」
ウラジオストクを射程に収めた特別戦隊は砲撃を開始する。艦砲射撃を行う部隊はまだ接近しなければならず、近づいていく。航空部隊は、航空隊を上げ、収容地点への移動を開始する。
「全部燃えてしまえ!!。我が主砲で、ウラジオストクを火の海に変えてやる。」
播磨は砲弾の命中するウラジオストクを見て歓声を上げる。同時刻、陸軍もソ連との国境を突破し、内陸部への移動を開始した。
「砲撃は港湾施設に集中していますね。」
ヴォルケ2が斉藤の隣に来て言う。
「ああ。港湾施設さえ破壊すれば脅威は無くなる。航空隊は現れる敵航空兵力さえ倒してくれていればいい。」
「ソ連の航空機って弱いのね。」
神速に捕捉され、次々と撃墜されていくソ連軍機を見て言う。
「弱くはないんだが。なにせ、パイロットの練度があまりにも違いすぎるからな。」
対独反抗作戦に優秀な搭乗員を投入してしまった結果、極東の部隊は弱小と言うほかなかった。
-最上-
「発射!!」
ようやく射程圏内に入り、砲撃部隊の艦砲射撃を開始する。しかし、射程が射程なだけに陸上砲座や要塞砲から狙い撃ちに晒される。
「うーむ、もう少し後に突入すればよかったのではないか?」
最上が疑問に思ったその時、後方の那智が船体中央に受けて沈没を始めた。
「な!?たった、一発で。」
当たり所が悪かったとしか言いようが無い。船体が中央で断裂して沈んでいく。
「那智さん。」
沈み行く那智を見て、敬礼しようとしたその時。突然、沈んでいく那智から主砲が放たれ、砲撃陣地を壊滅させたのだ。
「え?、一体どういう事?」
最上、いや、この場に居た全員が状況を理解できなかった。浸水し、傾いているはずの主砲射撃室から、一体誰がどうやって主砲を放ったのか誰にも理解できなかった。
-ヴォルケンクラッツァー2-
「作戦は第二段階に移行。各艦、現海域より撤退して本土を目指せ。」
斉藤は操艦指示を出し、通信室へ
「全航空基地へ打電。富嶽爆撃機、出撃せよ。」
命令を受け、各地に分散されている富嶽計9800機が一斉に飛び立ち、モスクワ目指して飛行を開始した。