異次元からの贈り物   作:橘花

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新時代の幕開け

―横須賀―

 

「米内大将上がられます。」

 

大鳳に日本全権代表の米内光政大将を含む講和使節団が乗艦した。

 

「では、行こうか。講和の舞台、スペイン・バルセロナへ。」

 

講和使節団を乗せた艦隊と、アラビア海までの護衛を行う特別戦隊、主力連合艦隊が周囲に展開している。

 

 

―ヴォルケンクラッツァー2-

 

「講和会議は無事に開催されることになって良かったよ。もし、このまま戦っていたら日本はあの悲劇の終戦を迎えることになっていただろう。いや、もっと酷い事になっていたかもしれない。」

 

斉藤は繰り返したくなかった悲劇。特攻隊の編成と原爆投下、そして、史実では決行されなかったオリンピック作戦。これが現実に起こっていたら洒落にならない被害を受け、日本は滅亡しただろうと思っていた。

 

「斉藤さん、富嶽の無事は亀井さんがイギリスを説得してくれたかららしいですよ。」

 

「そうか。彼には感謝しないとな。」

 

亀井が説得しなければ富嶽は今頃水の上に浮かんでいただろう。幾ら自国や同盟国の捕虜を乗せているとは言え、受け入れてくれるなど考えられなかった。そんな中で亀井は危険を冒してイギリスに渡り、チャーチルを直接説得したのだ。

 

「彼の行動力には驚かされたよ。後で苦労を労ってやらんとな。」

 

戦争は今日を持って終結する。戦後は、斉藤の見越した通りに国連がハワイに建てられ、大東亜共栄圏はその後、現在のヨーロッパ連合みたいな共同体へと発展していく予定だった。

 

「斉藤中将、イギリスより無電が入りました。『亀井少佐、現在イギリスにあり。任務、只今を持って終了する。』だそうです。」

 

「ああ、分かった。」

 

そう言って長官室へと向かった。ヴォルケ2は斉藤の後に続き、長官室へと入った。

 

 

「皆、よくやってくれた。損害が少なかったのは予想外だったが、これで戦争は終結した。」

 

長官室には長門などの連合艦隊艦魂が居た。

 

「これで、赤城さんの無念も晴らせれたでしょう。戦後を一番楽しみにしていた赤城さんが、まさか一番最初の大きな損失になってしまうとは。」

 

「残念だよ。しかし、これで報われたのだ。この戦争で死んでいった者全員がな。」

 

戦争が終わり、全員ホッとしている。ようやく、緊張状態だった大国も緩和し、復興へと進んでいくだろう。

 

「米内さんは復興をできる限り支援したいと言っている。講和内容にはそれも盛り込むつもりのようです。」

 

秋島がそう全員に伝える。

 

「まあ、いいだろう。ただ、戦後のあの計画の資金は残しておいてもらうよ。」

 

戦後、朝鮮半島は日本の属国になる。だが、直接行く交通ルートが無いのだ。だから、海底トンネルを作り、朝鮮とのルートを繋げる計画を建てていた。資金はエルサレム共和国と中国も支援する予定で、労働者も中国とエルサレム、日本と三カ国が起用される予定だった。

 

 

 

 

―アラビア軍港―

 

「ここで私は大鳳に乗り換えだ。」

 

斉藤も講和会議参加者としてバルセロナに向かう。だが、艦艇は3隻で総排水量7万トン以下の為にヴォルケ2ではこれ以上いけないのだ。それに、スエズ運河も渡ることが出来ない。

 

「斉藤さん、頑張ってきてくださいね。」

 

「ああ。」

 

斉藤はヴォルケ2から降り、大鳳へ移乗した。

 

 

 

―大鳳―

 

「君とは初めて会うことになるね。」

 

斉藤は長官室で艦魂の大鳳と会った。幼い顔立ちで、背は低いが、これでも本人曰く16才との事。

 

「会うのが講和の時になるとは思いませんでした。機動部隊の先輩方は中将の事を高く評価していましたよ。」

 

「そうか。」

 

「特に飛龍先輩なんて斉藤さんの事言うと赤面しました。」

 

「あはは、飛龍がねえ。」

 

お堅いイメージを斉藤は持っていたが、そのイメージを取り消した。

 

「まあ、大変なのはこれからだろう。戦後はレシプロ機はお払い箱。君たちではジェット機に対応できないから、廃艦処分か記念艦保存のどちらかだよ。それは私の一存では決められないから何とも言えないが。」

 

大鳳も自分が軍艦なら何時かは処分されることが分かっている。その時期が早かろうと遅かろうと。

 

「心配ないよ。いつでも、覚悟は出来てるから。」

 

斉藤は、ただ俯く事しか出来なかった。斉藤も、出来れば一隻でも多く記念艦保存して貰える様願っている。しかし、経済的など、多数の問題点があって難しい事も分かっている。

 

(どうするべきかな。私は。)

 

ただ、悩むことしか出来なかった。もうじき、自分が元の時代に戻されるからどうする事も出来ない事は分かっているのに。

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