仮面ライダードライブ school idol project D 戦士と女神の協走曲 作:ケモミミ愛好家
二期視聴→デリラ(声優:楠田さん)を利用したゾルザル!
てめぇはムッコロス!(<::V::>)
食らえ!スピニングダンス!
一同「やめんか!」
ケモ「ヴェアッ?!」
進二「ったく……何でこんなに投稿が遅れた」
チェイス「読者を待たせないのが、人間のルールじゃないのか?」
霧子「何で投稿が遅れたんですか?」
ケモ「えっ……と…」
1.前回投稿から残業が続く
2.ラブライブ!×ココスのコラボスタート。
自宅から片道1時間の距離を毎週往復。
3.外食、ガソリン代で小遣いが無くなる。
貯金無し、バトライドウォーを買い逃す。
4.給料取得、買いに行くも売り切れ。
予約していたガンダムブレイカー購入、プレイ。
5.つい先日バトライドウォーを購入、初回を逃し発狂。
やっぱりファイズが一番使いやすい。
以上の事を踏まえると……
ケモ「全部、ワ・タ・シのせいだ!」
一同「開き直るな!」
*注意*
何時もの低クオリティな上にいろいろ詰め込んだのでメチャクチャです。
西木野総合病院
その病室のベッドに眠る進二、その周りには1人の医師とりんなを除いた特状部の面々、千早、追田が居た。
「…‥…………」
[……………………]
「………うん、命に別状はありませんね」
医者の言葉に、その場に居た全員が安堵のため息をついた。
「…良かった…‥」
「うん…‥でも進二くん、何で海に…」
「進二の事よ、大方無茶しただけだわ」
「すいません、千早さん。
俺がもっと注意してれば…」
「追田さん、気にしないで下さい。
この子もあの人に似て、無茶を知らないだけですから」
「それでも、私達に否があります…
霧子ちゃんと息子さんを2人で行かせたのが、そもそもの原因なので」
いつもの様な明るさを無くした本願寺は、追田と共に千早に頭を下げた。
「私にも…責任があります」
霧子の言葉に、その場に居た全員が目を向けた。
「私は…その場に居たのに、泊さんを‥」
涙を堪えていたのか、震えた声で話す霧子を千早は優しく撫でた。
「貴女のせいじゃないわ、霧子ちゃん。
言ったでしょ?
ただ単に、うちのバカ息子が無茶しただけよ」
「…‥はい…」
力無く答える霧子に、千早は微笑みかけた。
「進二くん!!」
すると勢い良く扉が開き、肩で息をする希が入って来た。
「進二くん!!」
いつもとは明らかに違う希の姿に、千早と追田以外が驚いた。
焦り、恐怖、不安、それらが感じ取られる希の表情に、本願寺は納得した表情で、千早と追田は目を伏せた。
普段の希を知る霧子は、まるで希の姿をした他人と錯覚するほどに驚いた。
「君、彼は無事だから落ちt…「ッ?!ホントですか?!」…」
一心不乱に進二の名を叫び続ける希を止めようと、医師は希の肩を掴む。
瞬間、希は医師の両腕に掴みかかり叫んだ。
この行動は予想していなかったのか、千早も驚いた。
「本当です…‥ただ‥」
医師の言葉に安堵する希。
だが医師の次の言葉に、希を含んだこの場にいる全員が驚いた。
「バイタルからしてみれば、本来なら意識を取り戻してもおかしくない筈なんです。
よほど疲労が蓄積されていたのか…‥
あるいは、事件に巻き込まれた精神的ショックから…彼自身が無意識に目覚める事を拒否しているのか…
もし後者なら、しばらくの間…このまま目を覚まさない可能性もあり得ます」
その言葉を聞いた瞬間、周囲は驚きの表情を浮かべ、希はその場に泣き崩れた。
ーーーーーーー
時刻も夜22時に差し掛かるころ、霧子からの情報を基に捜査をした刃野が病室に訪れ、追田は刃野と共に署に戻った。
落ち着きを取り戻した希と西城は本願寺に送られ、帰宅した。
病室に残った千早と霧子。
無言が続くなか、霧子は口を開いた。
「‥‥あの、千早さん」
「…‥何?」
「東條さんの事………何か知っているんですか?」
「…‥どうしてそう思うの?」
「さっきの東條さんを見た時、千早さんは‥‥なんと言うか、東條さんがああなるのを“分かっていた”様に感じられたので‥‥」
「それを聞いて、貴女はどうするつもり?」
「っ?!」
さっきまでとは違う圧のある声色に、霧子はたじろぐ。
「‥‥驚かせちゃったかしら?
ごめんなさい‥‥でも、この事に関しては…いくら霧子ちゃんや西城くん‥穂乃果ちゃん達にも話せないわ」
「高坂さん達にもですか?」
千早は静かに頷く。
「詳しい事は、進二と希ちゃんしか知らないわ。
私や追田さん達は“表向きの内容”しか知らないの‥‥」
「‥‥どういう事ですか?」
「隠してるのよ…‥何か、大事な事を…この子達は…」
千早は静かに進二を撫でると、再び話し始めた。
「もうすぐ1年になるわ‥‥“あの事件”から」
「…あの事件?」
霧子が尋ね返すと、千早は霧子を見つめる。
その瞳に霧子は息を飲んだ。
「この話しは、直接この子か希ちゃんに聞いてちょうだい。
ただ‥‥」
「ただ?」
「もし話しを聞いて、この子や彼女を糾弾したら‥‥私は貴女を一生許さない」
「…………」
彼と希の過去に何があったのか。
霧子は眠る進二を見つめた後、千早に一礼をして病室をさった。
ーーーーーーーー
病室を後にした霧子は、帰路についていた。
ーーー(隠してるのよ…‥何か、大事な事を…この子達は…)
泊さん達の過去に、何があったのかしら…
『気になるのかね?』
「クリム…」
考えながら歩いている霧子の側に、シフトスピードを操った
「貴方は何か知っているのですか?」
『…yes‥…ただ、ワタシもMrs.千早の言う表向きの内容までさ…
とても十代の若者が背負う内容じゃない…
それに進二からこの事は他言しないよう、頼まれている』
「そう…ですか…」
『もし…この事を彼に尋ねるなら、彼との今後の関係に支障が出るかもしれない。
下手をすれば、君たちの関係を壊しかねない…
真相を知りたいのなら、それだけは…肝に命じておいてくれ』
「分かりました…」
相棒だと言うのに…‥
何も出来ない歯痒さが、霧子を襲った。
ーーーーーーーー
翌日、霧子は進二の様子を見に病室を訪れた。
「…‥東條さん?」
病室に入ると、そこには椅子に腰かけた希がいた。
「……あ…霧子ちゃん、おはよ」
「おはようございます」
無言が続く、霧子はあまり人とは話さない為か、あまり友人関係は広くない。
ましてや希とは別のクラス。
絵里やにこ、希と話すときは、いつも進二が間を取り持っていた。
静かに時間だけが過ぎるなか、希が先に口を開いた。
「…昨日は、恥ずかしいとこ見られてもたな」
「いえ…」
「「…………………」」
「東條さんは、泊さんとどういったご関係なんですか?」
「…せやな…友達以上恋人未満?なんて…」
「…………」
「冗談やから睨まんといてぇな。
…まぁ……強いて言うなら……一種の共犯者…かな…」
「共…犯者…?」
「うん…‥」
そう言った希は暗い表情を浮かべた。
「ウチらの為に進二くんは…‥…
…………人を……殺してもたんや…」
「…………え?」
-------
昼休み、霧子はローカを歩きながら今朝希と話した事を思い出していた。
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「泊さんが、人を‥‥殺した……?」
「と言っても、殺意を抱いて手にかけた訳やないよ?」
そう言いうと、希は眠る進二の手を握った。
「もうすぐ1年か……
あの事件で、ウチ等の関係は大きく変わってもた」
(あの事件‥‥もしかして千早さんが言ってた1年前の……)
霧子は希の話しを聞き、千早から耳にした話しを思い出す。
「1年ぐらい前に、ウチ等はある事件に巻き込まれてな。
そん時に一緒にいたのが、進二くんにウチ、エリチと…‥明くん…」
「泊さんと絢瀬さんが……
その、もう一人の方は…」
「絢瀬 明……進二くんの親友にして最高の相棒‥‥
そして、エリチの従兄弟にあたる人や」
「絢瀬さんの……」
「その事件を、進二くんと明くんが解決したんよ」
「泊さんがですか?」
希は静かに頷く。
「でも…‥それは世間からしてみれば良い結末だったけど、ウチ等には最悪な結末をやった」
「最悪な…結末?」
暗いながらも柔らかい笑みを浮かべながら話す希は、霧子を見る。
その表情は厳しく、真剣なものになった。
「…‥霧子ちゃんは、“大切な人の為になら…殺す事…同じぐらい大切なものを犠牲にする事が出来る?”」
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霧子は図書室の一角、古い新聞や週刊誌が置いてある場所で、ある資料を探していた。
「…‥……あった」
資料手にした霧子はそれを基に、側にあるパソコンを使い、資料に書かれた内容を検索する。
そこに書かれていたのは、
-久留間ショッピングモールテロ事件-
「‥‥これが…」
霧子は資料を読み進める。
そこにはさまざまな内容や、事件に対する意見や見解もつづられていた。
「…………っ?!……
……そんな……こんなの…」
読んでいくうちに、目を背けたくなる。
霧子は資料を最後まで目を通すと、目に涙を浮かべた。
そこには、こう記されていた。
久留間ショッピングモールがテログループ「ネオシェード」により占拠され、内容は不明だがネオシェードは政府にある要求を提案。
要求を満たさない場合ショッピングモールを爆破、人質を皆殺しにすると言う犯行声明があげられた。
しかし政府は要求を拒否、これにより人質の男性1人が屋上から銃殺され、遺体は屋上から投げ落とされた。
遺体の身元はモールの警備員だと判明。
これにより警察は武装部隊の突入を決定。
硬直状態が続くなか、モール内で数発の発砲音が発生。
後に人質と思われる数十名がモールから脱出、それを合図に警官隊が突入、モール内を鎮圧した。
モール内を捜索中、最上階にて発砲音を聞いた警官が最上階に突入、そこにはテロリストと思われる男性と4名の学生が確認された。
現場に居た学生の内2名は軽傷、残り2名は重傷を負っており、その内の1人は瀕死の状態だった。
テロリストの男性は気を失っており、逮捕された。
軽傷を負ったのは若い男女で、擦り傷や切り傷によるものが大半で、男性の方は銃創や辺りに打撲を負っていたが命に別状はなかった。
重傷者の女性は、衣類を剥がれた状態で辺りに打撲の後があり、発見時には気を失っていた。
恐らくテロリストによる暴行を受けたものと思われる。
外傷は打撲程度だが、精神的ストレスからか、意識を取り戻した際に一部の記憶障害を確認。
同じく重傷者の男性は背中に銃創を受け、辺りに打撲、切り傷などが確認された。
発見後男性は病院に搬送されたが、搬送後病院にて死亡が確認された。
学生達本人の供述から、以下の事実が判明した。
実際あの場に居たのは7人で、そこにはテロリストの幹部と首謀者の2名、学生4名と人質にされていた子どもが1名だった事が判明。
警察が駆けつけた時にはテロリストの首謀者は逃亡、子どもは連れ去られ行方不明となった。
死亡した学生の死因は、片方の学生がテロリストから拳銃を奪い発砲、その弾がテロリストと掴み合っている学生に当たったとのこと。
発砲した学生本人の供述だが、真偽は不明。
「………………」
霧子は無言のまま記事を見つめる。
恐らく4人の学生とは進二達のことだ。
そう直感した霧子はある部分に目をつける。
「記憶障害…?」
希の話しを聞く限り、彼女である可能性は低い。
あるとすれば………
「もしかして…絢瀬さんが?」
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放課後、霧子は下校しようと鞄を手にし、教室を出た。
「詩島さん、少し良いかしら」
「絢瀬さん?」
背後から呼び止められ、振り向く霧子の前には小さな花束を持った絵里が立っていた。
「何かご用ですか?」
「頼みたい事があるの」
そう言って絵里は手にしていた花束を渡す。
「これ、進二の所に持って行って欲しいの。
今日の会議で私と希はお見舞いに行けないから」
「分かりました……あの、絢瀬さん」
「何?」
貴女は1年前あの事件にどう関わっていたんですか?
そう言いそうになった霧子は言葉を呑む。
軽々しく聞いていい内容ではない、私の考えが正しければ、絢瀬さんの身内を手にかけたのは泊さんだ。
そんなの、絢瀬さんに聞ける訳がない。
それにもし“あの記事に書かれていた事”が事実なら……
そう思い霧子は口を閉じた。
「どうしたの?」
「いえ、何も…
分かりました、泊さんの病室に持って行きますね」
「ありがとう」
そう言い残して霧子は絵里と別れ、病院へと足を運んだ。
ーーーーーーーー
夢を見ていた…‥
小さい頃に親父に連れられ遊びに行った日に、俺は迷子になった。
そこで俺は、1人の少女と出会った。
綺麗な歌声、俺は彼女の歌声に聞き惚れた。
「歌上手だね」
「ーーーーー!」
「俺は泊 進二!キミは?」
「ーーーーー!」
「いっしょに遊ぼうよ!」
「ーーーーー!」
顔は影に覆われていて分からないが、どこか懐かしい…‥
俺はこの子を知っている?
どこで会った?
彼女は‥‥
…‥誰だ?
ーーーーーーー
「…………ん……?………ここは……?」
夢を見ていたのか?
俺は朦朧とする意識の中、辺りを見回した。
「目が覚めましたか?」
「………霧子…?」
目の前には安心した顔で俺を見る霧子の姿だった。
「登校前にお見舞いに来たんです。
でも良かった……丸2日死んだように眠っていましたが、無事で良かったです」
「…お前が、助けてくれたのか?
…‥ありがとな」
「いいえ、付近にいた方が助けてくれたそうです…‥」
そう言いながら霧子は側にある椅子に腰掛けた。
俺は再び天井に目を向け、先日の出来事を思い出した。
「っ!そうだ…‥フォントアール社が、爆薬の密輸を!」
『それなら既に、ワタシが伝えてあるよ』
俺は慌てて飛び起き、事件の真相を告げた。
詳細はベルトさんが話してくれたようで、霧子は分かってますと応え、俺の体を支えながらベッドに寝かし付けてきた。
「もう少ししたら、倉持さんの事情聴取を追田さんと部室で行います、ですから泊さんは休んでてください」
そう言って霧子は立ち上がると、病室を去っていった。
ふと時計を見れば、まだ朝の8時を過ぎたばかりだった。
「…休んでられるか」
霧子が病室から出ると俺はベッドから降り、壁に掛けられた制服に手を伸ばす。
海に落ちてずぶ濡れになったはずなのに、制服は磯臭いどころか、シワひとつ無かった。
制服を手に取ると、胸ポケットの中に紙が入っていた。
ーーーお父さんみたいに、あまり無茶はしない様に……千早
どうやらお見通しの様だ。
自然と口元が緩んだが、俺は再び顔を引き締め、シャツに袖を通した。
『進二、キミは何故、特状部の仲間や警察に正体を明かさないのか、ワタシに聞いたな』
「あぁ」
着替え始めた俺に、ベルトさんは話しかけてきた。
『かつて一人のある科学者がいた。
彼は人類にとって革新的な発明をした…
だがそれは、大きな破壊を生む結果となった』
いつものように冷静な口調で話すベルトさん。
その話から俺は、何を話したいのかを察した。
「要するに、ドライブの力はまだ…人間の手に余ると‥‥」
『yes。
ロイミュードと戦うためとは言え、ドライブ自体も‥重加速を引き起こせる』
「つまり、ドライブの力を悪用する奴がいるかも知れない…」
『その可能性は、なきにしもあらずだ』
「……なぁ‥もしかしてその科学者って、アンタの事か?」
俺はベルトの話した人物はベルトさん自身だと感じた。
『フフン♪ハズレだね‥‥
科学者の名はノーベルだ、ダイナマイト発明した彼は、後に世界平和を願ってノーベル賞を設立した』
「何だよ、上手くはぶらかしやがって」
俺はベルトさんのはぶらかし方に文句を言うと、ベッドに腰掛けた。
そして思い出す、先日の出来事を…
そして理解する、ベルトさんの話しの真意を…
「だが‥今なら分かる話だ…」
ベルトの隣に置かれたシフトブレスを手に取るも、今の俺はそれを腕に巻く事が出来なかった。
ーーーーーー
俺は学校に着くと、部室に向かうために走っていた。しばらくすると、向かいからにこがジュースを片手に歩いて来た。
「進二?!アンタもう退院したの?!」
俺の姿を見たにこは、驚きのあまり手にしていたジュースを派手にぶちまけた。
「退院…‥つうか…まぁ……」
ヤバイ……冷静に考えれば俺、病院抜け出してんじゃん……
「何よその歯切れの悪い返事は?」
ジト目で睨んでくるにこから、俺は視線を反らした。
「まぁいいわ。
それより一昨日は大変だったのよ」
「何が?」
「‥‥希がアンタの事を聞いた時に、軽くパニック状態になって気を失ったのよ。
たまたま近くに先生が居たから良かったけど…
目が覚めるなり病院に行かせてくれって」
「………………」
「アンタのせいじゃないのは分かるけど、少しは気にしなさい。
大事な人が居なくなるのは……ホントに辛いんだから…
アンタもそれくらいは分かるでしょ?」
「…あぁ‥‥すまない」
大事な人を失う悲しみを…俺達は知っている。
親友を失った俺達を励ましてくれたのは、他の誰でもない……にこだった。
彼女は父親を無くしていた。
彼女の弟が生まれた日に事故に合ったらしい。
そんな彼女だから、身近な誰かを失う辛さが分かる。
何となくにこを見ていると、制服のポケットから1枚の紙がはみ出ていた。
「なぁにこ」
「何よ?」
「…それ」
「ん?…あぁこれね」
にこは紙を取り出した。
それは穂乃果達のライブチラシだった。
「お前も行くのか?」
「行くわけ無いでしょ」
そう言うとにこはチラシを俺に向けた。
「アンタはどうなの?行くの?」
「まぁ……そのつもりだが」
「…そ」
短く返事をしたにこは、どこか寂しげな表情を浮かべる。
俺はにこの過去を知っている。
ある意味それが、俺とにこの出会うきっかけとなった。
あの時のにこの表情を……痛みを…絶望を……
俺は知っている。
でも……きっとアイツらなら…
穂乃果達なら…にこを、救ってやれるのかもしれない。
そんな事を考えながら、俺はにこが散らかしたジュースを片付ける手伝いをした。
ーーーーーーーー
すでに新入生歓迎会が始まるなか、俺は部室棟に足を運んだ。
俺が部室に入ると、すでに事情聴取が始まっていた。
「あんれ~?泊ちゃん、早いね~。
そんなに急がなくても良かったのにぃ‥
体はもう平気なの?」
「えぇ、まぁ‥‥」
本願寺先生は俺の側まで来ると、そぅと言って肩をパンパンと叩いた。
「なら良かった。
いやね?倉持さんたらだんまりしちゃって、話しにならないのよ~…困ったねぇ~…」
俺は聴取が行われている霧子達の方を向いた。
そこには長机に向かい合って座る倉持さんと霧子、その隣には現さんが座っていた。
「なぁ社長、これは取り調べじゃ無いんだからさ、もっと気楽に…お喋りしような?」
そう言いながら現さんは、究ちゃんの机にあったぬいぐるで倉持さんに語りかける。
「今回密輸に使用されていた爆薬は、法律上で禁止されている科学化合物です。
フォントアール社なら、製造が可能ですよね?」
そう言って霧子は、手元の資料を倉持さんに突きつけた。
それでも黙秘を続ける倉持さんに、俺は真相を尋ねた。
「なぁ倉持さん、本当の事を言ってくれ。
アンタが作って密輸していたのか?あんな危険な爆薬を?
なぁ…応えてくれよ?!どうなんだよ?!応えろよ?!倉持さん?!」
「ちょっと泊さん?!」
「そこまでにして下さい」
気付けば俺は倉持さんに掴みかかり、恫喝まがいな聞き方をしてしまっていた。
ただ一言、違う、俺はその一言が聞きたかった。
ヒートアップする俺を、みんなが抑える。
そんな中、部室の扉を開き入って来た桐原さんの言葉に、俺達は落ち着きを取り戻した。
桐原さんが来た、後は桐原さんに倉持さんの事を任せるしかない、この人なら真相を暴き出してくれるはずだ。
…‥‥‥‥そう、思っていた
「倉持社長には、お帰り頂きます」
…‥‥‥‥っえ?
「これ以上の取り調べはご遠慮頂きたい」
何でだ……何を言っているんだ?
桐原さんは、何て言ったんだ?
「取り調べも何も、ただ任意で話しを聞いているだけじゃないか?」
現さんは桐原さんにかけよるが、桐原さんは首を横にふると淡々と話しだす。
「勝手な事をしないで貰いたい。
いくら協力関係にあるからといっても、取り調べの権利はこちらにあります。
ただの学生がでしゃばらないで下さい」
「現に証拠が出ている、帰す訳にはいかないでしょう?!」
桐原さんに食って掛かる現さんに、桐原は表情を変えず話す。
「学生が集めた物を鵜呑みにする訳にはいかないでしょう。
それに、貴殿方一課は管轄外です。
仮にその資料が正しかったとしても、製造を裏付けるかどうかは別問題。
よってこの件は証拠不十分、倉持さんにはお帰り頂きます」
桐原さんの言葉に誰もが驚く。
理解出来ない。
これだけの証拠を前に、倉持さんを見逃すつもりなのか?
「もう、いいですね?」
困惑する俺達をよそに、倉持さんは涼しげな顔で席を立った。
「では失礼‥」
「アンタやっぱり…」
倉持さんの表情、態度から嫌でも分かる。
すれ違う瞬間、倉持さんは“笑っていた”。
「おい‥ちょっと待てよ」
「止めなさい」
俺が倉持さんに掴みかかかろうとした瞬間、背後から桐原さんに止められた。
「どういう事だよ桐原さん、説明してくれ」
苛立つ俺は桐原さんに問い詰めた。
そしてかえって来たのは、予想外の答えだった。
「残念ですが、公安委員会の判断により、契約を破棄、事件の捜査からてを引いて貰います。
それと今回の事件にまつわる全ての捜査関係資料は公安が管理、資料回収完了までこの部屋から立ち退いて貰います。
それにあたって、
桐原さんの言うメインシステムは、りんなさんのアイデアの基、究ちゃんがプログラミングしたアプリ型の通信エンジンだ。
重加速を感じた人がアプリを起動、通報する事でその情報を共有。
アプリをダウンロードした人はその周辺の重加速を知ることができる、といったシステムで、特状部にはその情報を全て管理する事が出来るものがある。
それがメインシステムだ。
桐原さんの言葉に頷くりんなさんは、部室にあるどんより通報管理システムの前に向かう。
「そんな事したらどんよりの通報が見れなくなっちゃいますよ?!」
「ごっめ~ん☆」
慌ててりんなさんを止めようとする究ちゃんは、りんなさんから書類でアッパーカットを食らい、倒れたところを霧子に流され地に伏した。
…‥‥受け止めてやれよ霧子
「止めてください!」
りんなさんの肩を掴み自分の方を向かせた霧子は、悲しげな表情をしていた。
だがりんなさんは悪びれる様子もなく、霧子の手を掴み肩から離した。
「ダメよ~…霧子ちゃん、偉い人に逆らっちゃ☆」
いつもの様にキャピキャピとした態度で霧子に向かって手を広げる、それを見た霧子は目を見開き、次の瞬間にはりんなさんを睨み付けた。
「りんなさん‥‥貴女にはガッカリしました」
「ひど~い、どうして?」
「公安部に媚びて、私達を裏切ったからです」
「私がどこで何しようと、勝手だと思うんだけどなぁ」
そう言ってシステムの電源を落とすりんなさん。
「では、貴殿方にも退室して貰います」
「バイバ~イ♪」
りんなさんに見送られながら、俺達は部室を追い出された。
ーーーーーー
新入生歓迎会が終わり、様々な部活が新入生を勧誘する。
そんな中俺達は、桐原さんが部室を占領され、捜査協力の契約を破棄されたことにより、特状部はやる事がなくなった。
いく宛もなくただ単にぶらついていると、俺は無意識に屋上に来ていた。
「はぁ…」
ひとやすみるくを取りだし、口にしようとするも途中で止まる。
ーーー(人間の本質は…悪となった)
「結局、あの死神の言う通りか…」
脳裏に浮かぶ死神のセリフに俺は苛立ちを感じ、屋上の手摺に拳を振り落とした。
鈍く響く金属音、じわりと拳に痛みがはしる。
「じゃあ…‥‥正義ってどこにあんだよ‥‥
手摺に落とした拳に数滴の涙が落ちた。
裏切られ、突き放され、何を守ればいいのか、俺は全てを見失った。
「物に当たるのは感心しないな」
ふと背後から声が聞こえ、振り返った。
「‥呉ちゃん」
そこには呉ちゃんが、担任の教師である呉島 貴虎が立っていた。
「少しいいか?」
そう言って俺の隣に立ち、手摺に背中を預けるようにもたれかかる、その両手には缶コーヒーが握られていた。
「まぁ飲め」
「‥ぁざっす」
缶コーヒーを受け取り、俺はそれを口にする。
同様に呉ちゃんもコーヒーを口にし、しばらく無言が続いた。
「……昔、ある男がいた」
沈黙の中、突然呉ちゃんは話しを始めた。
「その男は、その甘さと愚かさ故に騙され、裏切られ、見限られ、見捨てられた」
「…‥‥…‥‥」
「この世界には理由の無い悪意すら存在する、理由無き悪意‥‥それをよしとしないその男は、全てを犠牲にする覚悟でその悪に挑んだ‥‥が‥結果何も出来なかった」
「…‥‥…‥‥…‥‥」
「男は諦めた、そしてけして許されることの無い方法で世界を救おうとした。
これから起こりうる全ての罪を背負う‥‥その覚悟と共に‥‥男は決断した。
それが間違いだと分かっていても、男にはそれが限界だった。
仕方がない、自分にはこれぐらいしか出来ない、そう自分に言い聞かせ‥‥最悪な最善の策を選んだ」
話しつづける呉ちゃんは、どこか暗く、悲しげな表情だった。
「だがしばらくしない内に、男の前に1人の青年が現れた。
まっすぐな目をし、仲間と共に過ごすそいつは、その悪をよしとせず立ち向かおうとした。
男にはそいつが、昔の自分と重なって見えた。
共に手を取り、悪に立ち向かう事も出来た…‥
だが悪はあまりにも強大で、果てしない。
結果、男はそいつに現実を突き付け、絶望に叩き落とした」
「‥‥何でそいつは、そんなことをしたんだ?」
「…ただの嫉妬…いや、苛立ちからの八つ当たりか‥‥まぁそんなとこだ。
何も知らず、“お前達は間違っている”だの、“世界を守る”なんぞほざくそいつが、よっぽど勘にさわったんだろう‥
案の定そいつは絶望し失意のなか、奈落に落ちた」
すると呉ちゃんは飲み干した缶を足元におき、ポケットから一つの飴を取り出した。
「だがそいつは立ち上がり、男の前に立ちはだかった。
どんなに絶望の底に叩き落とされようと、己が信じた希望の為に何度も立ち上がり、戦い続けた」
手にした飴を見つめながら話す呉ちゃんは、さっきとは違う、柔らかい表情をしていた。
「そして、その男は自らが望んだ未来を手にした。
だが‥‥それはそいつから、全てを奪う結果となった」
「‥?‥‥それってどういう‥‥」
すると呉ちゃんはしまったと言わんばかりの表情をした。
「すまん、話し過ぎたな」
すると呉ちゃんは手にした飴を俺に向けた。
「お前は飴が好きだったよな?」
「‥ありがとうございます」
俺がオレンジ色の飴を受け取ると、呉ちゃんは空を見上げた。
「泊…‥‥お前は“アイツ”に似ている‥‥」
「アイツ‥って‥‥?」
「‥俺の恩人‥‥と言ったところだ」
すると呉ちゃんは思い出したように告げた。
「そうだ、お前に渡す物があった」
そう言って呉ちゃんが取り出したのは、一枚の紙だった。
「何ですか?これ‥」
「事情はある程度聞いている。
海に落ちたお前を助けてくれた方だ、礼を言っておけ‥‥」
「はい…‥‥小泉?」
相手の名前も書かれており、俺は携帯を取りだし、番号を打ち込む。
「まったく…海に落ちるなど、他人の気がしないな」
呉ちゃんが小声で何か言った気がした。
気になったものの、ちょうど電話が繋がった為、聞く事を止めた。
「もしもし、小泉さんでしょうか?
泊と言う者ですが…」
ー〈あぁ、あん時の兄ちゃんか〉
「先日はどうも助かりました」
ー〈いいって事よ。
実は、仮面ライダーのついでだったんだけどよ〉
……仮面ライダーのついで?
ー〈実は俺、フォントアールの運転手やってんだ〉
その瞬間、俺は思い出した。
あの時、フォントアールの輸送車を守った際に出会った運転手を……
ー〈前に仮面ライダーに助けてもらってよ、その恩返しをしようとしたら、あんたを見つけたんだ〉
……そっか‥‥俺を助けようと‥
「ありがとうございます」
ー〈だからいいって。
実のところ、あんた自身にも用があったからな〉
「俺にですか?」
ー〈いや、妹が何度か世話になったみたいでな?〉
「妹さんが?」
この時、俺の脳裏に小泉の顔が浮かんだ。
ーーー(兄を助けて頂き、ありがとうございます)
「もしかして、小泉さんの…」
ー〈あぁ、花陽の兄の小泉 勇蔵だ。
妹が世話になってる〉
「いえ、こちらこそ」
ー〈まぁなんだ、妹がいろいろ世話になってるし、そのお礼ってことで‥〉
「はい‥」
ー〈後それと……〉
「?」
ー〈妹泣かせたら…ただじゃおかねぇからな?〉
「は、はい!」
何だよ電話越しに来るこの殺気…‥
何だろう‥‥小泉を泣かせると、黄色い忍者にボコられそうな気がする。
ー〈まぁともかく、無事で良かったよ〉
「はい、本当にありがとうございました」
俺が電話を切ると呉ちゃんが再び話しかけて来た。
「ちゃんと礼は言えたようだな」
「はい」
「世の中捨てた物じゃない。
確かに世界は悪に満ちているだろう…‥‥
だがそんな世界でもまっすぐ生きている奴はいる、きっとそいつらは…アイツの様に輝いて見えるのだろうな…‥‥」
そう言った呉ちゃんは出入口の方を向きだした。
「そろそろ出てきたらどうだ?」
「え?」
呉ちゃんの言葉に姿を見せたのは、小泉 花陽だった。
「小泉?」
「こんにちは、先輩。あの、お体の方は‥‥」
「ん?…あぁ、問題ないよ」
答える俺の顔を、小泉はじっと見つめる。
「あの‥先輩、良かったらこれ‥‥」
そう言って小泉が出したのは、穂乃果達がするライブのチラシだった。
「わたし、辛い時や悲しい時とか…‥アイドルの歌を聞くと、元気になるんです‥だから‥‥」
「どうして…‥」
「先輩、どこか辛そうだったので‥‥
それで…よ、よければご一緒に‥‥
あっ‥‥よ、余計なお世話ですよね?!
ごめんなさい!」
盛大に頭を下げる小泉に、俺は大丈夫と答えた。
…‥で、
「何で小泉がここに?」
「実は新入生歓迎会が終わったあと、凛ちゃんと2人でいろいろ部活を回っていた際に、詩島先輩とお会いして、そしたら先輩が海に落ちたって聞いて‥‥居ても立ってもいられなくて‥‥」
「なるほど…でも何でここだと?」
すると小泉はポケットから1つの手帳を取り出した。
「それは?」
「詩島先輩がくれたんです、何でも先輩の全てを記した物らしくて…好きな物とか、よくサボりに使う場所とか…」
霧子の奴‥いつの間にそんな物を…
「ほぅ…それは興味深いな‥‥」
そう言って割って入って来た呉ちゃんは、小泉から手帳を取り上げるとそれを読み始める。
「ふっ…‥なるほどな…」
あっ…‥‥一番渡ってはいけない人物に手帳が渡ってしまった。
「これは俺が詩島に返しておこう」
そう言って呉ちゃんは去って行った。
「えっ…と…‥‥
先輩、大丈夫ですか?」
「うん…‥‥これから大丈夫じゃ無くなるかも…」
床に四つん這いになってへこむ俺を、小泉は心配そうに見ていた。
「かよちんいたー!あっ!先輩こんにちはー!」
突然現れた星空は小泉の手を掴んだ。
「かよちん行くよ?
先輩の変な部活は行けなかったから、一緒に陸上部見に行こ」
「り、陸上部?!でも、わたし先輩と…」
「かよちん、少し運動してみたいって言ってたじゃーん、早く陸上部に行っくにゃー♪」
「ちょっと凛ちゃん?!まだ先輩と話しが?!
ちょっ…ま、せっ‥センパイタスケテー?!」
叫びながら物凄い速度で連れ去られる小泉を、俺は苦笑いしながら見送った。
ーーーーーーー
音ノ木学園 食堂ホール
そこには部室を追い出され、食堂で暇をする者がいた。
「何でこんな事になっちまったのかな~…」
「仕方ないですよ、警察の方から契約を破棄したんだから、僕達に出来る事なんて無いですよ。
‥‥……ていうか、何で追田警部が居るんですか?
しかもうどんなんか頼んで……学校としては一応部外者ですよ」
食堂に居たのは、部室を追い出された究と追田だった。
うどんをすすり終えると、追田は話した。
「細かい事は気にすんな、究太郎」
「究ですよ、究。
西城 究、究太郎じゃありません」
間違いを訂正した究の言葉を、追田は聞き流しながらうどんを食した。
「しかし…‥こうなると、何か俺まで悔しくなるぜ…」
「もう追田警部も立派な僕達の仲間ですよ。
怪物も、仮面ライダーも見たんだから‥‥」
「そうだった…‥俺、とうとう見ちまったんだ…」
究の言葉に、肩を落とす追田。
そんな追田をよそに、究は目を輝かせながら尋ねた。
「ねぇ、仮面ライダーって、どんなデザインだったの?」
あまりの気迫に、追田はたじろぎながら答えた。
「‥‥あ、赤かった…」
「うんうん」
「‥‥手が」
「手しか見てないのか~…
なんて使えないんだこの人は…」
「そこまで言わなくてもいいだろ」
がっかりしながら席に戻った究は、ポケットから1枚の紙を取り出した。
「それ何だよ、究太郎」
「ライブの告知のチラシです、クラスメイトがスクールアイドル始めたんで」
「アイドルねぇ‥‥俺ぁ興味無ぇな…」
興味無さげに再びうどんをすする追田。
「一度聴いてみるといいですよ、きっと気に入りますから」
「いいよ俺ぁ、ただ単に若い娘っ子が歌って踊るだけだろ?芸がねぇよ」
「アイドルをバカにするなんて、なんて人だ!」
「2人共!何喧嘩してるんですか?」
追田は究の提案を一蹴、その理由に究は腹を立て、喧嘩に発展、その喧嘩を止めたのは霧子だった。
「2人に頼みたい事があります、手伝ってください」
霧子の言葉に、2人は首を傾げた。
ーーーー-----
屋上から場所を変え、ライブまでの時間潰しに俺は校内を歩き回った。
「進二くん?」
中庭に入ると、背後から声をかけられた。
振り返るとそこには、資料を両手に抱えた希が立っていた。
時間的に、新入生歓迎会の資料だろう。
「進二くん!?体は大丈夫なん?!」
俺の姿を確認したであろう希は、両手の資料を放り出して駆け寄ってきた。
「怪我は?!もう平気なん?!」
「あ、あぁ…」
「ホントに?」
「あ、あぁ…大丈夫だ、落ち着け」
「そぅ…良かった…」
「希?」
「‥‥‥‥‥‥っ!」
次の瞬間、俺の脳細胞はエンストを起こした。
「のっ、希?!」
突然抱き付いてきた希に、俺は成す術が無く、ただ呆然としていた。
両腕を首に回し、もたれかかる様に俺に抱き付く希は、小さく声を漏らした。
「‥‥っ、‥スン‥良かった…
‥本当に、良かった…」
「希‥‥」
「病院で目が覚めないって聞いた時、怖かった…
今度は進二くんが居なくなるんじゃ無いのかって‥」
そう言った希は腕に力を入れ、さらに体を寄せる。
「もう…誰かが居なくなるのは嫌だよ…」
「……すまん」
いつもの話し方を忘れ、素の自分をさらけ出す。
そこにはいつもの様な明るい表情はなく、今にも泣き出しそうな弱々しい表情をする希がいた。
そんな希に、俺は謝る事しか出来なかった。
互いに無言、静寂の中に希のすすり泣く声が頭に響く。
また、希を泣かせてしまった…
「悪かったな、心配かけて…」
罪悪感と後悔がのしかかる中、俺は希の頭を撫で、もう一度謝った。
そして気付く、今の自分の状況を、今俺達が居る場所を……
周りに居る生徒達が、騒いでいる。
女子は小声でキャーキャーと騒ぎ、男子は何やらニヤニヤと笑う者と仇を見るかの様に睨み付けてくる者が。
ある者は指をさし、またある者は携帯で写真まで撮り始めた。
……恥ずかしい…
「な、なぁ希?そろそろ離れないか?」
無言で首を横に振る希は、さらに体を寄せる。
必然、そうなると希の持つ2つの膨らみは形を変えながら俺に当たる。
ーヤバい…
胸元に当たる柔らかい感触に、俺の理性が崩れそうになる。
だが、ある人物を目にしたとたん、俺は冷静さを取り戻すと同時に、その人物に殺意を抱いた。
何やらジェスチャーで伝えようとするソイツは、隣の生徒2人に何か頼み出した。
するとその2人の生徒は互いに抱き合う、それを指さし、満面の笑み+サムズアップ。
その片手にはビデオカメラがあった。
ー何やってんだあの
呆れた表情で戦極先生を見ていると、希が口を開いた。
「ねぇ…進二くん、約束して‥」
「…約束?」
「うん…無理やと思うけど、もう無茶せえへんって」
「‥‥あぁ、善処するよ」
「‥‥うん…」
希は俺から離れると、落とした資料を拾っているとふと周りを見回した。
「…えっ‥と‥‥?」
困り果てた希は俺を見る‥‥
ーうん、全部見られてた。
俺はどんな表情をしていいのか分からず、とりあえず希に頷く事にした。
すると希は顔を赤くし、資料に顔を埋める様にして、この場を去って行った。
希の様子を見て察したのか、周りにいたギャラリー共は何も言わず去っていく。
ただ1人を除いて‥‥
「泊 進二、何故あそこで抱きしめ返さない?
いつも公衆の面前で
全校生徒、教師の前で女生徒の胸を揉みしだいた男が、ハグに躊躇するのかい?
君はあれか?
貴虎と同じチキンか、君はチキンなのか?
付き合い出してから結婚するまで性行為はおろか、キスすら自分から出来なかったあの
だとしたらガッカリだよ、泊 進二。
まさか君まで
不服そうに、それでいて楽しそうにべらべらと喋る戦極先生は突然倒れた。
その後ろには、鬼の形相で倒れた戦極先生を見下ろす呉ちゃんが居た。
その右手には勢いよく何かを殴ったのか、背表紙から折れた出席名簿が握られていた。
「
戦極先生に一撃を入れた呉ちゃんは、手にした名簿を直しながら、まるでゴミを見る様な冷たい目を向ける。
「まったく‥貴様という奴は‥‥」
「呉ちゃん?」
「や、…‥‥やぁ…
「まだ懲りないのか?」
「むやみやたらに殴らないでくれたまえ貴虎。
私の体は君の様に全身ルナ・チタニウム合金で出来てないのだよ。
私は華奢なんだ、ガラス細工みたいなものなのだよ、もう少しデリケートに扱ってくれたまえ」
「誰が白い悪魔だ、そもそもガラス細工なのは貴様の人間性だ。
だいたい何故そんな事を知っている?」
「いやなに、晶くんから相談を受けただけだよ」
「やはりか…晶の奴、相談相手を間違えるにも限度があるだろ…」
「…ッフ」
ケンカをしている2人を見ていると、無意識に笑ってしまった。
「あ、すいません。
やっぱり2人って仲良いなって‥‥」
「別にかまわないさ泊 進二、まぁ私と貴虎は小学年からの仲でね、それなりに互いを知っているつもりだよ。
ちなみに湊くんと志渡とは高校の時からの仲さ」
「高校3年間同じクラスになれば、多少はつるむようになるさ」
「まぁ‥‥私と貴虎は小学年の頃を入れるなら、9年間ずっと同じクラスだがね」
「何故あの時、転校して来た貴様に声をかけたのか…今でも後悔している…人生最悪の間違いだった」
「酷いな貴虎。
そのおかげでこんな素晴らしい友にめぐり逢えたんじゃないか」
「どの口が言う」
笑いながら話す2人を見ていると、自分と絢瀬の姿が重なる。
「そういや先生、何時もと格好が違いますね?」
俺は何時もの白衣姿出ない戦極先生に質問をした。
今は4月の末、夏には少し早いような短パンに裾周りが少し長いカーディガン姿だった。
「あぁ…これかい?
私の私服さ、実は今朝貴虎にコーヒーを吹き付けられてね?
急いで着替えたのさ」
嫌みそうに言いながら戦極先生は呉ちゃんを見た。
すると目を背け、ばつが悪そうに呉ちゃんは話した。
「いきなりお前が飴を持って来るからだ」
「飴?」
「私が作ったフルーツフレーバーのキャンディさ。
どうだい泊 進二、1つ食べてみるかい?」
そう言いと戦極先生はカーディガンの裏に手を入れると、飴の入ったバスケットを取り出した。
………どうなってんだ…あのカーディガン…
俺は目の前で起こった手品の様な現象に驚かされた。
「“戦極キャンディ”だ。
フレーバーは、オレンジ、パイン、イチゴにメロン、ブドウにキウイにマンゴー、レモンとスイカにドリアン…バナナを作ってみた」
「えっ?!バナナ?!バナッ?!バナナ?!」
余りの衝撃に俺は取り乱した。
気のせいか、戦極先生がバナナのキャンディを取り出した際にファンファーレが聞こえた様な気がした。
実際、バナナやドリアンのフレーバーは見たことがない。
ある事はあるらしいが、余り良い評判は聞かない。
「そんな事より泊、園田を見てないか?
弓道の実演を頼みたかったのだが、いなくてな」
「あぁ海未達ならスクールアイドル始めたので、そのライb……」
ふと時計をみると、時刻は14時55分。
ライブまで残り5分だった。
「やっべ?!ライブ!!」
俺は全速力で講堂に向かった。
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音ノ木坂学園 講堂。
その舞台に立つ3人は、目の前に現実を突き付けられていた。
誰も居ない静かな舞台席、こらえようとするほど溢れだす涙、冷たい現実が穂乃果達を襲った。
走馬灯の様に駆け巡る練習風景、その記憶がより穂乃果を苦しめる。
「‥‥そりゃそうだ!
世の中そんなに甘くない!
…‥……ッ‥‥」
強がり。
穂乃果は周り心配かけまいと、作り笑いをする。
どんなに悲しくても、ここで泣いてはいけない……
無意識に、無自覚に、心のどこかでそう思う。
今にも泣き出しそうな穂乃果の顔を見たことりと海未、その目には涙が滲んでいた。
静かな講堂が、穂乃果達を絶望へと誘う。
泣け……
泣き叫べ……
そうすれば楽になる‥‥
現実に、真実に、世界に、絶望しろ‥‥
聞こえもしない幻聴が、穂乃果達に迫る。
声を上げ泣き叫ぼうとした瞬間、講堂に1つの音が響いた。
勢いよく開かれた扉、静寂に包まれた講堂にいた誰もが、音の先を向く。
そこに居たのは凛に連れられた花陽だった。
凛から逃れた花陽は息を切らせながら講堂に飛び込んできた。
「あれ?…ライブは?あれ‥‥?あれ~?」
困惑しながら辺りを見回す花陽を見た穂乃果の瞳には
、涙が浮かんだままだが、さっきまでとは違力強い眼差しになっていた。
「やろう」
「え?」
「歌おう、全力で!」
「穂乃果…」
「だって、その為に今日まで頑張って来たんだから!」
「「!!」」
穂乃果の言葉に海未とことりは思い出した。
自分たちが何の為にここにいるのか。
自分たちが何の為に努力して来たのかを。
「歌おう!」
「穂乃果ちゃん…
海未ちゃん!」
「えぇ!」
だが穂乃果達は無意識に辺りを見回す。
望むもう1人の観客が居ないことに、3人は肩を落とす。
それでも、たった1人でも、来てくれた
‥‥……瞬間
「……あれ?…‥もしかして…もう、終わった?」
待ち望んだ観客が来た。
「進‥‥にぃ?
何でそこに?」
何故か舞台裾から顔を出した進二に、3人はおろか、花陽にフミコ達までクスクスと笑いだす。
「近道して裏から入って来たんだが‥‥間に合わなかった?」
「だ、大丈夫だよ!
ささっ!席について~」
そう言って背中を押しながら舞台から進二を下ろす穂乃果の顔は、笑顔になっていた。
同様に海未とことりの表情も、明るいものになっていた。
進二が花陽の側に立つと、穂乃果は舞台へ。
フミコ達も、それぞれの持ち場に向かった。
舞台に並ぶ3人は、先ほどまでの悲しみや絶望を感じさせない、凛とした態度で立っていた。
そして、音楽が流れる。
~『START:DASH!』~
ステージで歌い、踊り舞う“3人”の少女。
それを間近で目を輝かせて見る少女と、少し離れ出入り口の扉の側で3人の歌に耳を傾ける“2人”少女。
そして、響く歌声、その音色につられるかの様に‥‥
“4人”の少女が訪れた。
ーーーーーーー
初めてだ…‥‥
俺は穂乃果達3人の歌に驚かされた。
隣では小泉が目を輝かせ、その隣の星空も食い付く様にライブを見ている。
かく言う俺も、完全にライブに魅了されていた。
3人が歌い終わり静まる講堂に、小さな拍手が、講堂に響き渡った。
「すごかったですね!先ぱぃ…先輩?」
「…え?」
小泉に声をかけられ気付く、
小泉の顔がボヤけて見える…
頬を何かが伝う‥‥
俺の目には、涙が浮かんでいた。
「ったく‥‥なんだよこれ‥‥なんつう歌詞だよ…」
袖で涙を拭いながら自然とこぼれる笑み…‥
そうだ…
俺が、
泊 進二が、こんな所で、こんな事で止まるわけ無い…‥
そんな事、俺自身が一番分かってる…‥
「…何かお前にも、励まされちまったな‥‥ライブ、誘ってくれてありがとな、“花陽”」
「っ!…はい!」
笑顔で答える花陽に俺は笑い返す。
その時、俺の携帯に着信が入った。
「もしもし、俺だ」
ー〈泊さん!倉持さんが何者かに拐われたと連絡が来たんです!〉
「何だって?」
ー〈おそらく拐ったのは‥‥〉
「輸送車を襲撃した奴等か‥‥」
ー〈それもクリムが感知出来ない範囲での犯行…‥メインシステムが無い以上、特定に時間がかかります。
シフトカーズを先行させていますので、泊さんはピットに、私はまだやることがありますから、それが済み次第…‥「いや、メインシステムを奪い返す」っ泊さん?!〉
「今から部室に乗り込んでみる。
今動けるのも、ロイミュードを止められるのは、俺達だけだ!」
ー〈…‥‥分かりました…私達も、すぐ向かいます〉
「あぁ」
携帯をしまい、目を閉じ、深呼吸をする
思い出せ…‥
最初に変身した時を…
初めて人を守った時を……
思い出せ……
絢瀬との約束を……
あの時に決めた覚悟を……
思い出せ……
俺が戦うと決めた理由を……
俺が守りたいと思ったものを……
「……繋げるまでもねぇ…」
目を開き、首もとに、ネクタイに手を伸ばす。
「行くんですね?先輩」
俺がネクタイに手を伸ばしたのを見て、花陽は尋ねる。
ネクタイを絞め、花陽の言葉に俺は答えた。
「あぁ、脳細胞が…トップギアだ!」
俺は席を外れ通路に出ると、その場で振り返り、ステージ上の穂乃果達に向けて叫んだ。
「3人共!」
「なーにー?進にぃ?」
3人を代表してか、穂乃果が答える。
「最っ高のライブだった!」
俺の言葉に3人は笑顔になり、嬉しそうに振る舞う。
「…ありがとな…励ましてくれて、思い出させてくれて」
「何か言ったー?」
俺が小声で呟くと、何かを感じたのか聞こえたのか、穂乃果は俺に呼びかけてきた。
「次のライブ!楽しみにしてっからな!」
「「「うん!(はい!)」」」
俺が振り返り通路をかけ上がると、向かいから絵里が降りてくる。
すれ違い背中合わせになった俺と絵里は、互いに足を止めた。
「海に落ちたって聞いてたけど、元気そうね」
「まぁ…心配かけたな」
「良いわよ……
貴方の場合、心配するだけ無駄だから。
ただ……‥もう希を、私達を泣かせるような事はしないで」
「…あぁ」
絵里はステージを向いたまま、視線を動かさない。
その瞳は、穂乃果達を捉えていた。
「それに…やっぱり貴方だったのね?彼女達に助力していたのは…」
「お前が何考えてるかは知らないけどさ、アイツらは諦めないぜ……絶対に」
「それでも……私にも譲れない物はあるわ」
「なら全力でぶつかれ?
アイツら…特に穂乃果、ピンクの衣装の奴は俺よりタフだから」
「言われなくても…そのつもりよ」
絵里はステージ向かい歩き出す。
それと同時に俺も出入口に足を運んだ。
「‥やっぱり来たんだな?」
「べ、別に!ただせっかく作曲したのに、変に歌われてないか気になっただけよ」
少し顔を赤らめながら視線を反らし答える西木野に、俺は吹き出した。
「何よ?」
「いや、やっぱりお前が作曲してくれたんだな?」
「えっ!あ、いや…だから、えっと…」
「ありがとな」
同様し、髪を弄りながら視線をそらし続ける西木野に、俺は礼を言った。
「また事件?」
出入口を過ぎると、壁に背を預けてもたれる希がいた。
「お前も来てたのか……西木野といい、絵里といい、にこにお前まで…」
俺は講堂を出る途中、隠れる様に姿勢を低くし、座るにこを見つけていた。
「行くん?」
「あぁ……いろいろと吹っ切れた。
それに…」
「それに?」
「“悲しみに閉ざされて、泣くだけじゃつまらない”からな……行ってくる」
「うん……あっ!ちょっと待って……はい!」
そう言って差し出されるカード。
「引けと」
俺は少し右側のカードを引いた。
「あれ?」
「どないしたん?」
「いや、2枚重なってた」
俺はくっついた2枚のカードをはがす。
「1枚目は…裸の男女?
2枚目はライオンと…飼い主か?」
俺が引いたカードの絵柄を言うと、希は引きつった笑みを浮かべる。
「何だよ‥‥。
結果気になるけど、俺急ぐから、またな!」
俺は占いの結果を聞かず走り出した。
ーーーーー
希は進二の引き当てたカードをみた。
「例えかた…やっぱり進二くん、すごいセンスやね」
希が持つ進二の引き当てたカード。
「恋人と力…
恋人は価値観の確立、絆、そして…‥情熱…
力の意味は強固な意志、勇気、…力‥」
進二が走り去った後を見つめ、希は小さく呟いた。
「溢れる情熱が…新たな力となる‥‥」
希は感じた、この2枚が進二だけをさすものでないと。
走り去る進二、その胸には情熱が、それが彼に新な力を与えてくれると。
講堂内で絵里と睨み合う穂乃果達、その瞳には強固な意志が、そして彼女達の絆が不可能を可能にするかもしれないと。
希はそれらを見て呟いた。
「完敗からのスタートか……」
その言葉を残し、希はその場を後にした。
~『きっと青春がきこえる』~
ーーーーーーーーー
講堂の向かいの校舎、そこに1人の男がいた。
呉島 貴虎は進二が走って行く姿を見つめ、小さく微笑んだ。
すると貴虎は、進二に渡したものと同じ飴を取り出した。
(本当にお前に似た男だよ、アイツは…)
取り出した飴を口に含み、舌で飴を転がす。
口の中に拡がるオレンジの味と香りに一息つき、貴虎は空を見上げた。
「今こうして世界があるのは、お前のおかげだ。
…だがお前は何がしたいんだ?
あの戦いで、“死んでいった奴らを生き返らせ、世界からあの戦いの記憶まで消して”、お前は何がしたい‥‥
それに…‥‥何故、俺なんだ‥‥…」
誰にも聞こえない様な声で呟く。
…‥‥…‥何故、“俺だけ記憶を残した”?
…‥何のためだ、教えてくれ…
‥…‥‥‥‥“葛葉”……‥
魔法使い「「キュアップ・ラパパ!」」
ケモ「……こいつらエクスプローションとか撃たないよな…」
どうも、キュアミラクルがエクスプローションを撃たないか、マジで気にしてるケモミミです。
遅れてすみません!
何とかタイプフルーツの伏線をはれた。
因みに、鎧武は本編通りで結末が同じ脚本家の魔法少女の様になっていると思って下さい。
仕事とココス通いとバトライドウォーとブレイカーで時間が無く遅れました。
誤字脱字あればご報告を!
まぁ、これからもいろいろとお待たせするかもですが、よろしくお願いいたします!