早くカクレンサイ。   作:ゆきほ。

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最後まで読んで欲しいです!!


第二話 ゲーム

「鬼が入ります・・・・・・鬼以外の八人の人たちは、早くカクレンサイ。」

校内に流れている放送は、私の居る屋上まで聞こえてきた。

その声が誰の声かなんて、考える暇なんて私には無かった。

これから自分がどうなるとか、どこに逃げれば良いのかとか。

なによりも・・・・・・。

 

栞が本当に鬼なのか・・・・・・。

 

それが一番気になっていた。

「と、とにかく、もっと逃げ場がありそうな校内に入ろう。」

屋上じゃあ逃げるルートが限られてしまうから。

とりあえず、ルートが広そうな校内に入る。

屋上とは違って、校内は寒い。

風とかの寒いじゃなくて、この寒いはもっと、こう・・・・・・。

何か恐ろしい寒さだった。

そして何よりも、血生臭い。

臭いが鼻を通ると激しい嗚咽に襲われた。

「キャーーーー!!」

長い廊下の奥から聞こえた女の悲鳴。

怖くなり、反射的に廊下の隅で座り込んでしまう。

ガクガクと震える足。

ハァハァと荒くなる呼吸。

「・・・・・・一人が殺されました。」

放送が流れた。

人が死んだと言う放送。

さっきの悲鳴は多分・・・・・・凜。

震える足でゆっくり立ち上がり、悲鳴の聞こえた方に向かって歩く。

本当は行きたくない。

でも、何か凜の身にあったのは間違いない。

それに、何か進展があったなら・・・・・・嫌でも見に行かないと。

少し歩くと、暗い廊下のド真ん中に倒れ込む人の影が見えた。

走って駆け寄る。

「う゛っ!!?」

もう誰だか分からないくらいグチャグチャの死体。

胸ポケットに入っている生徒手帳には、牛山 凛と書いてあった。

激しい血の臭いと、グチャグチャの死体に吐き気が止まらない。

「ふぅーはぁー、うぅ、ん?教室の鍵?」

ほぼ原型を留めていない凜の死体の手に、強く握られている鍵。

鍵を取り、確認してみる。

「図書室の鍵・・・・・・凜、生徒手帳借りるね。」

何かの役に立つかも知れない。

凜の死体をその場に残し、その場から立ち去った。

「・・・・・・何だろう。何かが引っ掛かる。」

"カクレンサイ"を始める前、私たち八人は一緒に居た。

"カクレンサイ"は普通「始め!!」と言った場所がスタート地点。

私たちの場合は鈴花の家で"カクレンサイ"は始まる。

皆同じ場所に居ないといけない。

なのに私たちは学校に飛ばされた。

しかも皆バラバラで。

そこが凄く引っ掛かるんだ。

栞の自殺した場所が学校なのと、何か関係あるのだろうか。

「おーい!明日香!」

廊下を歩いていると、後ろから男子の声がした。

振り返るとそこには、井村 慎が居た。

「井村くん!!無事だったんだ!!良かったぁ。」

さっきまで恐怖が少し和らぐ。

きっと独りより二人の方が安心するんだ。

「明日香こそ大丈夫だったかよ。さっきの悲鳴と放送聞いて心配でよ。」

「う、うん・・・・・・私は全然。でも、凜が。」

思い出すと目に涙が浮かんできた。

そんな私を井村くんは、優しく抱き寄せた。

別に好きでもないし、付き合っても居ないのに、その時は時間が止まれば良いと思ってしまった。

「牛山は気の毒だったけど・・・・・・俺たちが牛山の分まで頑張れば、きっと皆助かるよ。」

「うん。」

私は井村くんの言葉に静かに感動した。

凄く共感できる。

井村くんは私の顔をジッと見て来た。

「そう言えば、明日香。カクレンサイが始まった時、何処にいたんだよ。」

その言葉に違和感を覚える。

私の居た場所?

「屋上・・・・・・だけど。」

「屋上!?何で明日香だけ屋上なんだ?」

私・・・・・・だけ?

どうして?

さっき消えたはずの恐怖がまた出て来る。

怖い。

「俺たちは皆・・・・・・。」

聞きたくない。

両手で両耳を塞ぐ。

グッと目を瞑る。

「う゛ぁあああ!!?」

急に悲鳴を上げる井村くん。

目も耳も両方塞いだまま、一体どのくらいの時間が過ぎたんだろう。

ほんの数秒が長く感じる。

「・・・・・・二人目は鬼に殺されました。」

強く塞いで居たのにそれだけは、はっきり聞こえた。

恐る恐る目を開ける。

そして本日二度目の本物の死体を目にする。

「ふぅーはぁー。」

深呼吸して、正気を保つ。

目の前で井村くんは死んだ。

だとしたら、井村くんを殺した犯人は、直ぐ後ろにいるはず。

「し、栞?居るの?」

久しぶりに名前を呼ぶのに、こんな形で呼ぶなんて。

辛すぎるよ。

「___明日香。」

完全完璧に栞の声だった。

安心して後ろを振り返る。

周りを見渡すが、誰もいない。

栞の声。

三週間ぶりに聞いた。

「待ってて、絶対にこのゲーム・・・・・・終わらすから。」

とにかく今は、図書室へ行こう。

 




ありがとうございました。
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