魔術の支配者   作:∞地蔵

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はぐれ悪魔狩りと予期せぬ乱入者

 はぐれ悪魔。それは上級悪魔に下僕として転生した者が、自分の主を裏切り、主を殺した者達。悪魔の力は強大でありその力を私利私欲の為に使い暴れまわる。それがはぐれ悪魔である。はぐれ悪魔は発見しだい、その悪魔の主、もしくは他の悪魔が討伐する事になっている。

 

今俺達は町外れの廃屋に来ている。何でもはぐれ悪魔がここで人間を食らっているので討伐してほしいと依頼が届いたらしい。

 

時間はすでに深夜であり、悪魔ならまだしも人間である俺からすればあまりよく見えない。俺達は緊張しながら廃屋に近づくと

 

「……血の臭い」

 

小猫ちゃんは小さな声で呟くと制服の袖で鼻を隠す。しかし、血の臭いなんかまったくしないのできっと小猫ちゃんの嗅覚がすごいんだろうと自己完結する。

 

辺りは静まり返り物音一つせず俺達が歩く音のみが周囲に響く。しかし、これだけ静かでもこの辺りに広がっている殺気はすごい。よくはぐれ悪魔狩りをしていた俺はこの程度の殺気は慣れているが悪魔になりたての一誠はどうだろうか?俺が一誠の方に視線を向けると一誠は足をガクガクと震わせていた。

 

「イッセー、輪廻いい機会だから悪魔の戦いを経験しなさい」

 

しばらく歩いていると部長が突然そう言った。しかし、本気か。俺は大丈夫だが一誠はこの前まで普通の高校生だったんだぞ。

 

「マ、マジですか!?お、俺戦闘なんてしたこと有りませんよ」

 

一誠は自分が戦わされると思ったのか焦りながら部長にそう言う。

 

「そうね。それはまだ無理ね」

 

あまりにあっさり言い渡されて、一誠は地面に膝をつきショックをうけている。

 

「でも、悪魔の戦闘を見ることはできるわ。今日は私達の戦闘をよくみてなさい。ついでに下僕の特性を教えてあげるわ」

 

「下僕の特性?」

 

悪魔の事をよく知らない一誠は頭の上にハテナマークが浮かんでいる。

 

「主の悪魔は自分の下僕にそれぞれ特性を授けるの」

 

そして部長は悪魔の特性について語り出す。

 

「上級悪魔はそれぞれ下僕を持つことが出来るの。その下僕にはチェスと同じ役割が存在するの主となる者が『王』。私達のなかなら私のことね。そしてそのほかに『女王』、『騎士』、『戦車』、『僧侶』、『兵士』と五つの特性があるの。これが上級悪魔に人気なの」

 

「それの何が人気なんですか?」

 

「競うようになったのよ『私の女王は最強よ!』『私の戦車の方が強いわ!』って。その結果自分の下僕を使い大掛かりなチョスのようなゲームができたわ。私達はこれを『レーティングゲーム』とよんでるわ。このゲームは大人気で今では大会も行われているわ。このゲームの勝敗が悪魔としての地位に影響するほどね」

 

一誠を見ると複雑過ぎてあまり理解できていないようだ。そして一誠は気になったのか自分の特性が何なのか部長に聞いている、部長がその質問に答えようとしたときこの場の空気が変わった。辺りにただよっていた殺気が先程より濃くなった。

 

「不味そうな臭いがするぞ?でも美味そうな臭いもするぞ?甘いのかな?苦いのかな?」

 

地の底から聞こえるような不気味な低い声。その声が聞こえた瞬間俺達は戦ったことのない一誠以外が戦闘体制をとる。

 

「はぐれ悪魔バイサー。あなたを消滅しにきたわ」

 

部長は一切臆せずそう言う。

 

ケタケタケタケタケタケタケタケ………。異様な笑い声が辺りに響く。その笑い声とともに奥からはぐれ悪魔が姿を現す。その姿は上半身が裸の女性が宙に浮いている。それを見て隣にいる一誠が鼻の舌を伸ばす。

 

ずんっ。重い足跡とともに現れたのは巨大な獣のからだである。女性の上半身と巨大な獣の下半身を持った、バケモノがそこにいた。その両手には槍のようなものを一本ずつ所持している。大きさは五メートル以上はありそうだ。

 

「己の欲求のため主のもとを逃げ暴れまわるのは万死に値するわ。グレモリー公爵の名において、あなたを消し飛ばしてあげるわ!」

 

「こざかしいぃぃぃ!小娘ごときがぁぁぁ!その紅の髪のように、お前の身を鮮血で染め上げてやるわぁぁぁ!」

 

「雑魚ほど洒落のきいたセリフを吐くものね。祐斗!」

 

「はい!」   

 

部長が木場に指示をだすと木場なかなかの速さでバイサーに向かって駆け出す。俺が木場の速さを観察していると部長が一誠にさっきの続きを話していた。どうやら木場は速さに特化している『騎士』の特性を持っているらしい。バイサーが持っている槍で木場を狙うがまったく当たらない。そして木場が剣を鞘から抜きそこから駆け出す。次の瞬間

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁあああっ!」

 

バイサーは木場に両腕を斬られ悲鳴を上げる。すると部長が自慢気に言う。

 

「これが祐斗の力。目に見えない速さと、達人級の剣さばき。このふたつであの子は最速のナイトとなれるの」

 

「最速のナイトねぇ、どう思うファルス」

 

俺は誰にも聞かれないくらいの声で自分の神器に聞く

 

《確かに速いがまだまだだな。あの程度の速さなら強い奴なら普通に捕まえられる。それに剣の腕だってまだまだ荒削りだ。お世辞にも最速のナイトなんて言えないな》

 

「次は小猫。あの子は『戦車』。特性は」

 

「しねぇぇぇぇぇ」

 

バイサーは前に出てきた小猫ちゃんを踏み潰す。一誠はそれをハラハラしながら見守っている。バイサーの足は少しずつ浮かび出す。

 

「『戦車』の特性はシンプルよ。バカげた力と屈強な防御力」

 

小猫ちゃんがバイサーの足を完全にどかすと。

 

「………ふっ飛べ」

 

小猫ちゃんはバイサーの腹に鋭い拳を打ち込む。バイサーはその衝撃で大きく吹っ飛ばされる。 

 

「最後は朱乃ね」

 

「はい、部長。あらあら、どうしてあげようかしら」

 

朱乃さんが微笑みながら倒れているバイサーに近づく。

 

「朱乃は『女王』。『王』意外の全ての力を兼ね備えている無敵の副部長よ」

 

朱乃さんを睨みつけるバイサー。朱乃さんはそれを見ると、不敵な笑みを浮かべる。

 

「あらあら、まだ元気そうですわね」

 

朱乃さんは天に手をかざすと、天が光り輝きバイサーに雷が落ちる

 

「ガガガガガガ」

 

感電するバイサーに朱乃さんは容赦なく雷を落とす

 

「ギャァァァァァァ」

 

朱乃さんは笑いながら雷を落とし続ける

 

「朱乃は魔力を使った攻撃が得意なの。魔術師の輪廻なら勉強になるんじゃないかしら」

 

あんな雑な魔術じゃあ勉強になりませんよ。と言いたいところだが言わずに苦笑いを浮かべる。

 

一誠は朱乃さんの姿を見て怯えているようだ。それを部長がなぐさめている。

 

「うふふふふ。死んではダメよ。トドメをさすのは私の主なのだから」

 

朱乃さんの攻撃が止まるとピクリとも動かないバイサーに部長が近づく。バイサーに部長は手をかざし訊く。

 

「最後に言い残すことはあるかしら」

 

部長が訊くとバイサーは

 

「せめて人間だけでも!」

 

そう言うと祐斗に斬られた両腕が俺の方に飛んでくる。

 

「「「「「輪廻(さん/先輩/くん)!!」」」」」

 

はあ、戦いの最中は一瞬たりとも気を抜くなよ。

 

「火炎弾(ファイアーショット)」

 

俺は飛んでくる両腕を一瞬で燃やし尽くす。 

 

「なっ!」

 

バイサーは非力な人間なら楽に殺せると思っていたのに自分の腕が燃やされた事に衝撃をうける。

 

「消し飛びなさい!!」

 

部長の手から黒い魔力の塊が撃ち出されバイサーを消し飛ばす。すると部員全員が俺に集まってくる。

 

「輪廻あなたいまのは?」 

 

「俺は魔術師ですからあれぐらい出来ますよ」

 

「でも今のは強すぎるわ、魔力だって中級悪魔ぐらい感じたわよ」

 

「まあ、俺は強いですから」

 

「はあ、まあいいわ。今日はもう帰りましょう」

 

俺達が帰ろうとすると

 

スドォォォォォォン

 

  

 

 

 

 




火炎弾(ファイアーショット)

範囲:魔力量によって変化する

効果:目の前の直線上に火の玉を飛ばす

魔力量:E~F
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