開発室からお届けします   作:Tierra

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この照りつく暑さの中皆様どうお過ごしでしょうか?

私は暑さのあまり溶けてしまいそうです
というか多分もう溶け始めてます。


冗談はさておき次話の投稿です。どうぞ。


第8話 「東堂 要④」

 

 

「…終わりましたね」

 

 

暗闇の中に独り言が響く

声の主はゆっくりと装着していたゴーグルを外す

その顔は眉間にシワをよせ、いつもの彼とは別人のように顔を歪ませている

 

 

「やっぱり結構くるなぁ」

 

 

そう言い頭を手で押さえる

ふと部屋の外が騒がしい事に気づき、聞き耳を立てると

聞き覚えのある声が開発室のスタッフ達を労っていた。

 

 

「…。」

 

 

彼は無言のまま椅子から立ち上がり、重い足取りで部屋から出る

 

 

「おう、要もお疲れ様」

 

「悠一…やっぱりきみですか」

 

「あー、結構キてる顔だな

 これじゃあこれはいらないか?」

 

 

そう迅が箱が入ったビニール袋を指差す

 

 

「それは?」

 

「けーk「いますぐ僕の自室に行きましょう!」」

 

「…いや、おまえ頭痛は?」

 

「ほら、早く行きますよ!」

 

 

そういい先程とは打って変わって、軽快な足取りに変わり

鼻歌まで歌いだす東堂に、思わずため息が出てしまう

 

 

「変わってないな、そういうところ」

 

 

急ぎますよと催促する東堂に続くのであった。

 

 

□ ■ □ ■ □ ■

 

 

東堂の自室に着き、丸いテーブルを囲む迅と三雲

開発室の外で迅を待っていた彼に、せっかくだからと迅が持ってきたケーキを一緒に食べることになったのだ。

目がキラキラ光る見たことのない東堂と、諦めろと言わん表情の迅の表情が記憶に新しい…。

 

 

「そういえば、東堂さんは開発室でレーダーに映すって言ってましたけど、やっぱりエンジニアとしても凄い人なんですか?」

 

 

ふと疑問に思ったのか、三雲が迅に問う

 

 

「アイツは、エンジニアとしてはボーダー内で指折りだよ」

 

「そんなに凄いんですか…」

 

「なによりサイドエフェクトが優秀すぎてな、それプラス鍛えた技術力とでかなり凄いんだ。オレもよく世話になってたよ」

 

「東堂さんもサイドエフェクトを……!?」

 

「はい紅茶淹れてましたよ、と…二人して何話してたんですか?」

 

 

更に詳しく聞こうとした時に、東堂が飲み物をテーブルまで運んできた。

二人の席に紅茶を置き東堂も席に着く

 

 

「メガネくんが、要のサイドエフェクトに興味津々らしくてな」

 

「はい……」

 

 

飄々とした迅と真剣な表情な三雲

二人の表情の温度差に失笑しながらもそれに答える

 

 

「僕のサイドエフェクトは…そうですね【超並列処理能力】といったところでしょうか」

 

「超並行処理能力…?」

 

「三雲くんの周りにも少しはいるでしょう、複数の作業を同時にこなせる人」

 

「……そういえば、母さんがそんな感じ…!?……ですね」

 

 

思い出したように東堂に視線をやると

ケーキを口まで運び恐ろしい程に頬を緩めていた為、三雲に動揺が走る。

 

 

「そういう人達の事をマルチタスカー、スーパーマルチタスカー…なんて言うみたいですけれど

僕のサイドエフェクトはそれの上位互換、精度はもちろん作業の量もほぼ無限に広げる事が可能です」

 

「それって…!」

 

「まぁ…あんまり量を広げすぎたり、精度の高い作業を複数処理すると、頭が痛くなっちゃうんですけどね」

 

「っていうわけで、色んな事に意識をまわさなきゃいけないエンジニアには、うってつけサイドエフェクトってことだな」

 

 

そう迅がしめくくる。

依然東堂は緩みきった口にケーキを運んでいた

しかしどこか納得がいかないのか、三雲が更に問う

 

 

「東堂さんのサイドエフェクトって戦闘でも、オペレーターでも凄い能力を発揮できますよね?」

 

「そうだな、要も昔はバリバリの戦闘員だったからな」

 

「そしたら……東堂さんはなんでエンジニアを選んだんですか?」

 

 

その質問に迅は飄々とした表情から一変、真剣な面持ちで顔を少し伏せた

対する東堂も、先程の緩みきった顔はいつの間にか消え、どこか悲しげな表情に変わる

 

 

「…そうですね……守る為の力が欲しかったから…強いて言うならこうでしょうか」

 

「守る為の力…ですか?」

 

「えぇ、戦いには色々な強さがありますから…もう大切な人達を失わないように、守れるように…戦闘の強さも、それ以外の強さも手に入れたかったわけですね」

 

 

そう彼が告げると、三雲はそれ以上何も聞けなくなってしまった。

聞くことがなくなってしまったのかというと、それは違う

先程迅が言った『昔はただの戦闘員だった』ということも含め聞きたいことはまだまだある。

これ以上は踏み込めない何かがある、そう思わせてしまう程に

彼の表情は悲しみ、憂いに満ちていたのだった。

 

重く暗い空気になってしまった室内を、やがて一つの電子音が切り裂く

迅の携帯電話に着信が入った為だ。

会話の内容までは分からないが、彼が敬語を使っているあたり上層部の誰かと話しているのだろう。

 

 

「メガネくん、本部長からお呼びだしだ。B級に昇格の件だぞ」

 

「…!……分かりました」

 

「よし、じゃあ要またな」

 

「えぇ、悠一もケーキありがとう」

 

 

挨拶をかわし、迅が先に退室する。

それに続き三雲も東堂に会釈をして退室し、部屋には東堂一人だけとなった

 

 

「……ほんとうにおいしいですね、このケーキ」

 

 

独り言と共にカップの紅茶に一つの波紋が広がる

 

 

□ ■ □ ■ □ ■

 

 

東堂の自室を出ると、三雲が申し訳なさそうな表情をしていた。

 

 

「あんまりメガネくんが気にすることでもないだろ。誰だってそんなに凄いのになんで?って思うよ」

 

「それでも、凄く申し訳ない事を言ってしまったような気がして」

 

 

フォローをする迅だったが、それも空振りに終わってしまう

それならと迅は更に続けた。

 

 

「それなら今度甘いものでも渡しに行けばいい

今日の見たろ?要は甘いものが大好物でな、その時に一緒に謝ればいいだろ」

 

「……そうですね」

 

「それに食べてる時の要の顔見てれば、そんな気持ちも吹き飛ぶと思うぞ?」

 

 

そう軽快に笑う迅に、それはどうなんだろうかとも思う。

一度東堂の自室の方に振り返り、今度ちゃんと謝ろうと決意する三雲だった。

 




と、とんでもなく暗くなってしまった!?
日常回みたいなほのぼのしたの書きたいのですが
キャラが出揃ってからかなと思ってる次第でございます。

あと「」内が非常に読みにくいというご意見を頂き(10割作者)
この回から少し書き方を変えてみました。
どうでしょうか?


それでは、次回の投稿でまたお会いしましょう。
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