無害な蠱毒のリスタート   作:超高校級の警備員

13 / 86
 まさか二日で書き終えるとは思ってなかった。それにしても、タイトルの二文字目が悪魔とか修業とかかぶりまくってる。何とかしないと。


身勝手な黒猫の都合

 その後、一誠とリアスさんは上級悪魔の人たちへあいさつ回りに行った。

 挨拶回りに行くと言われた一誠は間抜けな返事で反応。リアスさんの話では、伝説のドラゴンの赤龍帝が眷属悪魔になったのは有名で、挨拶したいという悪魔が大勢いたらしい。

 と、そんなことはどうでもいい。僕はスサノオさんの方が気になって仕方ない。どういう理由で冥界に来たのか。だけど、僕が日本勢力とつながってるのを知られるのはまずい。気になるけど、ここは無関係でいかないと。

 

「あー、ちかれた」

 

 挨拶を終えて一誠たちが戻ってきた。

 フロアの隅っこに用意された椅子に一誠とアーシアさんとギャスパーくんが座っている。リアスさんと朱乃さんは遠くで女性悪魔の皆さんと談話。

 そして、木場さんは女性悪魔の皆さんに囲まれている。木場さんって……本当にモテるんだね。

 いや、洗脳とかを疑ってたわけじゃないよ。ただ、異常なモテ具合に、やっぱり悪魔の雰囲気がよりモテる要素になってるんじゃないかなとは思ったことはある。同族にまでモテるのを見て確証が101%になっただけ。まあ確かに、木場さんはかっこよく紳士的でレア神器の禁手保持者。いろんな面から魅力的に映るんだろうね。

 

「イッセー、アーシア、ギャスパー、料理をゲットしてきたぞ、食え」

 

 さっき席を立ったゼノヴィアさんが大量の皿を器用に持ってやってきた。皿の上には豪華な料理の数々。

 

「ゼノヴィア、悪いな」

「いや、何。このぐらい安いものだ。ほら、アーシアも飲み物ぐらい口をつけた方がいいぞ」

「ありがとうございます、ゼノヴィアさん……。私、こういうの初めてなんで、緊張して喉がカラカラでした……」

 

 アーシアさんはゼノヴィアさんからグラスに入ったジュースをもらうと、口にする。僕は自分で勝手に持ってきたお酒を口にしている。

 平安時代では成人年齢は15歳。つまり、僕も立派に成人している事になる。だから、僕もちょこっとだけだけどお酒を飲んだりした。だから嗜むくらいなら大丈夫。現代では普段飲めないからちょこっとだけね。

 チーズなどをおつまみにしながら味わいながら飲む。

 その時、見覚えのある女性が。綺麗なドレスに身を包んだ女性が一誠たちに近づく。

 

「あ、おまえは――――」

「お久しぶりですわね、赤龍帝」

「焼き鳥野郎の妹か」

 

 その女性は、リアスさんの元婚約相手だったライザー・フェニックスの妹、レイヴェル・フェニックスさん。

 懐かしい、二年ぶりだよ。全然変わってない……って、こっちの時間じゃ数か月だから当たり前か。

 

「レイヴェル・フェニックスです! まったく、これだから下級悪魔は頭が悪くて嫌になりますわ」

「悪かったな。で、兄貴は元気か?」

 

 お兄さんの話をすると、レイヴェルさんは嘆息する。

 

「……あなたのおかげですっかり塞ぎ込んでしまいましたわ。よほど敗北と、リアス様をあなたに取られた事がショックだったようです。ま、才能に頼って調子に乗っていたところもありますから、いい勉強になったハズですわ」

「ハハハハ……容赦しないね。一応、おまえも兄貴の眷属だろう?」

「それなら、現在トレードを済ませて、今はお母様の眷属と言うことになっていますわ。お母様が、自分の持っていた未使用の駒と交換してくださったの。お母様は眷属になりたい方を見つけたら、トレードしてくれるとおっしゃってくださいましたから、実質フリーの『僧侶(ビショップ)』ですわ。お母様はゲームしませんし」

「トレード?」

 

 一誠は聞きなれない言葉を聞いたからか、単語を復唱する。

 

「あら、ご存知ないの? トレードとはレーティングゲームのルールのひとつで、『(キング)』である悪魔の間で自分の駒を交換することが出来ますわ。これは同じ種類の駒であることが条件になります」

 

 そういうのがあるんだ。知らなかったけど、予想できなかった事でもない。悪魔が僕たちを本当に駒のように見ているならね。

 

「ところで赤龍帝―――」

「その赤龍帝ってのはやめてくれ。俺は兵藤一誠って名前あるしさ。おまえ、俺と同い年ぐらいだろう? なら、普通でいいって。みんな、イッセーって呼んでるぞ?」

「そうですか。ではイッセーさんとお呼びします。リアス様の一つ下でしたら、私より一つ上の年齢のハズですので」

 

 そうだったんだ。まあ、レイヴェルさんはちょっと年下な感じもしてたしそこまで以外ってわけでもないけどね。てか、うちの部員の一学年下が幼っぽすぎるってのもあるかな。搭城さんとギャスパーくんだからね。

 一誠の呼び方を『赤龍帝』から『イッセーさん』に変えたレイヴェルさんは、さっきから誰かを探すようにきょろきょろとする。

 

「あの、あなたの所の『戦車(ルーク)』はどこに?」

「小猫ちゃんのことか?」

「いいえ。もう一人男性の『戦車(ルーク)』がいましたよね?」

「ああ、誇銅のことか。そういえばどこ行ったんだ?」

 

 リアス・グレモリー眷属ですと挨拶するのもちょっとだけ抵抗があったから、気配を薄くしてちょっとだけ離れた場所でずっと椅子に座っている。今の僕の気配は道端の石ころとはいかないけど、クラスの窓側一番後ろの端くらいにはなってると思う。

 まさか僕を探してたなんて。他の悪魔ならこのまま無視を決め込むけど、レイヴェルさんにそんな失礼はしたくない。

 残りのお酒をぐっと飲み干し、アルコールの臭い消しのために取ってきたリンゴを食べる。

 

「ここにいるよ」

「うぉ! そんなとこにいたのか!? まったく気づかなかった」

 

 一誠に気付かれちゃおしまいだよ。僕はドラゴンからだって逃げ切ったんだから。って、一誠も一応ドラゴンか。

 僕は立ち上がってレイヴェルさんの近くまで行く。

 レイヴェルさん、ちょっと緊張してるように見える。なぜだろう?

 

「お久しぶりです、レイヴェル・フェニックス様」

「お、お久しぶりですわね」

 

 一誠と話してた時と様子が違うレイヴェルさん。表情が少し強張ってるように見える。

 

「もうお怪我は大丈夫なんですか?」

「怪我? ……ああ、ライザー様の時の火傷の事ですね」

「それと、冥界の病院に搬送されて来た時もですわ」

 

 ああ、あの事もか。あの時はギャスパー君とはまだ知り合ってなく、お見舞いに来てくれたのはレイヴェルさんだけだった。まあ、今まで入院してレイヴェルさん以外来てくれたことなんてないけど。

 僕の入院を聞いて反応を見せたのはギャスパーくんだけ。他は無反応。こういうちょっとしたことで僕の扱いがわかる。まあ、今更だね。

 

「あの時はお見舞いに来ていただきありがとうございました。前者はもうすっかり良くなってます。特に傷跡も残ってませんし。後者は未だに原因がわかりません。だけど、特に変わったことはありませんので大丈夫です」

「それはよかったですわ」

 

 レイヴェルさんがお見舞いに来てくれたことは今でも覚えている。とっても嬉しかった記憶があるからね。

 

「アーシア、ゼノヴィア、ここで待っていてくれ」

「イッセーさん、どうかしたんですか? もうすぐ魔王様の挨拶が始まります」

「いや、ちょっと知り合いがいたから会ってくる。あいさつまでには帰って来るよ!」

 

 レイヴェルさんと話してる途中だけど、一誠の声が耳に入ってきた。

 たぶん嘘だ。何となくの勘だけど、一誠はよくごまかす癖に誤魔化し方が下手。だからたぶん僕の勘は合ってる。でもなん……いや、どうでもいいか。何か遭ったとしても僕には助けられないし、助ける気もない。冷たいかもしれないけど、一誠の命か日本勢力の不利益を天秤にかけたら、日本勢力の方に傾く。

 

「あの、よければダンスのお相手をお願いしても……?」

 

 言われた瞬間ちょっとわからなかった。僕は自分を指差してみて、レイヴェルさんがそれにうなずいて、やっと自分が指名された事を理解した。

 まさか本当にお誘いが来るとは驚きだよ。タキシード着てきてよかった。これなら見た目でレイヴェルさんに恥をかかせることもないしね。

 僕はレイヴェルさんのエスコートでダンスフロアへ移動。本当なら男の僕がエスコートするべきなんだけど、僕は場所がわからない。ちょっと情けないな。

 ダンスフロアではできる限り僕がリードしようと思う。教えてもらった基本しかできないけど、動きはだいたい覚えた。後は音楽とレイヴェルさんの動きに合わせればいい。他との動きにシンクロさせるのは、無影こころさんとの修業で少し身に付けた。まあ、あまりうまくいかなかったけど。こころさんはスピードも圧倒的だけど、何より同調させるのがうますぎる。一糸乱れぬがまさしく似合う人だからね。

 

「あら、誇銅さんはずいぶんダンスがお上手ですね」

「急場しのぎに習っただけです。これ以上の事はできません」

 

 本当にこれいじょうの事はできない。レイヴェルさんも僕に合わせてると言った感じ。初心者の一般人が貴族の令嬢をダンスでリードしようだなんてできるわけがなかったよ。

 

「でもよかったんですか。ライザー様とのレーティングゲームの時のように僕は肉壁になるくらいしかできません。昔も今も。それに、今はその肉壁になる事すら求められていません」

「そんなに自分を卑下しないでください」

 

 レイヴェルさんの言葉に僕は一瞬固まってしまい、ダンスのリズムを乱してしまう。

 リズムはすぐに修正したが、まさか『自分を卑下しないでください』なんて言われるとは思ってもみなかった。

 

「あの時の誇銅さんはとても勇ましかったです。傷だらけにながらも、戦い続けようとする意志。強い炎ではなく、儚くてもいつまでも燃えようとする意志の強さを感じる火。私にはそう見えました」

 

 まずい、涙が出そうになる。日本勢力の人たちの温かさに触れてなかったら、きっと今頃この場で情けなく泣いてしまっただろう。

 情けなく泣き出す事は避けられたけど、瞳にすっすらと涙をためるのは我慢できているかわからない。

 

「あ、ありがとう……ございます」

 

 ちょっぴり涙声。どうやら涙目は確実なようだ。

 

「そんなことを言ってくれたのはレイヴェルさんが初めてです。本当に、ありがとうございます」

 

 日本の皆さんに出会えたことで、報われた僕の辛かった過去。

 レイヴェルさんが褒めてくれたおかげで、過去の、あの辛かった過去がほんのちょっぴり色がつく。レイヴェルさん、心の奥底から感謝します。

 

「いいえ、どういたしまして。でも私は思ったことをそのまま伝えただけです」

 

 ダンスの曲が終わりに近づいてくるのがわかる。この時間が終わる。まあ、途中参加でダンスに加わったし、次の曲でまた踊ればいい話だけどね。

 そしてついに曲が終わり、ダンスはいったん修了。体力はまだまだ大丈夫だけど、ちょっと休憩。

 ダンス空間からちょっと離れてジュースを手に取る。

 その時、レイヴェルさんはもじもじしながら僕に改めて話しかけた。

 

「あの、(わたくし)が悪魔の駒をもらったら……もしよければ私の―――」

「レイヴェル。ここにいたのか。旦那様のご友人がお呼びだ」

 

 一人の女性がレイヴェルさんに話しかける。たぶん……ライザーさんの眷属の人かな? まったく自信がないや。たぶん一回だけ見たことはあると思う。

 

「分かりましたわ。誇銅さん、今度お会いできたら、お茶でもいかがかしら? わ、私でよろしければ、手製のケーキをご用意してあげてもよろしくてよ?」

「はい、是非。レイヴェルさんの手製のケーキ楽しみにしてます」

 

 レイヴェルさんはドレスの裾をあげて、一礼して去っていく。優しい人だ。

 さて、僕も一人で暇になっちゃったな。……飲み直しでもしようかな。

 僕は元々座っていた椅子に戻ろうと椅子が見える位置まで戻って来ると、ギャスパーくんが僕の所に歩いてきた。

 

「誇銅先輩、もうダンスは終わったんですか?」

「うん、レイヴェルさんも僕一人に構ってられる立場じゃないからね」

 

 向こうの椅子ではアーシアさんとゼノヴィアさんが楽しそうにおしゃべりしてる姿が見える。二人で間に合ってそうだ。そこで僕はある事を思いついた。

 

「ねえギャスパー君、僕と一緒に踊らない?」

「えッ!?」

「せっかく綺麗なドレス着てるんだし、僕も一緒なら恥ずかしさも和らぐかなと思って。嫌なら嫌って言っていいんだよ。それなら僕と一緒に椅子にでも座って終わるまで待っていよう。僕も一人でこの空間に居るのは気まずいからね」

 

 思いつきの提案でギャスパー君を追いつめてしまったかもしれないとちょっぴり反省。でも、やっぱり綺麗なドレスを着て輝いてるんだから、できるならその輝きをギャスパー君自身にももっと味わってもらいたいな。

 そしてギャスパー君が出した答えは。

 

「ぜ、ぜ、ぜひ、お願いします……!」

「ありがとう。それじゃ行こう」

 

 僕が手を差し出すと、ギャスパーくんがその手を取ってくれる。今度こそ男性らしく女性(女装だけど)をエスコート。今日二度目だからしっかりできる。

 そこでダンスフロアで先ほどと同じようにギャスパーくんと踊りを楽しんだ。最初はガチガチに緊張していたギャスパーくんだが、終盤では緊張もかなり解け楽しんでくれてる様子だった。よかったよ。

 僕が外で起こっていた事件の詳細について知ったのは、パーティの中止が宣言され事態が収拾された後だった。まあ、会場外で小さくない規模の戦闘か何かが起こってた事は気づいてたけどね。

 

 

   ◆◇◆◇◆◇

 

 

 一誠はレイヴェルが誇銅と話している最中、小猫が急いでパーティ会場から出ようとしている姿を捉えてた。その表情は何かに夢中になっているようで、何があったのかと不安に思う一誠。

 

「アーシア、ゼノヴィア、ここで待っていてくれ」

「イッセーさん、どうかしたんですか? もうすぐ魔王様の挨拶が始まります」

「いや、ちょっと知り合いがいたから会ってくる。あいさつまでには帰って来るよ!」

 

 そう言って小猫を追い一誠はパーティ会場から出ていく。大事にしたくない一誠はアーシアとゼノヴィアには嘘をついて。

 会場を出た小猫はエレベーターに乗って下に降りていく。一誠も隣のエレベーターが開いたのを確認して、それに乗り込んだ。すると、誰かが一誠に続いてエレベータに乗り込む。一誠が振り返ると、そこにはリアス・グレモリーの姿が。

 

「どうしたの? 血相変えて」

「小猫ちゃんが何かを追うように飛び出して行ったのを見たんです」

「なるほど、気になったのね。わかったわ、私も行く」

「はい! けど、よく俺がエレベーター乗り込むのわかりましたね?」

 

 怪訝に思う一誠に、リアスはにっこりしながら言う。

 

「私は常にあなたのことを見ているんだから」

 

 

   ◆◇◆◇◆◇

 

 

 エレベーターで一階まで降りた一誠とリアス。二人は近くにいた悪魔に小猫の特徴を教え、ここを通ったか訊ねる。

 そして、何人目かで外に出たことがわかり、リアスは急いで使い魔のコウモリを呼び出して空へ放った。コウモリが返ってくるまで、一誠とリアスはホテルの外にある噴水で待機した。

 

「やはり、小猫の様子はおかしいわね」

「はい。でも、小猫ちゃんがあそこまで追う者ってなんでしょうか?」

 

 一誠の問いにリアスは深く考え込む。一誠はその険しい表情で何か深刻な事ではないかと勘ぐる。リアスにはまさにその深刻な出来事に心当たりがあった。そしてそれは、本人は気づいてないが一誠自身も既に知っている。

 しばらくして、リアスのコウモリが帰ってきた。

 

「見つけたようね。―――森? ホテル周辺の森にあの子は行ったのね?」

 

 使い魔からの情報で小猫が森に行ったことを知る二人。

 一誠とリアスはコウモリの後を追って走り出す。

 

 

 

 

 

 明るい場所を抜け、闇夜の森を二人は走りぬく。人の手は入ってる事は入ってるが、森の中のため走りづらい。それでも一誠は、サバイバル生活のおかげで割と楽に移動している。そこで自分の成長を少しばかり実感した一誠。

 森を進むこと数分。リアスは一誠の腕を引き、木の陰に隠れさせる。少しだけ顔をのぞかせると、そこには小猫の姿があった。

 小猫は何かを探し求めるように森の真ん中できょろきょろと首を動かしている。

 そして、何かに気づいて視線をそこへ向ける。一誠とリアスもその方向へ視線を向けた。

 

「久しぶりじゃない?」

 

 小猫の視線の先には――――音も立てずに現れた、黒い着物に身を包んだ女性。どことなく小猫に似た女性の頭には猫耳がある。

 やっと何かに感づいた一誠だが、リアスは静観するように指示する。

 

「―――っ! ……あなたは」

「ハロー、白音(しろね)。お姉ちゃんだよ」

 

 白音(しろね)。一誠はその名前には聞き覚えがあった。流石に数十分程度前の事は覚えている。日本神、スサノオの護衛と言った甲冑が小猫に対して言った言葉。

 それに加え、前にリアスの母親から聞いた小猫の昔話と合わせ、白音(しろね)が小猫の本名だと推測した。

 

「黒歌姉さま……」

 

 小猫は絞り出すような声でその人物の名前を言う。

 震える小猫。それに対して彼女、黒歌は陽気なほど上機嫌だった。

 黒歌の足元に黒い猫がすり寄る。

 

「会場に紛れ込ませたこの黒猫一匹でここまで来てくれるなんて……お姉ちゃん、感激しちゃうにゃー」

「……姉さま、これはどういう事ですか?」

「怖い顔しないで? ちょっとした野暮用なの。悪魔さんたちがここで大きな催しをしているって言うじゃない? だからぁ……ちょっと気になっちゃって。にゃん♪」

 

 手を猫みたいにしてかわいくウインクする黒歌。その姿に一誠は思わず可愛いと思ってしまう。それを察知したリアスは一誠の頬を抓った。

 

「ハハハハ。こいつ、もしかしてグレモリー眷属かい?」

 

 小猫と黒歌の会話に割り込むように姿を現したのは―――古代中国の鎧みたいなのを着た、ヴァーリの仲間の孫悟空の美猴。一誠はヴァーリの仲間である美猴の出現により、ヴァーリが『禍の団』の一員であることを思い出す。そして、これがパーティ会場を狙ったテロだと推測した。

 一誠がそう思っていると、不意に美猴の視線が一誠とリアスのいる方向へ向けられた。

 

「気配を消しても無駄無駄。俺っちや黒歌みたいに仙術を知っていると、気の流れの少しの変化だけで大体分かるんだよねぃ」

 

 仙術を学んでいれば、このくらいの距離にいればすぐわかってしまう。もっとも、それは相手が仙術かそれに追随するものを学んでいない事が条件ではあるが。

 もしも隠れていたのが日本妖怪の繊細な技術と仙術を学んだ誇銅であれば、相手が孫悟空であろうと確率は五分五分だったろう。そこに少なくない差が出るとすれば、それはどちらの学んできた仙術がより上だったかの違いだろう。人によって違いが出るのだから、国によってはもっと大きな違いが出るだろう。

 一誠とリアスは意を決して、木陰から姿を現す。二人を確認して小猫は驚きを見せる。

 

「……イッセー先輩、部長」

「よう、クソ猿さん。ヴァーリは元気かよ?」

「ハハハハ、まあねぃ。そっちは……へぇ、多少は強くなったのかねぃ」

 

 一誠は自分の体を見ただけで強さがわかるのかと、怪訝に思っている。

 一誠が思っている事を察した美猴は笑いながら言う。

 

「言ったろ? 俺っちは仙術を嗜んでいるんでねぃ、気の流れとかである程度分かるのさ。お前さんを覆うオーラの量が以前よりも上がっていたんでねぃ」

 

 敵であると同時に一誠も知る実力者の美猴が、自分を強くなったと評価したことにより、一誠は修業の成果をまた一つ実感した。

 

「ところで部長、仙術ってなんですか? 魔法使いが使うっていう魔術や魔法とは違うんですか?」

「仙術は魔術、魔法とは違うわ。大きく違うのは仙術は気、つまり生命に流れる大元の力であるオーラ、チャクラと呼ばれるものを重視し、源流にしている点よ。悪魔の魔力や天使の光力とは同じようで別の力。直接的な破壊力は魔力や光力に比べるまで無いけれど。どちらかというと自然の動植物、人間が体内に秘めている未知の部分を仙術は用いるの。たとえば、仙術を覚えれば、オーラの流れを読むことに長け、遠くにいる対象の動きもある程度把握できるとされているわ」

 

 リアスの言っている仙術の説明はほぼほぼ正解である。パワーは低いが、分子が魔力や光力と比べてずっときめ細かく、繊細で応用が利く。誰にでも習得する事ができるが、そこに至るまでの道のりは魔法などと比べるとずっと地味で時間がかかる。それが、力ある者の間で仙術が流行らなかった原因の一つでもある。

 誇銅は二年間のほぼすべてを妖怪との修業に費やした。その中にはもちろん仙術も含まれている。その仙術の技術を持って誇銅はアクシオから約三週間ずっと逃げ続ける事ができたのだ。

 

「気の流れを操って、肉体の内外強化やこの辺りの木々の気を乱して咲かせたり枯れさせる事もできるにゃん♪ 仙術は生命の流れを操作する術。相手の気を乱したり、断つことで生命にダメージを与えるの。悪魔の魔力や魔術に比べると生気の乱れを直す術は対処法が限られているから、やられたほうは大概しんじゃうにゃん♪」

 

 黒歌はウィンクしながら説明した。

 一誠は説明された内容をあまり理解できなかったが、スカウターを装備した花坂爺さんという頭の悪そうな大掴みな解釈ではあるが一応理解した。

 自分の理解があまり追いつかない事を考えるのをやめた一誠は、この二人がこの場にいる理由を問う。

 

「なんでここにいるんだ? テロか?」

「いんや、そういうのは俺っちらに降りてきてないねぃ。ただ、冥界で待機命令が出ていてねぃ。俺も黒歌も非番なのさ。したら黒歌が悪魔のパーティ会場を見学してくるって言い出してねぃ。なかなか戻ってこないから、こうして迎えに来たわけ。OK?」

 

 無駄に丁寧に説明する美猴。嘘は一つもついていない。

 一誠は美猴の話に嘘がないと仮定し、小猫がここまで来た経緯を想像する。

 

「美猴、誰この子?」

「赤龍帝」

「本当にゃん? へぇ~これがヴァーリを退けたおっぱい好きの現赤龍帝なのね」

 

 一誠は向こうにそんな報告をされてるのを初めて知った。だが、本当の事だから別に構わない。むしろおっぱい好きの赤龍帝もいいなと思っている。内心ドライグがどれだけ嫌がっても。

 

「黒歌〜、帰ろうや。どうせ俺っちらはあのパーティに参加出来ないんだし、無駄さね」

「そうね。帰ろうかしら。ただし、白音はいただくにゃん。あのとき連れて行ってあげられなかったからね♪」

「!?」

「あらら、勝手に連れて帰ったらヴァーリ怒るかもだぜ?」

「この子にも私と同じ力が流れていると知れば、オーフィスもヴァーリも納得するでしょ?」

「そりゃそうかもしれんけどさ」

 

 黒歌と美猴の間だけで小猫の処遇が決まっていく。そこに小猫の意志など一欠けらもない。

 黒歌は目を細めて小猫を見る。小猫はその目に小さな体をビクつかせ怖がっている。

 一誠は黒歌と小猫の間に入り、黒歌に真正面から言った。

 

「この子は俺たちリアス・グレモリー眷属の大事な仲間だ。連れて行かせるわけにはいかない」

 

 一誠の行動を見て、黒歌と美猴は笑った。

 

「いやいや、勇ましいと思うけどねぃ。さすがに俺っちと黒歌相手にできんでしょ? 今回はその娘もらえればソッコーで立ち去るんで、それで良しとしようやな?」

 

 一方的に勝手な事ばかり言う美猴。その言葉に一誠もリアスも憤怒の表情になる。

 

「この子は私の眷属よ。指一本でも触れさせないわ」

「あらあらあらあら、何を言っているのかにゃ? それは私の妹。私にはかわいがる権利があるわ。上級悪魔様にはあげないわよ」

 

 ピリッ

 

 空間の空気が緊張したものに変わる。リアスと黒歌がにらみ合い、一触即発の空気を醸し出す。しかし、黒歌は睨みつけるのを止め、にっこり笑いながら言う。

 

「めんどいから殺すにゃん♪」

 

 その瞬間、言い知れない感覚が一誠とリアスを襲う。すると、周りの風景は一切変わっていないのに、空気と雰囲気が一気に変わる。まるで別の場所に飛ばされたかのような。

 

「……黒歌、あなた、仙術、妖術、魔力だけじゃなく、空間を操る術まで覚えたのね?」

「時間を操る術までは覚えられないけどねん。空間はそこそこ覚えたわ。結界術の要領があれば割かし楽だったり。この森一帯を結界で覆って外界から遮断したにゃん。たから、ここでド派手なことをしても外には漏れないし、外から悪魔が入ってくることもない。あなたたちはここで私にころころされてグッバイにゃ♪」

 

 森の中で孤立させれてしまった一誠とリアスと小猫。結界のせいで援軍の期待はなくなってしまった。自分たちだけで黒歌と美猴を倒せるのかと不安になる一誠。倒せないのなら逃げることはできないかと考えるが、逃げられそうもないと結論づける。

 そんな時、森の中から重圧を放つ男のような声が響き渡った。

 

「黒歌―――――――!!」

『!?』

 

 敵意のこもったその声は、はっきりと『黒歌』と言った。どういう事か理解できないが、少なくても敵ではないだろうと一誠は思う。その声の主が森の中からその姿を現した。

 それはパーティ会場で小猫に重圧を放った、スサノオの護衛を名乗った全身黒鎧。兜の上からでもわかってしまう程の怒りを放ち、黒歌に向かって走っていく。

 

「おうおうおう、ずいぶん黒歌に因縁のある悪魔っぽいな」

「だけど私はあんな奴しらな~い」

「どっちにしろ、そのやる気は買ってやるねぃ。これりゃ少しは楽しめそうじゃねぃか」

 

 怒りのオーラを放ち突進してくる重鎧に向かって、美猴は嬉々として向かっていく。

 所詮見かけ倒しだろうと思いながらも、その放つ迫力と怒りは大したもの。その勢いがあれば少しはいい勝負ができるんじゃないかと、美猴はそう軽く考えていた。

 

「邪魔だ!」

「うぉっ!?」

 

 黒鎧は向かってきた美猴の攻撃を躱すことなく、美猴を掴んで上へ投げ飛ばした。

 美猴の攻撃をものともせず、逆に投げ飛ばしてしまうパワー。黒歌は相当なパワーを持った悪魔だと。余裕の笑みを崩さない黒歌は構えをとった。

 

「パワーがご自慢みたいだけど、あいにく私をパワーで突破するのはム・リだにゃ♪」

 

 黒歌の手が黒鎧に触れた。

 黒鎧はパワータイプ。その前提が既に間違っている。美猴は黒鎧のパワーで投げ飛ばされたのではない、“自分のパワーで飛ばされたのだ”。

 そのことを伝えられなかった美猴。そのことを見抜けなかった黒歌。それがこの結果を招いた。

 

「フンッ!」

「えっ?」

 

 柔術で黒鎧を地面に叩きつけようとした黒歌。だが、地面に叩きつけられたのは黒歌の方。この時、黒歌は黒鎧の戦闘スタイルを正しく認識できた。その代償は地面に叩きつけられるだけでは済まなかったが。

 

「ハァァ!」

「ぎにゃ!」

 

 倒れる黒歌に黒鎧は地面すれすれのアッパーをくらわせ、黒歌は鼻血を出して吹き飛ぶ。黒鎧はさらに追撃を与えようと動き出すが、復帰した美猴が攻撃を加える。

 

「如意棒ッ! 伸びろォォォォッ! 如意棒ッッ!」」

 

 美猴の手元に長い(こん)が現れ、それを伸ばして背後から攻撃を加えた。もう美猴は黒鎧を格下とは思っていない。大物の上級悪魔と戦う時のような興奮を覚えている。だが、相手の敵意は自分には向いていない。だから、この一撃で鎧を砕き、こっちに意識を向けさせようとしたが。

 

「そんな棒切れで俺の暗黒物質(ダークマター)の鎧は破れん」

 

 黒鎧は僅かに前によろけただけで踏みとどまり、鎧は一切の傷もついていない。

 

「おっ!?」

「ン、フン!」

 

 伸びた如意棒の先を掴まれ、そのまま黒歌に向かって投げ飛ばされる。しかし美猴は空中で体を回転させ、衝突を免れただけでなく体制を立て直し綺麗に両足で着地。

 殴られ吹き飛ばされた黒歌はゆっくりと立ち上がり、少し動揺を見せる。

 

「見た目でパワータイプかと思ったけど、パワーは大したことないみたいねぃ。ん? どうした黒歌」

「なんで……なんで私以外の悪魔が本部流柔術を!?」

「俺っちはこいつの相手をする。こっちはまかせたぜぃ! 筋斗雲ッッ!」

 

 美猴が叫ぶと足元に金色の雲が出現し、そのまま黒鎧に向かって突進していく。そしてもう一度如意棒で攻撃。今度はさっきより力を籠め、龍王を相手にするかのように本気で放つ。すると今度は黒鎧の鎧にヒビが入り、森の奥へと吹き飛ばされていく。

 

「うぉぉっ!」

「これからが俺っちの本気ねぃ!」

 

 飛ばされた黒鎧を追って筋斗雲に乗った美猴は森の奥へと入っていく。

 後に残されたのは黒歌と一誠、リアス、小猫の四人。厄介な黒鎧がいなくなって黒歌はさっきほどじゃないにしろ、再びにっこりと笑う。

 

「さっきの奴は気になるけど、今はこっちの方が大切にゃん♪」

 

 黒歌は妖艶な笑みを見せる。しかし、全身からはドス黒いオーラが滲みだしている。

 アザゼルのような悪の黒いオーラではなく、邪悪なオーラ。

 

「……姉さま。私はそちらへ行きます。だから、二人は見逃してあげてください」

「―――ッ 何を言っているの!? 小猫! あなたは私の下僕で眷属なのよ! 勝手は許さないわ!」

 

 リアスは間髪入れずに小猫を抱きしめる。しかし、小猫は首を横に振る。

 

「……ダメです。姉さまの力は私が一番よく知っています。姉さまの力は最上級悪魔に匹敵するもの。部長とイッセー先輩では……。今戦ってるあの人の力があっても幻術と仙術に長けている姉さまを捉えきれるとは思えません……」

「いえ、それでも絶対にあなたをあちら側に渡すわけにはいかないわ! あんなに泣いていた小猫を目の前に猫又は助けようともしなかった!」

「だって、妖怪が他の妖怪を助けるわけないじゃない。ただ、今回は手駒が欲しいから白音が欲しくなっただけ。私なら白音の力を理解してあげられるし」

「……イヤ……あんな力いらない……黒い力なんていらない……人を不幸にする力なんていらない……」

 

 ふるふると震え、ボロボロと涙をこぼし始めた小猫。リアスはいっそう強く小猫を抱きしめ安心させようとする。

 

「黒歌……。力に溺れたあなたはこの子に一生消えない心の傷を残したわ。あなたが主を殺し去った後、この子は地獄を見た。私が出会った時この子に感情なんてものはなかったわ。小猫にとって唯一の肉親に裏切られ、頼る先を無くし、他の悪魔に蔑まれ、処分までされかけた。この子は……つらいものをたくさん見てきたわ。私はたくさん楽しいものを見せてあげる! この子はリアス・グレモリー眷属の『戦車』搭城小猫! あなたに指一本だってふれさせやしないわ!」

 

 それを聞いた小猫は、また別の意味で涙をあふれさせた。

 一誠もそのリアスの愛に涙を流す。眷属を大切にするリアスの言葉に。

 先ほどまで自分の意見を押し殺してきた小猫は、ついに、自分の心を開いた。

 

「……行きたくない……。私は搭城小猫。黒歌姉さま、あなたと一緒に行きたくない! 私は、リアス部長と一緒に生きる! 生きるの!」

 

 小猫の心からの叫び。それは姉である黒歌との絶縁をも意味する言葉。

 それを聞いた一誠はもう後に引けない気持ちになる。小猫を絶対に守ると。

 黒歌は小猫の本音を聞き、一度苦笑した後、全身を凍らせるような冷笑い浮かべて

 

「じゃあ、死ね」

 

 絶対零度の殺害宣言。

 黒歌から薄い霧らしきものが発生する。それは徐々に広がり、一誠たちのところにも、森全体にまで広がっていく。

 薄い霧で視界には大した支障はないが、この霧に触れるだけで一誠は恐ろしい程に身震いする不気味さを感じている。

 

「―――あっ」

 

 隣にいたリアスが急にその場で膝をつく。一誠には何が起きたかわからない。

 

「へー? 赤龍帝だから効かないのかしら? この霧はね、悪魔や妖怪にだけ効く毒霧にゃん。毒を薄くしたから、全身に回るのはもう少し苦しんでからよ。短時間では殺さないわ。じわじわっと殺してあげるにゃん♪」

 

 一誠も黒歌も一誠に毒が効かない理由はいまいち良く解っていない。だが、黒歌の余裕は途切れる事はない。

 毒に侵されているリアスは、力を振り絞って魔力の弾を打ち出す。それは黒歌にヒットしたが、その体は不自然に霧散した。

 

「良い一撃ね。でも無駄無駄。幻術の要領で自分の分身ぐらい簡単に作れるわ」

 

 黒歌の声が森に木霊する。霧の中に人影が次々と生まれ、すべてが黒歌へと変わっていく。一誠には本物を見分ける術がなく、体を纏うオーラの微妙な判別をする能力もない。そもそも、オーラで判別するなんて芸当、リアス・グレモリー眷属内では誇銅以外できない。

 

 一誠たちが毒に侵されているその時、森の奥から何かが飛んできた。美猴だ。

 森の奥からここまで飛ばされた美猴は地面に倒れ動かない。正確には戦闘不能ってわけではないが、麻痺のような状態で動けない。

 

「にゃあ! 美猴、大丈夫かにゃ?」

「厄介な相手だったが、鎧分俺の方が上だ」

 

 美猴と戦っていた黒鎧が森の中から出てくる。多少のダメージは見られるが、まだまだ元気そう。だが、ダメージが少なそうな黒鎧が急に膝をつく。リアスや小猫と同じように。

 

「な、なんだこれは……毒か?」

「この霧は悪魔や妖怪にだけ効く毒霧にゃん。死ぬまでは時間がかかるけど、これであなたもおしまいにゃん♪」

「そうか」

 

 黒歌の言葉にうなずいた黒鎧は鎧の突起物を折って、自分の口元で握りつぶす。すると、粉々になった鎧の欠片は黒い煙となり、黒鎧の中に吸い込まれていく。

 すべての煙が吸い込まれると、黒鎧は平然と立ち上がった。

 

「これでよし」

「なっ! 私の毒霧を無効化したにゃ!?」

「簡単な話だ。俺の鎧を構成する暗黒物質(ダークマター)が毒を中和させた」

 

 黒鎧は間髪入れずに倒れる美猴の足を掴み、黒歌に向かって投げつけた。それも、無数にいる分身の中から本物に向かって。

 黒歌はそれを受け止めようとするが突如、美猴の体の内部から黒い突起物が皮膚を突き抜けて黒歌の足めがけて生えた。後数秒行動の切り替えが遅れれば、足を貫かれていただろう。

 

「にゃ、にゃに!?」

「そいつは既に俺の暗黒物質(ダークマター)を少なくない量を取り込んだ。妖怪の戦いは呪い合い。それを知る前に悪魔に降ったお前にはわからんだろう」

 

 方向転換ができない空中で黒鎧は黒歌を捉えた。

 それでも黒歌も数々の追っ手を返り討ちにしてきた強者。それで終わる程弱くない。

 

「なら、妖術仙術ミックスの一発をお見舞いしようかしら!」

 

 黒歌の最高の一撃。狙うは唯一鎧で覆われていない目元。

 それを黙って受ける黒鎧ではない。攻撃途中の黒歌の指を取り、関節を逆に曲げた。痛みで技を中断させられた黒歌。そのまま黒歌を操り地面に落とす。

 

「今のは指取り。分身の中から私を見つけ、本部流柔術まで……あなたは一体!?」

「……」

 

 黒鎧の正体を問う黒歌。だけど黒鎧は動かずに答えない。

 そもそもなぜ美猴と黒歌は日本勢力の黒鎧が悪魔だと断言したのか。それは、黒鎧のオーラが悪魔のそれと100%一致していたからだ。

 

「白音は俺の事を覚えてなかった。無理もない、白音はまだ物心がつく前だったから。しかし、おまえは覚えてるよな黒歌」

 

 黒鎧は自分の兜に手をかけ外す。兜を外すと、兜も鎧も黒い霧となって消えてしまう。鎧の中から出てきたのは、身長155cm程で金髪ショートの……女性だった。

 2m近くある黒鎧に、声もモロ男声から女声になっている。一誠はもはや別人じゃないかと思った。

 鎧の中から出てきた女性を見て、黒歌はまるで最初の小猫のように動揺を見せる。

 

「何十年、何百年経とうが、俺はおまえを許さない」

「……ルカール」

「その名で呼ぶな! 俺は神無! 本部神無だッ! 誇り高き日本妖怪。おまえのような師匠から受けた数々の恩義に、後足で砂をかけるような悪魔とは違う!」




 誇銅をレイヴェルといい雰囲気にしたらまた文字数が……。日本勢力に悪魔とか、ルカールと黒歌の関係はまた次にちゃんと書きますので。それまでは……予想とかしてお待ちください!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。