乗っ取らせていただきました   作:茶ゴス

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暗部

 俺が木の葉にきてから3年が経った。年齢は里に来たのが5歳とし、現在は8歳の少年としてアカデミーに通いながら暗部に所属している。暗部にはアカデミーに入学してから3ヶ月で入隊した。半年くらい人を殺せなかったら恐らくは何かの拍子に人を数人ばかり解体してしまっていただろう。まあ、何故暗部にそこまで早く入隊できたのには理由がある。俺の眼、淨眼は他人や自身のチャクラの動きを見ることが出来る。まあ、他人の感情ですら見えたり出来る眼だ。この程度驚くことではない。まあ、その眼を使用すると手本となるもののチャクラの動きを模倣すれば良くなるわけだ。カカシからはまるで写輪眼のように模倣しているとまで言われた。写輪眼、うちは一族の血継限界だったか、いつか一人くらい解体したいが……我慢するしか無いだろうな。

 

 暗部に所属してから1年間はカカシの監視のもと暗殺を行ってきた。無駄に殺しはしなかったためそれからは一人での任務も任されるようになった。と言っても大体が2人1班(ツーマンセル)での任務のほうが多いが……忍故に少しでも任務の成功率を上げるためだとか……正直面倒だ。

 

 まあ里には面白い奴もいる。確かうずまきナルトという奴か、あいつは恐らくNARUTOの世界の中心人物に当たるものなのだろう。大きいチャクラに腹の中に何かを隠してやがる。いや、何かではない。九尾とか言う化け物か。それを聞いて俺の中にあるはずの殺害衝動が機能しなくなったのを理解した。人外、妖かしに対して発動する衝動。それによって七夜の一族に殺しという力を植え付けてきた衝動。少し違和感は感じるがこれで俺にとって人外は人間と同等の殺害対象に成り下がったわけだ。

 

 他にはうちはイタチ、確か先日暗部に入隊したうちは一族のエリートか。何でも史上最年少でアカデミーを卒業したらしい。因みに俺はアカデミーに未だ通っているのには理由がある。通常の卒業、12歳まで在学することにより暗部という事実を隠遁しているのだ。暗部の間は狼という名前で黒い仮面を付けて任務を行っている。まあ、普段は3代目火影の任が多いのだが。何でも俺の立場は火影専属の暗部となっているようだ。火影の無駄なお節介なのだろうが、俺の任務は基本的に近場に限っている。まあ、俺としては文句も言われずに殺しているからいいのだが、そろそろ里を抜けたいという衝動にも駆られてきた。

 

 柵というのは少なくとも存在する。まあ、肉の檻に囚われている時点で存在しているとも言えるが……俺にとっては里にいるよりも里から抜けたほうが柵が少なくて済みそうなんだよな。

 かと言って抜け忍になったとすれば今度は追手が鬱陶しくなってくる。まあ、やってくるのを片っ端から解体すれば良い話だが、うちは一族や日向一族が出張ってきたら少々厄介だ。いくら俺の眼でうちはや日向の真似事が出来るって言ってもそれは一部分のことだし、本来の使用方法から乖離したものを俺自身使いこなすことなど出来ない。精々隙を見つけて死の点をつくくらいしか俺に出来る事がないだろう。

 

 何故かは分からないがこの身体は前世に比べると少々身体能力が高い。少なくとも俺基準の身体では無い。だとすればあの転生者が望んだのは七夜の技術ってとこか……それなら親父でも良かったとは思うがね。まあ、親父でもどっちみち奪っていただろうな。あれほどまでの脆弱な精神に自身を乗っ取られるのなんて溜まったものじゃないだろうし。

 

 

 さて、長々と思考を巡らせたわけだが、何故か俺は今日向家の屋敷にいる。なんでも日向ヒナタの弟か妹が生まれるそうだ。いくら考えても俺を読んだ理由はわからんが……

 まあいい。俺にとってはそちらよりも日向家の血継限界である白眼の観察の方がここに来た理由としては十分だ。今は俺の一つ下の少年、確か日向ネジだったか?それの稽古ついでに白眼を見定めている。

 確か経絡系を見るのと視野の増加が主な効果だったか……流石に経絡系は淨眼では見きれないし、視野の拡張は出来なくもないが白眼にははるかに劣る。

 

 まあ、こいつが見ている所に何かしらの物があるのだろうことはわかっている。ある程度の視線の限定は可能だし、もし経絡系にダメージを負わせようとする攻撃だとしても柔拳によるチャクラ放出は視えているわけだ。身体能力が拮抗しているなら勝てるかを置いておいて負けることはないか……

 

 

「クッ!」

 

「遅い」

 

 

 突き出してきた掌底を一歩引いて躱しつつ腕を足で蹴り上げる。一応ある程度の手加減をしているとはいえこの程度か。まあこの年でこの程度動けるならば大したものなのだろうが、如何せん相手が悪い。

 

 チャクラを放出しながらの掌底を掻い潜って懐に潜り込む。

 

 

「蹴り穿つ!」

 

「ガッ!」

 

 

 閃走・六兎、相手を6発の蹴りで打ち上げる七夜の蹴技、ここから更に追い打ちはかけられるが、今回は必要ないな。

 どさりと音を立てて地面に落ちた日向ネジを一瞥したあと踵を返して日向の屋敷に向かう。

 

 

「まて!まだ俺は戦える!」

 

「これ以上続けても無駄だろう。お前の攻撃は視えているんだぞ?」

 

「……クッ!」

 

 

 悔しげに吐き捨てたあと日向ネジは走り去っていった。

 

 さて、厄介者もいなくなったことだし、そろそろ帰宅したいところだが……

 残念ながらそうも行かないかね。とっとと生まれるなら生まれてほしいものだ。

 

 願わくば解体しがいのある猛者になるような赤子であらんことを。


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