迷っている俺が主人公なのはどこかおかしい   作:楠木 蓮華

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本当は昨日のうちに投稿したかったのですが、思ったよりも執筆ができずに、今日になってしまいました。


太陽のような笑顔

「到着……したのはいいけど、相変わらず本が沢山あるな。流石は無限書庫」

 

無限書庫に入ると……目に入るのは沢山の、本…本…本…本…本…本…本…本…本本本本本本本本!!

 

「お、私は本は嫌いだっ!」

 

「じゃあなんで来たのかな……」

 

「あ、ユーノさん……どうも」

 

このメガネをかけたイケメンはユーノ・スクライアさん。この無限書庫の偉い人らしい。俺からしたら、とっても扱いや……げふんげふん、お優しい人だ。

 

「うん、四季崎さんは今日も本を読みに来たの?」

 

「はい、暇だったので」

 

実際は嘘だ。あの場所に…母さんの近くにいることが耐えられなくて、いつもここに時間を潰しに来ている。

 

「今日はどんな本を探してるの?」

 

「そうですね……じゃあ、この前にオススメしてもらった古代ベルカの歴史の本を読みます」

 

俺はこう見えて歴史が好きだ。何故かというと…

 

「歴史……好きなの?」

 

「そうですね、歴史に出てくる人達が右往左往した挙句に、崩壊するところなんかは……ゾクゾクします」

 

「へ……?」

 

ユーノさんが驚きと動揺が混ざって表情でこちらを見ている。あ、やばい……どうしよう、つい本音が。

 

「じ、冗談に決まってるじゃないですか〜、嫌だな〜」

 

「そ、そうだよね……あはは」

 

ど、どうしよう、ユーノさんが苦笑いしていらっしゃる!?

 

「そ、そろそろ本読みますので……」

 

「あ、うん、わかったよ。 ゆっくりしていってね」

 

そういってユーノさんはどこかへ歩いていった。なんとか誤魔化せた様でなによりだが、今度から口をすべらさないように気を付けないといけないかもな。

 

「さて……と」

 

本のページをめくる。そこには大きく、古代ベルカ伝記と書かれていた。聖王の歴史や覇王の歴史、冥王の歴史などが書かれていて、見ていて退屈はしなかった。

 

何より一番目が引かれたのは、本の最後の方に書いてあった人物だった。名前は書いていなかったが、聖王に仕えていたメイドで、そのメイドは実際に戦に参加にして、一騎当千の実力を出していたという。

 

そしてそのメイドはもちろん女という性別であったが、自分は生涯一生男であるといい続けていたらしかった。その言葉に、俺は少し親近感を覚えた。体は女でありながら、心は男。

 

もしかしたらこのメイドも、もしかしたら俺と同じ境遇だったのではないか……と。

 

「ま、考え過ぎかもな」

 

本を閉じる。この本は面白かったな……今度他の人にも教えるか。あ……しまった、俺は今まで母さんとユーノさん以外の人とまともに話したことがなかっんだっけ……。

 

「って……もしかして俺って、ボッチなのでは?」

 

いやいやいや、確かに……同年代の友達はいないし、顔見知りというか、知り合いは三人くらいしかいないけと……でも、仕方ないじゃないか、性同一性障害のおかげで人と関わるのは極力避けてきたし、学校にも行けなかったのだから。

 

「つまり、全部病気が悪い……というわけで、俺はボッチじゃない」

 

そうやって自分で自分に言い聞かせる。本当だよ? 俺、ボッチジャナイヨ?

 

「ふぅ……あ、もうこんな時間か」

 

ふと、外に目をやるとすでに日が落ち始めているのか、オレンジ色に輝いていた。そろそろ帰らないと母さんが心配するだろう……母さんは過保護なところがあるからな、前もちょっと帰るのが遅くなっただけで管理局を総動員させて捜索させた程だ。

 

「過保護すぎるのも考えものだよな〜……」

 

帰り道、もうすぐ沈みそうな太陽の光に当てられながら道を進んでいた。人通りはそこそこで、多過ぎもせず少なすぎもせずと言った感じだ。

 

「おっと……もうここまで来てたのか」

 

そっと顔を上げると、急な坂道に差し掛かっていた。この坂道は通称『心臓破裂の坂』と呼ばれ、徒歩で登るだけでも息が上がる。走って登ろうとすればただでは済まないであろうとんでもない坂なのだ。

 

「ここを逆立ちで尚且つ高速で登れるのは母さんくらいだろうな……」

 

この坂においても母さんの伝説はある。なにを思ったのかは知らないが、母さんが朝、この坂道で逆立ちで高速に楽々登ったらしい。母さん……一体何をしたかったんだ。

 

「はぁ……はぁ……」

 

流石に俺はそんな奇想天外なことはできるはずもなく、普通に坂道を登っていく……この先に待ち構えるお気に入りの場所を目指して、一歩ずつ……一歩ずつ。千里の道も一歩からというが、この坂道を登っていくとその言葉の意味がはっきりとわかる気がする。

 

「後もう少しっ……ふぅ〜……ついたぁ」

 

物凄い達成感を感じながら、持ってきておいたタオルで汗を拭う。そしてゆっくりと今まで登ってきた坂の方を向いた後、視線を上に持っていく。

 

「いやぁ……いつ見てもきれいだな……」

 

この時間、この位置でしか見れないとても特別な風景。沈んでいくオレンジ色に染まった太陽が、街や空を同じような色に染め上げていく、そしてその上にはもう既に夜の色が近づいてきていて、とても幻想的だった。

 

 

「このまま全ての時間が止まってしまえばいいのに……」

 

こんなにもなにも出来ない自分と、なんでもできる母さん。そして自分を認めてくれないこの世界。多くの人間に認められたいと思うのは人間の自然的な欲求だ。でも……それはなによりも難しくて、なによりも無意味な欲求だ。

 

どんなにて願おうが、どんなに努力しようが……その存在によって人に認められるかどうかは決まってしまうのだから……

 

本当に……だったら、いっそ……

 

「本当にそれでいいの?」

 

「え……?」

 

そこには金髪の髪を二つにまとめ、ツーサイドアップにしている女性がいた。

 

「ひさしぶりっ、ふゆっち」

 

その女性の笑顔は、さっきの太陽に負けないくらい綺麗だったと、俺は思った。

 




あれですね、金髪であの明るい性格ですから……きっとある程度は予想できる方もいるかもしれませんね

では、次回も宜しくお願いします
感想、質問どしどし送ってくれると嬉しいですっ
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