東方不死刀恋呪縛紀行録   作:天城黒猫

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書いてしまった……
いや!しかたないだろ!?もこたんが可愛いのが悪い!


その恋は叶わない

「はあああぁっ!これで終わりだ!」

「gyuooeeeeeee!?」

 

 

 自分の持つ刀にありったけの霊力を込め、一閃。

 そして、俺の前に立ちはだかっていた異形は真っ二つに胴体が別れ、地に伏す。

 

 

「はぁ……何とか勝てたか……クッソ、満身創痍ってやつだな。ま、生き残れたからよし。としますか」

 

 

 俺はそう呟き、刀を鞘に収め、地面の上に大の字で寝転がる。体はあちこちが打撲、骨折、擦り傷といった傷がある。幸い命に関わったり後遺症が残るような大きな傷はなかった。

 先ほど俺が切った異形の流す血が広がり、俺の服を濡らすが、気にはならない。服は異形の返り血、自分の血で赤く染まっているから。というかあちこちが破れたり、切れていたりでもうこの服は着られない。

 ……帰ったら新しいのを買わなくてはな。

 俺は退魔師だ。今のように異形……妖怪と呼ばれるものを倒して日々お金を稼いでいる。給金は高いが、死亡率もとても高い。昔はこの仕事を知ってから、死に物狂い……というよりは実際に死んでも構わないというぐらいの勢いでこの仕事をやっていたが、最近はそうではない、あるきっかけで自分の命……というか「生きる」という意志が強くなってきた。今の俺が当時の俺を見れば、なんて馬鹿なんだろうか。と思うぐらいに命を大切にしていなかった……というよりは実際、死にたかったんだろうな。

 まあ、それも昔の話だ。今は生きる。それが重要だ。

 

 

「ふう、そろそろ帰るか」

 

 

 血がある程度止まり、体の疲労がなくなったので、立ち上がり、都の方へと足を向ける。

 しばらく歩くと、木の柵で囲まれた都が見える。……最も、俺から見ればここは都何と言うには余りにも粗末だ。

 都の中心にあるでかい道……とは言っても踏み固められただけの地面剥き出しのものだ。そこを歩いていくと、木で出来た粗末な建物しか見えない。中にはまだ職人たちによって建てられている途中のものも見える。

 この都はまだ未完成だ。詳しい事情は分からないが、天皇が変わったから新しい場所に都を作る云々……ほとんどが噂話だ。

 まあ、俺にはそんなことはどうでもいい。所詮はそこに暮らすだけのちっぽけな人間なのだから、天皇だとかなんだか知らないが、そういったお偉いさんから見たら、俺たち民衆なんて税金を支払うだけの金づる。くらいにしか捉えていないだろう。

 今の俺は血だらけだが、毎度のことなのでここの住民も慣れてきた。最初の方なんか大騒ぎだったからな……

 しばらく歩いていくと、一軒の建物が見える。その建物も珍しくはない、標準的な建物だ。ただ一つ違うならば、扉の上に「退魔師刀丞(とうじょう)」という看板があるぐらいだ。

 そして、その建物の扉を開いて中に入ると、一人の女が俺に声をかけてきた。

 

 

「ああ、お前か。お帰り、随分とまた血だらけだな?」

「そうだな、とは言ってもほとんどが返り血だから問題ないがな」

「……そうか、とは言ってもお前は私とは違って限りある命なんだから、あまり無理はするなよ?」

「分かっているさ」

 

 

 彼女は優しい。かつてこの世に絶望していた俺の心を慰め、癒してくれた。

 ……最も、彼女は自分のことはあまり喋らないが、俺は彼女の事情を知っている。だからある意味傷の舐め合いとも言えなくはないのだが、それはいいだろう。

 

 

「ホラ、新しい服だ、さっさと着な。さっき鍛冶屋とかいう奴が依頼してきたぞ、なんでもお前に敵をうって欲しいとか何とかそんな感じの内容だったな」

「ああ、ありがとう。……しかし、また敵をうって欲しいとかそういう系の依頼か……ここのところ多いな」

「フン、大方新しい都ができてこっちに来る途中に襲われたんだろう」

「確かに、ここのところ色々な所から商人や職人が引っ越してくるからな。この都が作られ始めてから大体……2年だったかな?そのぐらいだ。今でも職人達はまだまだ足りていないからな。しばらくはこっちに越してくる人が後を絶たないだろう。その中には護衛をケチって妖怪に襲われるやつも多くないという話だ」

「そうか」

 

 

 彼女は俺に服を投げ、少し話したあと、囲炉裏の灰を火鉢で弄る。

 彼女は何か思うところがあるのだろう。彼女は人一倍「死」というものに敏感だ。だからこそ、当時の俺を見ていられなかったのだろう。

 まあ、とにかく今は依頼だな。ボロボロになった服を着替え、扉に手をかける。

 

 

「行って来ます」

「……死ぬなよ?今晩は大根の味噌汁だ。冷めないうちに早く帰ってこい」

「ん」

 

 

 彼女は俺が仕事に行くたびにそんなことを言ってくれる。だから俺も生き延びる気力が沸く。彼女もそれをわかって俺に声をかけてくれる。

 やはり彼女は優しい。だからこそ歯がゆい。いずれ俺は死ぬだろう。「死ぬな」と声を掛けられても、寿命がある。人間には限りがある。だが、彼女にはそれがない。

 なぜならば、彼女は「死なない」……いや、正確に言えば「死ねない」だろう。彼女は人間ではない。不死人、かつて、あの有名な「かぐや姫」に出てくる「蓬莱の薬」を飲んで不死になった人間だ。

 彼女は蓬莱の薬を富士山で燃やすために運んでいるところを襲撃し、蓬莱の薬を奪って飲んだ。その結果不死となった。

 ……かぐや姫に復讐する為に。

 父親、藤原不比等は、かぐや姫に求婚し、として蓬莱の玉を持って来ることを条件とされ、彼は職人に偽の蓬莱の玉を作らせたが、それをあっさりと見破られたのである。

その後、かぐや姫を連れ戻すために月から使者がやってきた。そして藤原不比等はかぐや姫を連れ戻してなるものか。と、月人に抗ったが、月人は脅威の科学力を持ち、撃退することはかなわなく、死亡した。

 それを知った彼女は父の敵を取らんと、蓬莱の薬を盗み、不死人となった。そして、いつかかぐや姫を探し敵を取らんとするために生きながらえる。

 ……それが彼女。

 蓬莱の薬は地上の人間には会わなかったのか、髪は真っ白に変色し、目も紅くなった。おそらくは薬の副作用だろう。

 そして、なぜか火を操れるようになった。

 それが彼女の事情。

 とはいっても彼女はそこまで俺にその事を話していない、彼女が俺に話していることは、彼女が不老不死であること。それだけだ。

 ……だというのに何故俺がそこまで彼女のことを知っているのか。それを説明するには話が少し逸れる。

 転生という言葉がある。それは仏教用語で、生まれ変わりを意味するのである。そして、俺は前世の記憶がある。そう、前世で死亡し、気がついたらこの世界で生まれ変わっていたのである。

 もちろん、初めは何が何だか分からなかった。それでも、二度目のせいを謳歌していたが、暫くたって、俺はこの世に絶望した。

 ……何があったのか、それはここでは省いておく。長くなるしな。

 そして、自暴自棄になっているころに彼女に出会った。そして、俺を絶望の底から救い上げてくれた。

 だからこそ歯がゆい。俺は人間、彼女は不死人。俺は死ぬ、彼女を置いて。俺が死んだとき、彼女はどう思うだろうか。悲しむだろうか、それとも、何とも思わないだろうか。

 分からない。それは俺が死んだ後のことだから。

 ここまで言えば分かるだろう。俺は彼女が好きだ。

 そう、俺は恋をした。彼女に。

 彼女といたい。だがそれはかなわない。俺は人間。彼女は不死人。俺が先に死ぬ。俺があやかしの類になって生きることも出来なくはないが、それをやったら、彼女は怒るだろう。……いや、それよりも酷いことになるかもしれない。

 

 

「どうしたんだ?ずっと立ち止まって」

「なんでもない。行ってくる」

 

 

 ……ああ、俺は貴女が好きだ。それが言えたら、どれだけ楽になるだろうか。

 俺は恋をしてしまった。

 前世でやっていたゲームの世界に転生し、彼女に恋をしてしまった。

 そう、その中のキャラクターの一人、藤原妹紅に。

 




不定期更新です……最低で月2くらい……
やっぱアレだな。バンバン書くもんじゃない。

次回は来週の土日に別の小説を更新。
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