どうやら したいの ようだ…
その日は討論会が決まったということもあり学園中が騒がしかった。
そんな中、いつものように学園へと登校した俺を通学路で待っていたのはいつもの面々。いや、達也はどこか疲れたような表情を浮かべていた。
「よう達也。だいぶ疲れているみたいだな。まぁ無理もないか」
肩を叩き声をかける。隣で
「おはよう敏也。何、火の粉を払ったら余計に飛んできただけだ」
ため息をつきつつ答える達也の横からエリカが「そりゃあね」と会話に入ってくる。
「部活勧誘会の時の取り締まりで派手に立ち回っちゃったから色んな人らに目を付けられてるのよ達也。特に道場で起こった一件から」
その時は私もいたけど、と付け加えてエリカは達也を見た。「あー…」と思い当たるものがあったのかレオも苦笑を浮かべた。
「派手に立ち回ったみたいじゃねぇか達也。一人でずっと昔のゲームみたいに無双していたらしいしな」
「無双…? おい達也、戦国時代の武将のように蹴散らしていったのか」
人をそんな風に見るな、というように睨みつけて達也が口を開いた。
達也の説明を要約するとこういうことらしい。
妹の強い要請を受けて風紀委員へと入ることとなり、新人勧誘のトラブル防止のためのパトロールをしていたところ、剣道部と剣術部のトラブルに遭遇、沈静化しようと動いたら火に油を注ぐ結果となってしまったらしい。その後剣道部の壬生某と接触、現状の体制に不満を抱いている同志を集めていること、そのメンバーにならないか、という誘いを受けたが断ったということらしい。
そんな説明を受けると深雪が「お兄様…他の女性と密会していたのですか…?」と冷たい視線を達也に向け、達也が勘違いを解こうと説明をしている姿を尻目に他の面々と会話を続ける。
「しっかし、現状への不満、ねぇ。何だっけ? 不当に部費の差別化が図られている、だっけか? なんというか、自分たちの行動を棚に上げてる、って感じはするな」
手を後頭部で組んでレオが詰まらなそうに呟く。その言葉に頷いて口を開いた。
「魔法に限った話じゃないがな。プロとして認められないことに耐えられない。ただ自身が劣っていると決めつけて現実から逃げているようにしか思えない連中が言いそうな言葉だな」
「うわ、敏也って結構キツイ言い方するわね。でもそれは事実よね。努力もなしに口だけで騒いでいるなんてただの子供じゃない。しかもそういった連中に限って才能のある奴らの目に留まって猶更偉そうに振る舞うわけだし」
エリカが同意するように頷くと、その隣を歩いていた雫やほのかたちが申し訳なさそうに俯く。
「まあ、才能の有無はともかく、行動のベクトルが間違ってはいるがな。なんのための学び舎なのかを考えろということだ。一科生だろうが二科生だろうが、まず行動することが第一だろう。環境に不満があるのならまず自身で努力をしてから話すのなら頷けども、それを無しに行動するのはどうかと思うな」
少なくとも、俺の友人には努力を怠った連中はいないが、と付け加えておく。小さく雫が「ありがとう」と言った気がした。
どこかざわついた空気の中での一日の後、放課後はいつも喫茶店で過ごしているという達也達と別れ、俺の足は帰途へとついていた。
重いガラス戸を押し開けると、玄関ロビーはひっそりとしていた。そのまま自室へと向かい、自室の扉へ手を掛けようとして、
「…………」
自室の扉に貼り付けておいた紙テープが剥がれていることに気づいた。
「…(誰かが部屋にいる)…)
一度扉から離れてそっと壁に耳を押し付けてみるが、中からは物音は聞こえてこない。
部屋の主が退室している間に内部を荒らしまくる"台風”が発生している訳でもなさそうだ。
(テープに気づかんようなマヌケなら警戒することも無し、か)
そう判断し、勢いよく自室の扉を開けた。
「…動くな!!」
開けた俺の視線の先には
「お、お帰りなさーい」
黒の下着でトランジスタグラマの肢体を包んだ
「…俺の部屋で何をしている? 誰だ俺の部屋に痴女を呼んだのは? 今日は俺の誕生日でもなんでもない。部屋を間違えてるぞ」
冷たい視線で目の前の女を睨む。
「ち、ち…じょ…? え? 敏也君? 何か勘違いしていないかな?」
「近寄るな痴女。そこを動くな、今警察を呼んでやる」
狼狽している女を無視して問答無用で携帯を取り出してダイヤルをタップすると「待ってえええええ!!」と泣きながら痴女が縋り付いてきた。
「離せ痴女、俺はこの後宿題をした後に自主練をして食事をとり床に着くんだ、お前の相手をしている暇は無い」
「さっきから痴女痴女って何!? 可愛い後輩を労ってあげようとする優しい先輩の心遣いを何だと思ってるの!?」
「俺の学校関係者に後輩の部屋に下着で忍び込んでくる痴女は居ない。……待てよ? お前、どこかのハニトラ専門の部隊の1人か?」
腰にしがみつく女を引き剥がしながら睨みつける。うぅ、と呻いて女はへたり込んだ。
「私痴女じゃないもん……ハニトラ専門の部隊でもないもん……」
床にのの字を書きながらぶつぶつ言う真由美を横目にして、
「さて、宿題でもやるか」
「ちょっとは気にかけなさあああああい!!」
下着姿の女が叫んだ。
*
真由美を散々弄り回した後、グスグスと泣きながら「私だってこんな事やりたく無かったわよ……あの糞タヌキ、本気で沈めてやろうかしら……」と服を着る真由美を横目に椅子に座る。
「んで? 何しに来たんだよアンタ。よもや本気でハニトラなんて考えてないだろうな」
「そんな訳ないでしょう…? こっちにも色々あるのよ……よし、着替えお終い。さて、あんな事になっちゃったけど一応話が無い訳では無いのよね。……第一高校の中で動いている良くないモノ、知ってるでしょ?」
そう言ってこちらを振り向いた表情は「生徒会長」であり「十師族」のそれであった。
「『ブランシュ』のことか? それとも『エガリテ』?」
「流石話は早いわね。EBさんからの情報かしら?」
「それは言えないな。精々エガリテの連中が動くぐらいの情報しか持っていないぞ」
持っている情報を小出しにしてテーブルに出していく。
まあ良いわ。そう言って真由美はベッドに腰かけ足を組む。
「どうも二科生の中で彼らの思想が蔓延し始めているみたいなの。『ブランシュ』の目的は「魔法師の排除」だから今度の討論会で何かしら仕掛けてくる可能性は高いわね」
心底嫌そうにため息をつく真由美。
「ほう。痴女のくs「だから私は痴女じゃありません!!」…兎に角、俺はそれとなく会場を見ていれば良いのか?」
ぷうと頬を膨らませて怒る真由美を無視して話を変える。
「出来れば何かあった時に麻利たちと一緒に対処してくれれば嬉しいのだけど…」
俺の言葉に頷いたのちにおずおずと真由美が言う。
摩利…というと、この前真由美と共に騒動の鎮圧に来た気の強そうな女の事だろう。
「俺が出ても構わないが、勝手に出ると風紀委員らのメンツを潰しかねないか?」
部外者の人間が出ると変な軋轢を生みかねない。下手をすれば俺の学生生活に何かしらの影響がある可能性が出かねないことを危惧した。
「大丈夫。変な話屋上で狙撃をしていても構わないわ。…それこそ『
意味深な笑みを浮かべてこちらを見る真由美に対して俺は思わず苦い表情を浮かべる。学園に
「許可を得ているならともかく、学園にアレを持ち込むのは無理があるな」
そう言うと「残念ね…久々に見てみたかったのに」と言いながらよいしょ、と反動をつけてベッドから立ち、こちらを上目遣いで見ながら真由美が歩いてきた。
「まあ、あなたを含めた生徒達の学生生活は守るわ。それが私達生徒会の役割だからね」
口元に笑みを浮かべて人差し指で胸をつんと突く真由美。その後に「そう言えば」と言って話題を変えてきた。
「貴方、夕食はどうするの? まさかそれにするつもりじゃなわよね…?」
そう言った真由美の視線の先にはレーションが机の上に数個置いてあった。その視線を追い彼女に「それがどうかしたのか」と視線を返す。すると途端に真由美の視線がキツくなった。
「どうして貴方はそうやって自分の身体を大事にしないの? あんな食生活でいつか身体を壊すとか思わないのかしら?」
「栄養価は問題ない。味も気にしていないから特に健康面を害するようなものではないが」
「そういう問題じゃないでしょ!? え、まさかとは思うけど学園でもそんな食生活を送っているの!?」
表情を無くした顔で真由美が恐る恐る聞いてくる。それに「何を言っている」と返し、
「食事は基本朝と夜しか口にしない主義だ」
「食生活の改善をしましょう。私がダイニングサーバに頼らない食事を作ってあげるから」
俺の肩を強く掴み強い口調で真由美が迫ってきた。
…どうやら、普通の学生生活からはまだまだ程遠いようだ。
どうも、前回の投稿からアズールなレーンにドハマりして艦隊を集める作業と並行していた筆者です。
世間ではどうも変なウイルスがふわふわ浮いている環境ですが如何お過ごしでしょうか。
緊急事態宣言が解除されたとしてもまだまだ油断できない御時勢、お気をつけてくださいませ。
今後「クロノスリベリオン」の世界観も入れるべきか
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構わん、続けろ
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無理に入れなくても良いんじゃね?
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そんなことよりヒロインの出番増やせ
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この作品入れてみて?(感想欄にて)