灰色の果実と劣等生(仮)   作:OkiharaM78

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入学式が終わり、各々が様々な思いを抱いて始まった魔法科高校の生活。
敏也の「普通の」学生生活も始まろうとしていた。
そんな中、些細なことから発展した騒動。
敏也の本性を達也たちは一瞬垣間見る。


すいません、遅くなりました。
言い訳はあとがきで。


騒動と殺気

どんな事でも切っ掛けというものは必ずある。

ある科学者が提唱した方程式が、ある二つの都市をそれぞれたった1発で壊滅させる武器を生むことになることであったり。

とある宗教教祖の理想がそれを実現するために信者と結託しテロを起こすことも然り。

些細な事が後に碌でもないことなる事も少なくはない。

 

 

切っ掛けは本当に些細な事だったと言う。

簡単に言ってしまえば兄と妹の仲睦まじい学生生活。その極々普通の生活が気に入らないと妹の方のクラスメイトが難癖をつけてきたのだ。

曰く、「ウィード如きが俺たちブルームと馴れ馴れしくするんじゃねぇ」「二科生の分際で生意気よ」。

他にも聞くに耐えない罵詈雑言が兄とそのクラスメイトにぶつけられたという。

兄の方は何処吹く風だった様だが、周りのクラスメイトは怒りを覚えた。

最初の食堂の一件(後から聞いた)から、双方共にそうとうキテいたのだろう、入学式から暫く経った今現在。帰ろうとしていた俺の眼前には、修羅場が広がっていた。

「ですから‼︎ 深雪さんはお兄さんと一緒に帰るって言っているんです‼︎ 話があるのなら一緒に帰ったらいいでしょう! 何の権利があって二人の仲を引き裂こうとするんですか!?」

 入学式では大人しそうな印象を受けた美月が激昂していた。それはかなり珍しい光景であったらしく、達也やエリカ、他にいた長身の男と黒髪の少女も呆気に取られている様に見えた。

「引き裂く、と言われてもな」

「み、美月は何を勘違いしているのでしょうか? わ、私とお兄様は……」

「深雪、どうしてそこで焦るんだ?」

 少女と達也の会話を聞いてああ、と内心で頷く。達也の隣にいるのは司波深雪、今年の新入生総代だった筈だ。

「僕たちは彼女に用があるんだ‼︎ お前達は引っ込んでろ‼︎」

「そうよ‼︎ 司波さんには悪いけど、少し時間を貸してもらうだけなんだから!」

 胸元の花弁から一科生と分かる集団が口々に言う。

 それに対してはっ、と長身の男が嗤った。

「自活なら他の時間でやれよ、時間あっただろうが」

「自活中に出来ない都合があったんだよ‼︎」

 叫ぶ男子生徒に対してエリカも啖呵を切る。

「それはそっちの都合でしょ? だったら深雪の都合も考えたら如何なの? 相手の都合も考えずに用事だなんて、まずは相手の同意を取ってからがルールでしょ。一科生サマはそんなことも知らないの?」

「このアマ……ッ‼︎」

 両者の空気が一触即発となって流れる。

「大体ウィードの分際で偉そうにしてんじゃねぇよ! 俺達はブルーム、エリートなんだよ‼︎ 選ばれた人間なんだよ! たかが雑草(ウィード)如きのテメェらが楯突いて良い相手じゃねぇんだよ俺達は‼︎」

「同じ新入生じゃないですか! あなた達ブルームが、今の時点でいったいどれだけ優れているっていうんですか!」

 別の男子生徒の言葉に反論した美月の言葉に、さっきまで激昂していた男子生徒の1人が表情を消す。

「……どれだけ優れているか、だと?」

 空気が変わる。先程まで傍観者の様に眺めていた達也の表情も変わった。

「知りたいんだったら教えてやろうか?」

 平坦な声音で言う男子生徒。長身の男が拳を打ち付けて笑う。

「面白ぇ、見せてもらおうじゃねぇか!」

 エリカも不敵な笑みを浮かべ臨戦態勢に入った。

「だったら教えてやるよ! これが違いだと言うことを‼︎」

 瞬間。

 男の左手には銃型の特化型CADが握られ、銃口が男に向けられていた。

「あれは……」

 呟く。確かあれは早撃ちの技、「クイック・ドロウ」だった筈だ。この技に特化した人間は多くは無い。だとすると、あの男はこの技に特化した家の人間だと分かる。真っ先に考えられるのはこの技の名家である森崎の人間。となると彼は森崎某という事になる。

 そしてあの声、あれは前にーー。

 思わず考え込んだ俺を他所に、状況が進んでいく。

 流石の早抜きに長身の男も咄嗟の動きが取れない。

 瞬間。

「……ッ⁉︎」

 男の手からCADが離れる。CADを落としたのは、警棒を持ったまま残心を姿をしているエリカだった。

 ニッとエリカは笑う。

「この状況だったら、こっちの方が手早いのよね」

 トントンと警棒で肩を叩くエリカに長身の男が不満げに言う。

「それは同感だが、お前、今俺の手ごと叩こうとしたろ」

「あーら、そんな事は無いわよ?」

「笑って誤魔化すなオイ‼︎」

 まるで漫才を見ているかのような2人の会話に苦笑していると、

「ーーだったら、コイツも弾けるか?」

 一科生の森崎某(仮)が、新たにCADを向ける。

 それは、さきほど弾き飛ばされたものとはべつのCADだった。

「――二つ目!?」

 エリカと長身の男の二人の表情から余裕が消える。銃口はエリカを向いていた。

「――ダメッ!!」

 後ろにいた一科生の女子が汎用型のCADに手をかける。

「お兄様!!」

 達也の後ろにいた司波深雪が兄に声をかけた。達也も右手を突き出す。

 その時、俺は動いた。

 

 

 -side 司波達也

「お兄様!!」

 深雪の声で俺は右手を突き出した。森崎一門の男子がエリカと西城レオンハルトに向けて特化型CADからの魔法の行使、それと同時に行われようとしている女子生徒の汎用型CADから行使されようとしている魔法。

 これらに対処するために魔法を発動しようとした瞬間。

 

 

 ―――浴びせられた凄まじいまでの殺気に気が付いた。

 

 

「―――!?」

 思わず深雪を庇う。横目で見た深雪は目を大きく開き体を震わせていた。その殺気に気づいたのは俺だけではなかったようだ。

「な……ッ!?」

「え…? な、何、これ…ッ!?」

「殺気……!? 一体だれが……ッ!?」

 エリカが思わずへたり込み、レオも顔を青くして周囲を見渡す。それはほかの生徒たちもそうだったようで、

美月も震える体を抱くように腕を抱えてその場で蹲り、一科生も恐怖で軽いパニック状態になっていた。

 この騒ぎを見ていたのだろう、駆けてきていた生徒会会長の三草真由美と生徒会会計の渡辺摩利の二人ですら体を硬直し、殺気が放たれているほうへと視線を向ける。

「どうした。そんな化け物を見るような表情をして」

 その視線の先には、口に小さな笑みを浮かべ、禍々しいまでの魔力を纏ってこちらに歩いてくる藤宮敏也の姿がそこにあった。

 

-side 司波達也 end

 

 

「どうした。そんな化け物を見るような表情をして」

 努めて明るく声を出す。そんな俺を見てどことなく懐かしい表情を浮かべた真由美を無視し、達也たちに声をかけた。

「帰ろうと思っていたら校門前が騒がしかったからな、何事かと思ったぞ」

「な…あ…」

 エリカはいまだにへたり込んだままこちらを見る。達也がこちらへと話しかけてきた。

「今の殺気、お前のか? 随分と凄まじいものだったが」

 どうやら本気で怖がらせてしまったらしい。冗談で放ったつもりだったが、予想以上の結果となってしまった。

「ん……? 殺気? 何のことだ。俺は今来たばかりだぞ」

 とぼけてみる。達也の表情からは警戒の色が消えなかった。

「貴方たち、自衛目的以外の魔法の使用による対人攻撃は、校則違反である以前に法律違反よ」

 慣れていたのか、真由美が真っ先に立ち直り、生徒たちに告げる。

「一年A組と一年E組の生徒だな。事情を聴く、付いてこい」

 冷たい声でそう告げたのは風紀委員の委員長、三年生の渡辺摩利だ。その手に持つCADは既に起動式の展開を終えていた。

 当事者たちの生徒のほとんどが硬直し、立ち竦む。

 例外としては、エリカは何故か摩利を睨みつけ、森崎某は唇を噛み締め、そして妹の視線の意味を理解したのか頷いた達也は、ごく自然な振る舞いで彼女の前に歩み出た。

「すいません、悪ふざけが過ぎました」

「…悪ふざけ?」

「はい。森崎一門のクイックドロウは有名ですから後学のために見せてもらうだけのつもりだったんですが、あまりに真に迫っていたので思わず手が出てしまいました」

 達也の発言に、誰もが言葉を失う。森崎は目を丸くしていた。俺はそれをただ見つめる。

 摩利は地面に転がった拳銃型デバイスと、森崎、エリカ、女子生徒をそれぞれ一瞥して、冷笑を浮かべた。

「では、森崎が再びCADを構え直し、更にそこの女子が攻撃性の魔法を発動しようとしていたのはどうしてだ?」

「驚いたのでしょう。条件反射で即座に攻撃姿勢を整え、また起動プロセスを実行できるとは、さすが一科生です」

 真面目な表情だが白々しさが混ざった口調で答えた達也に、思わず吹きかけるのをこらえる。

 この場にいる者の視線は達也と摩利のみに注がれていた。

「君の友人は、魔法によって攻撃されそうになっていたわけだが、それでも悪ふざけだと主張するのかね?」

「攻撃といっても、彼は条件反射で銃口を向けてしまっただけですし、それに彼女が発動しようとしたのは目くらましの閃光魔法ですから。それも失明したり視力障害を起こしたりする程のレベルではありませんでした」

 再び、皆が言葉を失う。

 今度は貶された側である達也が一科生を庇ったからという意外性からではなく、起動式を当ててみせたという達也の『異能』によって。

「ほう……どうやら君は、展開された起動式を読み取ることができるらしいな」

「実技は苦手ですが、分析は得意です」

「……誤魔化すのも得意なようだ」

 そして、それを分析の一言で済ませた達也に摩利は皮肉を投げかけると、次にこちらに視線を向けてきた。

「さて、先ほど私達が到着する直前に放たれた殺気、あれはお前か?」

「先ほど達也にも話したように、俺はさっき来たばかりだ。殺気なんて言われても分からん。一体何があったのかも知らない」

「お前から発せられていた殺気を私が気づかないとでも?」

 目を細め、睨んでくる摩利を意に介さず、

「だから殺気なんて知らん。大方、帰り道を塞がれていた多くの学生の怒りだったんだろう」

 白を切る。真由美がクスリと小さく笑ったが、それに気づいたのはどうやら俺一人らしい。

 そこに立ち直った司波妹が二人に声をかけた。

「先輩方。今回は兄の申した通り、本当にちょっとした行き違いです。お手数をおかけして申し訳ございませんでした」

 深々と頭を下げる。それをみた真由美はふう、とわざとらしく息をつき、

「わかりました。今回の件は不問にしましょう。以後気を付けるように」

 と言って去っていく。摩利はこちらを一瞬にらみつけ、真由美の後を追っていったことで空気が弛緩した。

 

「司波達也、だったな」

 三年生が去った後、森崎某は達也へ視線を向けた。

「……僕の名前は森崎駿。お前が見抜いたとおり、森崎の本家に連なる者だ」

 …どうやら本当に森崎家の男だったようだ。しかも知り合いに入る部類の人間だった。最近会っていなかったため昔の表情と重ならなかったが、よく見てみると面影がある。

「見抜いたとか、そんな大袈裟な話じゃないんだが。単に模範実技の映像資料を見たことがあっただけで」

「あ。あたしもそれ見たことあるかも」

「で、今の今まで思い出しもしなかったと。やっぱ達也とは出来が違うな」

「フン。起動中のホウキの前に立って使用者をぶん殴ろうとするヤツに言われたくないわよ」

「何だとぉ!?」

 達也の後ろの方が再び騒がしくなる中、達也と森崎は視線を交錯させたまま動かない。

 しばらく睨むように達也を見据えていた森崎だったが、やがて口を開く。

「……取り敢えず礼は言っておく。一つ借りだ、いつか返す」

 あくまで上から目線の口調だったが “普通のブルーム”なら言わないような、ある意味でウィードである達也を容認したセリフを言う森崎某。

 一科生は唖然とした表情を浮かべ、いつの間にかエリカたちも漫才を止めて、意外そうに森崎を見ている。

「貸したつもりなんて無いんだけどな」

「お前にその気がなくとも、僕の気が済まないだけだ」

 苦笑いで返す達也に、森崎某――駿はフンと鼻を鳴らして言い放つ。そしてこちらへと視線を向けた。

「……久しぶりだな、藤宮」

「ああ、久しぶりだな。駿。数年ぶりか?」

 苦々しい表情を浮かべる駿に声をかける。

「出来ることなら思い出したくなかった。お前のことなんて」

「何を言う。死にかけたお前を助けた恩を忘れたか?」

「ふざけるな! アレのどこが助けた恩だ! 本気で死にかけたんだぞあの時はッ!」

 叫び、肩で息をしてこちらをにらむ駿。そういえば、と俺は言葉をかける。

「確か同じクラスだったな。お前とは。三年同じとは誰かの作為を感じるな」

「悪意しか感じないよ!! ああもう、お前と話すと疲れる!!」

 そう吐き捨てて駿は足早に去っていった。後には呆然とする面々達。

「…さて、帰りますか」

 そう俺は達也たちに声をかけた。

 




どうも、Okiharam78です。…数年ぶりですああモノを投げないでッ。
言い訳させてもらうとリアルが本当に忙しかったのですハイ。
おかげで全く執筆出来ず、アイディアだけが浮かんでは消えていく毎日を送っておりました。
次は、次はなるべく近いうちに投稿しますので! どうか見捨てないで読んでくだされば幸いです。

感想もお待ちしております。
では、また。
okiharam78

今後「クロノスリベリオン」の世界観も入れるべきか

  • 構わん、続けろ
  • 無理に入れなくても良いんじゃね?
  • そんなことよりヒロインの出番増やせ
  • この作品入れてみて?(感想欄にて)
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