それは、彼を否応なしに巻き込んでいく事態へと発展していくのだった―――
リアルで死んでいたOkiharaM78でございます。お久しぶりです。
グダグダと「グリザイア」と「魔法科高校の劣等生」のコラボ、続けていきます。
「それにしても、なかなかどうして」
春にしては暖かい空気が流れていく中、その場所は心なしか冷たい空気を孕んでいた。
太平洋上、日本近海。
そこに一隻の客船が浮かんでいる。
一見すれば金持ちの道楽のようにも見えるその客船には、中年の男と少女が二人、椅子に座ってワインを傾けていた。
「日本という国は本当に昔から面白い国だ。あの国は権力への欲が表面へと出さぬものほど得を得ず、必ず第三者へとその利権を持っていかれてしまうのだから」
椅子に足を組んで座っている初老の男性が口元に笑みを浮かべて正面に座っている相手を見る。
言葉を駆けられた少女は黙って苦笑を浮かべるだけで言葉を発しなかった。
「さて、わざわざこんなところまで来てもらったのは他でもない。その国で近々行われる『パーティ』に出席、そして出来れば参加してもらおうと思って君に声をかけたのだよ」
笑みを浮かべたまま男はワイングラスを机に置き、正面から少女を見る。
「パーティ…ですか。それはまた……派手なものになりそうですね」
苦笑を静かな笑みへと変えた少女に「そうだろう」と頷く初老の男。
「あの国は以前までは篁グループの総帥が裏社会に顔を利かせて十師族、四葉ですらあの男のために強く動くことがままならぬ状況だった」
たった一代で巨大財閥を築き上げた老人、篁。
彼がその高いカリスマ性によって得たものは、魔法師には欠かせないCADのパーツ、およびその作成に必要な資源や技術の独占がその一つに挙げられる。
その手腕を以てして海外にまで影響を強く持っている篁にとって、十師族など掌で握りつぶすことなど容易いものだった。
なにせ魔法師を魔法師たらしめている重要なファクターの一つを完全に独占しているのだ。
如何な四葉といえど、彼らを上回る財源と発言権をもった篁には膝を屈せざるを得なかった。
今日に広まっているCAD技術は、元はといえば篁グループが特許を独占、法外な値段で「貸渡している」ものに過ぎなかった。
その均衡が崩れたのは、唐突なものだった。
「突然篁グループが総帥の死去を発表した途端、十師族が息を吹き返したのは当然の帰結だ。これまで散々煮え湯を飲まされ続けてきた篁グループを徹底的に押さえつける機会が出来たのだから」
表向きは現場視察の際の事故に巻き込まれて死去したと伝わっている篁総帥の死。実際のところは十師族でも掴め切れていなかった。
……噂では、篁総帥は一流エージェント「Nasty Boy」によって倒されたという話であったが、Nasty Boy は現在都市伝説上の人物として扱われており、この噂を信じる者は皆無だった。
この噂が本当のものだったというのは今ここに座っている二人でも知りえないことだが。
閑話休題。
息を吹き返した十師族が早速篁グループの持っている諸々の利権を分割しようと動きだしたとき、彼等は外からの脅威に晒されることになる。
「生前の彼と親交のあった国際テロリスト、ヒース・オスロが瞬く間に篁グループを纏め上げ、自身の傘下として復活させてしまうと、これまで利権の話し合いをしていた十師族のその利権は皮算用と成り果ててしまった。これを聞いた時、私は思わず笑ってしまったよ。一国の元締めをテロリストが務めている。日本という国は一時期だが、確かにテロリストの財布へと成り下がったわけだ」
もちろんあからさまな支配をヒースは敷くことは無かった。篁が所持していた財産を纏め、日本のどの権力者をも寄せ付けぬ強固な財閥を作り上げる。そして政治への発言は極力抑えて、あくまで一財閥として繕うことで表向きの混乱を避けることに成功していた。
裏では篁譲りの強権を発揮しより強固な立場を確立することになったオスロは、テロリストの立場ではなく幾つもある偽証された経歴を使い分けることで男が言ったように日本は彼の財布へとなってしまったのだ。
「無論、唯黙って財布となり下がった十師族ではない。百家とも団結しオスロに対抗するための術を探していた。しかし、その努力はある意味で無駄に終わることになったがね」
「オスロが突如姿を眩ました、からですね」
男の言葉を引き取るように少女が口を開く。その言葉に満足そうに頷き男は言葉を続けた。
「現在定着している情報では『9029』のアジト襲撃によって一旦国外へと逃げた、というのが通説だがね、あの男がまだ生きて潜伏しているという事実は変わらない」
とにかくオスロが国内に居ない以上、十師族が往年の権力を取り戻すのに時間はそう掛からなかった。そして篁が独占していた権益を分担し、魔法師主体の現在の体制へと移ることになる。
……余談だが、この時の権益分担で四葉は大きなアドバンテージを持つことになるが、それは他の師族との拮抗が更にややこしくなる事態を引き起こすことになるとは、当時誰しもが予想だにしていなかった。
「さて、本題だ」
そこまで言って男はゆっくりと机に手を組んで膝をつき、少女に視線を向ける。
「日本の魔法科第一高校、知っているかね? その第一高校にて
「どこまでいっても人は自分と相手を区別したがる生物ですからね。その行動も傍から見れば御伽噺の勇者様、といったところでしょうかしら」
「その勇者様が力を欲して「ブランシュ」に接触を試みたようだ。そこで君にはそのイベントの立会人になってもらいたい」
「どこまで勇者御一行様が辿り着けるのか、をでしょうか? それとも彼らがあっけなく全滅する様を見届けろと?」
小首をかわいらしく傾げて物騒な言葉を吐く少女に苦笑を浮かべながら男性は「両方だね」と返事をした。
「まあ我々にとってはそれはどうでもいい。問題はその第一高校に君が愛してやまない「彼」が入学してきたということだ」
彼、という単語を聞いた途端、少女の表情が喜色に染まる。
恋焦がれる相手に会えるという年相応な表情と、どこか狂気を感じる二つの相反する表情。
「彼に愛の告白をしてくるというのも一興だが、勇者一行がどのような結末を迎えるかに私としては興味がある。
勇者はブランシュに「ジェネレータ」を要求してきたようだし、アレのテストも兼てのイベントとなる。彼への告白はその後ということになりそうだがそれでも良いのなら」
「喜んでそのイベントに参加させていただきますわ。あの方に会えるのなら、勇者なんて潰れても一向に構いませんもの」
「潰れるのは「当然の帰結」だけどね。問題はそのイベントにあの国の重鎮連中がしゃしゃり出てくるかがこのイベントの肝になる」
まるで高校をぶち壊すということが不可能であるという前提を元に話している二人。彼等からすればこの事態は些細な事なのだ。
「どれだけの人間に我々のことを宣伝出来るか。どれだけの連中に自分たちが危険な状態に晒されているのかを教えてあげなければ、面白くなかろう?」
この会談の数日後、一人の少女が日本に入国してきた。黒髪を靡かせ、口元には可愛らしく笑みを浮かべた美少女はまるでどこかの高校の女学生のような容姿だったという。
それから数日後、藤宮敏也らがいる魔法科第一高校に一波乱が起きることになることは、当事者達しか予想しえないものになるのだった。
お久しぶりです。
グリザイアと魔法科のクロス小説再会です。
今回は舞台裏ということで入学編の前に高校の外で起こっていた出来事でした。
さて、今回「ルーツ」と「グリザイアシリーズ」のラスボス的キャラクターの名前が出て参りました。
ここでお伝えしたいことは、グリザイア、魔法科共に原作とは少し乖離した展開を予定いしております。
例えばグリザイアの迷宮、楽園で主人公の風見雄二と相対するラスボスのヒース・オスロは今作では生存しています。というのも、今作をグリザイアの時系列でみた場合、楽園後にしてしまうと美浜学園は既に○○(ネタバレのために伏せております)となっており、これまでの経緯と矛盾してしまう点が出てきてしまう為です。
ヒースに関しては魔法科の「九校戦編」、もしくは「横浜騒乱編」にあたるエピソードにて絡ませる予定です。風呂敷を広げると「追憶編」で既に司波兄妹に目を付けていた……かもしれません。
更新は不定期となっておりますが、気を長くして待っていただけると幸いです。
次回は討論会からの皆大好き(?)司一フルボッコまでを書けたらなと思っておりますのでお楽しみに。
それではまた。
今後「クロノスリベリオン」の世界観も入れるべきか
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構わん、続けろ
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無理に入れなくても良いんじゃね?
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そんなことよりヒロインの出番増やせ
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この作品入れてみて?(感想欄にて)