NERO SIDE IN
「数ばかりうじゃうじゃと……」
スケアクロウの数を見て俺は呟く。
村人達の避難はまだ完全に終わっていない、これは近接武器じゃ無理だな。
俺は換装魔法を使い、左手に拳銃を取り出す。
この銃の名前は「ブルーローズ」青い薔薇って銘だ。
リボルバー型の改造銃で銃口が二つあり、そこから数十分の一の差の速さで弾丸が二発出てくる。
銃身には薔薇をモチーフにしたレリーフを彫り込み、クッキリとした紋様が見える。
俺は走りだして前方にいたスケアクロウを蹴り飛ばし、村人を襲いそうだった奴に弾丸を一発くれてやる。
そのまま村人に近い奴、襲っている奴らを中心に弾丸を打ち込んで行く。
しばらくそうしていると村人の避難は怪我人はいるが、何とか終わった。
スケアクロウ達は次の標的を求めて俺の所を向く。
そうだ、それでいい……。
お前らの相手は俺が十二分にしてやるから。
「換装……ッ!」
周りに村人達がいない事を確認し、俺は手に持っていたブルーローズをしまう。そして新たに背中に片刃の大剣「レッドクイーン」取り出す。
レッドクイーンには「イクシード」と言う剣戟を加速させるための装置がつけられている。剣の柄がバイクのアクセルの様になっており、そこを捻ることにより剣に込められた魔力を燃焼、付属のクラッチレバーを握ることにより推進装置が発動するようになっている。
「
レッドクイーンを横に大きく薙ぎ払う。確かな手応えと共にスケアクロウの断末魔が辺りに響きわたる。
飛びかかってくるスケアクロウに切りつけることで対処する。悪魔共は黒い血を撒き散らしながら消えていく、相変わらず汚い血だ。
レッドクイーンの柄を捻る、それによって剣戟の推進装置が発動し辺りにいたスケアクロウを粗方吹き飛ばす。
かなり殺したと思ったが、まだまだかなりいるな。
イクシードを使った勢いのままに新たに出てきたスケアクロウを切りつける。
順調に数を減らしていくことができていたが、後ろからふと声が聞こえてきた。
「私も手伝う!」
「……おいおい」
後ろを振り返って見ると右腕が異形に変わった少女、ミラが家から出て来ていた。
恐らくではあるが、教会にいた悪魔を退治した自信が自分も手伝えると思わせたのだろう。
彼女は見事に目の前にいたスケアクロウを殴って吹き飛ばした。
だが、正面にだけ奴らがいるわけで無い。
屋根の上から飛び降りてくるスケアクロウには全く気付いていない。
レッドクイーンを投げて屋根から降りて来たスケアクロウに突き刺す。仕留めれたのは一体だけだ、まだいる。
走り出した俺は少女を庇うように横に突き飛ばし咄嗟に”右手”でスケアクロウの一撃を受ける。
「あ……ご、ごめっ…」
「……そう言えばさっきの話だが」
「え?」
右腕の手袋も破れたし丁度いい。
そのまま右腕でスケアクロウをぶん殴り、両腕のコートの袖を捲る。
「俺も似たようなもんだ。それでもあいつらは気にしない」
「…あ⁉︎ それ……」
手袋がなくなり、全体を隠していたコートも無くなる。
すると隠してきた俺の右腕があらわになる。
そこにあった腕は人の肌とは思えない色の、鱗が外殻を思わせる腕があった。手の平の部分と手の甲から腕の一部にかけては青白い筋が出来ている。
今より小さい時はこんな右腕ではなかった。
いつも通り仕事をしている最中に悪魔と出会い、右腕に一撃を受けてしまった。その時の傷が癒えると同時にこんな腕になっていた。
マカロフに話しても良くわからないらしいし、ギルドの奴らも特段気にはしていない。
あいつらはこの腕のことを
ネーミング的にはそのまんまなんだが、俺の名前も安置だしそれでもイイかと思う。
腕の調子を確認するように手を開いたり閉じたりして確かめる。
「
悪魔の腕を振るうと腕の横に透明なもう一つの腕が現れる。その腕がスケアクロウを鷲掴みにする、そのまま俺は腕を振るいあたりの悪魔共にぶつけて行く。
悪魔どうしでぶつかって死ねるんだ、最後まで殺し合いができて嬉しいだろう?
少女を後ろに庇い悪魔の腕と換装で取り出したブルーローズで悪魔を屠っていく。
後は簡単な作業だ、此方に近づいてくるスケアクロウを撃って殴るだけ。
スケアクロウ達は対した抵抗が出来るでもなく、死んでいった。
最後の一匹の脳天に銃弾をプレゼントしてやり、自分でぶん投げたレッドクイーンを回収する。換装魔法で両武器ともに異空間にしまい。コートの袖も直す。
「……ふぅ」
一つ息を吐き、辺りを見回す。
地面が抉れていたり、家屋の屋根が傷ついているが多少のハズ。大丈夫だろう。
後ろにいる少女は此方を見て口を開いている。
女がそんな顔を安易にするもんじゃないと思うけどね。
「……おお、悪魔がいない」
「本当だ……!」
「助かった!」
外の騒ぎの音が無くなったからか、村人達が次々と家の中から外に出てくる。
俺はそっとコートのポケットに右腕を隠し、村長がどこにいるのかを探す。
村長は割と直ぐに見つかった、俺が村長の元に歩いて行くと相手も此方に気づいたのか歩み寄ってくる。
「おお、ありがとうございます魔道士様!」
「……仕事だしな」
村人達のあの家族への態度を思い出して、返事が少々素っ気なくなってしまう。
もし俺がFAIRY TAILではなくこの村にいたらどうなっていただろうか。if の話はあまり好きではないが考えられずにはいられなかった。
「それでもです。報酬はそのままお払いいたします」
「……ああ」
報酬なんてものはハッキリ言えばどうでもいい。
俺はこの腕がどうしてこうなったかの手掛かりが掴めないか探すためにきたのだから。
貰えるものはもらっとくけどな。
報酬の金を貰い、適当にポケットの中にねじ込む。依頼書にも依頼成功のサインをもらい依頼完了だ。
問題はこの後だ、あの少女と家族についての話し合いをしよう。
最も、この村にはいられないかもしれないがな。
なんせ今悪魔が来たのもあの少女のせいじゃないかって、周りの奴らが呟いているくらいだからな。
「村長」
「なんでしょうか」
「あの少女はウチのギルドで預かるよ」
「なんと! よろしいので?」
厄介払いができる、見たいな表情をしやがって。
嬉しそうなのが声色で直ぐにわかる。
俺は村長の言葉に素っ気なく返事をした後にあの少女の元へ向かう。
途中、村人から感謝の声がかけられたり、話しかけられたりするのを半ば強引に押し退けて通る。
「あーと、ミラ? だったか? どうする、ウチのギルドへ来るか」
「……行く。リサーナとエルフマンも一緒でいいか?」
数瞬、考える素振りを見せて頷くミラ。
リサーナとエルフマンと言うのは他にいたあの少年少女のことだろう。
元々あの二人も誘うつもりだったからなんの問題もない。
「構わない。出発は明日でいいか? 荷物をまとめて家族と話し合っておけ」
俺の言葉に頷くことで返事をするミラ。
俺も何処かで寝泊まりできる場所を探さないとな。頼めば村長なんかは泊めてくれそうだが、心情的にはちょっとくるものがある。
最悪野宿も覚悟しておこう。
「あの……」
「なんだ?」
「名前教えて……」
「自分から名乗るのが礼儀じゃないか?」
うっ⁉︎ と顔をしかめる。
からかったつもりだったが思いのほか反応が悪い。
「…冗談だ。……ネロ。俺の名前はただのネロだ」
「ネロ……ネロ……」
覚えるように俺の名前を小声で何度も呟く。
「で? お前の名前は?」
「あっ⁉︎ ミ、ミラジェーン! ミラジェーン・ストラウスだ。ミラって呼んでくれ!」
「OK。早速で悪いがミラ」
「な、なんだ⁉︎」
一々反応が激しいな。
それもそうか、細かい原理は違うとは言え自分と似た姿の奴は俺が始めてだったか。
「今晩泊めてくれないか?」
「え?」