FAIRY DEVIL   作:atsuya

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mission4

NERO SIDE IN

 

ミラとの自己紹介が終わり、俺は何事も無く今晩の宿を手に入れることができた。

その際に家にいた他の住人、リサーナとエルフマンとの紹介も住んでいる。

現在は俺の所属しているギルドFAIRY TAILに向かっている途中だ。

森を超えてマグノリアの街に入ったのでもう目と鼻の先ほどだ。

村を出る際には一応の礼儀として村長に挨拶に行ったのだが、俺はともかくとしてミラ達への態度はひどいものだった。

村への後腐れを考慮すればこれでいいのかもしれないが、あまり気分の良いものではない。

 

「なあ、ネロ。FAIRY TAILってどんなとこだ?」

 

「……問題児の溜まり場」

このミラという少女は中々男勝りな性格のようだ。

悪魔に喧嘩を売るぐらいだから当然かもしれないけど、口調までもが男のようだ。

ミラの質問に対しては割と的を得た解答であると自負する。

マカロフ辺りが聞いたら、文句を言ってきそうだが誰がなんと言おうが正答だ。

むしろ、第三者からの方がよく見えているかもしれない。

 

「も、問題児って……」

 

「楽しそー!」

ミラの家族達はそれぞれの反応を示している。

エルフマンは見ため通りに不安気に、リサーナはその小さい身体をめいいっぱい使って喜びを表現している。

 

「ついたぞ」

 

「…ここが」

 

「でっかーい!」

エルフマンは年齢に似合わない身体をミラの影に隠し、リサーナは先ほどと同様。

ミラは口をポカンと開けてFAIRY TAILを見上げている。

 

「ようこそ、FAIRY TAILのボロ酒場へ」

 

「こりゃ!」

三人の前に立ち、見た目のボロさを皮肉ると後ろから頭をはたかれた。

 

「マカロフか……」

 

「マスターと言わんかマスターと」

叩いた相手は俺の育ての親でもあり、このギルドFAIRY TAILのマスターであるマカロフだ。

杖を持ちながら、ギルドの建物から出てくる。

この時間帯ならばカウンターで酒でも飲んでいると思ったが、油断した。

 

「依頼はどうじゃった?」

 

「対した手掛かりは無かったよ。依頼は少し内容が変わったけど、無事成功だ」

前半部分の返答には少し顔を歪め、後半の部分ではまるで自分の事の様に顔を綻ばせる。

 

「して? 後ろの三人は?」

 

「ギルド加入者だ」

 

「なんと! そうかそうか! ネロも人を連れて来れるようになったか!」

 

「…チッ、どう意味だよ」

俺の舌打ちにも笑うことでしか反応してこない。今より小さな頃から世話になってる分、やりにくい。

マカロフは俺の横に立ち、後ろにいた三人を見る。

 

「このギルドのマスター。マカロフ・ドレアーじゃよろしく頼むぞい」

 

「「「は、はい」」」

いきなり出会うのがマスターじゃあ緊張するだろう。

村で言えば村長が出てくるようなものだ。

マカロフは視線を彷徨わせ、ミラの右腕を見ると一瞬目を見開くが直ぐにもとの目に戻る。

 

「その腕……」

 

「こ、これは…」

ミラは黒いコートを着て身体全体、主に右腕を隠す様な服装をしている。その状態からさらに右腕を隠し、リサーナとエルフマンに至ってはミラを庇う様に前にでる。

両腕を広げて悪意からミラを守ろうとする姿は好感がもてる。

 

接収(テイクオーバー)……か」

 

「ああ、そこの説明はあらかた終わった」

ミラの変わった右腕を見て、マカロフは俺の物と同じかと思ったんだろう。実際にはミラの腕と俺の腕では全くの別物ではあるのだが。

 

「隠す事はない。ネロも似たようなもんじゃろ?」

 

「あ、ああ……」

その言葉に少しは安心したのか三人は警戒を解く。

俺がミラと似たような腕をしているのもあるのだろうが。

 

「その魔法を扱えればちゃんと元の腕にも戻るぞい」

 

「ほんとっ⁉︎」

マカロフの言葉にいち早く反応したのはミラではなく、妹のリサーナだった。

姉の悩みが解決できること自体が嬉しいらしい。

 

「で、でもネロは……」

 

「あ、確かに」

俺の人間の物とは違う右腕を見てエルフマンは思ったのだろう。

俺も出来れば戻したいんだがね。

 

「ネロのはのう。魔法では無いからのう」

 

「それはどういう……」

 

「いつまで、ここで話してんだよ。中に行くぞ」

俺の腕が魔法によるものではないと聞いてミラが詳しく聞こうとする。それに俺は食い気味に返答をして一人でさっさとギルドの中へ入って行く。

マカロフが苦笑するのが見えたが、鼻を鳴らすだけで終わる。

 

「それもそうじゃのう。さてついてきなさい」

マカロフが促し、三人が続いてギルドの中に入ってくる。

三人は中に入るとFAIRY TAILの騒がしさに後ずさる。始めてここに来る奴は大抵似たような反応をする。

俺はここで育った様なものだからだ、慣れたものだ。あまり騒がしいのは好きではないが……。

 

「聞けい、皆の者ォッ! 家族が増えるぞォッ‼︎」

ギルドの中に入った途端にマカロフは声を張り上げる。

突然の大声に、後ろの三人は萎縮し、俺は顔を歪めてしまう。いきなり大声だすなよ。

 

「「「おおおおおおおおおお‼︎」」」

マカロフの言葉に、ギルドにいたメンバー全員が声を張り上げる。

酒を飲んでいたやつも、隣人と話していた奴も、仕事の掲示板を見ていた奴も全員此方を見ている。

俺がメインと言うわけではないので、三人とマカロフの場所からそっと離れて”二階”へ上がる。

このギルドにも二階とかはある。

ただし、簡単に二階に行けると言う訳では無い。二階に上がることができるのはS級資格を持ったギルドメンバーだけ。

一応ではあるがS級資格の最年少記録保持者でもある。とったのはかなり最近だが。

 

「よう、ネロ」

 

「……ラクサス。いたのか」

金髪を逆立て、ヘッドホンをつけた男が話しかけてきた。その男の名前はラクサス・ドレアー。ドレアー性でわかると思うが、マカロフの血縁者である。

ラクサスもS級魔道士であり、今年の試験に俺と一緒に受けて合格した。

二人もS級資格の合格者が出るのは珍しい。合格者数ゼロ人なんてのもしょっちゅうある。

 

「新入りだって?」

 

「ああ、依頼先で拾った」

二人で二階から、ギルドメンバーにもみくちゃにされている新入りを見る。

一瞬、ミラが此方を縋るような目で見てきた気がするが気のせいだろう。

 

「ふーん、まぁ関係ねぇか。俺は今から依頼に行くが、お前はどうする」

 

「遠慮しとく、帰ってきたばっかだしな」

このギルドで言えばマカロフと同じくらいにラクサスとは長い付き合いだ。

俺が拾われてからマカロフによって同じ様に育てられてきた。

S級をとってからか、ラクサスがマカロフの孫扱いされて、自分を見られないのを気にし出している。

「そうか。じゃあ俺は行くぜ」

 

「ああ」

ラクサスは身体を雷に変えて、誰にもわからない速度で素早くギルドから出て行く。

ラクサスは仕事の頻度が段々上がってる。それも難しいものばかりだ。

……俺が気にしても仕方ないか。

 

「ラクサスと話しておったのか……」

 

「マカロフ」

一人考えに耽っていると、マカロフが手摺にいつの間にか座っていた。

この頃、マカロフとラクサスの二人は話しがでしていないらしい。

目を閉じて滅多に見ない真剣な表情をしている。

と、思っていたのだが鼻から提灯を作っていた。……寝てやがる。

ブルーローズを取り出して、こめかみに目掛けて弾丸を一発。

 

「ぬぅおうっ⁈」

 

「……チッ」

 

「親に弾丸を撃って舌打ちとは……」

流石聖十大魔道の一人、至近距離での発砲だったのだが避けられてしまった。

真面目な話しをしていたのに急にねむる。思わず発砲して舌打ちをしても悪くは無い。

どこで二人とも育て方を間違えたかのう? などと呟いているマカロフを後目に、新入りのミラ達三人を見る。

リサーナとエルフマンはナツやグレイ、エルザたちと上手く行きそうだ。

ただ、ミラの表情は何処か暗い。

これからどうなるだろうかと思いながら、横でブツブツうるさいマカロフに向けてもう一発弾丸を撃ち込んだ。

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