FAIRY DEVIL   作:atsuya

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mission5

NERO SIDE

 

ミラやリサーナ、エルフマンがギルドに加入してから数日がたった。

リサーナとエルフマンはとてもギルドに馴染んでいると思う。

初めは騒がしさに戸惑っていたようだが、ナツ達のフレンドリーさもあって直ぐに馴染めたようだ。

この二人は問題ないだろう、魔道士になる為に”ある魔法”をマカロフに学んでもいるようだしな。

問題はミラだ。

こいつはあまり馴染めていない、話しをするのは弟妹であるリサーナかエルフマン、それと俺ぐらいだ。

エルザが何度か話しかけているのを見かけたが、いずれも無視をしている。

やはり腕があの状態なのがコンプレックスのようだ。

俺も似たようなものなんだがな。

 

「ミラ」

 

「……ネロか」

黒いコートを頭から被っているミラに話しかける。被りものの隙間からチラッと見て俺だから反応したのだろう。恐らくそれぐらいまでは話し合えるハズだ。

 

「彼奴らに混ざらないのか?」

 

「……お前だって似たようなもんだろ」

なんとも言えずに左手で頬をポリポリとかく。

確かに俺はあまり集団行動はしてないが、ギルドのメンバーと仲が悪いと言う訳では無い。無いのではあるが、なんとも反論がしにくい。

 

「まあ、一人でいるほうが多いか……」

 

「私もそれでいいんだ」

それでいいんだっていう割には、彼奴らを見て眩しそうな表情をするのは辞めてくれないか?

……いや、俺がどうこう言う事もないか。

リサーナやエルフマンがいる。一人では無いから何とかなるだろう。

 

「そうか。俺は今から依頼だからな。これで行くぜ」

新しく買った黒い手袋を嵌め、紺色のコートで腕を隠す。依頼の内容が記されている紙を確認して、ギルドから出ようとする。

その時に俺のコートが後ろから掴まれた。

 

「……なんだ?」

 

「私も行く」

ミラがそんな事を言い出してきた。

俯いている為に表情がよく見えない。それにしても何故こんな事を言い出したのだろうか?

 

「金が無い……」

 

「………好きにしろ」

つまり、依頼をこなしていないから生活資金がなくなったと。

だから、依頼を魔法が使える自分がしなければならない。それでも、この腕を依頼人とは言え他人には見せたくない。だったらどうすればいいか? 俺について行って依頼を手伝えればもしや……というわけか。

 

「悪魔の討伐依頼だが大丈夫か?」

 

「……大丈夫だ」

迷うような素振りを一瞬見せたが、ミラは俺に向かって力強く頷く。

ハッ、いい返事だ。

俺はミラに今から行く場所についての説明をする。

今回俺たちが行くのは割と近場だ。

ここマグノリアから一駅のった場所にある森の中だ。恐らく一日で対処できる仕事のためにそこまでの準備はいらないかもしれない。

その事をミラに説明してマグノリアの駅で集合ということにする。

ミラは走ってギルドを出て行ったので、素早く準備を済ませるだろう。

俺も直ぐに駅に向かうとするか。

 

ギルドから出て真っ直ぐに駅に向かう。

ナツ達に見つかると中々に面倒なので、マカロフ以外には何も告げずに外に出た。

彼奴らにバレると必ずと言っていい具合に絡まれてしまうので厄介だ。

そうこうしているうちに駅にたどり着く。俺は既に準備を完了しているのでギルドから直行で問題はない。

首を振って辺りを確認するが、ミラの姿はまだ見えない。だと思っていたのだが黒いコートに身を包んだ奴がいた、あれがミラで良いのだろう。悪魔の腕を見られたくないからとはいえ、逆に目立っているだけだと思う。現にミラの事を数人の駅員や駅利用者達がチラチラと視線を向けている。

その様子に俺は小さくため息を履いてからミラの元に向かった。

 

「逆に目立っているぞ、ミラ」

 

「え⁈」

気づいてなかったのか? と言う風にもう一度ミラに見えるようにため息をつく。

若干狼狽しつつ、先程よりも一段と深くコートを頭から被る。

 

「時間だ。行くぞ」

 

「あ、まてよ!」

黒コートのお化けを背後に、目的地まで行く列車に乗る。ちょうど左側のボックス席が空いていたので、そこに俺とミラが向かい合う形で座る。

することや話す事なども特にないので窓の景色をみる。列車の出発まじかと言うこともあり、駅員や乗客達が忙しなく動いている。

 

「な、なあ……」

 

ミラが話しかけてきたが、都合悪く汽笛の音によって声がかき消される。

列車はそのまま快調に動いて行く。

タイミングを外されたせいかミラは小さく唸り声を上げながら下を向いて黙ってしまう。

 

「どうかしたか?」

 

「……⁈ えっと、どんな悪魔を倒しに行くんだ?」

悪魔の討伐依頼としか言っていなかったから当然の疑問だろう。

自分の魔法の事もあり、やはり悪魔について少し興味でも湧いてきたのだろう。

 

「村で最後にあった奴らだ」

 

「ああ、あの……」

自分が足手まといになった自覚があるのか、苦虫を噛み潰した表情を見せるミラ。

村で最後にあった悪魔、スケアクロウは一匹一匹は対した奴らではない。しかしながら彼奴らは数が多い、囲まれてしまえばとても厄介だ。

腕に刃のついたやつやら足に刃がついた奴、悪魔の種類ってのはどうなってんだろうな。

 

「今度は油断しないようにな」

 

「あ⁈あの時はその……」

色々と反論にもならない言葉を喚いているミラを無視して、窓の景色を再度みる。

一駅分故にそろそろつくだろうか。

しばらく景色を見ていると、嫌な気配を感じた。

そう思い、窓から列車の前方をさりげなく確認する。

いやがった、悪魔だ。スケアクロウではない、猿の様な肢体の悪魔だ。なんて名前だったかな、今はどうでもいいな。彼奴は列車にへばりついてきやがった。

 

「わぷっ! ちょっ何すんだよネロ!」

ミラの黒いコートのフード部分の先端を引っ張り、深く被らせて視線を遮る。移動中にまでミラが気分を害する事もない。

窓を開けて、そこから左腕を出す。左手にブルーローズを出現させ三回発砲。

弾丸は真っ直ぐに飛んで行き、一発目は悪魔の頭に命中。頭に当たったことから悪魔がのけぞる。二発目、三発目は相手の左腕と右腕に命中する。

絶命した悪魔は黒い血を撒き散らし、列車から振り落とされ地面に転がり落ちて塵となって消えて行く。

 

「すまないな。”ゴミ”がついてた」

 

「言ってくれりゃ自分で取ったってーの!」

 

「今度から気をつけるさ。”ゴミ”はもうとったから気にするなよ」

 

「しょうがねぇな……」

ブルーローズを換装魔法でしまい。適当な理由を話す折にミラはフードをしっかりと被り直している。ゴミがついていたのは列車の方だけどな。

それにしても悪魔がいるとはな。どうやら依頼のあった場所はもうすぐそこまできているようだ。

 

「そろそろ着く。降りる準備しておけよ」

 

「お、おう」

準備と言っても対したものはないのだけれど。

ミラも俺もそこそこの大きさのカバン一つだし、俺の武器は換装魔法で普段は別の空間にしまいこんでいる。

そう言えばミラはどうやって戦うのだろうか。そこのところを先に聞いておくべきだったか……。

 

「着いたか……」

 

「あ、まてよ!」

列車が停止し、ミラを伴って降車する。辺りは森、駅があると言っても申し訳程度のようだ。近くにマグノリアと言う大きな街があるのだが、ここは対して整備はされていないようにも見える。

確か依頼では森の奥に悪魔がたびたび現れると書いてあったハズだ。懐の依頼書を確認して歩を進めてく。チラリと後ろを確かめると、ミラは周りの木々を興味深そうにキョロキョロと見渡している。

 

「……はぐれるなよ?」

 

「はぐれねぇし⁈」

小さく口元をニヤケつかせながら言うと、頬を薄っすらと赤く染めて言い返してくる。

反応が良くてからかいやすい。

本格的にからかうのは仕事が終わってから、今は仕事に集中するとしようか。

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