ゆっくり投稿していきますがご容赦を。
NERO SIDE IN
森の中にいた大猿の悪魔、オラングエラをぶっ殺した後。
他の悪魔が森にいないかを確認するためにしばらくさまよい。チラホラとらいた小猿の様な悪魔のムシラをミラと俺で倒して回った。先ほどの様にミラが油断することは無いだろうと思っていたのだが、心ここに在らずと言ったように繊細さを欠いていた。
そのおかげでフォローしながらの戦いがどれほど面倒な事になってしまったか。
大体のムシラを片付けた後はギルドへ帰るために元来た道を戻り、列車に乗り込んだ。
時間も時間なので茜色に中が染まった列車に人の姿は疎らであり、俺たちはボックス席に向かい合うようにして座る事ができた。
「……怪我でもしたのか?」
「いや……大丈夫だよ」
本来ならば依頼の完了もあって気分がいいはずなのだが、ミラの様子がおかしい。
明らかに元気が無いのだ、オラングエラとの戦いで怪我でもしてしまったのかとも思ったが違うようである。
「なあ、やっぱ私って足手まといだったか?」
「ああ」
「は、はっきり言うなよぉ……」
じゃあ、どう言って欲しかったんだ?
慰めるとかはガラじゃねぇんだが?
ミラは先ほどよりも俯き、涙目になってしまっている。
さ、流石に目の前でこれは鬱陶しいな。
周りにいる少ない客も咎めるような目線を俺に向けるなよ。
と言うか人様の会話ん聞いてんじゃねぇよ。
「まあ、初めての依頼にしては良くやったほうじゃないのか?」
「……うん、ありがと」
「ふん」
「やっぱり私は………」
そこからマグノリアへの帰り道の列車の中での会話は無かった。
俺もミラも窓の外を見てボーッとしているだけであり、耳に入ってくる音は他の乗客の会話と一定のリズムで聞こえてくる列車の音だけであった。
マグノリアの駅に着いた頃には辺りはすっかり暗闇に包まれていた。
駅から見える街を歩く人の数は昼間の騒がしさと比べると落ち着いたもので、夜のマグノリア独特の雰囲気を持っていた。
駅の改札ホームをでて、フェアリーテイルへと歩き出す。
その俺の後ろをミラはトボトボと着いてくる。
思ったよりも、依頼の完了に時間がかかった。
これは、帰ったらマカロフになんか言われそうだな。
適当な言い訳でも考えながら歩いていると、後ろで歩みを止める気配がする。
少し後ろの方を振り返ってみると、やはり立ち止まっていたのはミラだった。
黒いマントを着て、うつむくその姿は暗い。夜のせいもあるのだろうが、それだけでは無いと思うほどだ。
「どうした? まだなんかあるのか?」
「なぁ、私はフェアリーテイルにいない方がいいのかな?」
「Hmm? なんだいきなり」
突如顔を挙げたミラ。
その表情は真剣であり、何処か寂しそうで泣きそうなものだった。
列車の中ででも、考えていたのだろうか?
勢いに任せて放った言葉だとは思えない。
「だ、だってこんな腕気味が悪いだろ……。それに私がいない方がリサーナやエルフマンだって……いい、ハズだよ……」
「……はぁ」
さっきから悩んでたのってそういうことかよ。
気味が悪い腕って……俺も似たようなもんなんだけどな。そこのところはどう思ってんだ?
フェアリーテイルの馬鹿どもは、些細な事として気にも止めないって説明したんだけど。
どう言ったものかと考えていると、俺の背後から誰かが歩いてくる音が聞こえてきた。足音は二つ、ゆっくりとこちらに近づいてくる。
「ミラ姉!」
「姉ちゃん!」
「お、お前ら……」
ミラが驚いた表情をしながら俺の後ろにいるであろう奴らの名前を呼ぶ。
当然のこと、後ろにいるのはミラの弟妹。そして、先ほどの俺との会話が聞かれたのではないかとでも思ったのか、顔を地面に向ける。
だが、そんなことなど関係がないと言った風に弟と妹は姉に話しかける。とびっきりのら笑顔を加えて。
「見て見て〜ミラ姉! アニマルソウルキャット!」
「ビーストソウルくま! ……手だけ」
彼女らは魔法によって身体を変身させる。リサーナは猫耳や猫の尻尾、肉球などがついた姿に。エルフマンは右手だけではあるが熊の手に変身している。
「これでミラ姉やネロと一緒だね!」
「教えてもらったんだ! 俺はまだ手だけしか変身できないけど……」
「お、お前ら…」
「「これで皆一緒だよ!」」
変身したリサーナとエルフマンの姿を見て、ミラは静かに涙を流す。
兄妹達三人は駆け寄り合い笑顔で話だす。そこには先ほどまで気分が沈んでいたミラの姿はない。
だから、言っただろうに……。涙を流せる時点でお前は悪魔なんかじゃない。立派な人間なんだ。
さてと、俺は先にギルドにでも戻りますかね。この空気の中に俺はいらないだろ。
三人の様子を横目に俺はコートを翻してフェアリーテイルへの道を進んで行く。
マカロフへの依頼報告は明日じゃ駄目だろうか? 多分、駄目なんだろうな。正直に話すのも面倒だし、何か良い説明も思い浮かばなかったし。どうするべきか。
「ネロ!」
しばらく歩いた所で後ろからミラの声が聞こえてきた。
「ありがとな‼︎ また明日もよろしくたのむぜ‼︎」
その言葉に多少の安心を感じながら、返事の代わりに右手を上げることで答える。
……ちょっとまて。
明日も? また俺の依頼についてくる気なのかあいつ。
勘弁してくれよ。
「いいことじゃろ」
「ッ⁈ マカロフかよ」
「こりゃ! せめてマスターと言わんかい!」
「どうでも言いってそんな事。……それより、何がいい事なんだ? その前になんでここにいやがる」
歩いた先の路地裏。そこの影に隠れるようにマカロフが立っていた。
小さな身体ということもあってか、とても見つけにくい。
「質問の多いやつじゃ」
「はぁ……」
「待て待て! 銃を此方に向けるな⁉︎」
マカロフの勿体ぶった発言に対して、俺は銃を突きつけるという対応を返す。
「じゃあ、なんで此処にいる? 何時もならギルドで待ってるだろ?」
「今日は何時もより遅かったじゃろうが。駅まで迎えに行こうと思っただけじゃよ」
「……」
胡散くせぇ。
「本当じゃから⁉︎ 引き金に指をかけるでない!」
しょうがない。それならばその理由で納得しとくとするよ。
はぁ、何処で教育間違ったかのう。と言うマカロフの呟きに多少のイラつきを感じながら次の言葉を待つ。マカロフはコホンと咳払いを一つした後に話し出した。
「ネロ。腕が変わってからは以前にもまして一人で依頼を受けることが多くなったのお」
その言葉に俺は黙ってしまう。
返す言葉が見つからないからだ、確かに俺の右腕がこんなんになっちまってからは一人でしか依頼に行ってない。
それは雑魚悪魔の討伐などの悪魔関連の依頼を受けているからだ。誰だって悪魔ばかりを相手にしたくないハズだ。
「その腕の秘密を知るため……。その他にも悪魔関連の依頼を受ける理由があるんじゃろう?」
「……疼くんだよ」
この腕が。あいつらに反応して。どうしようも無く嫌な気分になる。理由なんてよくわからないし、戦う度にこの腕の使い方を理解していく自分も不思議に思う。
左手でそっと腕掴む。コートの上からでも人間の感触とは全く違う事に吐き気がする。
「そうか……。やはりネロお主には必要じゃよ。あの娘の様な存在が」
「……意味わかんねぇよ」
「はっはっは! これからじっくり考えていけば良い。儂等は家族なんじゃ、いくらでも支えてやるわい!」
マカロフの言葉にため息を一つついて、ギルドへの道を二人で歩んで行った。
その道は何時もと変わらないが何故か少し、少しだけ短く感じた。
「ギルドに戻ったら。依頼が長引いた理由を詳しく聞くからの」
「……勘弁してくれよ」
あれ? ミラよりマカロフがめだってる?