しばらくはこっちかな? DMC熱が再び……!
NERO side
依頼主のいる目的地に着く。列車を降りて首を2,3回鳴らす。マグノリアから長時間座っていたこともあり、身体が軋む。そのことを意識しないようにしながら依頼主の住処、この街にある教会を目指す。教会だと言うことは依頼人は神父かシスター、何れにせよ教会の関係者であっているはずだ。
「ネロォォォッ‼︎」
「……なんだ?」
ちょうど駅のホームから外にでたあたりで後ろから、俺の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。まあ、この依頼を受けたのが二人である事を考えると必然的にミラであることになる。
「……なんだ? じゃねーから⁈ 起こせよ⁉︎ もう少しで乗り過ごす所だったろーが⁉︎」
「気持ちよさうに寝てたからな」
「な、ん、で、だ、よ‼︎ お前そんなの気にする奴じゃねーだろ⁉︎」
「チッ」
「舌打ちぃ‼︎」
ヌガーッ‼︎ と口に出しながらズンズンと此方に歩みよってくる。鬱陶しい、ひたすらに鬱陶しい。
ミラの頭を片手で抑えて、こちらへの突撃を防ぐ。そのまま左手を頭から顔面へと移行、そしてガシッと顔を掴む。その技の名は! アイアンクロー‼︎
「むごごごごごごっ⁈」
言葉にならない声を発するミラを掴みつつ、改めて依頼書をコートの懐から取り出して確認する。教会の場所はと……。若干街の中心部から離れているな。あたりは暗いし今からだと夜中の訪問になるな。
……仕方ない、今日は適当に酒場見たいなところで情報収集して宿をとろう。依頼人への訪問は明日の朝でいいだろう。
「ミラ、行くぞ」
「行くってどこに⁈ その前に手を離してくれよ⁈」
ああ、忘れていた。
依頼書の確認と、自分の思考に没頭していたようだ。横を見てみるとミラの顔には俺の手がガッツリと装備されていた。アイアンクローも最初は少し力を入れたけど、後半はそこまで力を入れてないから痛くはないだろう。
ミラの顔から手を離し、依頼書をコートにしまいこむ。コートの襟を直しながら、ミラの方へと向きなおる。
「今日の寝床を確保しに行く前に、酒場で情報収集だ」
「おお! クエストっぽくなってきたな!」
ミラは両の拳を握りしめて、やるぞーやるぞー! などと呟いている。
初めての時みたいに足手まといには成らないで欲しいものだ。確かに、最近一緒に依頼に行くと助かる事が多くなってきているので成長はしているのだろう。
俺はミラの様子に軽く鼻を鳴らして歩きだした。
「待てよっ⁈ 相変わらず、好き勝手に動く奴だな……」
ブツブツ言いつつも俺の横をトコトコついてくる。そのつぶやきは俺にモロ聞こえているんだが?
ハァと軽く溜息を吐き、辺りを見渡しながら二人で歩いていく。この街の夜に悪魔の出現が多いらしい、出歩いている人の数が少ない。いや、俺とミラ以外はいないと言っていい。
「……ここでいいか」
「……なぁ、ネロ?」
「……何だ? 腹でも減ったか?」
「違ぇよ⁉︎ いや、お腹は適度に空いてるけども違うから! この酒場に入るのか?」
「……ああ」
「「……」」
俺とミラ、二人で顔を見つめ合った後。おもむろに視線を無言で酒場へと向ける。そこにあったのはフェアリーテイルのボロ酒場が高級レストランにでも見える様なボロ酒場が建っていた。
いや、流石に言い過ぎだったか? 確かにボロい見た目だが、夜に訪れたと言うのもある。それに立地条件も悪い、少し裏路地を進んだ辺りにあるのも雰囲気が暗く見える原因の一つではないだろうか?
「……マジで? マジで入るのか?」
「……ああ。まぁ、こう言う所の方が良い情報が入るはずだ」
「うっそだぁ⁈ 絶対たまたま目についたからだろ⁉︎」
「文句言うな。行くぞ」
「ええ〜〜……」
ブツクサ言いながらミラを伴って酒場の扉に手をかける。案の定、ギギィと言う木の軋む音を立てながら扉が開いて行く。
酒場の中を見ると薄暗い雰囲気。5席ほどのカウンターに二つのテーブル。中にいる客はテーブル席に二人だけ。酒場の従業員であろう男はカウンター席の向こう側で酒を作っている。
自分でもわかるほど顔をが引きつる。いつの間にか隣に並んでいたミラを横目で見る。ミラもミラで最大限に顔を引きつらせていた。
「ネロ……。ちょっと、こっちこい」
「……何だ?」
「何だ? いやいやいや! こっちが何だって言いてぇよ⁈ 何だこの店! 外見も暗いけど、中はもっとひでぇじゃねぇか⁉︎」
互いに顔を寄せ合い、小さな声で話し合う。その際、ミラが小声で怒鳴ると言う器用な事をしていたのだが、それは今はいいだろう。
「……いらっしゃい、珍しいお客さんだねぇ」
「「……」」
さっさと回れ右して帰らなかったから捕まったじゃねーか。と言う視線をミラから受ける。
店の従業員、おそらく店主だろう、が話しかけてきた。この店の雰囲気と同じ様に暗い声だった。容姿も前髪が長いせいか表情が読み取れない。
そして、後ろのテーブル席に座っている奴らはこちらのことなど興味がないかの様にタバコを吹かし、カードゲームに没頭している。テーブルの上にカードや灰皿だけではなくコインが置いてあるので賭けでも行っているのだろうか。
「人を探している。出来れば情報が欲しい」
「……へぇ、酒場に来て何も頼まないんで?」
抑揚のない声に若干の不快感を覚えるが、情報を提供するための必要経費だと思い。カウンター席に腰を下ろす。ミラも続いて俺の右隣に座り出す。
「……それで? 何をお飲みになります?」
「そうだな……」
「ストロベリーサンデーとピザ。オリーブ抜きで」
俺が何か飲み物を頼もうとした時だった。いつの間にか男がミラの左側のカウンター席に腰を下ろしていた。俺やミラと同じ銀髪の男は迷うこと無く注文をする。
「……悪いねお客さん。うちには置いてないんですよ」
「ハッ! おいおいマジかよ。ねえのかよ……。にしても坊主にお嬢ちゃん。酒場に来るにはまだ歳が早いんじゃないか?」
「あん? 何だよおっさん。別に私たちの勝手だろ!」
お嬢ちゃん呼ばわりにカチンときたのであろうミラが食ってかかる。俺も坊主呼ばわりにはムッとしたのだが、今気にすることはそこでは無い。
隣で揶揄われてギャーギャー叫んでいるミラの声を遮る様に男に話しかける。
「なあ、おっさん」
「何だ坊主?」
「いいコートだな。その”紅いコート”」
「……ッ⁉︎」
言われてミラも気がついたのか、息を呑むのが気配で分かる。
「ああ、俺の自慢の一張羅だ」
銀髪の紅いコートの男は見せびらかす様にコートを広げる。顔に軽い笑みを貼り付けたまま、男は俺を頭から足先までジロジロ見た後話し出す。
「坊主のコートも中々のもんだぜ?」
「そりゃどうも」
互いが互いに軽口を叩き会う。俺は奴をジッと睨みながら、奴は俺の事を笑ったまま見ている。
「な、なぁあんた……」
辺りに流れる緊張感に我慢が出来なくなったのか、ミラが紅いコートの男に声をかける。
その時だった。
互いに手に銃を取り出し。
俺は紅いコートの男に向かって、紅いコートの男は俺に向かって銃を構える。
バァン‼︎
ほぼ同時に銃を撃つ。
あまりにタイミングが重なりすぎて銃声が一つにしか聞こえなかった。
俺たちの放った弾丸はミラの顔の両端をすり抜け、俺の弾丸は奴の頬を掠り、奴の弾丸は俺の頬を掠って互いの後ろにいた悪魔の眉間を撃ち抜いた。
「HAHA‼︎ やるな坊主‼︎」
「あんたに聞きたい事がある」
「Hum? まあ、まずはこいつらを片してからだろう?」
背中を預けるようにして互いに銃を構える。その際ミラを俺は右手で庇う。少しすれば落ち着いてミラも戦えるはずだ。ただ、今はいきなり悪魔が現れたせいで少し混乱しているようだ。
まさか、店にいた客が悪魔だなんて思いやしないだろうからな。
「さあて、楽しい楽しいPartyの時間だ‼︎ 坊主、怖かったら逃げてもいいんだぜ?」
「ハッ! 誰が。あんたこそ逃げんなよ?」
「悪ガキめ……。Ready? Let's rock‼︎」
Q.ダンテと仲よさげじゃね?
A.警戒心バリバリ。次話でバトル。
ってことでオネシャス!