ロシア連邦
ペトロパヴロフスク・カムチャツキー
ここカムチャツカ半島の南東部、ペトロパヴロフスク・カムチャツキーにはロシア連邦太平洋艦隊の潜水艦基地があった。
冷戦期は極東最大の潜水艦基地があったが、冷戦が火星と言う東西共通の敵の出現によって終わり、ソ連が崩壊した今は国際連合主導の地球連合軍基地として機能している。
ニューオリンズ、マプト、北京、東京に続き、揚陸城はロシア領のマガダン、ノヴォシビルスクなどに降下。このカムチャツキーの地球連合軍はマガダンに落着した揚陸城と交戦していた。ここカムチャツキーはその前線基地の一つだ。
ここを拠点とする部隊の中でもカタクラフトを運用するのが極東軍第33独立襲撃連隊だ。第33独立襲撃連隊はマガダンへの前進に備え、このカムチャツキーで準備を整えている最中だった。
第33独立襲撃連隊の有するカタフラクトは60機。うち30機は地球連合軍の共通のカタフラクト、KG-7《アレイオン》、20機がロシア製カタフラクト、《ズミヤー》で10機が《ベルクート》だった。
地球連合軍で共通のカタフラクト、KG-9《アレイオン》は西側が中心となって開発されており、本来ロシアの規格や運用思想は相容れないものだった。地球にとって共通の脅威に立ち向かうべく、極東軍は当初こそ《アレイオン》を導入したが、その運用コンセプトや戦術の違いから地球連合と同じ統一規格で、独自のカタフラクトを開発するに至った。それが《ズミヤー》だ。
日本の丸みを帯びたフォルムと異なり、直線的なフォルムで、《アレイオン》よりもすっきりとした印象がある。頭部カメラアイはゴーグルカバー状になっていた。
ロシアは戦車や戦闘機などを開発する際に性能が高いタイプと量産に特化したタイプの両方を開発する傾向が強く、カタフラクト開発においても量産に特化した《ズミヤー》と平行してより高性能な《ベルクート》を開発した。
《アレイオン》をベースにした《ズミヤー》に対し、《ベルクート》はロシアの色がより濃くなっている。対カタクラフトの格闘戦などが意識され、機動性に特化する一方、高度な電子装備により超射程からの戦闘も得意とする。
第33独立襲撃連隊でこの《ベルクート》を駆るエリク・フェドロフ少佐は推進剤の注入を完了した愛機に乗り込み、態勢を整える列機を見守っていた。
『フェドロフ少佐、全機態勢完了しました。指示を』
副官のラトロフ大尉が無線で呼び掛けた。
「ボスホート全機へ。これより我々ボスホート隊はマガダンへ向け進軍する。敵は火星人。我らが祖国を踏みにじる敵を撃滅せよ」
ロシア陸軍極東管区第33独立襲撃連隊は進軍を開始した。それに合わせて機甲師団も動き出す。BMP-3歩兵戦闘車の三個中隊に続いてT-90戦車からなる一個大隊、さらにMi-24Vハインド強襲ヘリとKa-50ホーカム攻撃ヘリがその上空を飛ぶ。その光景は壮観だった。
Идёт за взводом взвод,
Чеканя шаг, идут солдаты.
Вперёд, всегда вперёд,
Храня стране присягу свято……
(小隊に、小隊が続き
足取り確かに、兵士達が進む
前へ、常に前へ
祖国への宣誓を、忠実に守りつつ……)
無線で誰かが軍は常に進軍を続ける、の歌詞を口ずさむ。それにラトロフらが続いた。
Идут-идут, идут и роты и полки,
Летят пилоты, море пенят моряки...
Пускай приказ придёт сейчас -
На марше армия у нас.
(進む、進む、進む中隊に連隊
飛行士は飛び、水兵は海を沸き立たす
たとえ今、命令が来ても構わない
我らが軍は、進軍を続けている)
いつしか歌は連隊の総員で斉唱されていた。フェドロフもまた口ずさむ。士気の高揚を感じる。敵との戦力差は圧倒的でも誰も諦めていなかった。
Пока глядят глаза,
Покуда сердце бьётся жизнью,
Солдат сломить нельзя,
Они верны своей Отчизне.
(その目が見える限り
心臓が命を刻む限り
己が祖国に忠実なる
兵士は決して破られぬ)
その歌の終盤には隊も関係なかった。カタフラクトの操縦士も戦車の乗員もヘリのパイロットも、ロシア兵たちは祖国を守る軍団として一丸となる。フェドロフは後ろを振り返らず、怖れなかった。
戦っているのは自衛隊だけではなかった……
揚陸城ですが、ロシアにはモスクワの他、マガダン、ノヴォシビルスク、アルハンゲリスク、ハバロフスクに降下した設定らしいです。
……どんだけロシアに降りてんだよと。地球連合軍ロシア軍は大変そうです。