ダンまち喰種√Ω   作:秋ノ原春助

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兎と隻眼はこうして出会う

千変万化、

 

時代は移り変わり、世界は変わる。

 

死者は天国へ、または地獄へ、もしくは異なる世界に。

 

青年は不幸だった。

 

とあることがきっかけで喰種にへと変貌を遂げた彼はあっけなく殺された。

 

自分と同じ白髪の男によって無残にも非力にもどうしようもなく、なすすべなく殺された。

 

これは偽物だ。贋作の物語。

 

だからどうか心して見て欲しい。

 

彼が異なる理をもつ世界で何を見て何を感じて何を得るのかを。

 

 

 

今日も騒がしさは十分で人通りは枯渇することなく、街は活気に溢れていた。

 

迷宮都市オラリオ。この都市は今日も変わらず賑わっている。

それもそのはず、この迷宮都市の中央には他の都市には滅多にお目にかかれないダンジョンという摩訶不思議なモノが存在するためだ。

 

街を歩く人々を見れば三人に一人は武器を背負い、甲冑やら胸当てやらを装着している姿が目に入る。

 

彼らはいわゆる冒険者というものだ。

 

『冒険者』

 

それすなわち、ダンジョンを冒険するモノたちを指す。

冒険は己を磨き、己を変えときに己を殺す。

そんな危険があるからこそ辞められない。止まれないのだ。

見えない何かが冒険の先に待っている。その何かが人々を冒険者たらしめる。

 

そして今日もダンジョンの入口にビクビクと小動物のように震える少年が1人。名をベル・クラネル。

真っ赤に染まった双眼には不安と期待が入り交じっている。

 

「……………よしっ! 行こう」

 

彼には野望がある。それはもうここにはいない叔父の野望。

 

『男だったらハーレム作らなきゃなぁ! ワッショイ、ハーレムハーレム』

 

ハーレムを作ることだ。彼はダンジョンに出逢いを求めている。

褐色でありながら妖艶さをもつアマゾネス、それとは対局的で清楚感あふれるエルフ、とにかく美女と彼は出逢いたいのだ。

 

なんとも不純な動機だろうかと思えるが考えてみて欲しい。

お年頃な少年がモテたいと思うことはおかしな事だろうか?

いや、おかしくない。むしろそれが正しいのだ。

 

ダンッ、と一歩ダンジョンにへと足を踏み入れる。

 

さぁ、冒険を始めよう。

 

 

「うわぁぁぉぁぉぁぁぉおおおおっっ!」

 

当初、何やら強い決心をした少年はダンジョンに潜って数分でモンスターに背を向けていた。

 

片手に棍棒を携え、以上に長い鼻と苔のような真緑の肌が特徴的なモンスター。ゴブリンは赤眼の少年を追いかけている。

 

「か、神様ぁ! やっぱり、無理です。怖いです!!」

 

泣き言をわめき散らしながら少年は逃げる。まさに脱兎の如く。

 

最初は良かった。一体ずつゴブリンを倒していきモンスターが消滅すると同時にに残していく水晶のような欠片を集めていたのだ。

順調に思えた狩りは急に終わりを告げる。

最後の欠片を拾おうとしたその時、目前に三匹のゴブリンが現れたのだ。

 

三匹と1人の視線が交差し、しばし沈黙か訪れ、そして逃げた!

 

おぉ、それはとある物語のメロンのように、妹の結婚式を見るが為にいきなり友を身代りにした人物のように、必死に死にものぐるいで走った。

しかし、このメロン。とある情報によれば一日中走らなくても普通に数時間でたどり着ける距離しか走ってないという。なんという脚色!!

いや、そんなことを言っている場合ではない。少年は今命を奪われるか守るかの瀬戸際に立っているのだから。

 

「ここ、何処ですかあぁぁぁぁぁっっ!?」

 

がむしゃらに逃げた為に少年は帰り道を見失っていた。

だが迷ったからと言って足を止めることは出来ない。

止めてしまえば待っているのはゴブリン達のリンチだからだ。

幾度も曲がり角を曲がり、もう方角も何もかも分からなくなってしまったその時、ある者が目に入った。

それはダンジョンの通路の中央に横たわる白髪の人物。

 

普通の冒険者ならば誰が死のうが関係ない。ここでの出来事は自己責任だ。

だから、ここでくたばってしまったらそれまでで誰も手を差し伸べたりはしない。

そう『普通』の冒険者ならば。

しかし、少年は違った。彼は甘いと言っても足りないほど甘ちゃんな性格をしている。

困っている人がいれば助けたくなってしまうという主人公というやつだ。

 

「助けなきゃ!」

 

脱兎の足を止めようと右足に力を入れ、踏みとどまろうとした瞬間、足がもつれてしまい無様にも倒れている人物に激突してしまう。

 

「うわぁぁぉぁ!!?」

 

砂煙を作り、背中の衝撃がジンジンと伝わってくる。

 

「いててて……………っ!」

 

気づけば三匹のゴブリンはもう目と鼻の先にいた。

そのうち二匹は片手に携えた棍棒を上に振り上げ攻撃のモーションに入っている。

 

やばい、このままじゃあっ!!

 

最悪の展開、死が訪れる。

そう思った一瞬。

 

まも………らなきゃ。

 

それは少年の言葉ではなかった。

 

「僕がトーカちゃんを、店長を、み、んな……………を」

 

棍棒が宙を舞った。ゴブリンの腕は見えない『何か』にひきちぎられ、体の至るところに風穴を空けられていた。

 

「ゴッ……………ゴギっ?」

 

間抜けな声を最後に三匹のゴブリンは消滅した。

そして残ったのは三個の欠片と歪なマスクをした白髪の人物。

 

「ボクハ………僕が…………やる…んだ……………」

 

それを最後にその人物は再び意識を閉ざした。

そして少年、ベル・クラネルは

 

「ふぇっ?」

 

と間抜けな顔と声を出した。

 




こんな感じでやっていきます。
カネキさん頑張って!

感想とかくれるとやる気がでて更新が早くなります!
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