ダンまち喰種√Ω   作:秋ノ原春助

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隻眼の闇

神なんていない。しかし、神はどこにでもいる。

 

古びた教会の地下にへと続く階段を降りるとそこには腰まで伸びたツインテールが特徴的な背丈には似合わないボディを持つ神がいた。

 

名をヘスティア。

 

彼女はここ最近になって眷属|(ファミリア)を手に入れたばかりの神だ。

 

だからこそ、毎日が気が気でない。ベル君、ベル君と毎日頭の中は眷属の事でいっぱいだ。

 

いつものバイトを終え、眷属の帰りを待つのが最近の日課となりつつある。そして帰りを待つ間ずっとハラハラするのも日課の一部だ。

 

「あぁ、どうして世界は残酷なんだよ。あんなに可愛い子を戦場に送らせるなんて、考えられないよ! 早く帰って来てくれよベル君! 僕は君の事が心配でシンパイでたまらないよ!!」

 

不安を声にしてかき消そうと試みるも不安はつもるばかりだ。

 

今日は大丈夫だろうか? 大怪我をしてはいないだろうか?

蛇足だとわかっていても心配せずにはいられない。

 

「か、神様ぁー」

 

不安を晴天にへと変える声が聞こえた。

 

「ベル君! 帰っ―!???」

 

もう、心配したんだぞぅ! といつもならば飛びつくのだがそれは出来なかった。

それは眷属の背負われている人物のせいだ。

 

「ベ、ベル君が2人っ!?」

 

「違いますよ! この人、ダンジョンで倒れてたんです! 武器も何も持っていなかったので、危険だと思ったからここまで運んできたんですけどダメでしたか?」

 

神ヘスティアは感銘を受けた。

なんと心優しい子供なんだ、と。

 

あぁ、ベル君。僕は君を眷属にして正解だったよ。もう、涙がでそうだぜ。

 

「そんなわけないだろう! 人は支えあって生きているんだ、助け合いは必要だぜ!」

 

「はぁ、よかった。万が一神様がダメなんて言ったらどうしようかと………」

 

それじゃあ、ベッドに寝かせておきますね。と言うと背負っていた人物を優しくベッドにへと寝かせた。

 

その行動を見ていたヘスティアはあることに気が付いた。

ベッドが使えない、すなわち寝る場所がソファーしかない。

つまりは密着しながら一緒に寝ることが出来る!!

この時ほどヘスティアは自身が神であることを忘れ天上にいる神達に感謝の気持ちを持ったことはない。

 

ふふふ、と黒い笑みを漏らし神は言う。

 

「おいおい、ベル君。ベッドが使えないじゃないか。それじゃあ、今夜はソファーで寝るしかないなぁー」

 

「そうですね、僕は雑魚寝で十分なんで神様がソファーを使って下さい」

 

「何を言ってるんだ! 君は疲れているんだから、ソファーを使わなきゃいけないよ! 僕は君に養ってもらってる身なんだ。だから僕が雑魚寝すればいいんだよ」

 

「そんな! 神様に雑魚寝をさせるなんてとんでもないですよ!!」

 

「しかしベル君に雑魚寝をさせるのは僕にとって遺憾なんだ」

 

これはある意味巧妙な作戦だ。

自ら一緒に寝ようとは言わずに相手にソファーを譲る。そうする事によって相手は必ず遠慮をするだろう。

そうなれば後は簡単だ。

じゃあどうすればいい? この言葉でチエックメイト。

相手は一緒に寝ると言わざるを得ない。

これで自身から言わずして相手に言わすことによって合理的に密着して添い寝することが出来るのだ!

 

「そ、それじゃあ、い、一緒に寝ましょう……………」

 

ヘスティアは耳まで真っ赤になったベルを見て初めて萌えという言葉の真の意味を理解した。

 

か、可愛いいいいいイィぃぃぃぃ!!!

 

「お、おうふぅ、そうだねぇ、一緒にねるしかにゃ、ないよね!」

 

今日は勝負の下着を履こう。

そう心に決めたヘスティアは万全の準備を整えるために食事をするのも忘れてバスルームにへと向かった。

 

 

暗い、、、、、

 

何も見えない暗闇の中、そこに僕はいる。

目をつぶっているのか開いているのかすらも分からないほどの闇が広がっている。

 

僕は死んでしまったのだろうか……………

 

誰も助けることが出来ず、報いる事も出来ずに死んでしまうのか。

 

嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ!

 

悲鳴を上げるもその声は反響せず虚空にへ消えていく。

 

僕は! 僕は、どうして……………僕はこんなに脆いんだ……………

 

僕はこんなにも弱い。

 

この借り物の力はいつも僕を悲劇にへと導く。

どんなに抗おうとも、それはさらに深い悲劇にへと誘うだけだった。

 

でも抗わずにはいられなかった。守りたい人がいるから。もう誰も傷つかずにすむのなら、僕はどんな犠牲でも払う―

 

ぬちょり、と頬を何かがなぞる。

それはあまりにも生暖かくて、そして血なまぐさかった。

 

『でも守れなかったわよねぇ』

 

クスクスと嗤う声。

 

『宝というより力の持ち腐れね』

 

っ、見えないけれど、わかる。

【彼女】が目の前にいる。

僕を喰種になった原因、出発点。

 

『もう、心配しなくていいわよだって―

 

みんな死んじゃったんだから。

 

「ああアアあああアアァァァァァァァッッッ!!!」

 

背けていた絶望が押し寄せる。

鮮明に覚えている。

地面を真っ赤に染めた光景を、そして割れた仮面の下にある虚ろな目を、無残にも原型が無くなった死体を。

 

『そう、ぜーんぶあなたのせいよ』

 

あなたが弱過ぎるから皆死んだ。

 

「ァ、ッガ、アぁ……………」

 

『だから私が貴方になるわ、次は私が貴方を食べる番なの』

 

その時トマトが潰れるような音が聞こえた。

 

 




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