美月転生。~お兄様からは逃げられない~   作:カボチャ自動販売機

23 / 81
明けましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いします!


第二十二話 婚約と挨拶

起きたら、達也の婚約者になってた。

 

何を言っているのか分からないかもしれないけど、ぼくも良く分かっていないので仕方がない。

 

達也の話だと、まず、ぼくが眠っているところに叔母さんはやってきた。

随分と気持ち良さそうに眠っていたので起こすのは可哀想だということになり、そのまま達也たちと話をして、達也たちの話を聞いた叔母さんはぼくを甚く気に入り、ぼくを達也の婚約者にしたという。

 

 

うん、意味が分からない。

ぼくは眠っていただけなんだけど……。

 

 

というか、そういうの本人の許可なく決めますかね!

ぼく達也と婚約するなんて一言も言ってないんだけど!

 

 

そんなことを達也に言うと「俺達は付き合っているのだから、婚約したところでそう変わるものではないだろう」とのこと。

 

変わるに決まってるよね!?

ぼく、今までの偽恋人から親公認の婚約者にグレードアップしてるじゃん!そうなったらもう本物じゃん!

 

 

当然ぼくは断ろうとしたわけだけど、なんか四葉家の当主というのは凄い地位らしく、当主の決定は覆らず、断ろうものなら、どんな手を使ってでもぼくを達也の婚約者にするだろうとのこと。

 

 

何それ怖い。

 

 

流石に盛りすぎだろうけど、ぼくが断ったら面倒くさいことになるのは確かだろう。

 

 

 

だからぼくは逆に考えた。

達也と婚約し結婚した時のメリットを……。

 

 

まず一つ目に、達也の家は結構お金持ちらしいからお金には一生困らないだろうということ。ぼくも仕事して、父よりもお給料を貰っている状態(父、涙目)だけど、誰だって仕事なんてしたくない。

絵を描くのは好きだし、いくらだって出来るけど……締め切りは嫌だ。借金をしてお金を取り立てられる人の気持ちが良くわかる。

電話の音が鳴る度にガクガクと震えることになるし、締め切り間近にミスに気がついたりすると、デスマーチ確定コースだ。

 

達也と結婚すれば仕事をする必要はなくなり、好きなときに好きなだけ絵をかけるだろう。

これは嬉しい。

 

 

二つ目は、達也相手ならぼくの性癖を隠す必要もないということだ。

普通女の子大好き!なんて言っている女子と結婚しようなんて思う男はいないだろう。ぼくは一生独身上等だったけど、世間体も悪いし、ちょっと寂しい。

その上、達也ならきっと結婚した後、ぼくが女の子を追いかけ回していていても、許してくれそうだ。たぶん、「そうか、俺に迷惑をかけるなよ」みたいな感じで。

 

 

そして三つ目にして、最大最強最高のメリット……それは……なんと、深雪が義理の妹になるのだ!

 

これは駄菓子のおまけに世界一周旅行が付いているようなものである。

あの深雪が、お姉様、お姉様と慕ってくれる(妄想)のなら、達也と結婚しちゃってもいいかな、と思えるくらいには。

 

好きなときに好きなだけ絵を描いて、親友として薫を、義妹として深雪を、愛でて過ごす人生……。

 

 

なんて素晴らしい。

 

 

こう考えるとデメリットは、ぼくが男と結婚するなんて嫌だ、と思っていることくらいだ。

 

 

これなら別に婚約くらいしても良さ気だよね。

もし、嫌になったら解消すれば良いだけの話なんだから。

 

 

というわけで、ぼくは達也の婚約者になったのでした。

最初は達也と深雪に叔母さんを紹介すると半場拉致気味に連れていかれただけだったのに。

 

本当、どうしてこうなったの?

 

 

 

 

 

 

婚約に伴って、達也がぼくの家に挨拶に来た。

 

ぼくの母は翻訳家で年中家にいる引きこもり。不器用で、料理があまり上手くないため、この家の料理担当はぼくである。

 

父は至って普通のサラリーマン。

そこそこ大手の出版社で働いていて、中々の地位らしいけどあまり興味がないので良く知らない(父涙目)。

母とは本好きが高じて知り合ったのだそうだ。

 

 

そんな二人は達也のことをそれはもう大歓迎だった。

ぼくは昔、今以上にオープンな女の子好きだったため、両親にもバレており、ぼくが男の彼氏、それどころが婚約者を連れてきただけでお祭り騒ぎだった。

 

娘の将来を本気で心配していたらしい。

それは本当に申し訳ない。

両親を安心させられる、というだけでも達也には感謝したい。本当に特殊な娘で、二人には苦労をかけたから。

 

 

達也は大歓迎の両親に戸惑っており、それを見ているのは面白かった。なんでも達也の両親はほとんど家に帰ってくることはなく、会社から近い別宅とやらでほとんど過ごしているようなのだ。

仕事が忙しいとはいえ、中学生の兄妹を二人残してほとんど家に帰らないというのは如何なものだろうとは思うが、二人はあまり両親のことが好きではないらしくその方が気楽なんだとか。でもそれって悲しいよね。

 

それならまだ、日常的に、仕事に熱中するあまり飲食を忘れて死にそうになっている家の母の方が万倍マシだ。

 

たまには二人を家に招待して、ご飯を作ってあげようじゃないか。二人よりはきっと賑やかで楽しくなるはずだ。

そう言えば達也は柔らかく笑って「……ああ、美月が大変じゃないならお願いするよ」なんて言いながら頷いた。

 

本当の理由は達也が深雪と二人で毎日お食事なんてずるいからだけどね!?別に照れてるわけじゃないけど!照れてるわけじゃありませんけど!?

 

 

ま、まあ、そのあと達也がぼくの作った夕飯を食べて「美月の料理というからどんなものが出てくるかと思ったが……本当に旨いな、驚いた」なんて抜かすもんだから、拳骨を食らわした。

 

両親がすごい謝って、逆にぼくが怒られた。

ぼくみたいなのを貰ってくれる男はそういないから大人しくしておけ、らしい。酷い。

 

 

そんなわけで、達也はぼくの両親にも気に入られ晴れて?正式な婚約者となったわけだ。

ぼくは達也の両親に挨拶しに行かなくて良いのかな、と聞いてみたら叔母さんが良いと言ったならそれで良いらしい。達也の家は中々に複雑らしい。

 

 

 

それはそうと、何故かどんどん追い込まれているような気がするんだけど、気のせいだろう。

 

 




─そのころの深雪さん─


((*゚д゚*))ソワソワ…深雪「(今頃、お兄様はご挨拶に……落ち着かない)」


(−_−;)深雪「(私が選んだお洋服で大丈夫だったかしら……お兄様ならどんなお洋服でもお似合いだけど……もっと良いものがあったんじゃ……)」


Σ(;´□`;)深雪「(お夕飯は美月のお家でご馳走になってくるのよね……あっ……じゃあ、今日は私一人……?)」


(つд;*)深雪「……寂しい……」モグモグ



その日の深雪さんはちょっと甘えん坊だったという。




どんなシリアスもその可愛さでぶち壊す……深雪テロシリーズ化!
そのころのシリーズは本編で出番のなかった子に出番を与えられるので多用していきます!

次話からじゃんじゃん原作キャラが登場する予定なので誰が登場するのかお楽しみに!


さて、明日も0時に投稿します。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。