美月転生。~お兄様からは逃げられない~   作:カボチャ自動販売機

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サブタイトルのセンスェ……。


第二十八話 王子様系美少女降臨

「ぼくの奢りだからなんでも買ってね!」

 

 

 

バトル・ボードを観戦し終えて昼休み、午後は真由美さんの出場するスピード・シューティングの準決勝と決勝を観戦することになっているわけだけど、まずは昼食だ。

 

九校戦は十日間で述べ十万人もの観客を集め、映像媒体による中継が行われている程人気のある大会。

十日間で十万人ということは単純計算で、一日平均一万人。

それだけのお客様を見逃す商人はいないわけで。

 

会場の許可されたスペースには何店もの出店が出ており、昼食には困ることはない。

 

中学生とはいえ、裕福な七草家のことだからそれなりにお小遣いは貰っているだろうけど、ここはお姉さんとして、何より多大な迷惑をかけてしまったことのお詫びとお礼にこれくらいのことはしなくては。

お金なら沢山持っているのだ(どや顔)

 

遠慮をしているのか後ろを歩いているであろう双子ちゃんどちらもから返事がないので振り向く……あれ?

 

 

「……二人がいない」

 

 

 

また迷子になった。

 

 

 

 

残念なことに二人の連絡先は聞いていなかったため、とりあえずスピード・シューティングの会場に行ってみることにした。

これ以上真由美さんに迷惑をかけるわけにはいかない!どうにか自力でなんとかしたい。

 

その一心で歩き回った結果……係員の人に保護されました。

うん、半泣きで今日は使われないはずの会場をさ迷っていたからね。心配した係員に声をかけられ、迷子になったと言うと、迷子センター的なところに連れてこられました。……この歳で迷子センターのお世話に……。

 

そこで保護者に連絡するってことになって、保護者の名前を聞かれたのだけど、ぼくの両親は勿論、会場にはいないし、連れてきてもらった真夜さんも帰ってしまったので会場には居ない。年下ではあるけど、ぼくの保護者だった七草双子姉妹は連絡先を知らない。

ぼくが今、会場にいる中で連絡先を知っているのはただ一人しかおらず……。

 

 

 

「ごめんなさぁぁああい!そして優勝おめでとうございますぅうう!」

 

「みーちゃん!」

 

 

当然、真由美さん再び参上である。

迷子になったぼくは真由美さんのスピード・シューティング準決勝、決勝を迷子センターのモニターから観戦するしかなくなった。

真由美さんは華麗に優勝を決めて、大変素晴らしかったのだけど、その直後にこうしてぼくを迎えに来てくれたことを考えると、ぼくの申し訳ないメーターが振り切れる勢いだ。

 

 

「二人もごめんね……」

 

「ボク達こそごめんなさい!美月さんがここまですぐ迷子になるなんて思わなくて!」

 

「ふぐっ!?」

 

「香澄ちゃん正直に言い過ぎですよ!美月さんが可哀想です!」

 

真由美さんから連絡があって一緒に来てくれたのだろう七草双子姉妹だけど、香澄ちゃんの辛辣な一言に、泉美ちゃんが止めると見せかけて、トドメを差しにきたよ!何、この双子のコンビネーション!

お姉さんまた泣いちゃうよ!

ぼくが完全に悪いから甘んじて受けるけどね!

 

 

 

 

「なあ真由美、これが噂の問題児か?」

 

 

ぼくが七草双子姉妹にいじめられていると、そんな声が聞こえてきた。

 

 

「そうよ、可愛いでしょ」

 

「はぁ、お前が随分と可愛がっているのは良く分かったよ」

 

 

 

声の主は、長身に絵本の王子様のようなストレートのショートボブの黒髪、凛々しいキリッとした顔立ちに切れ長の目をした美少女で、頭を押さえながらため息を吐いている。

もしかして……。

 

 

 

「真由美の友人で同じ一高の、渡辺摩利だ」

 

 

 

九校戦女子人気No.1にして、三巨頭の一人、格好いい系クール美人、渡辺摩利さんでした。

 

 

「みーちゃんがまた迷子になっちゃわないように、明日は摩利もつけるから!」

 

「……私も暇というわけではないのだが」

 

 

 

どうやら、二人でダメなら三人だ!という考えに至ったらしい真由美さんはぼくのお守りに、友人である渡辺摩利さんを採用したようだ。

摩利さんは真由美さんの勢いで押しきられただけのようだけど。

 

 

「もうぼく今日で帰ります……迷惑かけちゃうし……摩利さんも忙しいそうだし……」

 

「摩利!」

 

「うぐ、わ、分かったさ……明日は特に予定もないから構わないよ。君が迷子になることは絶対にないと保証しよう」

 

 

惚れてまうやろー!

もはや応援どころが、問題量産機と化しているし、大人しく帰ろう……と思っていたところに、真由美さんに促されてとはいえ、摩利さんがやってきて、今の一言!

なんでさりげなく手を握れるんだ!なんで不思議と安心するんだ!

 

イケメン過ぎる!王子様的イケメンさが溢れているよ!

 

 

 

「うう、是非摩利の兄貴と呼ばせてください!」

 

「誰が兄貴だ!」

 

「じゃあ姉御!」

 

「それも駄目にきまっ……決まっているだろ!」

 

「後輩からそう呼ばれているくせに……」

 

「真由美、うるさいぞ!」

 

 

この二人は本当に仲が良さそうで、真由美さんのちゃちゃに顔を赤くする摩利さんは可愛かった。

普段格好いい人が照れたりしているとなんでこんな可愛いのだろう。

真夜さんもそうだけど、ギャップ萌えってずるい。

 

 

「とにかく!私がいるからには迷子になんてさせないからな!」

 

「明日からですけどね」

 

「な・ん・で・お前が偉そうなんだ!」

 

 

照れ隠しに宣言したのであろう摩利さんにちょっと意地悪をすると、うがーっといった感じで怒りだすけど、顔は赤いままなので、全く怖くはない。ただただ可愛いだけだ。

 

 

 

「美月さんもう仲良くなってる……」

 

「お姉さまもすっかり陥落しているご様子ですしね……」

 

 

こうして今日の九校戦観戦を終えたわけだけど、何故か七草双子姉妹から尊敬の眼差しで見られるようになっていた。

 

 

二人の前では、迷子になって、泣いているところしか見られてないような気がするけど、なんでだろうね。

 

 

とりあえず、明日は迷子にならないようにしたいです……。

 

 

 

 




─そのころの深雪さん─


ε=(・д・`*)ハァ… 深雪「まさかお稽古がお休みになるなんて……」

(´・ω・`)深雪「お兄様はお仕事……美月は九校戦……薫は連絡がつかない……どうしましょう、やることがないわ……」

(;・ω・)深雪「あれ?……私が休日に誘える人ってこれだけ……私って友達が少ないのでは……?」


(つд;*)深雪「…………。」



数十分後。



( ̄。 ̄)深雪「……美月の置いていったゲームでもやりましょう」


深雪が、美月の置いていった恋愛ゲームにはまるまで、後数時間。

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